「ふむ、もう春じゃというのに肌寒いのう。」
銀髪で褐色の肌の女性がそうつぶやいた。
「気候が狂っているのかもね、俗に言う異常気象か
はたまた世の動きに呼応してか・・・」
その隣に立っていた桃色の髪のこれまた褐色の肌の
女性は、銀髪の女性にそう答えた。
この桃色の髪の女性の名は孫策伯符、江東の虎、孫堅文台の
娘であり、現在の孫家の頭首である。その隣の銀髪の女性は、
黄蓋公覆、孫堅の代から孫家に仕えている歴戦の宿将である。
彼女たちはついさっきまで、近くの町の視察をしており、今、
その帰りなのである。
「うむ、世の乱れに天も嘆いておる、といったところかのう」
「官匪の圧政に盗賊の横行・・・、漢王朝の世も末ね。」
「しかたがあるまい。いまの朝廷にいる輩は皆、自分の利のみ
しか考えぬ腐った者のみよ。嘆かわしいことにな。」
黄蓋は物憂げに呟いた。
「これはそのうち民の不満が爆発するわね。ホント。」
「それは策殿の勘か?」
「別に勘じゃないわよ~。ただ、いまのままだとそうなると、
私なりにかんがえてみただけよ。」
と、孫策は苦笑しながら答えた。
「まあ、乱なら望むところだけどね。乱に乗ずれば私たちの悲願は達成しやすくなるもの」
と、孫策は一転、不敵な笑みを浮かべながらそうつぶやいた。
「うむ、いつまでも袁術の客将でいる気はないしの」
黄蓋もそうつぶやいた。
「ええ、私達の悲願は袁術からの独立と、かつての孫呉の領地を取り戻すこと。
でも独立するにしてもきっかけがないのよねー。
祭、何かきっかけみたいなの無い?」
と、孫策は孫呉の生き字引とも言える黄蓋に尋ねた。
「きっかけのう・・・・。そういえば策殿、先ほどの町での噂は覚えておるかの?」
「噂?あの天の御使いがなんたらかんたらっていう胡散臭い?」
「正確には“黒天を切り裂き、流星に乗りし天の御使いとそれに仕えし天将が舞い降りる。その者達はこの乱世を鎮める救世主となろう”とかいう管輅とかいう占い師の予言じゃよ。まあ確かに胡散臭いがな・・・」
「まあ、いくら胡散臭くてもそれにすがりたくなる気持ちは分からないわけじゃないけどね。こんな御時勢じゃあねえ」
そう呟きながら孫策はため息をはいた。
「まあそれよりも策殿、いつまでもここにいるわけにはいくまい。さっさと帰ろうぞ」
「そうね、あまり遅いと冥琳がうるさいし・・・ん?あれ流れ星?」
「ん?おおそうじゃの、策殿」
ふいに孫策が空を見上げると、空に流れ星が流れているのが見えた。
「いや、まさか本当に流れ星が流れるとはの。占いというのも案外あてになるものじゃな」
「そうねー。あ、なんかあの流れ星、こっちに向かってきてるみたい」
「ははは、策殿、冗談がすみますぞ・・・・・いや、策殿」
「ん?どしたの?祭」
孫策が尋ねると、黄蓋は顔を引きつらせてこう言った。
「みたいではなくて、本当にこっちにむかってきてますぞ!!」
「ははは♪なーに祭、もうぼけたの・・・・ってホントにこっちに向かってきてる!!!」
そう、その流れ星は孫策たちが居る方向に向かって落ちてきているのだ。
「ちょ、ちょっと祭!呉に代々仕えているあなたならなんとかできるんじゃない?!
あの流れ星なんとかしてよ!!」
「策殿・・いくら呉に代々仕えていても出来ることと出来ないことがありますぞ・・・」
「ってうわー!!!もうこんなに近くなってるしー!!!」
「うう・・・堅殿・・・あなたとのお約束・・・果たせませなんだ・・・」
「ちょっ!!なに祭あきらめてるのよ~!!!さっさと逃げ・・・・」
そう孫策が言った瞬間
辺りはすさまじい光に包まれた。
どうも、海皇です。第二章、投稿させていただきました。
といっても時間無かったので一刀と愛紗がでるところまではいきませんでしたが・・。
つぎでようやく登場する予定ですのでお待ちください。
それではこの辺で。
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ようやく第一章です。
一刀と愛紗はまだ出ません。