カルンに肩を貸されながら、団長は城に帰還した。仁王立ちするユーリカ姫が、目の前に現れる。
「団長!その怪我はどうしたの?カルンと一緒だったみたいだけど…」
「大したことはありませんよ?姫様の心配には及びません」
「鎧が血まみれじゃない?大丈夫なわけないでしょ!一体、何があったのよ…」
「団長さんは悪くないんだ。私が無理なお願いしたから…」
「どう言うこと…?ちゃんと説明しなさい!」
「とにかく、団長さんはさっきまで大変な状態だったから、ゆっくり休ませてあげて…」
「カルン殿は大袈裟ですな。わたしはもう本当になんともありませんから」
「カルン!団長に何があったのか話しなさい」
「ごめん…、姫にも言えないんだ。カイトとの約束だから」
「カイト?誰よ、それ…」
「おや、カイト殿とはあの可愛らしい妖精の名前ですか?まるで男性の名前のようですが…」
「団長さんは私とラミエの為に花を摘みに行ってくれたの」
「そう…、良いことをしたなら別にわたしに隠さなくてもいいじゃない?」
「隠してなどいませんよ?姫様は今日随分とご機嫌斜めですな」
「あなたはわたしの騎士なのよ?所有物なの!勝手に怪我なんかしたら許さないんだから…」
ユーリカ姫は踵を返して自室に行くと、天蓋付きのベッドに倒れ込むように寝そべった。
「ああ、もう!なんでこんなにイライラするのよ…。団長のことだから、どうせまたカルンに鼻の下伸ばして、お節介を焼いたに決まってるわ」
抱き枕を団長に見立てて、何度も殴ると少しスッキリした。その頃、カルンは城の救護室まで団長を連れて行き、献身的に介抱していた。血まみれになっている団長の顔を、濡れタオルで丁寧に拭う。
「結局、花は手に入りませんでしたな。次は万全を期して挑みます」
「もう花のことは諦めるから良いよ。早く怪我を治すことだけ考えて…」
「頭から血は出ていますが、どこも痛くはありませんよ?」
「私はラミエに何かあったら、すごくツラい。姫にとっては団長がそう言う存在だから。姫が怒ってる理由、私にはわかるよ」
「複雑な女心はわたしにはわかりかねます…」
「あの時、団長が本当に死んでしまったら、姫がどうなるか考えたの…。きっと泣き喚いて、みんなに八つ当たりしてたと思うわ」
「カイト殿の言っていた世界樹の力と言うのは一体…」
「シッ!それは絶対、誰にも言っちゃダメよ?カイトが妖精の国の掟を破ったことバレたら、大変なことになるから…」
「よくわかりませんが、カイト殿にわたしは感謝しなければならないようですな。わたしが助かったのはカイト殿のおかげと言うことでしょうか?」
「ああ、カイトには感謝してもしきれないよ」
to be continued
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片翼の姉妹の二次創作ストーリー、第2話です。