恋姫†無双 真・北郷√05
大選別 その二
/猪々子視点
「あ~、アタイの存在って何なんだろ……」
アタイは今、城の書庫で、自分でも似合わないと思う兵法の勉強をしている。大選別の期限は七日、北郷軍全体軍議から六日が過ぎ、あと一日を残すのみ。
その間、全く仕事はさせてもらえねーし、ひまひまぁ~。手合わせの相手も、いないし。愛紗と恋は兵の調練、斗詩は警邏、アニキと麗羽様と桂花は問題外っと。
気は進まないけど、何かしないことには耐え切れそうにないなぁ。
アタイが自覚している数少ない長所、『状況を見て動ける力』を伸ばそうと、陣形の特徴や、対処法と、アニキが言ってた罠対策を重点的に努力だぜ。
アタイには今、武勇しかないけど最初から諦めちゃ駄目なんだ! もっと勉強してアニキに認めてもらうんだ! 負けるもんか!
苦手な兵法の勉強もばっちりして、書庫を出ると城下町が賑わってる。行きかう人たちと警邏隊が、和やかに談笑なんかしてる……。
「……麗羽様と、斗詩のほうは、うまくいってんだなー」
最近、治安が明らかに良くなってる。店の物を権力を使って勝手に持っていくような馬鹿なことをする武官はもういなくなったし、ひったくりや喧嘩なども少なくなってる。
アニキのやることは正しいから、きっとこうなるのは当たり前! でも……。
アタイもなにか手伝いたい。そんな焦燥の中でアタイは目的地にたどり着く。今日も陣形の勉強をしようと南皮の調練場を見渡せる場所へ。
ここで愛紗の新しい訓練法と、陣形訓練が繰り返されている。
軍議室でアタイが感情的になって取り乱しちまったあの日から、なんとなく皆にも話し掛け辛いし、挨拶はするものの、アタイの方から避けちまう始末。
斗詩も、麗羽様も、空が明るいうちは警邏隊の訓練、暗くなれば書類整理と、ほとんど話し掛けれねーし……。
よく空気が読めね~奴。って、言われんけど、今の時期が北郷軍にとって、どんなに大切かはアタイだってわかってるさ!
アニキだって、桂花や、比較的新しい文官達と執務室に篭りっきりで仕事して、たまに外に出ても、愛紗の新しい兵の調練や、恋の親衛隊の強化訓練などの視察。更に、麗羽様と斗詩を引き連れて、町並みの確認や、警邏隊への訓示など凄く忙しそう。
ホント、みんな、わき目も振らず一生懸命だ……。
「でも……。アタイは、な~にしてんだろー……」
……
調練場の真ん中で、激しい罵倒と共に兵達の調練をしている愛紗を眺める。
……
「貴様らは、この私の言うことが聞こえるか! この、うじむしどもっ!」
「「「「「「……さーいえっさー!」」」」」」
「聞こえんっ! もっと大きな声でっ!」
「「「「「「さーいえっさー!」」」」」
「もっとっ!」
「「「「「「さーいえっさーっ!」」」」」
「いいか、貴様らは本来うじむし以下のくそむしだ! だが感謝しろ! 特別に! かろうじて、うじむし扱いをしてやる! どうだ! 嬉しいか?」
「「「「「「さーいえっさー!」」」」」
「っふざけるなぁ! もっとはっきり返事をしろっ! 認めてやった途端、努力を忘れる向上心の無い無価値なうじむしどもは、寝る前にくそをたれることさえ許さんっ! わかったか! くそむしどもめ!」
「「「「「「さー! いえっさーっ!!」」」」」
「よし! 良い返事だ! では訓練を始めるっ! 今の感じを忘れるな! うじむしどもっ!」
「「「「「「さー! いえっさーっ!!」」」」」
「……横陣!」
ザザザッザ
「遅いぞ! そんなことで生き残れるかぁ! 貴様らの遅れが、隣の仲間を殺す! 仲間を殺す邪魔なうじむしは、糞の中に逃げ帰って泣き喚いていろ! それが嫌なら、貴様らの底力を見せよ!」
「「「「「「さー! いえっさーっ!!」」」」」
「もう一度ぉ! ……っ横陣!」
ザザッ
「つぎぃ! 鶴翼の陣!」
ザッ
………
「うはー。愛紗って、声がすごいデケーな。周りの空気が震えてんぜ! それにしてもウチの連中が無駄口ひとつきけないなんて……。あれが、アニキの考案した訓練法なのかなぁ?」
その統率力を見て、愛紗とアニキを尊敬する。
「……あれじゃ、アタイの出番は無さそうだなぁ……」
アタイの力不足を再認識しちまう……。
気が付くと、すぐ近くに人の気配……ガラにもなく落ち込んでたからなー。奴が、目の前に現れるまで気付けなかったぜ。
「文醜将軍。このところ、お顔が優れませんな?」
奴が話しかけてくる。いつも麗羽様におべんちゃらを使ってた、いけ好かない奴だ。
「悪かったなー。ご期待にそえる顔じゃなくて。どうせアタイはブスだよ!」
今は話しかけられたくないんだ、ほっといてくれ。
「いえいえ、文醜将軍はいつもお美しい。お元気が無いと申し上げているんですよ?」
空気読まない奴だな……ぶっ飛ばしてやろうか? って、いけねぇ……そんなことしたら、アニキに迷惑がかかる! 役に立たなくても、迷惑だけはかけないようにしないと……。
ったく、しょうがねえなぁ。話を聞いてやるか……。
「何の用だよ? アタイにゃ、てめーと話すことは、なーんも無いぜ?」
相手の前置きが、長くなりそうなのを牽制する。アタイは腹の探り合いが嫌いなんだ。はっきり言えと。
「おお、怖い。……文醜将軍。我々も、最近、仕事がもらえず、困り果てているのですよ。三日目くらいまでは、のんびりできて良いなどと思っておったのですが……。こう長く続くと少々不安になってまいりましてね?」
「……」
けっ。何言ってやがんだ。アタイは、一日だってこんな状態、嫌で嫌で堪らないんだ。アニキが信じろ! って、そう言った気がするから我慢してるだけだ! 貴様らと一緒にされるのは不愉快だぜと睨み付けてやる。
「そうでしょうとも、そうでしょうとも。不満に思うのは当然ですな!」
うんうんと、一人で話し続ける。てめえの不満は仕事干された事だろ? アタイはアニキの役に立てない歯がゆさだっての。ち、いい加減うざくなったな……。
「言いたいことはそれだけか?」
そう言って、アタイが立ち去ろうとすると。
「お待ちくだされ、文醜将軍! 新しい君主様は、下々の意見を聞いてくださると聞いています。それで皆で民の意見を取りまとめ、君主様に嘆願しようと……。その橋渡しをお願いしたいのですが……」
お! こいつらもやっと真面目に仕事する気になったか? 遅すぎるくれぇだけど。でも、なんでアタイなんだ?
「そっか。でも、なんでアタイなんだよ? わかるように説明してくれ」
「おお! 話を聞いて頂けますか!」
ふむ?
「君主様は手狭な政務室に篭りきりな為、我ら全員でぞろぞろと直接にはお会いにいけませんし、筆頭軍師様は近寄らせてもくれません。袁紹様を始めとした皆様は大変お忙しそうで相手にもしてくれません。文醜将軍は、軍議の時から我々と同じく仕事が無いご様子」
「なに~?」
「!? いえいえ、ここ最近、失礼とは思いましたが、我々も同じ境遇ゆえ、心配もいたしまして……。先程声をお掛けした次第でございます。我々も心を入れ替えて全員で嘆願しようと思っている為、他人に預けてお渡しするのも本末転倒。ここは是非、文醜将軍に君主様を軍議室にお呼び出し頂き、直接嘆願して、この仕事を我々に任せて頂く。と、共に、文醜将軍と君主様の仲直りの切欠になるのではないかと……」
ほっほー。少しは考えているじゃないか! アタイは嬉しくなってきたぜ! これもアニキの人徳って奴なのかな? 俺を信じろ。って、この事なんだなー。溝が出来ちまった古株の文官武官とアニキの仲を取り持つ役か! なんだよ~♪ アタイも役に立てるじゃんよ!
「わかったぜ! アタイに任しときな! 軍議室だな?」
「文醜将軍、感謝致します。既に全員揃っております。なるべく早く頼みますぞ?」
嬉しそうな顔で念を押される。
「わーってるって、じゃぁな!」
久しぶりにアニキの役に立てる気がして、アタイは相手が何人なのかも……。そして、誰なのかも確認しないまま、アニキを呼びに走り出した……。
……
「……ふんっ。馬鹿は扱い易くて助かる。城内に関羽と呂布が両方いないこの好機……。今日、この時を逃すわけにはいかぬ。フハハハ」
そう、最後に呟かれた声は猪々子の耳には届かなかった。
南皮場政務室
/一刀視点
「アニキー! えー、あー、ちょっと、いいかな?」
執務室で俺は、桂花、そして桂花が選りすぐった優秀な文官たちと一緒に、大陸統一の為の計画を進めていたが、扉の外から猪々子には似つかわしくない、遠慮がちな声が聞こえてきた。
「あぁ。猪々子、入って来いよ」
猪々子が頬を掻きながら、少し照れた顔で、扉を開けて入ってくる。
「あ~。丁度良く桂花もいるじゃねーか! なんかさ~、干されてた古株のおっさん達が民達の意見書を全員で嘆願したいって言ってんだけど。聞いてやってくんないかな?」
俺は、向かいに座る桂花と目を合わせて頷き。
「あんたねぇ……。御主人様は、お忙しいのよ? あんなやる気なしで穀潰しで無能で見るだけで吐き気のする、全身肥溜め馬鹿どもの相手をする暇は、一瞬たりとないわね! あんな奴ら、さっさと死ねばいいのにっ!」
凄まじい罵詈雑言が、桂花の口からすらすら出てくる……。
「でもさー。アタイにしか頼めないって泣き付かれちまってさ~。アタイの顔を立てると思ってさ? たのむよー。アニキー」
責任感が強い為か、なお食い下がる猪々子。
桂花は少し優しい声で。
「猪々子? あんたも、あんな馬鹿どもの言うことを、いちいち御主人様に直接持ってこなくてもいいでしょ? あんなのに関わっていたら、北郷軍の大事な将軍であるあんたが汚されるわ! あ~、おぞましい!」
余りに酷い扱いの彼等に、ほんの少し同情していると。
「~っ桂花にはわかんねぇんだよっ! アニキの役に立ちたいっていう、アタイら馬鹿の気持ちなんか! アタイ達だって、ほんの少しでも、ほんの少しでもいいから、アニキの為に役に立ちたいって思ってるんだ! 話し合う僅かな時間も割けないのかよ!」
猪々子が桂花に怒鳴りつけるが、桂花は一歩も引かない。大した胆力だと思う。
「猪々子、あんたねぇ……。冷静に」
「桂花」
「はい! 御主人様♪」
何か言いかけた桂花を止めると、猪々子の目を見つめて。
「猪々子、案内してくれるかい?」
笑顔で猪々子の顔を立てる為と了承する。
「く~っ! やっぱ、アニキはわかってくれると思ったぜ! えへへー♪ 桂花、お前は来なくてもいいぜ? 汚されるんだろ?」
猪々子は満面の笑みで、俺の右手を両手で包む。
「それじゃ、行こうぜっ! アニキ、もう皆集まってるんだ」
そのまま、手をつないで歩き出す。
「待ちなさいよ! 御主人様が行くなら、私も行くにきまってるじゃない! そんな当然なこともわからないの? この脳筋!」
そう言いながら俺の左手に手を重ねようとして、一瞬戻し、やはり重ねる桂花。その小さな手を握り返して猪々子に話しかける。
「えへへ♪(御主人様ぁ♪)」
「で、どこに向かってるんだ? やっぱり軍議室か?」
「そうだぜ。流石、アニキ。って、こっちには軍議室しかねーもんなー♪」
あたりまえかと、猪々子はにししと笑う。
だが、桂花はつまらなそうに、
「で、誰なのよ? わざわざあんな広いところで、執務室でいいじゃない!」
と、文句を言うが。
「ほらぁ。いつもの、あのいやーな奴だよ。ええと、名前は……何だっけ? アハハ」
猪々子は、ごまかすように笑うだけだった。
「少しも役に立たないじゃないの!」
桂花は、真っ赤になって怒り出すが、猪々子は気にせず進む。
……
軍議室前に着くも中は静まり返り、扉だけが開いていた。室内を覗くと、奥の円卓に三人ほど座っているのが見えた。
「おー、あんた。アニキを呼んで来たぜ! ところで、名前なんだっけ?」
猪々子は、真ん中の人物に話し掛けながら、俺と桂花をつれて軍議室へ入る。
三人は、俺の顔を確認すると立ち上がり、一礼して……。
「この度は、非礼にも御遣い様と筆頭軍師、荀彧様をお呼び出し……」
ギィ バタンッ
「……亡き者とさせていただきます」
扉が閉まる音の後、にやりと三人の男が笑うと、扉の横、入り口から見えない場所に、隠れていたと思われる武官らしき男が数十人、文官と思わしき男女が前方の三人と合わせて、五人、完全に囲まれた……。
……
/猪々子視点
「この度は、非礼にも御遣い様と筆頭軍師、荀彧様をお呼び出し……」
ギィ バタンッ
「……亡き者とさせていただきます」
閉じられた扉、囲みだす文官武官達……。女二人と、後は全員男か……。
「てめーらっ! なにしやがる!」
アタイは、腰に佩いた剣に手を掛けようとして、……無いことに気付く……。
「君主様が軍議用にお決めになったこの部屋は、外に音が聞こえにくいのでしたな?」
と、言いながら、奴がアタイのほうを見て口の端を鋭角にあげて笑う。
くー! 名前がわかんねーぜ! むかつく! とにかくむかつく!
「更に、袁紹様達はご不在。更に更に、この部屋は他から一際離れている……と」
勝ち誇る様に目を細めてやがる……。
「てめーら! アニキ達を殺してただで済むと思ってんのか? 呂布や関羽に皆殺しにされるぞ?」
アタイはアニキ達を背中にかばい、今にも飛び掛ってきそうな武官達を睨み付ける。
「フハハハハ! ハーッハッハッハッハッハ!」
大笑いをする奴に腹が立ち、力の限り怒鳴りつける。
「何がおかしい! 今頃気がついたのか? いまさら謝ってもおせーぞ!」
「無駄よ。きっと、こいつらは御主人様と私を殺して、最後に猪々子、あんたも殺すわ」
桂花が、奴らを見るのも嫌そうにアタイに話しかける。だから、愛紗や恋が黙ってないぞ。と、言おうとして、つぎの桂花の言葉で凍りついた。
「ご主人様と私を殺した罪を、あの軍議で御主人様に恨みを持ったあんたに被せて殺した後、自分達で下手人を処分しましたって筋書きでしょ……」
ちょっと待ってくれ! アタイは叫ぶ。
「アニキに恨みなんて持ってない!」
「そんなことわかってるわよ! あくまでも客観的に言ったまででしょう!」
桂花が答える。そっか、そう言われてみれば周りからそう思われても当然だ……。
出口を見るも既に机や椅子で塞がり、逃げ切るのは無理そうだ……。
「さすが、筆頭軍師殿ですが、詰めが甘いようで……。お二人の死体を隠した後、文醜将軍は我々が生け捕りして隠し、それを餌にして動揺する両将軍を誘き出し、隙を見て始末する手筈になっております」
フハハと、心底楽しそうに笑う文官武官達。
「ふん、あんたたちみたいな無能で無力で自意識過剰な脳筋に、戦う為に生まれた至高の存在である愛紗お姉さまや、超絶的に可愛らしい恋を殺せるもんですか!」
そう言いながら桂花がアタイと並んで、アニキを後ろにかばおうとしてるのがわかった。なんて度胸があるんだろう。奴らを睨み付ける隣の小さな桂花が、とても頼もしく思えた。
「くっ、しかし、君主と軍師は今ここで確実に殺せるな!」
今、アタイは武器を持ってない。まさか、こんなことになるなんて……。
アタイのせいで……。麗羽様の最後の希望が……。こんなやつらに!
「……おい、貴様。関羽と呂布を殺すと言ったか?」
さっきから全く動じていない事には驚いていたけど、絶体絶命だって言うのに……。
「……荀彧を殺すと言ったか?」
アニキはひどく落ち着いていて、気がつけば、ここに入って初めて相手に話しかけた。
/一刀視点
「……おい、貴様。関羽と呂布を殺すと言ったか? ……荀彧を殺すと言ったか?」
静かに問いかける。聞き間違いなど無いように……。
「ふふ、御遣い様も、文醜将軍も、だ。そうすれば後は、顔良将軍だけ。袁紹様も、これで目が覚めるでしょう。おとなしく我々の御輿に座っているだけで良いというのに……余計なことを!」
そう答える目の前の罪人に、最後の言葉を掛ける。
「それはここにいる全員の総意なのか? 俺を助けようとする者はいないのか?」
そう、最後の救いの手を……。
「さて、そろそろいいでしょうか。御遣い様? 私共も、これから忙しくなりますので。そろそろ天に還って頂きましょうか?」
……救いようの無い奴ら。そう桂花が小さな声でつぶやいた。
「~~~っ愛紗! 恋!」
部屋を震わすほどの声量で、愛しい名を叫べば、
ズガン!
天井から、激しい爆音と共に、義の刃と、
「関雲長。ここに!」
「……ごしゅじんさま……かかった?」
武の化身が現れる。
「どうした? 貴様らぁ! 全て、計画通りだろう? ……ご主人様のな!」
愛紗が謀反人達に、青龍偃月刀の刃を向ければ、
「……ごしゅじんさま、やっぱりすごい。……にゅー」(03話 拠点恋01参照)
と、ちび恋が如意棒を伸ばす。
スタッスタッ
麗羽と斗詩も、大穴の開いた天井から降りてくる。
「無様ですわね……」
「…………」
麗羽の冷たい視線によって恐縮する武官達。
「御遣い様。これで役者は全員揃いました」
「御遣い様の掌の上なのに、クスクス……。笑いを堪えるのが大変だった」
文官の内、一番奥にいた二人の女性、田豊と沮授がそう告げる。
「な! 田豊様、沮授様! これはい」
「ご苦労様」「「御意!」」
「った……い……」
謀反人達に紛れ込ませた二人にお礼を言い、首謀者の文官三人を睨み付ける。
------------------------------------------------------------------------------------------------
解説 田豊と沮授
恋姫しか知らない方は、初めてかもしれませんが、正史で袁紹を支えた、忠臣かつ優秀な幕僚。
やはり、この外史でも(自暴自棄になっていた頃の)袁紹に進言を聞いてもらえず、落胆していたらしい。
俺が君主になった時、二人して怒鳴り込んできたので、俺の理想を話した結果、忠義を誓ってくれた。今回のことも、より確実にことを進める為、内部から監視と誘導をしてもらっていた……。
みなさまへ この二人はイベントキャラです。オリキャラではありませんので期待しないでね! ちなみに、丁寧口調が田豊、素っ気無い口調なのが沮授。
------------------------------------------------------------------------------------------------
「……貴様達の財貨は、ひとつの例外も無く、これを全て没収した後、武官は生涯、屯田に従事させる。家族をその身一つで養うがいい……。首謀者である文官三名は、見せしめの為、全軍の前で罪状を読み上げた後、斬首とする……。なにか?」
俺らしくない、冷たい声が喉から流れ出す。これも覚悟したこと……。一部を切り捨て、より多くを救う。その為に、なにより愛紗達を守る為に!
「「「「「…………」」」」」
何も言えず、抵抗もせず、大人しく縄で縛られていく文官武官達。自ら塞いだ出口からも逃げられず、更に愛紗や恋に敵うはずも無い。
「最後に、……猪々子」
あまりの急展開に、呆けている猪々子に声を掛ける。
「ごめんな? 辛い思いをさせて……」
「いいんだよ、アニキ! アニキが助かった! アタイは本当に安心した! ホント良かったぁ……ぐすっ」
俯いたまま、猪々子が元気な声を振り絞る。明らかに泣いているが。
「……ごめんなさい猪々子。この人選をしたのは私なの……。策とは一番無関係そうなあんたなら、謀反人どもをより確実に捕らえられるって……。裏表のない性格、麗羽様への揺ぎ無い忠義。と、揃い。そこにいる見る目の無い馬鹿どもからは、猪武者と見縊られていたわ。御主人様は、最初あんたには黙ったまま、斗詩にやらせようと仰ったんだけど、警邏隊に回せる有能な武官文官が足りなくて……。あんたに事情を話さないまま、結果的にこうなったわ。恨むなら、私を恨んで頂戴」
桂花が猪々子に、真実を告げる。
「そっかー。アタイって、顔に出るしなー。桂花がそう言うなら間違いないって! アタイに内緒にして進めても、斗詩がアタイみたいな立場になってたら、それこそ仕事に手がつかなかったかもしれねーもん! 心配でさ。あと、あんときのアタイは、斗詩みたいに書類とか得意じゃなかったしなー」
猪々子は、なんでもないように、明るく振舞う。
「な! 猪々子、あんた頭にこないの? 私はあんたを策にはめたのよ? 一発二発なら、殴っても文句は言わないわ! それで許してくれるなら」
桂花が、申し訳なさそうに言えば。
「んーだって桂花さ。さっき、アタイと一緒にアニキを守ろうとしてたじゃん? そりゃ、アニキの計画通りだったからなんだろうけど。でもさ~、いきなり斬られたかも知んないんだぜ? あんときさ、アタイ、桂花をすげーって、頼もしく思ったんだ。武勇の武の字もない軍師のお前が、一歩も引かないなんて凄い奴だなって。最初から知を諦めてたアタイとは違うなって……。それにアニキのためなんだろ?」
そう屈託無く桂花に笑いかける猪々子。
「なっ、なによ! 当然じゃない! 御主人様は、この大陸に必要なお方! 民達を照らす太陽の様に、この世に二つとない、かけがいの無い気高き存在なのよ! ご主人様を失うなんて……絶対に許されないわ!」
猪々子に褒められて、真っ赤に照れた桂花が俺をチラチラ見ながら言い訳する。
「うむ! 同感だ! 桂花、お前もわかっているではないか。ご主人様こそがこの世界を照らす光なのだ! 嬉しいぞ、同志よっ!」
「……けいふぁ、……とてもいいこと、いった」
うんうんと頷いて桂花と意気投合する愛紗と、首を縦にコクコクするちび恋。
「全く。……この数日間、忙しそうな他の皆を見て、何も感じなかったのかしら? このお馬鹿さんたちは……(ご主人様に、何も無くて安心しましたわ)」
「そうですよね、麗羽様。仕事は自分で探すものですよ! 他の方は進んで手伝ってくれましたし(これでやっと、みんなと以前みたいにわいわいできるよー♪)」
麗羽と斗詩が全員を拘束し終えて、こちらに歩いてくる。
「う~。アタイだってなー、遊んでたわけじゃないんだい」
猪々子が斗詩の言葉を勘違いして半泣きで訴える。
「うん。猪々子はいろいろ勉強してたんだよな? でも、斗詩は猪々子のことを言ったんじゃないぞ?」
俺が助け舟を出すと(前半に感動して、後半聞こえてない)猪々子が、
「アニキ! アタイのこと、見ててくれたのか?」
「そうだな。書庫で見かけたと、文官から報告が数回。愛紗や恋からも、一生懸命訓練を見ていたと聞いたけど……。今日見たら確信したな! 猪々子は成長してる。目標があって、それに向け着実に努力して強く賢くなってきてる。これからも頑張れよ! 猪々子」
飛びついてきたので、俺は猪々子をきちんと評価する。
演義での文醜は、武勇ではあの趙雲に一歩も引かず、弓の腕前も達者で、あの張遼の顔に弓を当てて落馬させるほどの腕前だが、罠に弱く兵の統率も苦手。と、武勇一辺倒だった。
しかし、河北随一の武であることは間違いない。足りない部分は本人の努力と、俺と皆で助けてやれば良い。
「アニキー。ぐすっ、アダイ、アニギをじんじてだよ~」
途端に大泣きする猪々子。
「ああ、俺も信じてる。これからは猪々子も忙しくなるぞ?」
そう言いながら肩を抱いて、その泣き顔を引き寄せて胸に埋める。
「アニギィ、う~っ」
猪々子の少しはねた髪を、撫でながら皆を見回す。
愛紗とちび恋、桂花は少し羨ましそうに、麗羽と斗詩はとても嬉しそうに、静かに猪々子が泣き止むのを見守っていた。
こうして、俺の大選別の策は終了した。北郷軍の基盤をしっかりと固めた俺は、次の計画へと駒を進めたのだった。
……
あれから一ヶ月、遂に完成した桂花の私室(戦略司令室)の中。
俺、肩の上にちび恋、机の向かい側に桂花、三人で話し合っている。
「にゃー」
「……いじょうなし。って、いってる」
ちび恋は、ここの天井裏守備隊(猫達)の隊長なため、同席。
「御主人様、既に放った細作達からの情報を纏めましたが、仰っていた黄色い布を揃って身に付けているという一団は、まだ見受けられないとの事です」
桂花が報告してくれる。となると、黄巾の乱はまだ活性化してはいないのか……。
時間的余裕と計画前準備を、頭に張り巡らせる。
「更に、お探しの曹操という人物が、身内だけではありますが陳留で旗揚げしたようです。まだとるにたらない勢力ですが、御言いつけ通り優秀な間者を貼り付け、刺激しないように監視しております」
簡単に見つかったな。まあ、あれだけ存在感のある英雄はなかなかいないし、当然か。
「そうか。でも、その言い方だと……。既に何かしたのかな?」
少し驚いた桂花は申し訳なさそうに。
「御意。私の名士の伝をつかいまして、曹操を警戒するように広めております。残忍な性格だと御主人様に伺っていたもので、知人に害が及ばぬか心配で……」
荀彧文若を手に入れる。それは、彼女の広い名士ネットワークをも手中に出来るということだ。
正史の曹操は、その力で急激に力を付けていったはずだ。現に今、俺には大陸の誰よりも正確で早い情報が入ってくる。
「そっか。桂花は本当に気がつく良い子だな。知り合いが傷つくことを心配して行ったことに俺は何も言わない。逆に感心したくらいだ。よくやったね、桂花」
猫のように甘える桂花を撫で付ける。
「あぁ、御主人様ぁ♪」
「他は、何も無いかな?」
なでなでと撫で続ける。
「ぽー……。は、はい。劉備は見つかりませんでしたし、孫権は、麗羽様の従姉妹の袁術様のところで、孫策に言うことを聞かせるための人質という噂です。あとは、とくに、お耳に入れるほどのことは……。あ!」
桂花が、なにか思い出したようだ。
「あまり重要でもないかもしれませんが、涼州の私の伝からの情報です。名馬を多く排出している馬商人の所で、真っ赤な体躯と炎のような赤い目をした子馬が生まれたそうです。普通の子馬の重さの軽く倍はあるそうで、母馬はその子馬を生んですぐに死んでしまったそうです。縁起が悪いと噂になっています」
「!? その子馬をすぐに手に入れてくれ! 桂花、できるか?」
と、桂花に願えば、
「はい! お任せください! 必ず手に入れて見せます♪」
と、頼もしい返事。
俺の予想が正しければ……。
つづく
おまけ
拠点 恋03
大選別 翌日昼過ぎ 南皮城下町
『大黒猫』
/語り視点
「……にゃー」
「にゃあ、にゃあ」「うなー」
毛並みの良い、引き締まった身体の選ばれし勇猫たちを従えて、ちび恋は、とてとてと歩いていた。
「……このまち、……つよいねこ、おおい」
決して強くなくていいのだが、手を抜くつもりは全く無いらしい。かなり裕福な南皮の残飯は栄養満点で、猫も屈強だった。……無駄に。
しばらく歩いていると、目の前に大きな黒猫が現れた。
「……いちばん、つよそう」
「にゃあ」「うにゃうにゃ」「あにゃ~」
部下猫が言うにはこの町のボスらしい。
「……にゃっ」
ちび恋が、音と気配を消しボス猫の前に回りこむ。
「きしゃーっ」
ただものではないちび恋に危険を感じ、威嚇するボス猫。
それを遠くから見つめる対侵入者用天井裏守備隊。長すぎるので、以下ちび連者。
「……にゃん」
ちび恋がなにやら叫ぶと、恐れをなしたのか、
シャッ…トンットンットッ
大きな黒猫は、素晴らしい身のこなしで、屋根に飛び移る。しかし、黒猫が逃げた先、その目の前にはちび恋がいた。
「!? フ~~~~~~!」
あまりの事に、怯える黒猫。警戒するもあっさりとひっくり返され、弱点の首筋を撫でられてしまう。
「……なでなで。……なでなで」
ゴロゴロゴロゴロ
気持ちよさそうに喉を鳴らし、目を細めるボス猫。
「……ごしゅじんさまの、ひっさつわざ、ぱーとつー。……みて、おぼえた」
その名はNADEPO。ちなみに、パートⅠは笑顔キラリ、NIKOPOとも言う。(横文字は、一刀から聞いたと思ってください)
「……なでなで。……れんに、ちから、かしてほしい」
どこかで見た光景である……。
「にゃ! にゃー」
目をキラキラさせて、黒猫はちび恋を自分のボスと認める。
やはり、どこかで……。
優秀な武猫(ぶびょう)を手に入れたちび恋は、早速、城で可愛い部下たちに美味しい餌を振舞うのだった……。
おまけ
拠点 愛紗03
大選別 翌日昼過ぎ 南皮調練場
『大将軍』
/語り視点
「よし! よくぞ、我が訓練を乗り切った、北郷の精兵たちよ!」
一糸乱れることなく整列する兵たちに愛紗は満足気だ。
「お前達は、もう、うじむしではない! この七日間を乗り越えたお前たちは、勇敢なる北郷軍の名に恥じない動きが出来る、立派な精兵となった!」
「「「「「「さー! いえっさーっ!!」」」」」
「しかし! まだ動ける『だけ』だ! これからも陣形と戦闘をお前たちにみっちり叩き込んでやるから、安心するが良い!」
「「「「「「さー! いえっさーっ!!」」」」」
……
休憩時間
「関羽将軍って、格好良いし、美しいし、強いし、頭も良いし、ホント、非の打ち所が無いすっげーひとだよなー。しかも、心の芯から震えるあの罵倒……。痺れるぜ!」
と、兵士Aがこぼせば、
「うんうん。青龍偃月刀を振り回すあの艶姿、大きくも良く通る凛々しいお声、あんな凄い人が俺たちの将軍なんて、幸せすぎるぜ!」
と、兵士B。すると兵士Cが、
「馬鹿野郎! 俺たちが将軍を褒めたってしょうがないだろう! そう思うなら、もっと将軍に相応しい力を俺たちもつけなくっちゃいけねー!」
「「「「「確かに!」」」」」
そして、北郷兵たちは、より一層激しい訓練に身を入れるのであった。
南皮調練場 調練終了
/一刀視点
「やあ、愛紗。訓練はどうだい?」
俺が愛紗に問いかければ、
「はい! ご主人様。この通り完璧です! もう一度御覧に入れましょうか?」
そう言って兵達を見回す愛紗。溢れる気合がいつもの数十倍以上にも増していき、足が震え出す兵達……。疲れている為だけではないだろう……。
「いや、皆疲れているだろうし必要ないよ。それに、さっきからちゃんと見てたよ。愛紗の格好良いとこもね」
そう言うと、愛紗が頬を赤くして焦りだす。
「あ、あの、変じゃなかったでしょうか?」
「ん? いつも通り俺の愛紗だったよ。惚れ直した」
と、答えれば、
「と、当然です!(あなたの愛紗なのは!)その事を、聞いたんじゃないんです!」
と、言いながら愛紗が両手をバタつかせる。焦る愛紗も可愛いな。
「うん? 何が聞きたかったの?」
本気でわからないから聞き直せば、愛紗が聞きたかった事は、
「ですから『あめりか海兵隊式訓練法』です!」
「そっちか! ごめん。愛紗と久しぶりに話せたから、嬉しくてさ……」
少し気を落とす。いくら時間が無いとはいえ、最近あまり話せなかったし……。久しぶりに愛紗と話せた嬉しさで舞い上がっていたようだ。
「あー、待ってください! そんな悲しそうなお顔はずるいですっ! 私も、その、あの……。ご主人様とお会いできて、とても嬉しいんです! 今すぐ抱き締めたいくらいです! でも、でも、う~~っ! あ~っ!」
真っ赤だった愛紗が更に顔を赤くさせながら、必死に言い訳するのが愛しくて。
ギュッ
愛しい愛紗を抱き締める。
「あっ、ご主人様。……すんすん。……ほぁー♪ ご主人様の匂い♪」
「落ち着いたかい?」
更に、頭を撫でる。
既に兵達は空気。
「あの関羽将軍がメロメロになってしまう御遣い様って……」
と、こぼしたのは誰なのか。
「「「「「「「「「「……神!」」」」」」」」」」
全軍兵士から、改めて尊敬される天の御遣い様でしたとさ。
おまけ
拠点 麗羽01
大選別 翌日早朝 南皮城 麗羽の私室
『変化』
/麗羽視点
「やっと、可哀相な猪々子を見なくてすみますわ……」
私はそう呟くと、昨日までの自分の部下の姿に、思いを馳せます。
猪々子はちゃんと自分で考えて、成長しようとしていました。 あんなに学問が嫌いだった彼女が兵法書を繰り返し読んだり、 突撃しか能が無い自分を反省して、陣形を一生懸命学んだり。
「雄々しく、勇ましく、華麗に進軍。でしたわね……」
……
/麗羽回想
猪々子と斗詩が部下になって間もない頃、突撃を繰り返す彼女の戦い方を見て、
「雄々しく、勇ましく、華麗に進軍ですわ♪」
と、絶賛した時、猪々子はとても可愛らしい笑顔で、
「袁紹様ぁ! やっぱ、勢いが大事っすよね!」
と、喜ぶのが気に入って、
「おーっほっほっほ! いいですわ! いいですわ! やーって、おしまい!」
なんて言ったんですわね。斗詩は呆れていたけれど。
「ふふ♪」
どこまでも真っ直ぐで、勝つか、負けるか、ふたつにひとつ。彼女の潔い生き方に共感して、親しくなれたらどんなに素敵だろうと……。
私の出身は名家、なにをするにも、家の名を汚さぬように。と、家臣の諫言を聞き、外聞ばかりを気にする、本当につまらない毎日の繰り返し……。
そんな外面しか気にしない中身がからっぽだった私にとって、猪々子はとても眩しく見えました。
その後、私のような人間を、猪々子と斗詩はなぜか心から慕ってくれて……。それは私にとって、本当に大切な出会いでした。
回想 了
……
そんな猪々子が一回り成長し、北郷軍の基盤を磐石にする為に頑張っています。
ご主人様の御心に触れて頑張る者が多い中、なにもせず恨みさえ抱いた者達。
ご主人様の大選別で、真に無能な人、有害である人たちは、一掃され、城内は全ての窓を開け放したかのように綺麗に澄み切った気が流れ込み、皆は、大陸統一という明確な目標を持ち、ご主人様の計画通りに準備を進めています。
その内容はまさに神算、百年先はあろうかという計画なのに、全ては具体的に示され、現在も着実に、微塵の遅れも無く進んでいます。
明確な目標と、具体的な指示、家臣たちは、我先にと競って質問し、働いています。笑顔で暮らす北郷の民達。既にその心には希望の光が満ち溢れていたのです。
そんなふうに、明るく変わっていく南皮と周辺の領地を見ながら……ご主人様の女性の好みが知りたい……。私も変わっていけるのでしょうか?
愛しのご主人様にもらった『髪型を描いてある紙』(04話 軍議中 参照)を鏡台の前に広げ、手前の椅子に座ると、普段は縦に巻く髪を、丁寧に、真っ直ぐ、伸ばし始めます。
ずっと侍女や斗詩に整えてもらっていたのですけれど……。恥ずかしすぎますわ。
「なかなか……この……っ」
長い間、クルクルにしていましたからなかなか戻りませんわ……。はぁ……。自分の不器用さに少し悲しくなってきました。
ガチャ
「!?」
「麗羽様、おはよーっす! アタイ達と一緒に朝餉に行きませんかー?」
猪々子がいきなり扉を開けて入ってきました。
「~~っ猪々子!『のっく』をしなさい! ご、ご主人様に教わったでしょう!」
私は、慌てて、鏡台に道具を片付けます。
「んなこと言ったって~。麗羽様とアタイの仲じゃないですか~。別に大口開けて、いびきかいてても、誰にも言いませんってー」
猪々子はいつもの、にしし笑いで返事をします。
ふふ、ちっとも悪びれないんですのね。
「……全く」
私が、心の中で溜息をしていると、
「あれっ? 麗羽様、なんか綺麗になりました?」
なんてことを言うのです。
「私が綺麗なのは当然でしょう?」
と、答えると、
「ちがうんですよー。なんか笑顔が優しくなった? って言うか、うまく言えないんすけど、雰囲気が丸くなった? かな?」
なんですの? と、思って、目の前の鏡を見れば、私の顔は微笑んでいました。無理に貼り付けた自信家の笑顔の仮面ではなく、自然に笑みがこぼれていて……。
警邏でご主人様と一緒に、街の方々とふれあい、子供たちに髪を引っ張られ、騒がしくも忙しい毎日と、笑顔でご主人様と話す民達を見て、幸せを感じる私。
外面ばかりの私も、ご主人様とこの真っ直ぐな部下達のおかげで、少しずつ変わり始めていたようです。
そして、猪々子と部屋を出る前に鏡を見た私に見えたのは、いつも通りの姿なのに、いつもより楽しそうに微笑む袁本初。ではない、自信に満ちた『麗羽』でした。
Tweet |
|
|
258
|
70
|
追加するフォルダを選択
恋姫†無双は、BaseSonの作品です。
自己解釈、崩壊作品です。
2009・10・31修正。