No.884511

Triangle Goddess! 最終話「新たなる創造神」

Nobuさん

これでTriangle Goddess!は最終回です。
初となるオリジナル長編もここまで続けられてよかったなぁ、と思いました。
後、主人公を女神にしたのも、あるゲームの影響&この手の小説は人間男性主人公が圧倒的に多いためです。
では、読んでくださった方々、本当にありがとうございました!

2016-12-21 18:22:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:388   閲覧ユーザー数:388

 ロキが三女神によって倒され、ラグナロクはようやく終結しました。

 

「……これで、戦いは終わりましたね」

「……でも……」

 戦争の爪痕は消えず、美しかったアールガルドは荒廃していました。

 共に戦った英霊のエルダーも、頼りになった雷神トールも、

 彼の父であるオーディンも、そこにはいませんでした。

 残されたのは、三女神と、戦いの後の空しさだけでした。

「何も残らなかった。トールさんも、エルダーさんも、この美しき世界も……!」

 バイオレットの目から、涙が落ちました。

 ラグナロクで失ったものは、あまりにも大きかったのです。

 

「……わたくし達の上司は、生きているのでしょうか……」

 三女神は、上司である魔法の女神カイアのところに行こうとしました。

 しかし荒廃しているためか、どこにいるのか分かりませんでした。

「……生命を探知してみます」

 ゲールは生命を探知する能力を使い、カイアを探そうとしました。

 しかし、カイアの生命の気配は感じませんでした。

「……何も感じません……」

「という事は、やはり……」

「散ってしまったようですね……」

「なら、生き残りはどこにいるのでしょうか」

 カイアはラグナロクによって散ってしまったのでしょう。

 探すだけ無駄だと判断した三女神は、生き残っている神を探す事にしました。

 

「……おかしい。ここにもいないなんて」

 ですが、いくら探しても、生き残った神や人間は自分達以外に見当たりませんでした。

「なんで……なんでいないんですか……」

「こんなに探したのに……」

 やはり、アールガルドは完全に滅びてしまったのでしょうか。

 このまま永遠に、美しいアールガルドは失われたままになってしまうのでしょうか。

 

「嫌……どうして……どうしてこんな事に……」

「滅びは避けられない……。だけど……! ずっと終わっちゃうなんて……!」

「こんな終わり方……嫌だよぉ……。トールさん……みんなぁ……帰ってきてよぉ……」

 何も残らない終わり方に、三女神は膝をつき、絶望しました。

 三女神の表情に、活気はありませんでした。

 

 その時です。

 

―ジャンヌ、ゲール、バイオレットよ……。

「え……!?」

 突然、天から男性の声が聞こえてきました。

「この声、一体誰なのですか!?」

―本当にこの世界を愛している事が……今、分かったぞ……。

「誰です!?」

―名は言わぬ……。だが、お前達に最も近い者だ……。

「あたし達に……最も近い人……?」

―この世界を愛しているのならば……受け取るがいい、この種を……。

「……!!」

 その声が消えると同時に、ジャンヌの手に光り輝く種が落ちてきました。

「これは……?」

「リーヴスラシルの種といいます。

 世界が滅びを迎えた時、この種を使えば、新たな創造神となる事ができるのです」

 新たな創造神。

 それはすなわち、滅びたアールガルドを再生する事ができる存在です。

 しかし、そう簡単になる事ができるのでしょうか……。

 ジャンヌは自分を信じ、リーヴスラシルの種を掲げました。

 すると、ゲールとバイオレットの肉体が光に変化しました。

「ゲール!? バイオレット!?」

「この種がお姉様を認めたから、光になったそうです」

「あたしの力を、お姉ちゃんに渡してあげる! ほら、行こう!」

 光となったゲールとバイオレットがジャンヌと同化すると、

 ジャンヌの衣装が荘厳なものとなり、また彼女の手に白い杖が現れました。

「これで、世界を再生できれば……!」

 ジャンヌは祈りを捧げ、杖に自らの力を込めました。

 すると、白い粒子が世界中に広がり、アールガルドを包み込んでいきました。

 それは、まるで荒廃した世界に、希望を与えるような光でした。

 

 しばらくして光が治まると、荒廃したアールガルドは元通りになっていました。

「私が……生き返っている!?」

「おおー! オレの傷が治っているぞー!」

「我々ヴァルキリーは力尽きたはずだ……しかし何故……!?」

 オーディン、トール、ヴァルキリーなど、ラグナロクで散っていった神々が、次々に復活しました。

「この力……まさか、リーヴスラシルの種か……!?」

「あいつがやったのか……!?」

 もちろん、三女神の上司であるカイアや、アインヘリアルのエルダーもです。

 

「みんなの声が……聞こえてきます……」

「人間も……神々も……みんな、ここにいるのですね……」

 世界を再生する途中で、ジャンヌは神々や人間の声を聴きました。

 感謝の声や、喜びの声など……。

 ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、それを全身で感じ取りました。

 

 世界の再生が終わった後、ゲールとバイオレットはジャンヌから分離し、杖も消えました。

 そして、ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、オーディン達のところに駆け寄りました。

 

「……また、一緒に冒険をしましょう!」


 
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