夏の出来事 呉ver
~小恋姫たちの七夕~
呉城の一角
「ここから外へ出れます。」
「おぉ、こんなところがあるなんて知らなかった。」
「よくやった!」
「けど、本当にやるんですか?」
「やらないといけないのです!」
「そうです~。」
「・・・・・・・わかりました。」
「では、さっそく出発するわよ。」
「ほ、報告します!」
「どうかした?」
白い輝く衣を身にまとい、机に向かう一人の男。
威厳といったものは一切感じられないが、この者こそ呉の父と呼ばれ乱世を平定した功労者の一人、北郷一刀ある。
「ひ、姫様たちが見当たりません!!」
「・・・・・・・・・・・はい!?」
「おそらく城外にでたものかと!」
「急いで探すぞ!」
「はっ!」
姫様、その言葉が表すもの・・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・
「孫登たちがいなくなったですって!?」
「申し訳ありません蓮華さま。甘述も同じく。」
「周卲もです。」
「黄柄もおらん。」
「陸延も消えちゃいましたねぇ~。」
「呂琮もいません。」
「「「はぁ~~~~~。」」」
この現状に誰もが長いため息を吐く。
気持ちを切り替え、蓮華は兵達に指示をだす。
「いくら平和になったとは言えまだ賊などがいる。変な事を考える輩もいないとは限らない。早急に探しだぜ!」
「「「御意!」」」
兵達が一斉に走り出す。
「まったく、見つけたらお仕置きね。・・・・・・・・・そういえば一刀は?」
「あやつなら、いの一番に兵を引き連れ探しにいかれました。ですから、この場にも来ておりません。」
「まったく上に立つ立場ならもう少し落ち着いてほしいのだけれでも・・・・・・・でも、これはこれで嬉しいことかしら。」
「・・・・・・・単に親馬鹿なだけです。」
「顔を赤くしながら言っても説得力ないわよ、思春。」
「そ、そんなことありません!私のどこが赤いのですか!?」
「ふふふふ・・・・・・・もう少し甘述みたいに素直になったら?」
「それは無理な話です。」
「まったく難儀な性格ね。」
「う、生まれつきです。」
「蓮華さま!私たちの準備も出来ました!」
「ええ、では私たちも出かけるとしましょう。」
「まるで狩りにでかけるみたいですね。」
「仕方が無かろう。仮にも儂らの娘はそれなりに重要な存在じゃ。」
「ですねぇ~。それに何度と振り回されてますからぁ。」
「まったく、本当に姉さまに似てきて大変だわ。」
言葉とは裏腹に、母の笑顔になっている蓮華。
「まったくじゃ。」
同じく笑顔の母親達。
「では、私たちも行くわよ!」
兵達に続き、呉の母たちが出発した。
その頃の姫様はというと・・・・・・・・
「この先でいいのね?」
ピンクの綺麗な髪を風になびかせ、先頭を歩くのは、
呉王・蓮華の娘 名を孫登
蓮華を母様 一刀を父様と呼ぶ。
真面目な母と違い、自由奔放で雪蓮と似ている。
「はい。このまま進めば夕刻にはつくかと。」
その孫登の脇を歩くのは、親子二代にわたり親衛隊をつとめる、
思春の娘 名を甘述
思春を母上 一刀を父上と呼ぶ。
真面目で、母より素直で一刀を父として尊敬している。
「しかし、凄く山奥まできたね。」
一人楽しそうに辺りを見回しながら歩いているのは、
祭の娘 名を黄柄
祭を母 一刀を父と呼ぶ。
この中では一応お姉さん的位置だが、本人の性格が母と似ているため自由奔放というか豪快。
「はじめてきましたぁ~。」
「この先に目的地があるのですか。」
「大丈夫ですか?」
そして、最後尾で仲良く手を繋いで歩いているのは、
穏の娘 名を陸延 穏をお母さん 一刀をお父さんと呼ぶ。
明命の娘 名を周卲 明名を母(かか)さま 一刀を父(とと)さまと呼ぶ。
亞莎の娘 名を呂琮 亞莎を母さま 一刀を父さまと呼ぶ。
延は母と同じくもの凄く穏やかなマイペースナ子で、
卲は好奇心旺盛でとても元気な子、
琮は一番常識人で真面目な子である。
「大丈夫よ。帰ったら怒られるかもしれないけど、願い事一つと引き換えなら安いものよ。」
「そうです!願い事に比べたら怒られるのはどうってことないです!」
「それもそうですけど。」
「それに~お父さんは怒らないと思うよぉ~。」
「父上は私たちに優しいからな。」
「それは、そうかもしれませんが。」
「なら、目的地に向かって真っ直ぐ歩くのだ!」
「・・・・・・・わかりました。」
「どうしたの、亞莎?」
「いえ、今呂琮がもの凄く疲れている感じがします。」
「それはそうかもしれないわね。母親と同じで周りが見えている子だから。」
「私はそんな事ありません。それに、もう少し子供らしく無邪気になってほしいと私は思っています。」
「その気持ちはわかるけど、単純に母親に似たのだからそこは喜びなさい。」
「そのようなものでしょうか。」
「そのようなものよ。」
「ほ、報告します!」
兵がもの凄く汗をたらしながら、蓮華たちの元へやってくる。
「どうした見つかったか?」
「そ、それが、町の者や周囲の邑の者からの話によると、ここより南方にある山に向かったとのことです。」
「山?」
「はい。北郷さまはその報を聞くやいなや、私に伝令を任せ向かわれました。」
「そうか、わかった。もう休んでよい。」
「はっ!」
「山ね・・・・・・どう思う?」
「ん~何かそこに目的があるのでしょうかぁ?」
「目的ね・・・・・・。」
「ここより南方の山々には熊はでませんが猪が多いと聞きます。あとは天気が変わりやすいといったところでしょうか。」
「猪あいてなら問題なかろう。」
「はい、問題ありません。」
「難なく倒せる。」
「それは祭さまたちの娘だから言えるんです!」
武官三人の意味不明な自信に、亞莎は自分の娘に思いをはせるのであった。
一応、私も武官みたいなものですが・・・・・・・・・呂琮、こんな時に母はあなたを応援することしかできません。・・・・・・・・頑張ってください。
その頃
「だから、大丈夫かって言ったんですよ~!!」
「そうですねぇ~、これは大変ですぅ~。」
「あはははは、追いかけっこは楽しまなきゃ!」
「孫登さまは、もう少し危機感を覚えてください~!!」
お約束というか何というか、姫様たちは猪に追いかけれていた。
「どうするんですかぁ~?」
「いやぁ~~!!」
「もう少ししたら甘述たちが何とかしてくれるわ!」
その時、木の上から黄柄が飛び降り
「覚悟しな!」
猪の上にまたがり、視界を布で遮る。
すると猪は驚き向きを変え、逆走を始めるのだが、
その先に立っているのは大きな木の棒を構えている甘述と周卲。
「こい!」 「こっちです!」
そして突進してくる猪の頭めがけて、
木の棒を振りぬいた。
「でぇい!」 「てぇい!」
頭に衝撃を受けた猪は目を白くし、その場に倒れこんだ。
「生きているのでしょうか?」
「大丈夫ですぅ。気絶しているだけですよぉ。」
「父からは無駄な殺生をするなと常日頃言われているからね。」
「暫くすれば目をさます。」
「楽しかったです!」
「ですけど、布で視界をふさいだ時点で私たちは助かったのですから、ここまでする必要があったのでしょうか?」
「あるわよ!逃がして、はい終わりなんて私の気がすまない!」
そう胸をはる孫登。
そして孫登に同意する武官三人の娘達。
「呂琮ちゃん、いい加減馴れないとぉ~風邪ひいちゃいますよぉ~。」
「・・・・・・・・・・・はい。」
その頃、一刀は必死の形相で兵を引き連れ、捜索をしていた。
「どこだあぁぁぁぁぁ!!」
母親達はというと
「ん?」
「どうなさいましたか?」
「雨かしら・・・・・・・。」
「今度は雨ですかぁ~!!」
「泣いても何もはじまりませんよぉ~。」
「あはははは、急いで雨宿りよ!」
「わかった!」
「急ぐです!」
「急ぎましょう!」
姫様たちの受難は続く。
雨が上がったのは夜になってから。
雨雲は晴れ、綺麗な星空が並んでいた。
「まだなの?」
「もう少しです。」
「つ、疲れました。」
「なさけないな。」
「ですけどぉ~さすがに疲れましたよぉ。」
「見えました!」
山の頂上。
そこにあったのは、
とても雄大な一本の竹。
竹が一本で生えていることは、とても珍しいこと。
しかも、その竹があるところは他に遮蔽物がなく、
天の川がよく見える。
「へぇ~凄いわね。」
「はい。」
「大きいですね。」
「でわ、早速やりましょうかぁ~。」
「はいです!」
「ちゃんと、持ってきただろうな?」
皆が皆、一枚の木の板を出す。
そして身軽な周卲が竹の枝に一個一個つけてゆく。
「これで、完成かしら?」
「後は叶えてくれるように願うだけです。」
「ですねぇ~。」
「はい。・・・・・・・・・でも、綺麗ですね。」
「天の川がこんなに近いです。」
「母がいたらなら絶対此処でお酒を呑むな。」
「儂がなんだって?」
「「「!!」」」
皆が背中に嫌な感じを受ける。
そして、その声がした方向におそるおそる目を向けると・・・・・・・
「やっと見つけたぞ。」
「まったく心配をかけないでください。」
「お仕置きです。」
「さすに、心配をかけすぎましたからねぇ。」
呉の母親たちが立っていた、
そして、
「まぁ怒るのは、理由をを聞いてからでも遅くはないって。」
呉の父と
「甘いぞ。仮にも王族や将の娘だ、いくら子供だからといって許せるものではない。」
呉の王が立っていた。
「孫登。」
「・・・・・・・・・はい。」
「お前は次期呉王。それが何をしているのだ?」
「・・・・・・・。」
下を向く孫登。
「皆に心配をかけ、自分の立場がわかっているのか?」
「・・・・・・・。」
そして涙目になっていく。
「お、お言葉ですが蓮・・・・・・・・「黙っていろ。」・・・・・・・・・はい。」
甘述が何かを言おうとするが、母親である思春に止められる。
「黙っていないで何か言ったらどうだ?」
「・・・・・・・。」
ずっと黙っている孫登。
「なぁ、蓮華。」
一刀が口を開く。
「どうかしたか?」
「許してやろう。」
「甘いぞ一刀。お前も父親として・・・・・・・・「これ見て。」・・・・・・・・?」
一刀は竹についていた木の板に気付き蓮華に見せる。
そして、そこには
【 父様と母様と一緒に遊べますように 孫登 】
そう書いてあった。
「まさか、このためにここまで来たの?」
驚きを隠せない蓮華。
一刀は頷き、孫登の前に座る。
「七夕の話聞いてたのかい?」
「・・・・・・・うん。」
一刀は日本で言う七夕の日、ふいに思い出し口にしていた。
だが、その時は部屋に蓮華と思春しかいなく、
三人とも仕事をしていたので誰も気にもとめていなかった。
盗み聞きしていた孫登を除いて。
「そっか。ここは自分で調べたのかな?」
「・・・・・・・・違う。皆で調べたの。願い事を叶えてくれる日だって聞いたから・・・・・・・。」
「そんなに遊びたかったのか。」
「・・・・・・・・だ、だって、いつもお仕事してるし・・・・・・・でも、大事な事だってわかってるし・・・・・・・私だっていつか・・・・・・・母様や父様みたいに・・・・・・・・・・・・呉の国を背負ってゆくから・・・・・・・・・・だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「我慢してたけど、出来なくなくなっちゃったか。」
「・・・・・・・・うん。」
「どうする蓮華?」
「・・・・・・・・・そんなの聞かなくてもわかるでしょ?・・・・・・・・・・・孫登。」
「・・・・・・・・はい。」
「あなたは次期呉王として立派にしてたのね。でも、あなたは何よりも先に私と一刀の娘でしょ?だったら、遊びたいなら一言言ってくれれば良かったのに。」
「・・・・・・・・でも・・・・・・でも!」
「私はあなたの母親よ。呉の王よりも何よりもね。」
「・・・・・・・・・・母様!!」
孫登は大声で泣き出し、蓮華にしがみつく。
「今回の事は駄目なことだったけれど、ちゃんと考えて我慢してたのは偉いわ。さすが私と一刀の娘ね。」
「母様、父様・・・・・・ごめんなさいぃぃぃぃ!!」
そんな孫登を見て、娘達皆が泣き出し母親にしがみつく。
子供たちの泣き声が夜空に響く。
そして、母親と父親の優しい笑顔を天の川だけが見ていた。
帰り道、孫登は泣きつかれ寝てしまった。
今は一刀に背負われている。
「まったく今回の事には驚かされたわ。」
「まったくだ。」
「ねぇ、一刀。」
「なんだい?」
「私は母親として正直なところどうなのかしら?」
「正直なところって?」
「ちゃんと母親として上手くやっているかどうかよ。変な言い方だけど。」
「出来てるよ。それは俺が保障する。最高の母親だ。」
「・・・・・・・・ありがとう。・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、一刀。」
「・・・・・・・・な・・・・・・・・ん!・・・・・・・ちゅ。」
不意に唇と唇が重なった。
「お礼よ。」
「俺にとって最高のご褒美だね。」
「馬鹿なこと言わないで。・・・・・・・一刀も最高の父親ね。」
「ありがたく受け取っておく。」
「母様・・・・・・・父様・・・・・・・・。」
「どんな夢をみているのかしら。」
「きっと一緒に遊んでいる夢だよ。」
「夢にはさせないわ。」
「そうだね。」
風が吹き、竹が揺れる。
皆の願い事が書いた板も揺れる。
母が子をあやすかのように。
七夕に起きたとある夏の物語。
完
おまけ
この先は他の娘たちの願いと母親との会話です。
一人一人は、短いですがどうぞ。
甘述編
【 父上と母上が仲良くなりますように 甘述 】
「甘述・・・・・・・・。」
「・・・・・・・はい。」
「勘違いをするな。」
「・・・・・・・?」
「私は呉の将として、あやつと接しているだけだ。仕事に私情を持ち込むわけにはいかん。」
「・・・・・・・。」
「決して仲が悪いわけではない。そして、あやつの事が・・・・・・・嫌いな・・・・・・・わけでもない。」
「・・・・・・それはわかってます。」
「なら、どうしてこんな願いを書いた?」
「母上は父上の事を、あやつとしか呼びません。そして決して好きとも言いません。娘の私の前でも・・・・・・・・それが嫌です。」
純粋で真っ直ぐな瞳。
その瞳が思春を一心に見つめる。
「・・・・・・・・・はぁ。」
この瞳や性格は父親そっくりだな。
「母上・・・・・・・。」
「甘述。」
「はい。」
「お前の父親はこちらが何かをすると、直ぐに調子にのる。それが私としても嫌だ。」
「・・・・・・・はい。」
「だからこの事は母と娘の秘密だぞ。」
「・・・・・・・?」
「私は一刀の事を愛している。」
この時、思春が母として一番の笑顔になっている事は甘述以外誰も知らない。
「!!」
「わかったか?」
「はい!」
黄柄編
【 父と母を守れるようになれますように 黄柄 】
「儂を守るということは、強くならなくてはいかん。」
「わかってる!」
「これからも修練をかかすでないぞ?」
「うん!」
「しかし、それはこれからまだ先の事じゃ。武はすぐに磨けるものではない。」
「・・・・・・・・。」
「それがわかっておるなら、願うのではなく修練を・・・・・・・・「今すぐなりたかった。」・・・・・・・・なぜじゃ?」
「そしたら、父と母のお仕事が減って一緒に遊んだり買い物したり出来ると思ったから。」
「かあぁ~、我が娘ながら愚かじゃのう。」
「な、なんで!」
「良いか黄柄。儂らの仕事が減るということは、黄柄の仕事が増えるということ。そうすれば黄柄が忙しくなり逆に遊べなくなるわ。」
「あ・・・・・・そう言えばそうだった。」
「それに儂の娘なら、変なところで遠慮をするでない!まったく、いらんところで父親そっくりになりおって。」
「父と似てる?」
「あぁ、そっくりじゃ。」
祭が優しく黄柄の頭を撫でる。
「良いか、儂の娘なら、誰よりも強く誰よりも優しく皆を引っ張ってゆけい。」
「うん!」
「そして、これが一番重要じゃ。」
「・・・・・・・?」
「誰よりも元気での。」
「任せて!!」
「わかったなら、早速父親のところに行くとするか。」
「どうして?」
「遊ぶために決まっておる。」
「うん!」
周卲編
【 父さまと母さまと一緒にお出かけしたいです。 周卲 】
「お出かけですか。」
「母さまが聞かせてくれるお話は、母さま達が戦っていたころの別の国の別の土地に潜入するお話とかです・・・・・・・。」
「そうですね。私はそういうお話しかしていませんでしたね。」
「だから行ってみたいです!遠い遠いところに!」
「・・・・・・・・・・・・。」
「母さま?」
「嘘はいけません。」
「!!」
「本当のお願いは何ですか?」
「嘘じゃないです・・・・・・・・・・嘘じゃないです。」
「お出かけしたいですか・・・・・・・・ずっと一緒にいたいの間違いですね。」
「・・・・・・・・・・・。」
「周卲・・・・・・・どこに行きたいですか?」
「・・・・・・・・・・どこでもいいです。父さまと母さまがいてくれたら・・・・・・・・どこでも・・・・・・・。一緒にいれたら・・・・・・・。」
「わかりました。蓮華さまに言って三人でどこかに行きましょう。」
「我が侭でごめんなさい・・・・・・・・・。」
「いいのです。もっと素直になるべきなのです!」
「母さまが父さまに告白した時みたいにですか?」
辺りの空気が静まりかえる。
「!!!!!・・・・・・誰から聞いたのですか!?」
「祭さまです。」
「いいですか周卲!今すぐ忘れるのです!」
「・・・・・・・・・嫌です!!」
笑顔で元気に駆け出す。
「周卲~~~~~!!」
陸延編
【 お父さんとお母さんと一緒にご本が読めますように 陸延 】
「そう言えば無いですねぇ。親子で本を読んだことがあるのは。」
「ないですぅ。」
「ちなみに何が読みたいのぉ?」
「何でもいいのぉ。お母さんの膝に乗ってお父さんに読んでもらうのぉ~。」
それなら、だんな様を陸延の前で襲うことはないかもしれませんねぇ~
「わかりましたぁ。だんな様に言ってみましょう~。」
「駄目。」
「どうしてですか?」
「お母さんの言ってみるかは当てにならないのぉ~。」
よく見てますねぇ。確かに言われてみればそうですね。
「ではでは、今から一緒に行きましょう~。」
「そうしましょう~。」
だんな様と私の娘は完璧に私に似てしまいましたねぇ~。
頑張ってください~・・・・・・・・・一刀さん。
呂琮編
「・・・・・・・・呂琮。」
「なんでしょうか?」
「何故、何も書いていないのですか?だんな様から聞きました。これは短冊を真似たものらしいですね。そこに願い事を書くはずなのに、何故あなたは何も書いてないのを吊るしているのですか?」
亞莎の娘、呂琮の短冊には何も書いてなかった。
ただ、すみに名前が書いてあるだけ。
「特に願い事がありません。」
「本当に?」
「・・・・・・・・はい。」
「あなた達を探しているとき蓮華さまとこういうお話をしました。呂琮は私に似て周りを見ている子だって。蓮華さまは親子で似ているのだから喜びなさいとおっしゃっていました。ですけど、私はもっと何も考えずにただ遊んでいてほしいと考えています。呂琮・・・・・・・・・・あなたは何がしたいのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・私は何もしたくありません。」
「何もしたくないのですか?」
「はい。何もしたくありません。」
「どうしてですか?」
「私は一人でいるのが好きです。孫登さま達と遊んだり、母さまの言うとおり子供として遊ぶのよりも一人で何もしないでいるのが好きだからです。」
「だんな様がそれを聞くと悲しみますよ?」
「!!」
呂琮の体がこわばる。
「だんな様だけではありません。私も母親として悲しくなってしまいます。」
「・・・・・・・・・・・。」
「呂琮、あなたは頭が良いです。とても良いです。そは親としてとても喜ばしいことですが・・・・・・・・・呂琮、あなたは自信がないのですか?」
「・・・・・・・・・・。」
「だんな様は皆様のだんな様です。皆の父親です。自分がそのうちの一人で娘であることに自信がないのですね。色々なことを考えてしまって遊んでもらえるか自信がないのですね。」
「そんな事ありません。」
「では、何故今日の七夕に参加したのですか?」
「・・・・・・・・・・・。」
「願い事を叶えたかったのでしょう?遊びたいと思ったからでしょう?・・・・・・・・違いますか?」
「・・・・・・・・・・・。」
「私もそうでした。」
「母さまも?」
「はい。自分に自信が持てませんでした。私は蓮華さまよりも綺麗ではなく、思春さんよりも強くもなく、明命よりも可愛くもなく、祭さまよりも料理もできなく、穏さまよりも仕事もできませんでした。何の取り柄のない私を勇気づけてくれて自信をつけてくれたのがだんな様です。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「だんな様は皆に優しく愛してくれます。だから呂琮も自信を持っていいのですよ。あなたはだんな様と私の娘です。ちゃんと遊んでくれます。だんな様を独り占めしたいと思ったときは私に一言言ってください。」
「・・・・・・・・・・・・・いいの?」
亞莎の袖を掴む呂琮。
「・・・・・・・・・・・・・はい。素直に自信を持ってください。」
静かに頭を撫でる亞莎。
そして、
「母さま?」
呂琮をそっと抱き上げる。
「だんな様のとこに行きましょう。」
「・・・・・・・・・・・・うん。」
この後、一刀は娘一人一人の願い事を母親の願い事を聞くことになる。
そして、一刀は願い事を叶えてあげるのだが・・・・・・それはまた別の話。
完
作者の言い訳コーナー
七夕の話を思いつき書き始めたのは良いが気付いたら昨日がすでに海の日を過ぎていた。
本当に自分の計画のなさを反省している。そしてこの反省を次に生かせるかというと、えっと色々な諸事情との兼ね合い次第です。
今回の作品は、本当に思い付きです。まぁ後悔はしてはないけど、反省はしています。
夏だ!!みたいな形で書いた、駄文だと思ってください。
本当に読んでくださった方々には感謝しています。
まぁこれから夏のイベント系を書けたらなとは思ってます。
呉の親子の海とか、蜀の夏祭りや22日にある皆既日食など月食だっけか?のネタ。
魏ではお盆の話、花火大会みたいなのを考えていますが・・・・・・・・
どれが採用にされてボツになるかわ、作者の妄想力次第と言うことでお願いします。
長編はどうなった?(汗)
それはそのぉ頑張ってます(汗)
読者の皆様からもこんな作者でよければネタを提供してください。
では、また・・・・・・・・いつか会う日まで!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最近、夏バテ気味です。
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