「虚しい・・・。」
「虚しいねぇ・・・。」
変陽と空寝は三人に相次いで突破された戦場を見て、虚しくなってきたらしい。
いつもは空中を飛んでいるのに、地上に降りてしょんぼりしていた。
ふと、空寝が変陽に言う。
「変陽の指示するこのフォーメーションが悪いんじゃないか?」
「空寝のそういう所、嫌いだよ。」
その時から、次第に対立するようになっていった。
「そこの妖精さん、我軍に入る気はない?」
変陽は再び軍隊を集め始めたが、
「お前達は無能だから私の軍にはいらない。」
空寝はそれとは反対に無能と判定した者を切り捨て始めた。
しばらくして、変陽が幻想郷の天派につくと宣言する。
対して空寝は明確に界面湖派につくと宣言する。
「私とあなたとじゃあ、相容れないらしいね。」
変陽が言う。
「そうだろう。ここでお別れだ。我が友人、変陽。それで静玉はどうする?私側につくか??」
空寝が言う。
「どちらにも付かない。」
プイッと静玉がそっぽを向く。
「え?」「え?」
変陽・空寝二人が妙な声を上げる。
どうやらどちらかに付くと予想していたようだ。
号外、号外。神様・・特に龍神様が”小戦争”を審判なさるらしい。
その天狗、射命丸文は叫ぶ。
彼女は新聞とは別に、声に出して言わざるを得ない何かがあった。
何かというとこんな興奮は今までになかったからだ。
水源郷は今小戦争へ向け、準備を着々と進めている。
戦争前の熱量とでも言うのか、そういったものが彼女を動かしていた。
その号外を霊夢が手に取った。
丁度、水源郷に用事があった霊夢だが、こんな所で彼女と会うとは思わなかった。
「文、文! これは本当なの!?」
本当ですよ。
端的に返答があって、巫女は再び新聞に目を奪われる。
見出しには「あめのひつくのかみ様、幼夢 澪にインタビュー!
龍神様とともに”小戦争”の審判を務める!?」
とおもしろおかしく記事が書かれていた。
二面目にはこう書かれていた。
「小戦争の対決は新参妖怪・変陽と同じく新参の空寝。
幻想郷の天派と界面湖派!! 水源郷対決・変陽VS空寝」
「変陽と空寝!?」
ついこの間聞いた名前が出ていたためか、霊夢はびっくりした。
依姫は地上を知る上での参考資料として、天狗の号外なるものを見ている。
それには豊姫も一緒にである。
いつものように、手に入れた天狗の新聞を見ていた依姫は・・・
「姉様、”幻想郷の天(そら)”とありますが、幻想郷は八意様の住む場所と知っていますが、天(そら)とは何ですか?」
豊姫は依姫よりも参考資料を読み漁っているようで、すぐに答えを出した。
「”幻想郷の天”というのは、幻想郷の上にあるものを十把一絡(じゅっぱひとから)げにまとめた言い方みたいね。」
「では、今回の”小戦争”とやら何故か、月の都も含まれるのではないですか。」
「そうみたい。」
「空寝が幻想郷の天の大がかりな工事にけちをつけたらしいですね。ここで言う幻想郷の天は”龍神様の住まう場所”だと書かれていますが、そもそも”龍神様”とは何ですか?」
依姫がさらに天狗の新聞から引用して、質問する。
「・・・有名な方だと、”龍神様”と言えば、幻想郷を創った方なのだろうけれど。その”龍神様”は天国の”龍神様”みたいね。」
「急かすようで申し訳ないのですが、一体どんな方なのですか?」
「汚れなき冥府に住まう方、確か番号で九と〇(ぜろ)。つまり、”九〇龍神様”で先程の方とまとめられていたと思うわ。」
「つまりは、幻想郷の九〇龍神様は二人おられるのですか?」
依姫が要約する。
「違うけれど、四人よ。”龍神様”は本来”4つ”と呼ぶらしいけれど。」
「その内の1つの方がその工事を命令なさっていると。」
「まあ、ちょっと込み入った話だけれど、こんなものね? 依姫、分かった?」
「分かりました。ちなみにその方の名前は?」
「”ましも”と呼ぶらしいわ。」
「”ましも”様と。大体分かりましたありがとうございます。」
こうして綿月姉妹の話し合いは終わった。
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幻想郷の東方。
そこにある草原郷が龍神様によって水没させられてしまった。
その水没した辺りを水源郷と賢者は定めた。
その水没して出来た海のような湖を界面湖と言う。
その界面湖と水源郷を巡る話。