No.97646

真・恋姫無双 魏End -Re:TAKE 09-

Re:TAKE 9話です。

遅くなりましたが読んで頂けたらうれしいです!

しかしエロい風もまた良し!(あとがきでw)

2009-09-27 15:24:20 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:15980   閲覧ユーザー数:12927

 

 

 

先日の盗賊討伐のあと華琳の命令で街の警備案を作成し、

その案が採用された警備隊の責任者となった一刀は

毎日率先して警邏をおこなって、街の住人と接する機会を増やし、

警備隊も少しづつ支持されるようになってきていた。

 

 

そんな中、一刀の異常に気付いた季衣が心配そうに一刀に話し掛けていた。

 

季衣「兄ちゃん、大丈夫?」

 

一刀「・・・うん? ああ、大丈夫だよ」

 

一刀が笑顔を季衣に見せる。

 

季衣「でも・・・、疲れてるんじゃないの?」

 

一刀「ホントに大丈夫だよ、ちょっと寝不足なだけだから」

 

妹のように思っている季衣に心配させてしまっていることを恥ながら、

大丈夫だと微笑みかける。

 

季衣「それならいいけど・・・、ちゃんと寝なくちゃだめじゃないか、兄ちゃん」

 

一刀「うん、気を付けるよ。 心配してくれてありがとう季衣」

 

 

実際、寝不足所の話ではなかった。

一刀はほとんど寝ていないのである。

夜、床に就いて見るのは悪夢ばかり。

魘されて起き、再度眠りについてもまた魘される。

そんな夜が続いていた。

 

原因は先日の戦いにあるのはわかっていた。

咄嗟のことだったとはいえ、覚悟もなしに人を斬ったのだ。

それは相手が盗賊だからと納得できるものではなかった。

 

平和な国に生まれて人の命を奪うことも奪われることもなかった一刀に

盗賊とはいえ、人の命を奪った事実は悪夢を見せるには十分な出来事だった。

 

しかも、食事も喉を通らず、食べてもすぐ戻してしまい、

よけいに体力を消費してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

季衣「秋蘭様、兄ちゃんのことなんですが・・・」

 

秋蘭「気付いたか・・・」

 

季衣「はい・・・。 兄ちゃんは大丈夫だって言ってるけど・・・」

 

秋蘭「自分で解決できるのならそのほうがいいと思い、口出ししなかったが・・・」

秋蘭「そろそろ体力的にもマズイか・・・」

 

季衣「どうしましょう・・・?」

 

秋蘭「うむ・・・。 華琳様に相談してみよう」

 

季衣「華琳様、兄ちゃんを説得してくれるかなぁ」

 

秋蘭「そちらにも気付いていたのか?」

 

季衣「なんとなくだけど、華琳様は兄ちゃんを避けてるのかなと」

 

秋蘭「うむ、避けているというかなるべく干渉しないようにしているようなのだ」

 

季衣「どうしてなのかな・・・」

 

秋蘭「わからん。 それも含めて華琳様にお伺いを立ててみよう」

 

季衣「お願いします! 秋蘭様」

 

 

 

 

 

 

華琳が執務室で書簡に目を通していると、秋蘭がやってきた。

 

秋蘭「失礼します。 華琳様、少しよろしいでしょうか?」

 

華琳「秋蘭? いいわよ、入りなさい」

 

秋蘭「失礼します」

 

秋蘭が部屋に入っても華琳は作業を止めない。

秋蘭も声を掛けず黙って華琳の作業が終わるのを待っていた。

 

華琳「ふぅ・・・。 ごめんなさい、なにかしら?」

 

待たせてしまったことに詫びを入れ秋蘭に問いかける。

 

秋蘭「・・・。 北郷のことです」

 

華琳「? ・・・北郷がなにかしでかしたのかしら?」

 

最近一刀の調子が悪いこと、原因は先日の戦いにあるであろうこと、

そして、誰が聞いても一刀が悩みを打ち明けないことなどを語った。

 

華琳「そう・・・。 で、それを私に報告してどうするつもりだったの?」

 

秋蘭「我々では、どうにもならないのです。 ですが、華琳様の言なら聞くのではないかと」

 

華琳「・・・。 そんな個人の悩みを聞いてあげられるほど私も暇ではないのだけれど?」

 

秋蘭「・・・。 華琳様は北郷のことをどうお考えで?」

 

華琳が秋蘭を睨む。

 

華琳「どういう意味かしら?」

 

その華琳の威圧感にのまれそうになりながらも秋蘭は続ける。

 

秋蘭「華琳様はご自分が北郷を連れて来たにも関わらず、北郷を意図的に避けているように見受けられます」

 

華琳「そんなこと・・・、ないわ」

 

秋蘭「なら、なぜ北郷を連れてきたのですか?」

 

華琳「それは、北郷が持っている天の知識を我が覇道に役立てるためよ」

 

秋蘭「本当にそれだけですか?」

 

華琳「・・・」

 

華琳が黙る。

 

秋蘭「私には華琳様が北郷を恐れているように見受けられます」

 

華琳「私が北郷を恐れる?」

 

秋蘭「いえ、正確には北郷の身に起きる"なにか"でしょうか」

 

華琳「っ・・・!!」

 

秋蘭「華琳様が北郷について何かご存知なのはわかります」

秋蘭「ですが、今北郷に必要なのは華琳様だということも事実です」

 

華琳「・・・」

 

秋蘭「華琳様はご存知ないと思いますが、北郷はかなり衰弱しています」

秋蘭「必死に隠してはいますが、食事もまともに摂っていないようです」

 

華琳「!?」

 

華琳が驚く。そしてその驚きは一刀を避けていたために

一刀の不調に気付いていなかったことを肯定していた。

 

秋蘭「華琳様」

 

華琳「話はそれだけ?」

 

秋蘭「はい・・・」

 

華琳「じゃあ、申し訳ないけど桂花に書簡の処理が遅れることを伝えてもらえるかしら」

 

秋蘭「御意。 して華琳様はどちらに?」

 

華琳「ちょっと用事を思いだしたの」

 

華琳がいそいそと部屋を出ていくのを見送りながら、

 

秋蘭「素直じゃないお方だ」

 

微笑みながら秋蘭が呟いていた。

 

 

 

 

 

 

華琳「まったくっ! アイツは何をしているのっ!?」

 

華琳は歩きながら一刀の不調をボヤく。

 

華琳「・・・、秋蘭アイツが食事をしていないって言ってたわね・・・」

 

一刀を探すのを中断し、調理場へ向かう。

一刀の体調を考え、消化のよいものを作ろうかと考えていると季衣がやってきた。

 

季衣「あれ? 華琳様どうしたんですか?」

 

華琳「ちょっと料理でもしようかと思ってね」

 

季衣「あっ!!(もしかして兄ちゃんに・・・)」

季衣「華琳様っ! 僕にもお手伝いできることありませんかっ?」

 

華琳「えっ? そ、そうね・・・」

 

華琳は少し考え、季衣も一刀のことを心配していることに気づく。

 

華琳「じゃあ、北郷を探して今日はもう休んでいいから、代わりに中庭に来るように伝えてもらえるかしら?」

 

季衣「わかりましたっ!!」

 

華琳「お願いね」

 

華琳の言葉を聞くか聞かないかの勢いで季衣が飛び出していく。

 

華琳「まったく・・・」

 

華琳が呆れていると飛び出していった扉が遠慮がちに開き、季衣が顔を出す。。

 

華琳「?」

 

季衣「あの~、華琳様」

 

華琳「どうしたの?」

 

季衣「今度でいいから、華琳様の料理が食べたいなって・・・」

 

華琳「ふふふ、いいわよ。 今度は季衣のために作りましょう」

 

季衣「!! やったーっ!! たっのしみだなぁ♪」

 

また季衣が飛び出していくのを見送りながら、

 

華琳「天真爛漫とは季衣のためにある言葉ね」

華琳「さぁ、はじめますか」

 

季衣の無邪気さに癒されながら調理を始める。

 

 

 

 

 

 

季衣「にーちゃーん」

 

一刀「お、季衣じゃないか。 どうしたんだ? 慌てて」

 

季衣「にいちゃん、華琳様が呼んでるよ」

 

一刀「華琳が? 俺なにかしたかな・・・」

 

季衣「今日はもう休んでいいから、城の中庭に来なさいって」

 

一刀「・・・、わかった。 ありがとうな、季衣」

 

そういって一刀が、季衣の頭を撫でる。

 

季衣「くすぐったいよ、兄ちゃん」

 

一刀「ああ、ごめんごめん。 じゃあ行くよ」

 

季衣「うん。 いってらしゃい」

 

季衣と別れ、一刀は指定された城の中庭へと向かう。

 

 

 

 

 

 

一刀「あれ? 華琳はまだかな」

 

まわりを見渡し、華琳の姿を探す。

 

一刀「しばらく待ってみるか。」

 

木陰に座り込み、眼を閉じる。

 

一刀「風が気持ちいい・・・」

一刀「(少し・・・、眠く・・・)」

 

疲れているのだろう、すぐに静かな寝息を立てて深く寝入ってしまう。

そこに作った料理を持って華琳が現れる。

 

華琳「あら? ほんご・・・って、寝ているの?」

華琳「まったく、心配させて昼寝とはね・・・」

 

呆れた華琳が立ち去ろうとしたとき、

一刀が急に魘されはじめた。

 

一刀「う、ああ、ううっ・・・」

 

華琳「北郷? ちょっ、一刀っ!!」

 

華琳が慌てて一刀に駆け寄ると、一刀が飛び起きた。

 

一刀「うわぁっ!!<きゃぁっ> はぁ・・・、はぁ・・・、・・・またか。 って"きゃあ"?」

一刀「あ・・・」

 

眼を覚まし目の前に華琳がいて一刀は"しまった"という表情を見せる。

 

華琳「北郷・・・?」

 

一刀「ああ~・・・、今のは別に・・・」

 

言い訳を考えている一刀を無視して華琳が喋り始めた。

 

華琳「北郷、正直に言いなさい」

華琳「最近寝ていないそうね?」

 

一刀「・・・、うん」

 

華琳「それは今のように魘されているから?」

 

一刀「うん」

 

華琳「食事も摂っていないそうじゃない」

 

一刀「食べてはいるよ」

 

華琳「本当に? 戻しているのではなくて?」

 

一刀「(お見通しか・・・)うん、ごめん。 食べたあと気分が悪くなるんだ」

 

華琳「・・・、はぁ」

華琳「あなたね、季衣にまで心配させるほど悩むくらいなら誰かに相談なさい」

 

一刀「うっ・・・、ごめん。 でもみんな気付いてたんだ?」

 

華琳「あ、当たり前でしょう」

 

一刀を避けていたことで、自分が気付いていなかったことに慌てながら答える。

 

華琳「まぁいいわ。 ほらあそこの休憩所で待っていなさい」

 

一刀「?」

 

華琳「さっきのあなたの大声に驚いて溢してしまったから、新しくよそってくるわ」

 

そう言って華琳が立ち上がる。

 

一刀「え? あの・・・」

 

華琳「い・い・か・らっ! さっさと行きなさい」

 

一刀「はいっ!」

 

 

華琳「まったく・・・。 ばか」

 

休憩所に向かう一刀の後姿を見ながら呟く。

 

 

 

 

 

 

ほどなくして華琳が料理を運んで、休憩所にやってきた。

 

華琳「お待たせ」

 

一刀「う、うん」

 

華琳は運んできた料理を一刀の前に並べると、鍋の蓋を取った。

湯気が上がり、美味そうな匂いが広がる。

 

一刀「うわぁ・・・」

 

華琳「どうかし<グゥ~~ッ>・・・、聞くまでもないみたいね」

 

一刀「///// いや、めちゃくちゃ美味そうだからさ」

一刀「これってもしかして華琳が作ってくれたの?」

 

華琳「え、ええ/////」

華琳「病人ように消化の良いものにしたから、慌てずゆっくりたべなさい」

 

一刀「病人って・・・」

 

華琳「目の下に大きな隈を作って、青白い顔をしてたら病人と言ってもいいんじゃないかしら」

 

一刀「うう・・・」

 

一刀が華琳の言葉に反論できず、言葉に詰まる。

 

華琳「いいから、暖かいうちに食べなさい」

 

一刀「うん。 いただきますっ!!」

 

空腹に耐えられなくなった一刀が粥を勢いよく口に入れる。

 

華琳「あ、でも粥はまだ熱いだろうから・・・」

 

一刀「うあっちぃっっー!!!!」

 

華琳「はぁ・・・、だからゆっくり食べろと言ったじゃないの」

 

華琳が呆れながら水を渡す。

 

一刀「ゴクッ、ゴクッ。 はぁ、ごめん。 ありがとう」

 

華琳「しょうがないわね・・・」

 

華琳は新しいレンゲを取り出し、長椅子を一刀の横に移動する。

 

一刀「あ、あの・・・。 華琳さん?」

 

慌てる一刀を無視して、華琳は粥をすくう。

 

華琳「ふぅー、ふぅー」

 

一刀「(これはアレかっ! アレなのかっ!?)」

 

華琳「はい、あーん/////」

 

一刀「え、えーとですね」

 

華琳「<ギンッ!!>」

 

一刀「(ううっ・・・) あ、あーん」

 

華琳に睨まれて観念し、レンゲを口に入れる。

 

一刀「!! 美味いっ!」

 

華琳「そう♪ じゃ、じゃあ・・・、はい/////」

 

美味しいと言われたことがうれしいのか、

華琳は機嫌良く、頬を赤らめながらまたレンゲを差し出す。

 

一刀「う、うん/////(か、可愛いっ!!)」

 

そんなやり取りをしながら、

一刀はあっという間に華琳が作った粥とスープを平らげていた。

 

 

 

 

 

 

一刀「うまかった~っ!!」

 

華琳「それはよかったわ。 ・・・身体の方は?」

 

一刀「うん、吐き気もしないし。 久しぶりに腹いっぱい食べたよ」

 

華琳「まぁ、吐いてたら首を刎ねてるけどね」

 

一刀「ははは・・・」

一刀「それにしても、華琳は料理も上手かったんだな~」

 

華琳「あら、だって私だもの」

 

一刀「たしかに、華琳ならなんでもできそうだ」

 

 

 

華琳「北郷、この間の戦闘のときのことで悩んでいるのでしょう?」

 

華琳が一刀の悩みを言い当てる。

 

一刀「!! ははっ、お見通しか」

 

悩みを言い当てられた一刀は驚きながら少しずつ語り始めた。

 

一刀「初めて人を斬ったんだ」

一刀「初めて人を、・・・殺したんだ」

 

華琳は何も言わず、一刀の言葉を聞いていた。

 

一刀「俺の国じゃさ、殺すとか殺されるとかそれこそ別世界でさ」

一刀「俺には関係ないことだと思ってた」

一刀「事件で殺人とかがないわけじゃなかったけど」

一刀「やっぱりどこか遠いところの話だと思ってた」

 

華琳「平和な国で育てばそうなるかもね」

 

一刀「だから、俺が・・・、自分が人を殺すなんて考えもしなかった…」

 

華琳「この世界では、殺さなければ殺されるわ」

 

一刀「それでも俺は・・・、俺は・・・」

 

一刀は俯き、小さく呟く。

 

華琳「あなたが斬った盗賊の家族や友人はあなたを恨むかもね」

 

一刀「<ビクッ!>」

 

華琳「私達からみればただの盗賊だけど、その人達からみれば大切な人だったかもしれない」

 

華琳「でもその北郷のおかげで私は今生きている」

華琳「北郷が守ってくれたのよ」

 

一刀「・・・」

 

華琳「北郷が守ってくれたこの命で、私はさらに多くの民を守ってみせる」

華琳「さらに多くの民が笑顔で暮らせる国を作ってみせる」

 

一刀「華琳・・・」

 

華琳「例え盗賊といえども、奪った命は還らない」

華琳「でもそれで救われる者もいる」

華琳「それでも罪の意識が消えないのなら」

華琳「命を奪った者以上の民に、幸せを与えなさい」

 

一刀「!!」

 

華琳「あなたにはそれができるハズよ」

 

一刀「・・・」

一刀「ありがとう、華琳」

 

一刀が空を見上げる。

 

一刀「俺は守りたい」

 

華琳「何をかしら?」

 

一刀「街を、民を、そして今は無理だけど大切な仲間を」

 

一刀が華琳を見つめ、華琳も一刀を見つめる。

 

華琳「?」

 

一刀「いや、なんでもない/////」

一刀「華琳。 俺、頑張ってみるよ」

 

華琳「ええ。 期待しているわ」

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぁ・・・」

 

腹も膨れ、悩みも軽くなって眠くなったのか

一刀が欠伸をして舟を漕ぎだす。

 

華琳「北郷?」

 

一刀「ごめん、華琳・・・、寝てなくて・・・ちょっとだけ寝かせて・・・」

 

華琳「はぁ・・・、 ほら、寝るのならこちらに来なさい」

 

華琳は卓に伏して寝そうになる一刀を長椅子に寝せ、頭を自分の太ももにのせる。

 

華琳「/////」

 

膝枕の体勢に華琳は1人赤くなる。

一刀はすでに意識が朦朧としているのか動じずに呟く。

 

一刀「華琳・・・、いい匂いがする・・・」

 

華琳「ばっ!! なにを・・・」

 

一刀「すぅ・・・、すぅ・・・」

 

完全に寝てしまったので怒ることもできず、優しく一刀の髪を梳く。

 

華琳「・・・ばか」

 

桂花や春蘭が来て騒がないよう祈りながら、華琳は一刀の寝顔を優しく見守っていた。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

一刀は夢を見ていた。

 

見たことない景色なのにどこか懐かしい景色。

 

春蘭が剣を振りかざして追ってきて、

秋蘭がそれを笑って見ている。

 

季衣といろいろな屋台を食べ歩いていると、

偶然出会った桂花が罵ってくる。

 

*や**、**達と騒ぎながら街を歩いて、

*と猫と戯れる。

 

*が鼻血を盛大に噴出す。

 

*とともに馬にのり野をかけて

**達の歌を聞き、

**が作った料理に舌鼓をうつ。

 

まだ会ったことのない少女達もいるが、

騒がしくも幸せな日々を送る夢。

 

一刀「(春蘭や秋蘭、季衣、桂花はわかるけど)」

一刀「(他の女の子達は誰だろう?)」

 

一刀「(わからない・・・けど、なんか懐かしい・・・)」

 

そして夢の相手が華琳に変わる。

 

華琳と中庭でお茶をする。

 

華琳と街で買い物をする。

 

華琳と政務について話あう。

 

華琳と戦場を駆ける。

 

華琳と閨を伴にする。

 

華琳と・・・、華琳と・・・、華琳と・・・。

 

一刀「華琳ってこんなに可愛く笑うんだな・・・」

 

見たことがないハズなのに何故かとてもよく知っているような気がした。

 

そして場面が急に変わり、

どこかの川のほとりに自分が立っていて、

月明かりの下、目の前には背を向けた華琳がいた。

 

 

 

 

 

 

華琳「どうしても……、逝くの?」

 

一刀「ああ、もう終わりみたいだからね…」<これは"俺"…か?>

 

華琳「そう…」

華琳「…恨んでやるから」

 

一刀「ははは、それは怖いな。 でも少し嬉しいって思える…」<逝く? 死ぬのか俺>

 

華琳「逝かないで……」

 

一刀「ごめんよ……華琳」<いや…、これは記憶…?>

 

華琳「一刀…」

 

一刀「さよなら誇り高き王……」<違う…これは…"俺"の記憶>

 

華琳「一刀……」

 

一刀「さよなら寂しがり屋の女の子……」<華琳が寂しがり屋なんて"俺"は知らない>

 

華琳「一刀っ……!」

 

一刀「さよなら、愛していたよ……華琳----」<そう…ここで"俺"は消える…>

 

 

華琳「一刀……?」

華琳「一刀……、一刀っ……」

華琳「ばか…、ばか…ぁ…」

華琳「ほんとに…消えるなんて…、なんで…私の傍にいてくれないの?」

華琳「ずっといるって…、言ったじゃない…」

華琳「ばかぁ……」

 

 

<そっか…、泣かせたの"俺"だったんだ…>

<夢の女の子…、華琳…君だったんだな…>

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

仮にも覇王と呼ばれる少女の膝枕でどうしたらここまで熟睡できるのかと、

少し呆れながら、華琳の手は一刀の髪を梳く。

 

華琳「記憶が違えども一刀は、一刀・・・・・・か」

 

華琳「こうしてると幸せだと感じる・・・」

 

華琳「やっぱり、私は"一刀"のことが好きなんでしょうね・・・」

 

愛しい者が傍にいる。

その幸せを感じながら、華琳は飽きることなく一刀の寝顔を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

一刀「う、うう」

 

華琳「やっと起きた?」

 

一刀「あれ? かりん・・・?」

 

寝ぼけているのか自分の状況がわからず頭をずらすと、

 

一刀「・・・ピンク?」

 

華琳「?」

 

一刀「っ!? ご、ごめん!!」

 

華琳「待ちなさいっ!!」

 

膝枕に気付いて飛び起きようとする一刀の頭を抑え、押し戻す。

華琳は一刀の頭を抑えつけながら、ニヤリと笑う

 

一刀「あ、あのー・・・、華琳様・・・?」

 

華琳「寝てる間何度も私の名前を呼んでいたのだけど、どんな夢を見ていたのかしら?」

 

一刀「ええっ!?」

 

<ガバッ!!>

<ガシィッ!! ギュムッ!!>

 

華琳の言葉に、恥ずかしくなりまた体を起こそうとするが華琳に抑えられ、元の位置に戻される。

 

華琳「聞かせてもらおうかしら(ニヤリ)」

 

一刀「うっ・・・。(これは逃げられないなぁ)」

一刀「夢を・・・、見たんだ」

 

華琳「ええ」

 

一刀「なぁ、華琳」

 

華琳「なにかしら」

 

一刀「俺、華琳達に拾われる前にみんなに会ったことがあるのかな」

 

華琳「っ!? な、何故会ったことがあると?」

 

突然の一刀の問いに華琳が驚く。

 

一刀「見た夢が妙にリアルでさ」

 

華琳「りある?」

 

一刀「ああ、現実味があるってことかな」

 

華琳「・・・(まさか、一刀にも以前の記憶があるの?)」

 

一刀「ホントに体験したみたいに感じるんだ」

 

一刀「春蘭や秋蘭、季衣に桂花も出てきたし、他にも知らない女の子がでてきたけど」

 

華琳「!! 知らない女の子ですってっ!!」

 

一刀「ひぃっ!」

 

華琳「べ、別に怒ってたわけじゃないわよ。 驚いただけ」

華琳「どんな女の子か覚えてる?」

 

一刀「う~ん・・・、銀髪で顔に傷のある女の子とか」

 

華琳「(凪ね・・・)」

 

一刀「あと季衣と仲が良くて同い年くらいの女の子とか」

 

華琳「(流琉か・・・)」

 

一刀「胸の大きな関西弁・・・変な喋り方する子とか」

 

華琳「(霞か、真桜ね)」

 

一刀「猫みたいな子とか、鼻血出す子とか」

 

華琳「(風に稟か・・・)」

 

 

 

 

 

 

一刀「華琳?」

 

華琳が黙ってしまい、一刀を抑えていた腕の力も抜けたので、

恐る恐る体を起こす。

 

華琳「(この世界に来る前に聞いた"あの声の主"が言っていた)」

華琳「(ここは外史、そしてあそこは外史同士の狭間だと)」

華琳「(ということは、以前の外史の一刀の記憶を"ここ"の一刀は持っているということ!?)」

華琳「("私"がここにいる以上、否定はできないわね)」

 

一刀「華琳・・・?」

 

一刀が心配そうに声を掛ける。

 

 

 

華琳「ねぇ、北郷」

華琳「この世界をどう思う? あなたの世界の過去かしら?」

 

一刀は少し考えるが、はっきりと答える。

 

一刀「たぶん違うと思う」

一刀「俺の知っている未来での歴史が絶対というわけじゃないけど」

一刀「ここは俺の世界の過去ではない、別の世界・・・並行世界なんだと思う」

 

華琳「別の世界・・・そうね、私もそう思うわ。 でもあなた自身それを信じられる?」

 

一刀「華琳に会う前なら笑い飛ばすな」

 

華琳「それはなぜ?」

 

一刀「だって俺の知ってる歴史では曹操も、夏侯惇、夏侯淵もみんな男なんだから」

一刀「例え歴史が改竄されたとしても全員の性別を誤魔化して記録するなんて無理だ」

一刀「ならこの世界は俺の世界の歴史とは別の歴史を辿る世界なんだ」

 

華琳「私かあなたが見ている夢かもしれないわよ」

 

一刀「胡蝶の夢ってやつか」

 

華琳「あら、よく知ってるわね。 学校で習ったのかしら」

 

一刀「! よくわかったな」

 

華琳「まぁね(2度めだもの)」

 

 

 

 

 

 

一刀「それで、華琳の夢を見たんだ」

 

華琳「ええ」

 

一刀「華琳とお茶して、散歩して、買い物して、食事して・・・」

一刀「そしてその夢の中の華琳は三国統一を果たす」

 

華琳「そう・・・」

 

一刀「でも華琳は泣いてるんだ」

 

華琳「・・・・・・」

 

一刀「そしてその華琳をおいて俺が消える」

 

華琳「・・・そう」

 

一刀「それが今見た夢・・・・・・」

一刀「そしてその夢を見てやっと思い出したんだ」

 

華琳「何かしら?」

 

一刀「小さい頃見た夢」

一刀「俺が自分を鍛えたのはその夢を見たから・・・」

 

華琳「どんな夢だったの?」

 

一刀「女の子が泣いてる夢」

一刀「とても綺麗な女の子なんだけど、とても悲しそうで守ってあげたいと思った」

一刀「幼かった頃は顔も見えてたんだけど、でも最近は靄がかかったみたいに見えなかった」

一刀「だから、会っても気付けなかった」

一刀「でも、さっきみた夢ではっきりと思い出した」

 

華琳「・・・・・・」

 

一刀「泣いてる女の子・・・華琳・・・、君だった」

 

華琳「!!」

 

一刀「俺は、華琳を守るために強くなりたかった」

 

華琳「か、北郷に守ってもらうほど弱くないわ/////」

 

一刀「うん。 俺も夢の女の子がこんなに強い子だとは思わなかったよ」

 

華琳「(・・・なんかそう言われると不愉快ね)」

 

一刀「俺はたぶん"並行世界の記憶を見て知っている"んだと思う」

一刀「だから"華琳と共にいた記憶"は俺自身の記憶じゃない」

一刀「でも・・・」

 

華琳「でも?」

 

一刀「華琳を守りたいと思った気持ちは俺自身の気持ちなんだ」

一刀「だから華琳の傍にいさせて欲しい」

 

一刀が真剣な表情で華琳を見つめる。

 

 

 

 

 

 

華琳「っ/////」

華琳「あ、あたりまえでしょうっ!」

華琳「あなたを拾ったときから、あなたは私のモノなんだからっ!!」

 

華琳が真っ赤になりながら当然だと答える。

 

一刀「ああ、そうだな」

一刀「ありがとう、華琳」

 

華琳「/////(なんかこっちばかり照れさせられてる気がするわね・・・)」

 

一刀の笑みに頬を染めながら、華琳は反撃の手を考える。

 

華琳「それじゃあ・・・・・・、私にあなたの全てを捧げてみる?」

 

今まで照れていたのはどこへやら、途端に妖艶な笑みを浮かべて華琳が一刀に迫る。

 

一刀「俺の全て・・・? って、まさかっ!?/////」

 

華琳「どうするのかしら?」

 

一刀「お、俺は<<華琳様っ~~~~!!>>って、なんだ?」

 

春蘭「華琳様っ! ここにいらっしゃったのですかっ」

 

桂花「あああっーー!! この変態っ! 華琳様に変なことしていないでしょうねっ!!」

 

一刀「(ほ・・・、助かった~)」

 

華琳「(む~・・・、いいところだったのに・・・)」

 

華琳を探しに来た春蘭と桂花の登場でそれまでの雰囲気が吹き飛ぶ。

一刀はそれに安堵し、華琳は楽しみを邪魔され少しムッとしていた。

 

華琳「春蘭、桂花、なにか急用かしら?」

 

春蘭「いえ、急用ではないのですが・・・」

 

桂花「お姿が見えなかったので・・・」

 

華琳「ふ~ん・・・。 2人ともあとでお仕置きよ」

 

春蘭「はいっ! って、ええっ!?」

桂花「はいっ! 喜んでっ!!」

 

華琳が席を立ち2人とともに去ろうとするが、ふと一刀を振り返り一刀に言う。

 

華琳「さっきの答えはまた今度聞くわ、"一刀"」

 

一刀「なっ!!!! (忘れてなかったのか・・・)」

 

春蘭&桂花「?」

 

華琳「ふふふ♪ 行くわよ、春蘭、桂花」

 

春蘭&桂花「はいっ!」

 

 

最後の一刀の焦りっぷりに満足し、ご機嫌な華琳だった。

 

 

 

 

 

 

あとがき的な

 

 

更新遅くて申し訳ないです。

Re:TAKEの第9話です。

 

ついに・・・・・・、デレキタ━(゚∀゚)━!!

 

華琳様がついにデレるお話でした。

ああ、一刀君が華琳様を思い出すお話でもあります。

 

コメントで「一刀はいつ記憶が戻るの?」と聞かれますが、

ウチの一刀君は逆行ではなく並行世界とのリンク・・・とでも言いましょうか、

並行世界の記憶を、引き継ぐのではなく見ている感じです。

デジャブみたいな感じですかね。

なので、断片的なことしか知らない設定です。

 

ちなみに華琳様は逆行してます。

 

 

次回はたぶん籠買いに行きます。

ということは真恋姫俺ランキングベスト3の

あの娘の登場になるか…?

 

また読んで頂ければうれしいです。

 

 

 

 

 

あとがきでもないこと

 

シルバーウィークに2話くらいはいけるかなと画策していたら、

友達から"まじこい"と"プリラバ"を薦められ・・・、

5日間とも1日1時間以上外出せず。

その外出も夕飯の材料買いに行くだけというwww。

 

しかし、クリス萌えるなぁ…。

シルヴィア可愛ええなぁ・・・。

 

・・・、あれ? 俺金髪好きか? 華琳様も金髪だし・・・。

 

"まじこい"で何か書くのもいいかな~と思う今日この頃w

そして声優に気付くたび吹きそうになりましたwww

 

 

 


 
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