No.966480

東方天変陽 第六話・東方前日談 ~ Before a day stories.

幻想郷の東方。
そこにある草原郷が龍神様によって水没させられてしまった。
その水没した辺りを水源郷と賢者は定めた。
その水没して出来た海のような湖を界面湖と言う。
その界面湖と水源郷を巡る話。

2018-09-08 11:01:51 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:902   閲覧ユーザー数:902

「虚しい・・・。」

 

「虚しいねぇ・・・。」

 

変陽と空寝は三人に相次いで突破された戦場を見て、虚しくなってきたらしい。

いつもは空中を飛んでいるのに、地上に降りてしょんぼりしていた。

 

ふと、空寝が変陽に言う。

「変陽の指示するこのフォーメーションが悪いんじゃないか?」

 

「空寝のそういう所、嫌いだよ。」

 

その時から、次第に対立するようになっていった。

 

 

 

「そこの妖精さん、我軍に入る気はない?」

変陽は再び軍隊を集め始めたが、

 

「お前達は無能だから私の軍にはいらない。」

空寝はそれとは反対に無能と判定した者を切り捨て始めた。

 

 

 

しばらくして、変陽が幻想郷の天派につくと宣言する。

対して空寝は明確に界面湖派につくと宣言する。

 

「私とあなたとじゃあ、相容れないらしいね。」

変陽が言う。

 

「そうだろう。ここでお別れだ。我が友人、変陽。それで静玉はどうする?私側につくか??」

空寝が言う。

 

「どちらにも付かない。」

プイッと静玉がそっぽを向く。

 

「え?」「え?」

変陽・空寝二人が妙な声を上げる。

どうやらどちらかに付くと予想していたようだ。

号外、号外。神様・・特に龍神様が”小戦争”を審判なさるらしい。

 

その天狗、射命丸文は叫ぶ。

彼女は新聞とは別に、声に出して言わざるを得ない何かがあった。

何かというとこんな興奮は今までになかったからだ。

水源郷は今小戦争へ向け、準備を着々と進めている。

戦争前の熱量とでも言うのか、そういったものが彼女を動かしていた。

 

その号外を霊夢が手に取った。

丁度、水源郷に用事があった霊夢だが、こんな所で彼女と会うとは思わなかった。

 

「文、文! これは本当なの!?」

 

本当ですよ。

 

端的に返答があって、巫女は再び新聞に目を奪われる。

見出しには「あめのひつくのかみ様、幼夢 澪にインタビュー!

龍神様とともに”小戦争”の審判を務める!?」

とおもしろおかしく記事が書かれていた。

 

二面目にはこう書かれていた。

「小戦争の対決は新参妖怪・変陽と同じく新参の空寝。

幻想郷の天派と界面湖派!! 水源郷対決・変陽VS空寝」

 

「変陽と空寝!?」

 

ついこの間聞いた名前が出ていたためか、霊夢はびっくりした。

依姫は地上を知る上での参考資料として、天狗の号外なるものを見ている。

それには豊姫も一緒にである。

いつものように、手に入れた天狗の新聞を見ていた依姫は・・・

 

「姉様、”幻想郷の天(そら)”とありますが、幻想郷は八意様の住む場所と知っていますが、天(そら)とは何ですか?」

 

豊姫は依姫よりも参考資料を読み漁っているようで、すぐに答えを出した。

 

「”幻想郷の天”というのは、幻想郷の上にあるものを十把一絡(じゅっぱひとから)げにまとめた言い方みたいね。」

 

「では、今回の”小戦争”とやら何故か、月の都も含まれるのではないですか。」

 

「そうみたい。」

 

「空寝が幻想郷の天の大がかりな工事にけちをつけたらしいですね。ここで言う幻想郷の天は”龍神様の住まう場所”だと書かれていますが、そもそも”龍神様”とは何ですか?」

依姫がさらに天狗の新聞から引用して、質問する。

 

「・・・有名な方だと、”龍神様”と言えば、幻想郷を創った方なのだろうけれど。その”龍神様”は天国の”龍神様”みたいね。」

 

「急かすようで申し訳ないのですが、一体どんな方なのですか?」

 

「汚れなき冥府に住まう方、確か番号で九と〇(ぜろ)。つまり、”九〇龍神様”で先程の方とまとめられていたと思うわ。」

 

「つまりは、幻想郷の九〇龍神様は二人おられるのですか?」

依姫が要約する。

 

「違うけれど、四人よ。”龍神様”は本来”4つ”と呼ぶらしいけれど。」

 

「その内の1つの方がその工事を命令なさっていると。」

 

「まあ、ちょっと込み入った話だけれど、こんなものね? 依姫、分かった?」

 

「分かりました。ちなみにその方の名前は?」

 

「”ましも”と呼ぶらしいわ。」

 

「”ましも”様と。大体分かりましたありがとうございます。」

 

こうして綿月姉妹の話し合いは終わった。


 
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