No.969181

スマブラ Abandon World 35「古きもの」

Nobuさん

さて、レトロ組のターン。
私の設定ではMr.ゲーム&ウォッチは♂で、ロボットは♀です。

2018-10-03 18:11:16 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:777   閲覧ユーザー数:777

「はぁっ!」

「ウォッチさん、ボクが後方から援護しますよ!」

「オレ達も忘れるなよ!」

「いっくよー!」

 黒い髪の青年と白い髪の女性、そして茶髪の少年と紫の髪の子供が魔物と戦っていた。

 実は、これはウォッチ、ロボットことリィン、ダックとハントが擬人化したものだ。

 元々の世界とは法則が異なっても、この擬人化の秘術は使えるようだ。

「ひゃっ! 溶解液が飛んできました。人間の姿になってよかったですね」

「あれは金属を溶かしますからね」

 ハントがどこかを向いて誰かに何か言うと、突然ブロブ達が一斉に弾け飛んだ。

 これは、ハントが見えないガンマンを呼び出して彼に射撃させてもらったからだ。

「おお、やるじゃないですか」

「へっ、それほどでもねぇよ」

「ダックさん、ハントさん、後ろ!」

 リィンがダックとハントの背後にいたゾンビの頭を拳銃で撃つ。

「倒れました……」

「ゾンビは頭を撃つのが有効らしいですよ」

「よ~し、オレに任せとけ! ダック!」

「うん!」

 ダックとハントが犬と鴨の姿に戻った後、ゾンビの上に登って頭を掴む。

「ばうばう!」

「行きますよ、ウォッチさん!」

「はい!」

「スタンブレイカー!」

「ヘッドショット!」

 ウォッチの棒とリィンの銃弾が、ゾンビの頭部を捉え、正確に貫いた。

 ゾンビは頭から血を噴き出した後、バタバタと倒れていった。

 

「これで全部ですね?」

「はい、私が確認した限りでは。っと!」

 敵が全滅したのを確認したウォッチは、元の平面姿に戻った。

 リィンも辺りを見渡して頷くと、ロボットの姿に戻った。

「ヤハリ、コチラノスガタノホウガオチツキマスネ」

「コノスガタデタタカウコトガオオイデスカラネ。

 デモウォッチサン、ニンゲンノトキデモボウジュツガウマカッタデスヨ」

「リィンサンモカレイナジュウサバキデシタネ~」

「ばうばうっ、ばう~ばう~?」

 仲の良いウォッチとリィンをからかうように鳴くハント。

「ハ、ハントサン、ナニボクタチヲカラカッテイルンデスカ。ベツニ、ボクタチハツキアッテナンテ……」

 あたふたするリィンだが、彼女の熱はかなり高まっていた。

 実はウォッチとリィンは、亜空軍異変以降、恋人同士になっている。

 どちらも生物学的には無性別だが、ウォッチは男性精神、リィンは女性精神を持つ。

「ワタシモ、リィンサンノコトハスキデスヨ?」

「ばう!」

「ジョセイヲマモルノハ、ダンセイノヤクメデスカラネ」

「くぅ~ん」

 ハントは今はもう古い考えだろ、と呆れる。

 その後、ウォッチの生まれの古さから「まぁ当然だよな」と嘲笑した。

「イッタイ、ココハドコナンデショウカ?」

 ウォッチとリィンは、きょろきょろと辺りを見渡していた。

 しかし、自分達と死体以外には何もなく、大地は毒々しく汚れており空は灰色で太陽が全く見えない。

 この世界は、既に死んでいる事は一目瞭然だった。

「イノチノケハイガ、カンジラレマセンネ」

「ばう?」

「ナニモカモガシンデイル、トイウイミデス。イキモノモ、キカイモ、ソシテシゼンモ」

 リィンはどこか憂いを秘めた瞳で、灰色の空をじっと見つめていた。

 

「マズハ、ココカラデルホウホウヲサガシマショウ」

「ばうばうばう!」

「ワカリマシタ」

 ウォッチ、リィン、ダックハントが歩いていると、怪我をしている男性と遭遇した。

「う、うぅ……」

「ドウシマシタカ?」

「ゾンビに襲われたんだ……。応急手当してくれないか……」

「チョットマッテクダサイ」

 そう言ってウォッチは男性の前に立ち、グリーンハウス型傷薬を取り出す。

 それを患部に噴出し、包帯を巻いて応急手当は完了した。

「コレデ、ダイジョウブデスネ。オキヲツケテ」

「ああ、ありがとう」

 男性は二人と一匹と一羽にお礼を言った後、どこかに去っていった。

 

「コウヤッテコマッテイルヒトヲタスケルト、キモチガヨクナリマスネ」

「ばうばう」

「サテ、トリアエズミナサンヲサガシマショウカ。ドコニイルノカハ、ワカリマセンガ……」

 それでも、いつかは見つかるかもしれない。

 その淡い希望を抱きながら、二人と一匹と一羽は仲間を探しに行くのだった。

 

 その頃、ウォッチに助けてもらった男性は……。

「今日は、これだけ物資が見つかったな。早くみんなのところに運ばなければ……」

 自分がこの世界で手に入れた物資を、仲間達に運ぼうとしていた。

 彼もまた、この世界で生きるサバイバーの一人だ。

 戦う力は持っていないものの、「生きる」という意思は強い。

「ここなら安全かな。……うん、敵は見えない。よし、ここで飛び出そう!」

 そう言って、男性が飛び出した瞬間。

 

「な……うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 彼に、大量のグールが襲い掛かってきた。

 

「ウ~ン、ナカマハミツカリマセンネェ……」

「コンナヒロイバショデ、ミツカルホウガメズラシイトオモイマスヨ」

「くぅ~ん……」

 いくら歩いても仲間が見つからない事に、ウォッチ、リィン、ダックハントは嘆いていた。

 死体や死骸は見つかれど、生存者は見つからず。

 二人と一匹と一羽がとぼとぼと歩いていると、

「ばう! ばうばう!」

 突然、ハントが何かの匂いを嗅いで立ち止まった。

「ナニカミツケタンデスカ?」

「ばうっ!」

「コッチニキテホシインデスネ?」

「あうーん!」

 犬は嗅覚が人を遥かに上回る。

 ウォッチとリィンはそれを信じて、ダックとハントについていった。

 

「コ、コレハショクリョウジャナイデスカ!」

「ばう?」

 ダックハントについていった先にあったのは、たくさんの食糧と、毛布だった。

 物資を見つけたハントは胸を張るように鳴く。

「チラバッテイマスガ、チャントマトメレバモンダイハナイデショウ」

 ウォッチはどこかから袋を取り出し、物資を集めてその中に入れた。

「ソレニシテモ、イッタイドウシテコンナバショニショクリョウガオチテイタノデショウカ」

「ワタシニハワカリマセンガ……マ、ラッキーデシタネ!」

「あうーーーーーん!」

「サアミナサン、ボクニツイテイッテクダサイ!」

 いつの間にリーダーになったんだ、と思いつつ、

 ウォッチとダックハントはリィンを先頭に歩き出すのだった。

 その頃、ラストホープでは。

「……」

「……」

 アスティマが、生存者の声を聞くために精神集中をしていた。

 今、彼女は真剣な表情をしていて、誰も話しかけていない。

 

―ワ、ゾンビノタイグンデスヨ!

―ボクガヒトニナリマス!

―ばうばう、ばうばう!

―皆さんはボクが守ります、だから安心して……。

―グリーンハウス!

―ばうーーーーっ!

 

「……男性的な声と女性的な声、そして犬の鳴き声がしました」

「犬……」

 それを聞いて連想するのはダックハント。

 何故かアイスクライマーをライバル視している、犬と鴨が組んだスマブラメンバーだ。

「う~ん、あいつはちょっと苦手だけど、同じスマブラメンバーだし助けないわけにはいかないぜ」

「その人達はどこにいるの?」

「七時の方向から声が聞こえてきましたので、そちらにいると思います」

「それじゃあ、行ってきまー……」

「おっと、まずは準備してからだ」

 先に行こうとするカービィの手を、マリオはしっかりと掴んだ。

 

「気を取り直して、それじゃあ、行ってきま~す!」

 そして準備を終えたスマブラ四天王は、

 アスティマの方を向いて挨拶し、ダックハント達の救出に向かっていった。


 
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