ゲイザーは夜の街の暗がりの中で黒髪の占い師ミケーラを召喚しました。そして事の顛末をミケーラに手短に説明します。
「アーク殿はトーナメント戦で私と一戦交えるようです。おそらくアーク殿はミカエル様が私の仲間になった事を察しているのでしょう。神聖な闘技場ではタイマン勝負が基本なので、ミカエル様を召喚してアーク殿を倒すことは出来なくなりました」
「そうですか…。完璧な変装だと思っていたのですが、あの子の心眼は誤魔化せなかったのですね…」
「私から見ても完璧すぎる変装だと思います。金髪で色白なミカエル様が黒髪で浅黒い肌のミケーラさんと同一人物であるとは、他の誰も気付いていません」
「やはりルシファーを倒すのは一筋縄では行きませんね。あの子は全てに於いて完璧な超人なのです」
「私は完璧な超人などこの世にいないと思っています。どんなに強い者にも必ず弱点がある」
「ルシファーに弱点などあるのでしょうか?」
「アーク殿は私を力でねじ伏せる事が簡単に出来るにも関わらず、なぜか私の得意分野であるディベートで勝負を挑んできました」
「それはあの子の自信の表れだと思います。勇者ゲイザーの得意分野で勝たなければ、魔法の使えないあなたに魔法で勝っても、勝ったことにはならない…と考えたのでしょう」
「その驕り高ぶりこそが彼の最大の弱点と言えます。私の苦肉の策は彼の高過ぎるプライドを利用して勝つ事を考えていました…」
「なるほど…。流石、勇者ゲイザーです。あの子の上を行く策を考えていたのですね?」
「いえ、勝てる自信は全くありませんでした。でも、もうあの奥の手を使うしかない…」
「奥の手があるのですね。あなたが勝つのを祈っています」
その時、ベンが声をかけてきました。
「ゲイザーじゃねぇか!えらくべっぴんさんを連れてるねぇ。ゲイザーの好みは黒い肌の女なのかい?嫁のフラウも黒い肌の女だが…」
「ええ、そうですね。色白の女性も素敵だなとは思いますが、妻のフラウのような浅黒い肌の女性は何と言うか…妖艶な魅力があって、つい惹き寄せられてしまいます」
「ククク…お前が浮気してたって事は嫁さんには黙っといてやるからさ!これから一緒にミスターレディの店に行かねぇか?」
「それは良いですね!前から行きたいと思っていたのです。ミケーラさんはこれからどうしますか?」
「私も同行して構いませんか?」
「ミケーラさんさえ良ければご一緒にどうぞ」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第149話です。