カフェやまごやのヤバヤバ事件
ズイタウンを旅立ちトバリシティを目指すクウヤは、その道中でポケモンバトルをしていた。
「ガーメイル、かぜおこし!」
「イーブ、でんこうせっか!」
このバトルにクウヤは、イーブを出していた。
イーブの技を確認し覚えたクウヤは、早速イーブをポケモンバトルに出して、実践していたのだ。
「たいあたりだ!」
「受け止めて、アイアンテール!」
このイーブイのポテンシャルは高く、クウヤの指示にうまくあわせて動き、ガーメイルと渡り合っている。
アイアンテールからのでんこうせっかにより、相手のガーメイルは戦闘不能になり、勝負に勝利できた。
「やったぜ、いいぞイーブ!」
「ぶいぶい~」
「はは、くすぐったいってば」
イーブはクウヤに飛びつき、勝利を喜びそのふわふわの体毛を思い切りクウヤの頬にすり付ける。
ガーメイル使いのトレーナーと別れて、クウヤはさらに先へ進もうとしたら、そこで一軒の木造建造物をみつけた。
「カフェやまごや・・・?
カフェだから、なにかおいしいものがあるかもしれねーな。
よし、ここでちょっと休憩しようぜみんな」
ポケモンたちにそう呼びかけてクウヤは、そのカフェの扉を開けて中に入る。
「おかえりなさいませ、ご主人様~!」
「・・・おじゃましましたー」
「ってまってくださぁーい!!」
突然、ウェイトレスにおかえりなさいっていわれたのでクウヤはやや引いてそのまま帰ろうとしたが、ウェイトレスの一人に腕を捕まれ止められた。
振り払いたかったが、そのウェイトレスの力が予想以上に強かったので振り払えなかった。
「え、だってここおれの家じゃねーしご主人様なんて呼ばれる覚えもねーし・・・」
「まぁまぁ、まずは一息ついてくださいよー」
「・・・つけるかな、おれ」
「これが当店おすすめの「ミルタンクのぎゅうぎゅうしぼりたて★おいしいミルク」でーす♪」
「・・・そこ星っていらなくね?」
「細かいことは気にしないでくださぁい」
とりあえず牛乳瓶に入った牛乳を渡され、つっこみつつも仕方なしと思いそれを飲む。
「あ、でもうめぇや。」
ミルタンクのミルクは栄養満点でおいしいという。
その話に偽りないその味にクウヤは顔がほころぶ。
ついでにと注文したおすすめの品の一つであるパンケーキが彼の前に現れた。
「お口にあーんしてあげまーす」
「いらない」
さらっと言ってクウヤは自分でナイフとフォークを手にして食べ始めた。
扱い方は知っていてもテーブルマナーは全然わからないので切り方は雑だがクウヤは気にせずパンケーキを口に運びおいしそうに食べた。
「へへ、うめ」
「モウ!」
「お前達もうまいか、そのポケモンフーズでできたポケモン用オムライス!
なんか変な字が書いてあったけど読みにくいし別にいいよな、食べれれば」
と、ポケモン一匹一匹は自分達にだされたオムライスをそれぞれ食していた。
なにかがケチャップでかかれていたようだが、それは跡形もなく崩れ、大半が食べられてしまっていた。
「むむむー・・・」
「あの子、結構元気っこに見えたけど、女の子に冷たいわね」
「もしかして、扱いが苦手なのかしら・・・ウブかもしれないわ」
というウェイトレスのこそこそとした話は、クウヤの耳に届いていない。
「とはいえ、シンオウ屈指の美少女達で売ってるというのに!」
「この抜群のスタイルを持っているのに!」
「男の人にはとことん甘えられるのにぃ!」
「今まで男という男をめろめろにさせられたのに・・・」
「あの男の子だけなにも感じないどころかうざがるなんてありえないぃ!」
そう唸るウェイトレス達に、次々に張り手を食らわせるピンク色のなにかが通り過ぎていった。
「貴女達、お仕事を続けてくださいな」
「・・・はい・・・」
この店の店長の女性が満面の笑みで穏やかにウェイトレスに注意をし、側ではピッピがにこやかに笑ってはたくの準備をしていた。
その店長の圧力に恐怖を感じたウェイトレス達は、そのまま仕事に戻っていった。
「きゃあ!」
「うげ?」
突如悲鳴が聞こえてそっちをむくと、太ってて髪もぼさっとしてて無精ひげを生やした男が涎を垂らしながらウェイトレスの尻を鷲掴みしていた。
「お、おやめくださいませ」
「へへへ、硬いこと言うなよー、俺達はお客さんなんだぜぇ?」
「そうそう、お客様のお願いはきかなきゃなぁ。
なんたっておれたち、神様なんだしよぉ~えらいんだぜぇ~?」
「第一体の一つ二つ、俺のような童貞に少し恵んでくれたっていいだろ?
そのためにそんないいからだしてんだろ、へっへっへ・・・」
ウェイトレスはいかにもいやそうな顔をして拒絶しているにも関わらず、セクハラ男達は知ったこっちゃないという様子でウェイトレスの体をなめ回すようにみた。
その姿に、周りの客も他のウェイトレスも不愉快そうな様子だった。
「トーム、でんきショック」
「ぎゃあ!」
その態度の悪く自己中心的な態度にむかついたクウヤはトームにでんきショックを指示して、そのセクハラ男達を脅かした。
でんきに気付いた男達はでんきタイプのトームの存在に気付き、あのでんきショックを放ったのがトームだと気付いてとびかかる。
「このポケモンっ!」
「あ、触ったらだめだ!」
クウヤが止めようにもすでに遅く、その男達はトームを捕まえた瞬間すぐに感電してしまった。
「あががががががが・・・」
「トームには直接さわれねーのに・・・」
痺れて動けない様子の男たちに、クウヤは呆れた。
「おい、このがきぃぃぃぃぃ!」
「んあ?」
「てめぇか、このロトムのトレーナーは!」
「そうだよ?」
男たちが怒りながらクウヤにくってかかった。
「なにしやがるんだよ!」
「嫌がってる女の子助けてなにがいけねーんだよ?
だいたいそんな汚い手で触られたら誰だっていやだろ」
ストレートな言葉に、男たちの堪忍袋の尾が切れたらしい、男達は親指をしたに向けたり中指を上に突き立てたりしてクウヤに攻め寄ってきた。
「ガキ、表にでろ、勝負してやる」
「えーでもおれ、おまえ等に勝てると思うけど」
「ハン、うるせーよ消防が、そんな証拠がどこにある?」
「証拠かぁ・・・これとかどうだ?」
「なんだよそれ・・・って!」
クウヤが彼らに見せたのは、バッジケースの中身。
そこに入っているポケモンリーグ公認のジムバッジ3個。
それをみたセクハラ男達はひぃぃぃと悲鳴を上げた。
「え、なに、さっきの威勢のよさはどこいっちゃったんだ?」
「・・・こ、今回は引いてやる・・・かかかかか感謝するんだな、ぼこられずにすんでよぉ」
「えー、表にでろとか勝負とか言っといてなんだよおめーら、口だけかよつまんねーの。」
「そ、そんなことどーでもいいだろ!」
「なーなー」
クウヤは男達の腕を引いて止めた。
「強くても弱くてもいいからさ、バトルしようぜバトル!」
「・・・!!!」
そうバトルを申し込んできたクウヤの目は裏表なく純粋で、輝いていた。
今彼が考えているのはとにかくバトルのことだけであり、もうこの男達がセクハラを働いて迷惑をかけていたことなど忘れている。
この少年は悪者退治より、懲らしめることより、とにかくバトルがしたいと思ったのだ。
だが、純粋は時に残忍であり、クウヤは男二人相手にポケモンバトルをして圧倒的な実力で勝利し、男達は泣きながら店を出ていったのだった。
「あの、ありがとうございましたぁ」
「やっぱり私達のこと、お好きだったんですね、ツンデレなんですね?」
「つ、つんでれ?」
自分はポケモンバトルをしただけで、ここにいる女性ウェイトレスには好意もなく、あのときも単純に困ってたから助けただけ。
それにクウヤは、世間の流行やら俗に言うスラングにもとことん疎いのでツンデレというものも知らない。
「みんな、ツンデレってどの地方の言葉?」
「・・・」
ポケモンたちに対しツンデレの意味を訪ねるクウヤに、その場にいた全員の冷めた視線が降り注ぐ。
そんな彼らの様子が理解できないのかクウヤは首を傾げた。
「・・・まぁいいか、もうおれ行くし・・・。
これお金な、じゃ!」
「お別れのあいさつとして、ぎゅーっとあててあげますよぉ」
「それはいらない」
最後にはっきり言い捨てて、クウヤはカフェやまごやをあとにしたのだった。
「なんかヘンな店だったなー。
でもああいうところがすきな人もいるんだよな、存在するってことは」
と、クウヤは知るべきか否かの世界のことを呟いていたのだった。
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クウヤは、純粋な男の子です