No.951992

ビーストテイマー・ナタ6

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第6話です。

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2018-05-11 05:36:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:114   閲覧ユーザー数:113

ゲイザーがスライムを薙ぎ払っても薙ぎ払っても、新たなスライムを召喚されて、ビーストテイマーには近付く事すら出来ません。

 

「卑怯者!スライムの後ろに隠れてないで前に出て来い!」

 

「魔導師は戦いで前には出ないものですよ?脳筋の剣士とは戦い方が違うのです…」

 

「なぜ村を襲った?お前も人間だろう?」

 

「ふふ、私にも依頼人がいるのです。野菜の値段が高騰すると得をする者もいますからね…」

 

「まさか依頼人は八百屋か?しかし八百屋にこれだけの手練れを雇う金などあるだろうか…」

 

「考え方の底が浅い…。これだから脳筋は話にもならない」

 

「どうせ私も殺すのだろう?冥土の土産に教えてくれ…。依頼人は誰なんだ?」

 

「ではヒントをあげましょう…。野菜が高くなると誰が困りますか?」

 

「家庭の台所を預かる主婦か、レストランのシェフのどちらかだろうか…」

 

「レストランのシェフは近いですな」

 

「シェフが近い…宮廷料理人か!まさか国王への復讐が目的か?」

 

「ご名答…。剣士にしては、なかなか頭が切れるじゃありませんか?」

 

「しかし国王なら金には困っていないはず…」

 

「ええ、そうでしょうね。でも食費は毎日の事です。それが何倍にも膨れ上がったら、どうなりますか?」

 

「国民の支払う税金が上がると言うわけか…」

 

「剣士の割には教養が高くて驚いてますよ?」

 

「私は没落貴族の家庭で育ったのでね。子供の頃に家庭教師から教育は受けているんだ」

 

「なるほど、ではそろそろお喋りは終わりにして、死んでもらいましょうか?」

 

「ナターシャ!ジョルジュを召喚しろ!」

 

鋭い牙の魔物が現れてスライムを蹴散らしました。ローブの男は怯む事もなく、湿地帯の奥で薄ら笑いを浮かべています。ジョルジュは泥に足を取られてもがき始めました。

 

「私がなぜここを根城にしているか、おわかりになりますか?」

 

「地形が有利だからか…。ズル賢い奴だ」

 

「私には勝てませんよ?そんな子供のビーストテイマーにはね」

 

泥で動けないジョルジュに、スライムが執拗に攻撃を仕掛けます。ジョルジュはなす術なく、一方的にいたぶられて血まみれになりました。

 

「ジョルジュ!このままだとジョルジュが死んじゃうよ…」

 

「ジョルジュを封印しろ!私だけで戦う」

 

ナタはジョルジュをカードに封印して安全な場所に身を隠しました。ゲイザーは細い板の上を進み、邪魔をするスライムを何度も薙ぎ払います。小さいのでコアを破壊するのは簡単でしたが、すぐまた新しいスライムが湧いて出ます。

 

「無駄だ!スライムは私がいる限り何度でも蘇る。それ以上、私には近付けまい?」

 

その時です。ゲイザーは隠し持っていたナイフを投げて、ローブの男の胸に命中しました。周りにいたスライムは一斉に崩れ落ちます。

 

「バカな…。ナイフ投げだと?」

 

「奥の手と言うのは最後まで取って置くものだよ?私は傭兵仲間からはナイフ投げの達人と呼ばれている」

 

…つづく


 
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