ナタは深いため息を一つ、つきました。ティターニアはナタの膝の上で寝てしまったので、ナタは小さなかごの中にハンドタオルで寝床を作って、ティターニアを寝かせました。
「アークの心の中がわかれば、こんなに悩まないんだけどなぁ」
「オズワルド様には覗かれたくはないですが、ナターシャ様には覗かれても困らないですよ」
「おじさんとフラウおばさまって、十年経ってもまだラヴラヴのままなんだよ。すごくない?サラおばさまとミネルヴァおばさまは使い魔じゃないからわからないけど、多分ラヴラヴのままだよね?」
「ゲイザー様もフォン様もユリアーノ様も愛妻家ですからね。サラ様とミネルヴァ様も旦那様を心の底から愛しておられるのだと思います」
「私もそんな旦那様と結婚したいなぁ。十年もラヴラヴでいられる自信ないけど…」
「私は百年でも千年でも愛し続ける自信がありますよ」
「人間はそんなに生きられないよ?」
「そうですね。でもナターシャ様が亡くなってもまた来世で見つけ出してみせます」
「それなら今の私が死んでも哀しくないよね?また来世で会えるし…」
「二千年も探してやっと見つけたのに、また探せと言われると…少し辛いものがありますが」
「二千年も私の事、探してたんだ?」
「記憶は消えてしまっても、あなたの事を心のどこかで探し続けていたんだと思います」
「アークは優しいけど、その優しさで私がいっぱい傷付けられてるって、気付いてる?」
「私はナターシャ様を傷付けてしまったのですか?出来れば私の何が悪かったのか、教えてください。以後、気を付けますので…」
「自分は優しいって思ってる人にそれは傷付くんだよって言っても無駄だと思う…」
「私は自分が優しいなんて思っていませんよ。ナターシャ様以外にはとても冷たいですから」
「冷たくなんかないじゃない?メサイアのファンにも優しくしてたし」
「あれはただのファンサービスの営業スマイルです。ハグや握手はサービスの一環ですから。あの中にナターシャ様へ嫌がらせしてる者がいるなら、私はその者を容赦なく…いえ、これ以上は言えません」
「アークは人殺しとかしなさそうなのになぁ」
「転生してからは殺人経験は一度もありませんが、前世では大量殺戮をしてましたので、前科持ちではあります。私がルシファーとして完全に復活してしまったら…と考えるだけで怖ろしいです」
「アークはルシファーの力が目覚めても、アークのままだと思うけどなぁ。二千年間その性格だったのに急に変わるわけないでしょ?」
「私は猫をかぶっているのです。本当の私は…ルシファーはこんな穏やかな性格ではありません。ナターシャ様に本当の自分を知られるのが怖い…」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第74話です。