北郷一刀視点
バンッ!
「公孫瓚様!」
俺は雪音さんと話した後急いで着替え、雪音さんと共に南壁の格好で公孫瓚様の部屋に飛び込んだ。
「・・・ほん、いや南壁か。雪音から聞いた通りだ。国境沿いに例の黄色い布の賊が大軍で現れたらしい。斥候の話ではその数は数万に及ぶようだ。」
「数万・・・それ程の数の賊がどうやって集まったんでしょうか?」
「それは分からないが、どうやら向こうにも多少軍略に長けているものがいるようだな。・・・雪音!」
「はっ!」
「今すぐ出軍する!他の者達にも伝え、趙雲に私の部屋に来るように言ってくれ!」
「了解しました!」
そう言うと雪音さんは部屋を出て行った。
「公孫瓚様俺は。」
「隊をまとめてほしい。100人とはいえ立派な戦力だ。特に大軍同士となると少数の戦力の働きが勝敗に直結する。だからこそ今から隊をまとめて士気を高めてほしい。」
「分かりました。すぐに取り掛かります。」
俺はそう言うと部屋を後にして隊がいる調練場に向かった。
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北郷一刀視点
「整列!」
ザッ!隊員達が掛け声と共に一斉に並んだ。集団行動の成果か綺麗にビシッと並んでいる。・・・ギリギリ間に合ったか?
「全員聞いているだろうが国境沿いで例の黄色い布の賊達が現れた。その数は数万に及び我々百人隊も出軍する事となった。」
ッ!数万と聞き、皆一瞬驚いたような顔をしたが直ぐに戻した。
「そして敵は突然国境沿いに現れた。つまりは我々軍に見つからずそれ程の大軍を集めることが出来る者、兵法に明るい者がいると言う事だ。」
隊員達に緊張した空気が流れ始めた。
「だが臆するな。臆するということは即ちお前達自身の努力を否定する事になる。こんな状況だからこそ仲間を信じ、己を信じて戦いに備えよ。」
「「「っ!はっ!」」」
隊員達は一斉に声を上げた。よし、士気は大丈夫そうだな。
「各自急ぎ準備を始めよ。」
その言葉と共に隊員達はそれぞれ準備をする為に散った。
・・・さてと俺も準備をしますかね。
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公孫瓚視点
「急ぎ準備しろ!間も無く出立する!」
そう言うと私は自分の馬を率いて来た雪音の元に向かった。
「公孫瓚様お持ちしました。」
「すまない雪音。雪音は準備を出来ているのか?」
「もちろんです。ただまだかず・・・南壁殿からは何も。」
「そうか。雪音すまないが南壁を探してきてくれ。もうすぐ出立するからな。」
「承知しました。」
そう言うと雪音は小走りで走って行った。
私は雪音を見届けると辺りを見渡した。急ぎ準備をしようと慌てる者、準備が終えながら隅でぼーっとしてる者、何をしていいかわからず右往左往している者様々な者達がいた。
「・・・やはり抜けた穴は大きいか。」
王門がこの城から出た後王門に従っていた兵の大半が無断で出て行った。そのおかげで治安はかなり改善されたが殆どが本隊の精鋭部隊だった為戦力が落ちてしまった。今は何とか急造の兵士達を本体に入れたが・・・
「そんなに上手くはいかないか・・・はぁ〜っとため息は厳禁だ。まずはこの戦でどうするかを・・・ん?」
そこで私は動きが良い部隊に気がついた。
「あの部隊は確か・・・」
私はそう思うとその部隊に向かい歩みを進めた。
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張瀾視点
「よしみんな急いで準備するよ!」
「おぉ!で何が必要なんだっけ?」
「まずは武器でしょそれに鎧、それから」
「とにかく自分の装備を整えよう!」
そう言うとみんな自分の装備をつけ始めた。時に鎧が着けられないものがいたりしたがそこは周りの者が助けながら着々と準備を進めていった。
「ほぉ、中々の連携じゃないか。どこの隊だ?」
するとそのような言葉が聞こえた。聞き覚えがあると思いそちらを向くと
「こ、こ、公孫瓚様!」
私がそう叫ぶと皆手を止め一斉に列を作った。
「おいおい、別に並ばなくてもいいんだぞ?」
「あっ、も、申し訳ありません!いつもの癖でつい・・・」
「ん?癖とは?」
「その・・・南壁副隊長が行なっている集団行動なる調練で、隊長等に声をかけられたり合図を受けた時には直ぐに整列するようにというものでして。」
「すぐさま整列・・・成る程な。」
「?何かお分かりになられたのですか?」
公孫瓚様が何かを悟ったようにそう言ったので聞いてみた。
「ああ何、後で嫌でもわかるから気にするな。」
「?分かりました。それで我々に何かご用で?」
後で分かるというので今は気にしない事にした。
「用という用は無いんだが、他の隊に比べても準備が早かったのでな少し様子を見に来ただけだ。私に構わず準備を続けてくれ。」
「は!よし、お前達準備を再開するぞ!」
そういうと私達は準備を再開した。
・・・主である公孫瓚様に評価されている南壁副隊長。確かに副隊長が来てから隊内の連携が良くなった気がする。多分あの集団行動という調練のお陰だろう。しかしそうなると疑問が出てくる。集団行動による隊内の統率力の向上、そして自慢ではないが隊内では一番強い私を軽々退けるあの武力。あれ程の人を一体どこで見つけたんだろうか?
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北郷一刀視点
ザッザッザ。
辺りには砂煙と足音が響いている。今俺たちは公孫瓚様に続き行軍している最中だ。隊員達と別れた後武器庫に向かい武器の選定をした後、隊員達と合流し今に至る。ちなみに雪音さんは公孫瓚様の近くにいるのでこの隊は俺が率いている。
「皆もう少しで友軍と合流する!合流後はすぐに戦が始まるだろう。故にその心づもりだけはしておけ!」
"おぉぉー!!!"
公孫瓚様の号令で皆が叫んだ。行軍を始めて数日、ようやく目的地に到着するようだ。もうすぐ公孫瓚様の言う通り戦が始まる。稽古の手合わせとは違う本物の殺し合いが・・・
「南壁副隊長どうかしましたか?なんだか雰囲気が重たい気がしたのですが?」
そんな事を考えていると張瀾がそう言ってきた。仮面をつけて表情が分かりにくいはずなのに。どうやら雰囲気でわかるほど考え込んでしまったようだ。いかんいかん。
「・・・何でもない。それよりも準備は万全だろうな?」
「はい!関靖百人隊全員準備万端です!」
「・・・ならいい。後は覚悟だけ決めておけ。」
「はっ!必ずやこの命に変えましても敵を討ち取ってみせます!」
「・・・そう言う覚悟ではない。」
「?では一体何の覚悟を?」
「・・・それは、」
張瀾に言おうとしたその時、
「見えたぞ!前を見ろ!」
誰かがそう叫んだ。その声につられ前方を見ると
「「ゔゔぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」
・・・地獄があった。巨大な2つの生き物がお互いに体をぶつけ合っている。その生き物達はよく見ると大軍と言えるほどの人数が集まった軍勢だった。その所々は赤く染まっており、近くの地面も真っ赤になっている。その赤は・・・想像通りのものだろう。
「や、やばいって!」
「どう言う事だよ相手の隊、味方の隊より数が多いじゃないか!」
他の隊の隊員がそう叫んだ。確かに状況を見るとお互いに拮抗しているように見えるが明らかに黄色が多く見える。
ざわざわざわざわ
軍全体がその声で騒めき始めた。
「・・・不味いですね。」
「・・・あぁ、この前ではこの後の士気に影響する。」
そう張瀾と話していると
「静まれ!」
短くも鋭い声が響いた。この声の主はやはり公孫瓚様だった。
「幽州の兵が何と言うざまだ!お前達は何をしにこの地に来た!悪を成敗する為か?正義を翳しおごることか?違うだろう!・・・私達がこの地に来たのは、大陸の平和を守らんとする友を、民を守る為に来たはずだ!!」
ッッ!!
その声を聞いた瞬間多くのものが何かを思い出したかのような顔をした。
「・・・どうやら思い出したようだな。ならば武器を掲げよ!我らはこれより友軍の救援に向かう!友軍、敵軍に聞こえる程声を上げよ!我らの目的地はすぐそこである!行くぞ!」
「「「ゔゔゔぉぉぉぉぉおお!!」」」
バダバタバタッ!
公孫瓚様に続き多くの兵達が雄叫びをあげながら走って行った。
「どうやら士気の問題は解決したみたいですね!」
張瀾はそう言った。確かに張瀾の言う通り公孫瓚様の言葉で皆戦いに対する心構えができたように思える。周りに何かと言われている公孫瓚様だがやはり主君の器なんだろう。
「・・・あぁ、俺達も行くぞ。」
そう言うと俺は走りだした。
「ちょっ!南壁副隊長!?ええぃもう!関靖隊、南壁副隊長に続け!」
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???視点
「報告します!公孫瓚様が援軍に駆けつけて下さいました!」
「白蓮ちゃんが!?よかった〜これで戦ってる愛紗ちゃんと鈴々ちゃんの救援に行けるよ〜!」
「はい、これで戦局を変えることができましゅ!・・・うぅ〜また噛んでしまいました。」
「こちらに駆け足で向かって駆け足で向かっておられますがいかがなさいますか?」
「あ、ええと」
「着き次第ここに通して下さい。」
「あ、うん。そうして下さい。」
「はっ!」
バタバタ
「それでは桃香様、私は雛里ちゃんと話し合いをしてくるので失礼しましゅ!」
そう言うと朱里ちゃんは天幕を出て行った。
「・・・白蓮ちゃん、久しぶりに会うな〜」
出会いの時は刻々と迫っている。
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こんにちはこんばんはアリアです!
お久しぶりです。最近違うことにはまってしまい違うことをしていましたが
また不定期でありますが書こうかなと思ったので今回書きました!
短いですが今回はここまでまた次回お会いしましょうそれでは、再見!
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皆さんのおかげで16話目です!
支援、コメント、読んでくださったみなさんに感謝です!