No.952515

ビーストテイマー・ナタ26

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第26話です。

登録タグはありません

2018-05-15 06:22:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:126   閲覧ユーザー数:126

その刹那、ナタの指先から光の弓が現れて、光の矢を放ちます。光の矢はゲイザーの胸に命中しました。ゲイザーの剣はナタの目の前でピタリと寸止めされて、その場に膝をつきました。ゲイザーは苦しそうに俯いて胸を手で押さえています。

 

「ナターシャ様、ご機嫌麗しゅうございます」

 

ゲイザーはナタの手の甲に口付けをしました。近衛騎士が側近の姫君に忠誠を誓う際に行う儀式と似ています。

 

「な、何をしておる!わしの言うことを聞けんのか?」

 

ゲイザーはクルリと向きを変えると、オズワルドに向かって剣を構えました。

 

「やったぁー。チャーミングの魔法、大成功!おじさん、悪い魔術師をやっつけちゃって?」

 

オズワルドが呪いの魔法を詠唱すると、ゲイザーは悶え苦しみ始めて、剣を床に落としてしまいました。

 

「アーク!ゲイザーを殺せ。わしに逆らった罰だ」

 

「承知しました。オズワルド様」

 

鎧の天使が槍を構えました。床に転がるゲイザーの身体に槍を振り下ろそうとした瞬間、フラウの爪が槍を払い退けます。

 

「ゲイザー様は殺させないわ!」

 

「困りましたね。ご婦人には手が出せない…」

 

「いい加減にしろ!お前もこうだ?」

 

呪いの魔法でアークも床に倒れて、悶え苦しみ始めます。オズワルドが高笑いしていると、フラウがオズワルドの背後に回って首を締め上げました。

 

「あなただけは許さない!」

 

鈍い音がしてオズワルドは床に倒れました。ゲイザーとアークはカードに戻って、絨毯の上に二枚のカードが落ちました。

 

「おお、神よ…。悪人を裁く為に私は生まれて初めて自らの手を汚しました。どうかお許しください」

 

フラウは十字架を宙に描いてから、祈りを捧げました。ナタは机の上に置いてあった宝石箱の中のジョルジュとルーシーのカードを確認してから、床に落ちているゲイザーとアークのカードも中にしまって、持ち帰りました。

 

…つづく


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択