金髪の青い瞳を持つ魔女。
それがテンメイの特徴だった。
姿形は黒い巫女という表現が似合う。
このテンメイは別宇宙のテンメイであり、天明であったテンメイとは縁もゆかりもないのだが、それは事象上の出来事でしかない。
ドッペルゲンガーとは確実に違うテンメイがこの宇宙にはいると信じていた。
テンメイとテンメイ。
差別化されるのは”黒い巫女”というところである。
そして魔女とは本来宇宙をも超える事が出来るのであるから、幻想郷の大結界を超えるのも容易かった。
安神郷に”ようやく”着いたテンメイはその黒い巫女装束を微動だにさせず飛ぶ。
安神郷の住民は徒歩での移動手段であり、何となくその飛ぶ姿は不穏を当たりに振りまいた。
ソラネはいち早くその姿を見つけると、浮き上がってその姿を追う。
「あなたは何をしに来たのですか?」
「私はテンメイを探しに来た。」
「それだけですか? ならば弾幕勝負です。」
ソラネとテンメイ。二人は弾幕ごっこをやっている。
「無駄な事を。この安神郷で私に弾幕勝負で勝てるわけがないのです。」
決着はついた。ソラネはテンメイをボコボコにすると再び話をし出す。
「テンメイなら、私の家にいますが、無条件で渡すわけにはいかないのです。
少しは聞き分けますか?」
「なら、会うだけなら良いわよね。」
「良いですが、変な考えは起こさない事です。」
「早くして。」
ソラネはテンメイをテンメイのいる家に連れて行く。
テンメイは家に上がると、すぐにテンメイを見つけ、
「あなたを感じていたの。その顔、テンメイに違いないわ。」
「誰だろう?」
「さぁ、本人に聞いて下さい。」
「テンメイよ。あなたの名前と同じ。」
「え?」
「さあ、行きましょう。幻想郷(らくえん)に。」
手を差し伸べるテンメイに困惑するテンメイ。
今更だが、二人のテンメイの容姿ははっきり違った。
別宇宙のテンメイは金髪碧眼の外国人である。外世界のテンメイは黒髪黒目のはっきりした日本人である。
その差異は異質なるものの融合であり、なんとなくソラネの目には映えた。
ソラネには引っ張られて行くテンメイと引っ張っていくテンメイ。どちらも止める事が出来なかった。
二人のテンメイは後で、龍神様の逆鱗に触れたことを彼女は知らない。
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死んでしまったソラネは暇をしている。
龍神様の元では満ち足りた生活だけがあり、矛盾すらない。
そういった天国にソラネは住んでいる。
その天国の名前は”安神郷”。
今代の龍神様の支配する郷だ。