その頃、テンプレムの海ではというと……。
「さあ、砲撃開始だ!」
「はい、団長!」
逆戟蒼海団が、別の海賊と戦っていました。
団長・青鮫のレオーネの乗る船が、敵の船に対し砲撃を行いました。
砲弾は命中し、敵の船に損傷を与えました。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ! まずは周りの船から撃沈させるぞ!」
「そうだな! やろう!」
「ふむ……ではこちらも砲撃をさせてもらおう。ゆくぞ!」
赤い鎧の戦士が、レオーネの仲間の船に砲撃を行いました。
―ドォォォォン!
「ちぃっ、やるな! だが、ここで引くわけにはいかない!」
砲撃によって船が揺れましたが、まだ大した被害にはなっていませんでした。
レオーネは敵の接近を狙うため、船に指示を出しました。
「敵が近付いたら、お前達も近づけ。そして水雷だ!」
「はい!」
レオーネの的確な指示により、
敵の船が近付いてきたところにレオーネ側の船も近付き、水雷で攻撃しました。
水雷は、近い敵に対しては当たりやすいのです。
―ドゴォォォォォッ!
―ドゴォォォォォッ!
一方の敵も、水雷でレオーネ側の船を攻撃しました。
すると、レオーネ側の船が浸水してしまいました。
「しまった! 船が傾きました!」
「なら、別の船で守る!」
「はい!」
レオーネは浸水が発生した船を後ろに下がらせ、別の船が近付いて敵の船に衝角しました。
この攻撃は命中率と威力が高い代わりに、失敗すれば大きな損傷を負う、諸刃の剣です。
―ドォォォォォォン!
衝角に成功し、赤い鎧の戦士が乗る船に大きな損傷を負わせました。
同時に船が浸水し、行動速度を下げました。
「むぅ……! なかなかやるな……」
「悪い事は言わない、撃沈されるまでに降伏するんだな。こちらも無駄な殺生は好まないのでね」
「断る! 戦士として、引くわけにはいかぬからな! こちらも全力で相手をさせてもらおう!」
赤い鎧の戦士が、距離を取りレオーネが乗る船に砲撃を行いました。
「どうやら、撃沈するまで引かないようだね……。なら、行くよ! お前達!」
「はい!!」
レオーネの部下の一人が敵側の船に砲撃を行いました。
―ドォォォォン!
「うわぁっ!」
「凄い威力ですよ、これは!」
「感心している場合ではない、もう俺達の船は……」
「えええええええええええええ!?」
当たり所が悪かったのか、敵側の船は呆気なく撃沈されました。
「よし、まずは一艘撃沈したよ!」
「団長、この調子でどんどん行きましょう!」
「ああ、無論守りを忘れるなよ」
レオーネ側の船と、敵側の船の砲撃は続きました。
相手の攻撃が当たらないように舵を取りつつ、相手に攻撃を当てるように砲撃を行いました。
「ほらほら、どうしたんだい? 動きが鈍いよ!」
「浸水しただけだ……これしきの事、俺にはかすり傷でしかない!」
そう言い、赤い鎧の戦士が、レオーネの船に突撃しました。
レオーネはその船をかわし、残った船で砲撃を行い、赤い鎧の戦士の船に火災を発生させました。
船の炎は風によって広がり、赤い鎧の戦士達は消火活動をするしかありませんでした。
「む、無念だ……! 降伏する……!」
そう言うと、赤い鎧の戦士はレオーネに降伏しました。
「これでもう、海賊活動はしないね?」
「無論。誓うぞ、ここではもう海戦はせぬ」
赤い鎧の戦士は、嘘を言っている様子ではなく、レオーネは彼を信じる事にしました。
「さて、相手も降伏したし、これで引き上げるとするかね」
「はい!」
レオーネら逆戟蒼海団は、これ以上戦う必要はないと判断し、引き上げました。
一方、赤い鎧の戦士はというと……。
「戦士としての誇りか……主の命か……どちらを取ればいいのだろうか……」
2つの物事のどちらを選ぶか、迷っていました。
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気が付けばこの物語ももう30話か……。