No.861258

寂しがりやな覇王と御使いの兄 改訂版 42話

あなたまさん

桃香の決断

2016-07-31 23:55:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2751   閲覧ユーザー数:2425

孔明「桃香さま~!天水の呂珂さんから書簡が届きましゅた!」

 

幽州涿郡に要塞を築き、本拠地を構える劉備玄徳の下に、一刀が送った書簡が届く。この知らせに劉備含め、諸将に驚きが走る。

 

韓当「夏惲の発言を信じ袁紹に組するか、共に戦った曹操に組するかを協議している所に、呂珂殿からの書簡…何事であろうか」

 

劉備の下にも諸侯同様に、十常侍の一人、夏惲が洛陽で曹操が暴虐の限りを尽くしているから洛陽を開放して欲しい。袁紹からも討伐軍に加わるように書簡が届き、今後の動きについて軍議を行っていたのだから

 

程普「桃香さまとの個人的な友好内容ならばよいのじゃが」

 

劉備「個人的には、その内容であれば嬉しいんですが・・・この状況下でそれはないですよね。朱里ちゃん、書簡にはなんて書いてある?」

 

書簡の内容が気になる劉備は、書簡を持っている孔明に書簡を読み上げるように促し、孔明もそれに従い諸将に聞こえるように読み上げる。

書簡の内容は馬家に送った内容と変わらず、簡潔にまとめると、十常侍は曹家を排除しようと謀略を仕組んだ。曹操を助け、十常侍の野望を砕いて欲しい。と書かれていた

 

魏延「曹家を滅ぼす為だけに、ここまで大掛かりな謀略を用いるか」

 

士元「前当主の曹嵩さんは清廉潔白として名の通っていた方。権力を嫌い、十常侍とは敵対関係にあったと聞いています。霊帝に”我が父””我が母”と絶大な信頼を得ていた張讓、趙忠ならこれぐらいの事はやりそうです」

 

孔明「袁紹さんは高飛車な態度が目立ちますが、人を疑わず信じやすい性格、友人を大事にする人物だと、書簡に付け加えられてます。これらの話を統合しますと」

 

劉備「呂珂さんからの内容が真実なのを前提にすると・・・袁紹さんは反連合の盟主だけど、黒幕は十常侍って事になるね」

 

反連合の実態が分かったのはいいが、ここまで事態が深刻ならば軽々しく軍を動かす事が出来ない。その事を理解した諸将は言葉を失い考え込んでしまう。

このまま静寂が支配するかと思われたが、劉備の親友とも言えるあの子が声を挙げる

 

公孫瓚「あのさ、私は呂珂、曹操に会った事ないからなんとも言えないが、桃香が味方したいと思う側に付けばいいさ。それを支えるのが私たちの役目だしな」

 

普段は北平の防備に就いているが、重要な軍議があると招集を受け参加していた。

最初から出席していたものの、影の薄さから認識してもらていなかったが、辺りが静かになりようやく気が付いて貰えたとは言えない

 

劉備「ハムちゃん…居たのに気が付かなくてごめんね」

 

ハム「待て待て待て!私良いこと言ったのにこんな扱いなのか!?そして、いまハムって言ったよな!?私たち親友だよな!?」

 

張飛「鈴々は白蓮の意見に賛成なのだ!それと、白蓮の扱いはいつも通りなのだ!気にするだけ時間の無駄なのだ!」

 

張飛の何気ない一言が公孫瓚の心にグサリと刺さり、そんな…そんな…と小声で繰り返し呟きながらバタンと倒れてしまった。張飛はなぜ倒れたか解らず、はにゃ?と不思議そうに倒れこんだ白蓮を見下ろしている・・・哀れ公孫瓚

 

 

 

劉備「私の味方したい方で…いいのかな」

 

公孫瓚の不遇で場が仕切り直しとなった今、劉備はこう発言する。本音を言えば、劉備は黄巾党で共に戦った曹操に味方したいが、民を危険にさらすわけにはいかず、決断する事が出来ない

 

韓当「桃香さまの懸念は解りますが、戦乱の世だからこそ語り合った友や、信じる人を救う為に動く事も、時には必要です。民の事は某達にお任せ下され」

 

韓当の言葉に続くように、伏竜・鳳雛の二人が、程普・魏延・徐栄が、張飛と・・・地べたに伏したままの公孫瓚が言葉を紡ぐ

 

劉備「みんな・・・ありがと」

 

 

 

 

 

 

 

 

劉備「私たちは袁紹さんの反連合を断り、曹操さんの味方に付きます!朱里ちゃんと雛里ちゃんは進軍経路、袁紹軍が妨害してくる可能性を考慮しての策を練って」

 

孔明・士元「御意です!」

 

劉備「焔耶ちゃん、程普さん、徐栄さんは軍備と調練を整えて下さい」

 

魏延「お任せください!」

 

程普・徐栄「御意」

 

劉備「鈴々ちゃんと韓当さんは民にこの事を知らせ、避難するように呼び掛けて下さい」

 

張飛「おうなのだ!」

 

韓当「鈴々の手綱はお任せくだされ」

 

 

公孫瓚「桃香・・・私だけ何も言われてないんだけど、忘れてたとかって事はないよな?私にもちゃんと仕事あるよな?」

 

伏せたままだった公孫瓚はようやく起き上がり、忘れないでくれ~~!と、涙目で劉備の足元に縋り付く。先ほどの出来事が完全にトラウマになっているようだ・・・

劉備は悪いことしちゃったかなと罪悪感を感じつつも、忘れてないよと公孫瓚への指示を言い渡す

 

劉備「白蓮ちゃんは兵站の確保と北平の防備も固めて」

 

公孫瓚「あぁ!私に任せろ!必ず桃香の命を完遂してみせる!」

 

 

ちゃんと認識されて嬉しかったのか、はたまた命を貰えて嬉しかったのかは解らないが、公孫瓚は喜びの余り走って軍議の間を勢い良く飛び出す。そんな姿を見て、劉備はクスっと笑いがこぼれた

 

劉備「まったく、白蓮ちゃんも自信持っていいのに。みんなが白蓮ちゃんの事を忘れるはず…たまに存在忘れるぐらいだから大丈夫、大丈夫」

 

フォローしているのか、トドメを刺したいのか解らない発言をしているが、見るものを笑顔にする天真爛漫な笑顔は無く、激戦を見据えた君主の顔へと変わり、静かに闘志を燃やし始める

 

 

劉備「私のわがままで、民やみんなを巻き込んでの戦が始まる。袁紹さんは大軍を引き連れて行ってるけど、予備兵力がこっちに向かってくる可能性は高い。誰が攻めてきても・・・この幽州の地は渡さないよ」

 

 


 
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