No.859438

Triangle Goddess! 第20話「その奥にいたのは」

Nobuさん

いよいよ、四使徒との戦いが始まります。

2016-07-20 06:22:43 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:337   閲覧ユーザー数:337

「瘴気もだんだんと濃くなっているな」

「悪魔が強くなりつつある、という事ですね……」

 洞窟の奥に進むにつれて、立ち込める瘴気も濃くなってきました。

 悪魔は瘴気を糧とするため、より一層悪魔が強くなっているという事です。

「ここは、慎重にかつ大胆に進まなければなりませんね」

 そう言いながら、ジャンヌは先頭に立って進んでいきました。

 すると、彼女の目の前に、宝箱がありました。

 ジャンヌが罠を確認した後に宝箱を開けると、中にはサファイアチャームが入っていました。

 これは、物理攻撃を軽減してくれるお守りです。

「大事に取っておきましょうね」

「ええ」

 ジャンヌは、サファイアチャームをポケットの中に入れました。

「お姉様、また宝箱ですよ!」

「おっ」

 ゲールが罠を解除した後、宝箱を開けると、そこには銀製の腕輪が入っていました。

 彼女はそれを、打たれ弱いバイオレットに渡しました。

「ありがとう、お姉ちゃん」

「どういたしまして」

 その後、三女神とトールは歩き回りながら、次々と道具を発見していきました。

 ポーションやマジックアンプルなどの回復アイテムや、ポイズンボールなどの攻撃アイテムなど……。

「一体誰が残したんでしょうか?」

「多分、ここで散っていった奴らだろう」

「……」

 トールの言葉を聞いたゲールは、静かに祈りを捧げました。

 

 そして2分後、ついに三女神とトールは洞窟の最奥に辿り着きました。

 そこにいたのは……。

 

「土のミリオーネ……!」

 マザー教団の四使徒の一人で、派手なメイクが特徴的な魔導師、土のミリオーネでした。

「よくアタシの困難を乗り越えてきたザマスね」

 土のミリオーネは高笑いしました。

 それを聞いたバイオレットは苛立ちました。

「あんたが、悪魔を召喚して洞窟をおかしくした奴だね! 許さないよ!」

「許す許さないは勝手ザマス。そ・れ・よ・り・も、これを見るザマス!」

 土のミリオーネは三女神の話を聞かず、懐から杖を取り出し、呪文を詠唱しました。

「翼持つ獣の姿したる悪魔よ、契約者の名において命ず。出でよ! カルキドリ!!」

 呪文の詠唱が完了し、土のミリオーネが杖を振ると同時に、目の前に異形の魔物が現れました。

 角があり、異形の翼を生やした下級の魔神、カルキドリです。

「果たしてコイツに勝てるザマス? ホーホホホホホホ!!」

 土のミリオーネは、カルキドリの後ろに隠れました。

 

「キーーーーーーーーーキッキッキッキッキッ!!」

「……来ますよ!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレット、トールと、カルキドリの戦いが始まりました。

「将を射んと欲すればまず馬を射よ! エアリアルブラスト!」

「イヤーッ!」

 ジャンヌは、カルキドリを召喚した土のミリオーネを風の能力で攻撃しました。

 土のミリオーネは風に叩き付けられ、大きなダメージを受けました。

「よくもやったザマスね! ファイアボール!」

「危ない! シャドウエッジ!」

 土のミリオーネのファイアボールがぶつかる直前で、

 バイオレットが影の能力を使ったため、その能力は打ち消されました。

「キィーッ! カルキドリ! あの小娘をぶん殴るザマス!!」

「キェーーーーーキェキェキェキェキェキェ!」

 土のミリオーネの指示に従うかのように、カルキドリはバイオレットに襲いかかりました。

「きゃーっ!」

 カルキドリの一撃は、バイオレットにそれなりの傷を負わせました。

 腕輪を持っていたので、僅かにダメージを軽減する事はできました。

「よくもぉ! シャドウエッジ!」

 バイオレットは影の能力で反撃しましたが、カルキドリには傷一つつきませんでした。

「……カルキドリは強い、か。だったら、カルキドリよりもそいつを操ってる奴をぶっ潰さなきゃなぁ!」

 そう言い、トールはミョルニルを構えて土のミリオーネに突進していきました。

「ウィンドカッター!」

「うぐおぁ! だがなぁ……食らいな! 渾身撃!」

 しかし、土のミリオーネが、攻撃が届く前に風魔法を使ったため、

 トールはかなりのダメージを受けました。

 それでも、ミョルニルが土のミリオーネに届き、彼に効果的なダメージを与えられました。

「トール、大丈夫ですか! ヒールライト!」

 ゲールが、トールの減った体力を治癒魔法で回復させました。

 トールは「助かる」と言い、ミョルニルを構え直しました。

 

「しっかし、なかなか攻撃が届かねぇな……」

「ええ……」

「ここは、一気に決めるしかないか?」

 トールが力を溜めようとした、次の瞬間。

「キーーーーーーーーーーーッキッキッキッキッキッキッ!」

「うわおっ!?」

 カルキドリが、トールに魔法を放ってきました。

 トールは反応できずにダメージを受けてしまいました。

「面白い、やってやろうじゃねぇか! はああああっ!」

 トールはミョルニルをカルキドリに振るい、ダメージを与えました。

 

「あいつをぶっ倒せばいいだけだ。集中しな!」

「「「はい!(うん!)」」」

 三女神とトール、土のミリオーネとカルキドリの攻防は続きました。

 ジャンヌの風の能力を土のミリオーネはかわし、反撃とばかりに魔法をぶつけました。

「ファイアボール!」

「きゃあああああ!!」

 油断したジャンヌは、大ダメージを受けてしまいました。

「だ、大丈夫ですか、お姉様!」

「まだ、踏み止まっています……。ですが、あの攻撃は……」

「カルキドリも土のミリオーネも強いだろ? でもよ……どっちがマスターだか分かるか?」

「あっ!」

「だったらまずは、土のミリオーネを潰さなきゃなあ!」

 そう言うと、トールは土のミリオーネに突進していきました。

「邪魔はさせないザマス! アイスニードル!」

「うぐぁっ!」

 途中、土のミリオーネの氷魔法を食らってダメージを受けましたが、怯まずに突っ込んでいきます。

「なっ! なんで倒れないザマス!?」

「悪いが……オレはちょっとやそっとじゃ倒れないんでね!」

 そして、ミョルニルに雷の力を込め、

「食らいな! 蒼天の……霹靂!!」

 一気に振り下ろして土のミリオーネを攻撃しました。

 

「やったか!?」

 しかし、土のミリオーネはまだ倒れていませんでした。

「よ……よくもやったザマスねぇ……!」

 土のミリオーネのメイクは、ところどころ剥がれていました。

「このアタシの美しい顔に傷をつけるなんて……なんて不届き者ザマス!!」

「不届き者なのはあんたの方じゃねぇか?」

 土のミリオーネは怒り狂いました。

 ですが、トールは動じず、彼を挑発しました。

「何にしろ、相手の体力は残り僅かだ! 一気に攻撃しろ!」

「分かりました!」

 残り僅かな体力のジャンヌは、力を振り絞って風の力を練り上げました。

「風よ……全てを吹き飛ばせ! テンペスト!!」

 ジャンヌは、全てを吹き飛ばす風の力を、土のミリオーネに一点集中させて叩き付けました。

「ぎゃああああああああああああ!!」

 土のミリオーネは防御しようとしましたが、神の力に人間が耐えられるはずがなく、

 土のミリオーネはズタズタに切り裂かれました。

「よ……よくも、よくも、このアタシを……」

 土のミリオーネはボロボロになりながらも、這いつくばってジャンヌ達のところに近付きました。

「しぶとい……! 今度こそとどめを……!」

「いや、刺す必要はねぇよ」

「何故?」

「ほら、見ろよ」

「え?」

 三女神が見ていると……。

 

「キ……キェキェキェキェ……キェキェキェキェキェキェ……」

「な、何をするザマス……!?」

 カルキドリが、じりじりと土のミリオーネに迫っていました。

 

「な……なんで……!?」

「きっと契約を果たせなかったからだろうな。オレ達を殺す、っていう契約をな」

「じゃ、じゃあ、ミリオーネは……」

 バイオレットが口を開くと同時に、カルキドリは土のミリオーネの体を掴みました。

「い、いや……アタシはまだ……」

「キェキェキェキェキェキェ……」

「生きたいザマスーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 土のミリオーネの叫び声と同時に、カルキドリはテレポートで姿を消しました。

 きっと、魔界に戻っていったのでしょう。

 

「契約を果たせなきゃ、悪魔は召喚した奴を生贄にするんだよ」

「……」

 自業自得だ、とゲールはこの時思いました。

 すると、洞窟の中から瘴気が消えていきました。

「よかった……。洞窟が元に戻りましたね」

「それじゃ、そろそろ戻ろうぜ」

「ええ!」

「……それでは皆様、手を繋いでください」

「分かった」

 ジャンヌは転移魔法を唱え、この洞窟を脱出しました。


 
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