恋姫†無双 真・北郷√01
新たな外史
「う、う~ん。ここは?」
北郷一刀は初めて外史に来た時の事を思い出し辺りを見回すが、両手にしっかり握られた手に気がつく。
「愛紗……? ……っと。あれ?」
一刀の声で愛紗も目を覚ます。起き上がるとすぐにその瞳に涙を溜め。
「~~っご主人様ぁっ!」
ガバァと一刀にしがみつき力の限り抱き締めてくる。
「いたっ! 痛いって。愛紗!? 落ち着けっ」
そう叫びながらも愛紗の目元の涙を優しく拭ってあげる一刀。流石の一刀クオリティです。
「はっ! す、すみません。ご主人様のお側にいれたことが嬉しくって」
顔を真っ赤にして腕の力を緩めるが、側からは全く離れようとはしない。
(愛紗さーん。あのー? くっつきすぎじゃ~? 腕に胸があたってますよ~?)
一刀も満更では……いや、はっきりいって嬉しいのでそのままにしておく。
そして先ほど言いかけた疑問を愛紗に尋ねる。
「まず……俺の(知ってる)愛紗なんだよね?」
確認から、これ基本だよね? 天然で大事な部分が抜けてます。
「はいっ! 貴方の愛紗ですよっ!(嬉しいっご主人様が、こんなにはっきりと仰ってくれるなんて)」
今までが今までだった為、愛紗は一気に頬を紅潮させ幸せ絶頂。
「で、だ。この子、誰だと思う?」
向ける視線を追えば一刀の手に縋り付いて眠っている小さな子供。 年の頃は黄忠(真名、紫苑)の子供の璃々ちゃんくらいだろうか? 赤い髪にピコピコゆれるクセッ毛が二本というか触角? なんだかすごく見覚えが……。
「……むぅ。むにゃむにゃ」
その子は起きると徐(おもむろ)に俺の肩にのぼり始める。
……よぢよぢ「んしょ」
俺の頭を両手で抱きこんで見事な肩車。って……はやっ!
「!?」
俺の頭の上に視線を向けた愛紗が目を見開いて驚いている。
あー、やっぱりね。俺もそう思ったんだ。どう見たって、この子の顔。
「恋!? 恋なのかっ!?」
愛紗さん! まだ状況がわかってないのに、いきなり真名で呼んじゃ駄目でしょ!?
まあ、俺も愛紗のこといきなり真名で呼んじゃったから言えないけどさ。
「……れんは……りょふほーせん。……ごしゅじんさまのいちのほこ」
はい、決定。えへん! と可愛く胸を反らして、ご挨拶。記憶もばっちり! 少し舌足らずだけどね。
なに、この可愛いすぎる生物? ちび恋? ただでさえ小動物っぽい恋なのに。ていうか何で小さいの? あー、愛紗が顔を赤くしてプルプル震えてるよ。
「ご主人様の一の家臣は、私だぁっ~~!」
あれっ!? そこなんだ!? よくぞ無事で!(怪我してたから)とか、なんで小さくなってるんだ? とかじゃなくてそこ?
「私にとって一番大事なところですっ!」
と。言いつつさっきから俺を抱き締めたまま叫ぶ愛紗さん。俺の心を読まないで~。あと顔が近い、近い。
「……あいしゃ、おちつく。ごしゅじんさま……こまってる」
恋が愛紗の頭を撫でながら(俺に肩車してるからちょうどいい高さにあったらしい)至極まともなことを言う恋。すごく頼もしいよ……マジで。
「むぅ、そうだな。ご主人様の一の家臣は後で話し合うとして。ここが我々が今までいた世界と違う世界なのは間違いないようですね」
愛紗がそう言うんだけど……。
「そうみたいだな」
「(コク)」
俺が返事をすると恋もそう思ったらしく即答。
この思いっきり見覚えがある山々とか多分。……俺がもといた現代世界でもないな……。
「あらん、どぅふふ。ご主人様、また会えて嬉しいわん。どうやら説明が必要かしらん?」
真後ろからドスの利いたおネエ言葉が聞こえてきた。
つづく
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恋姫†無双は、BaseSonの作品です。
2作目です。
自己解釈、崩壊作品です。
2009・10・29修正。