No.908763

脱出のすすめ

SAさん

現代物シナリオの習作。プロット。

第1稿:2013/5/30
第2稿:2013/7/8
第3稿:2013/8/27

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2017-06-05 00:08:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:324   閲覧ユーザー数:324

 

【ドラマ開始~20分】

 

 警視庁の鑑識課に所属する松川誠二郎(まつかわせいじろう 46歳)は捜査本部で事件概要を聞いている。誘拐された被害者の関係者宛に、密室に閉じ込められた被害者が必死に脱出を試みる様子をDVDで送り付け、挙句被害者を殺害、くり抜かれた目を口に押し込むという猟奇殺人である。マスコミは面白がって〈脱出事件〉と名付けた。

新たに都内で発見された死体は近藤衛 (こんどうまもる 31歳)であると判明。死因は餓死。

捜査本部長から報告を求められ、松川は鑑識報告をする。近藤についてはDVDが送られていないが、くり抜かれた目が口に押し込まれているという、公開していない特徴が一致していることから連続殺人の最新の被害者であると意見を述べる。

鑑識課に戻る途中で松川、婚約者の斉田恵美(さいたえみ 40歳)と出会わす。先週の三橋勇也(みつはしゆうや 28歳)の誕生日翌日、一日遅れのお祝いで電話を掛けてから連絡が取れないと言う恵美。「その日は式場での打ち合わせがあって誕生日を忘れていたから拗ねてるんじゃないか」と松川。しかし職場であるホストクラブも欠勤が続いていると聞き、その夜三橋の部屋を訪れる。三橋はいなかった。十代の三橋・松川・松川の母であるみち代の三人が映った写真を目にし、三橋との出会いを回想する松川。

 母みち代から「中学生が猫を虐待している」と連絡を受けた松川。現場に駆け付け三橋(13歳)に理由を問い(離婚が原因)、「今度何かを傷付けたくなったら俺のところに来い」と諌める。以後三橋の虐待(棒で一、二発軽く殴る程度。殺意はないと松川は踏んだ)の頻度は減り、遂にはしなくなった(三橋の松川への依存開始)

自宅に戻ると郵便受けに直接投函されたDVDが。再生すると閉じ込められた三橋が脱出しようとしている映像。新たな被害者であるとして三橋の捜査も開始される。

 一課の渡辺から「三橋がSNSに良くアクセスしており、そこで知り合った人物と接触した可能性がある。盛り上がっていた話題は『脱出ゲーム』であった為、事件と繋がりがあるかもしれない。現在相手について調査中である」と聞かされる。やがて渡辺の携帯電話に連絡が入り、三橋が会っていたのは遺体となって発見された近藤であったと報告を受ける。

 三橋の自宅に行くと恵美がいた。冷蔵庫に貼ってある「せいじぃに300円返す」というメモに目を留め、「何故誠爺と呼ばれているのか」と恵美が尋ねる。そう呼ばれるようになった切っ掛けを松川は思い出す。

三橋の二十四歳の誕生日。三橋のお気に入りの場所であるという湖にドライブに行くことになった。三橋が一人暮らしを始めたことから、松川の「お前が家にいないと寂しいな」との言葉に「俺もせいじぃがいないと寂しい」と三橋(三橋の周到な根回しにより、松川はこの頃には無自覚で三橋に依存。共依存の関係になっている。松川は「父親」と呼ばれないことを気にしている)

 

 

 

【20分~45分】

 

翌日、新たなDVDが届いていないかを確認する為、自宅に戻る松川。DVDがないことに安堵。ダイニングテーブルの上にあった三橋のスケジュール帳に目を留める。「本当なら来週、勇也と一緒にドライブに行く筈だったのに」と手帳をめくる。手帳を見ている内に、三橋の休日の幾つかが〈脱出事件〉被害者達の最後に目撃された日と重なることに気付く。

鑑識に戻って被害者達が行方をくらませた場所近辺の監視カメラの映像を調べ始める。やがて七番目の被害者が最後に目撃された日、道の駅の防犯カメラに映る三橋を発見。更には四番目の被害者が目撃されたデパートの駐車場にも三橋の姿。

松川、三橋の自宅へ。松川・みち代と一緒に笑う写真の中の三橋を見つめていると、携帯電話に渡辺から着信。

渡辺からの報告で、近藤と三橋は脱出アプリを通じて接点があったことが判明。二人の遣り取りはネット上で行われていた。その中で近藤の企画した脱出アプリが一連の事件と酷使していたこと、アプリの舞台として借りたという倉庫に三橋が閉じ込められていたこと、更には倉庫の地下から計画を記した近藤の手記が発見されたことから近藤が犯人であると断定された。

三橋周辺を調べる内、三橋こそが真犯人であると確信。過去の被害者達が閉じ込められていた部屋、及び部屋内にあった凶器から三橋の指紋が出た。三橋の逮捕令状が出される。

捜査員が三橋の行方を捜す。松川、今度のドライブでは湖に行く約束だったのを思い出し、一人湖へと向かう。

みち代の墓前で背中合わせに座る松川と三橋。一人暮らしだったみち代と一緒に住んでいた三橋は、みち代が死んだことで一人ぼっちになると嘆く。「何を馬鹿なことを。俺達は家族なんだから」と松川が諌める。

 

 

【45分~ラスト】

 

 三橋のお気に入りの湖、三橋を発見。対峙する松川。何故こんなことをしでかしたのか問うと三橋が答える。みち代の墓前で一人にしないと言ったのに、恵美と結婚して自分を忘れようとしている。自分には松川しか家族がいないのに、松川は新しく家族を作ろうとしている。それが許せなかったと(三橋の恨み節+ヤンデレ+依存の片鱗)

 罪を償って欲しいと願う松川、拒絶する三橋。「“子供”として最後の願いだ。殺して欲しい」と絞殺を望む三橋。共依存であることに気付いていない松川、願いを叶えてやる。どす黒く皮膚が変色し、目玉が飛び出し醜い形相で死んでいく。それを見る松川は生涯それを忘れることがない。記憶に自身を刻み付けられたことで喜ぶ三橋、事切れる(殺害シーンに三橋のモノローグ被せ)

 現場に駆け付けた渡辺によって逮捕される松川。連行される際、「どうしてこんなことを」と思わずこぼす渡辺。それを受けて松川、三橋の死体を振り返る。「これでやっと俺はあいつの“オヤジ”になれたんだよ」

 

 

 

★テーマ:メリーバッドエンド

 

 

 

◆松川誠二郎(まつかわ せいじろう):46歳

  警視庁刑事部 鑑識課。

  一旦は会社勤めをしたが鑑識になる夢を諦められず一念発起。

二十九歳で警察官になり、交番勤務を経て刑事任用試験に合格。

三十六歳で本庁一課刑事に。空きを待って二年後、念願叶って鑑識課に配属される。

 

◆三橋勇也(みつはし ゆうや):28歳

  ホスト。公言している趣味は休日のドライブ。

  十五歳の時に両親が離婚。両親から引き取りを拒否された為松川に引き取られた。

松川を「誠爺(せいじい)」と呼んでいる。

  松川との約束を守る為に全ての死体を都内に遺棄。松川が現場に来るようにした。

 

◆松川みち代(まつかわ みちよ):享年68歳

  松川の母。三橋の虐待現場に通り掛かり最初に声を掛けた。

 

◆斉田恵美(さいた えみ):40歳

  警視庁刑事部 刑事総務課庶務係。松川の婚約者。

刑事部内の合コンで松川と知り合い、交際四年を経て年内に結婚予定。

  近藤が最後に作った密室に閉じ込められる。

 

◆渡辺康弘(わたなべ やすひろ):34歳

  警視庁刑事部 捜査第一課4係。独身。

  松川が刑事になった際の“先輩”として指導したことから友人に。

 

◆近藤衛(こんどう まもる):31歳

  SNSを通じて三橋と知り合う。

密室からのリアル脱出ゲームの話を持ち掛けられ、三橋と共犯して事件を起こす。

新たな密室を作り上げたところで三橋に殺害される。

 

 
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