No.850101

Dear My Friends!第2期 第5話 国境の山を越えて

enarinさん

※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。
現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第5話です。
☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。     

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2016-05-28 20:36:23 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:1086   閲覧ユーザー数:1086

(明朝 クリプトン王国とインタネ共和国の国境付近 ヴェロス峠の宿の前)

 

 あの出来事から一晩経過した明朝、テル達は城からの出発時と同じく、早めの行動を取っていました。山登り~インタネ共和国内で使用できる馬車をチャーターし、朝食をとれなかったため宿の人に頼んで、朝食と昼食用にサンドイッチを多めに作ってもらい、各自手持ちバッグに詰め込むと、馬車に乗り込んで、国境の山『ヴェロス山』を登り始めていました。

 ガタン ゴトン

 

イア:・・・・・・・あいつら、やっぱりツケていますかね?

リン:とりあえず周りには、それらしい人影はいないみたい

テル:イアの反応はそのバッジを付けたことで消えないから、近づくような危険な事はしないだろう。それに向こうの世界の機械を持っているということは、安全に尾行出来る機械か乗り物を持っている、とも考えられるしな

イア:まさか“ステルス装備”までは持ってないと思うけど…

リン:すてるす?

イア:簡単に言うと、着ると周りの風景にとけ込んでしまって、姿を見ることが難しくなる装備。私がいた世界では、まだ完全なステルス装備はなくて、あっても、ステルス戦闘機とかに使われている位。しかも原理もちょっと違うしね

テル:なるほど。だが、その“ステルス”に近い魔法は、既に前の事件の時に、我々が使っている。今、使ってないのは、魔力を温存しておきたい事と、マーカーがある以上、ステルスしても逃げられないと思ったからだ

イア:あるんですか、こっちに?

リン:うん、そう言えばアフス城に忍び込む時に使ったね

テル:彼らも持っていると考えるのが安全策だが、彼らも使う必要性は感じてないだろう。そのバッジはソレくらい効果のあるアイテムだ

イア:とにかく、こちらにも目的はあるし、今日中にここを越えて、インタネ共和国に入らないと行けないし、先を急ぎましょう

テル:そうだな、インタネ共和国の方の検閲で引っかかってくれる事を祈ろう

 

 こうして、3人は馬車を走らせ、山道を越えていきました。

 

 ところで、その三人組ですが…

(朝 ヴェロス峠のテルとは違う宿)

 

 ピ・・・ピ・・・ピ・・・

 

 彼らは、イアにつけて置いたマーカーバッジの信号を、ノートPCでキャッチして、追跡していたのでした。

 

ゆうま:なるほど、朝早く行動して、あの山を登っているわけだな

ミズキ:この行動から考えて、多少の警戒はしているけど、基本的に自分たちの目的を最優先にしたわけね

りおん:ね~ミズキ~、今からでも遅くないよ、奇襲をかけて、さっさとあの娘を奪っちゃおうよ~。大魔導師のテル相手でも奇襲だったら勝てるよ~

ミズキ:いや、このまま追跡する。この山を越えて先へ進むって事は、目的地は“インタネ共和国”だ。今、奇襲をかけるより、インタネ共和国に入った後の方が確実だ

ゆうま:でも、警護は厳しくなるぞ?

ミズキ:今は移動中だから、テルやお付きは、あの娘を厳しめに警護しているが、目的地に入った後、ずっと警護しているとは思えない。単独になった所をステルス潜入で捕まえる方が、後々の脱出行動がしやすいからね

りおん:さ、さすが戦略家!

ミズキ:誉めても何も出ないよ。それよりゆうま、向こうとこっちの距離は?

ゆうま:うーん、大体、10km、高さで200m差ってところかな。結構彼ら、山を登ってきているよ

ミズキ:そうか。では、そろそろこっちも出て、追跡を再開するかな。くれぐれも“近づきすぎない”ようにな

りおん:近づきたくても、アチシ、山登りは苦手なのだ

ゆうま:だが、我々も今日中に山を越えて、インタネ共和国に入らないといけないから、あんまりノンビリも出来ないな

ミズキ:では、出発!

 

 こうしてこの三人組もランチ用のサンドイッチを作ってもらい、ヴェロス山を越えるため、出発したのでした。

(昼 ヴェロス山 頂上付近)

 

 テル達3人は、お昼の休憩をしていたのでした。馬車を止めて貰い、そこら辺の切り株に腰掛けて、作ってもらったサンドイッチを頬張ってました。

 

イア:サンドイッチ、美味しいですね!

リン:うん! 美味しいね!

テル:パクッ、うん、美味い。さすがに山の頂上には施設がないから、お弁当を作ってもらって正解だな

 

イア:実は私の世界では、人力での山登りでも車での山登りでも、施設って結構あるところもあるんですよ? というか、そういう登ってくる人相手の商売って、結構儲かるそうです

リン:へぇ~、そうなんだ。登る人には便利で、売る人にも便利そうだね

テル:うむ、そういう面では、そっちの世界が羨ましいな。こっちは、峠では問題ないのだが、なんだかんだで登った先では不便だからな。山登りなんて、素材集めとか目的地への通過点、といった感じだから、食材を運ぶのに大変な頂上とかには、ご覧の通り、何もないからな

イア:ちょっと意外でした。こういう世界だからこそ、山登りとか自然とふれあうレクリエーションが多いと思ったんですが…

リン:でも、平原での食事会とかはあるよ? あとルカ姫とかが良くやる山に入っての冒険とか

イア:私の世界の国では、そういうのこそ無くて、むしろ山に冒険なんて、禁止されてますよ

テル:そう言うところを、ルカ姫にも守って貰いたい所なのだが…

 

イア:パクッ、モグモグ、ごくん。はぁ、美味しかった。ではそろそろ出発しましょうか

リン:そだね。今日中に到着しないとね

テル:よし、出発するか

 

 こうして、食事と休憩と雑談も終わり、テル達はまた馬車に乗り込み、今度は山下りを開始したのでした。

(昼 ヴェロス山 頂上付近)

 

 一方、その頃、あの三人組は、テル達とはちょっと離れたところで、休憩を取ってました。

 

 ピッピッ・・・・・

 

ゆうま:もぐもぐ、ん? 彼ら、出発したな

ミズキ:パクパク、あら、結構短い休憩だったのね

りおん:ガツガツガツガツ・・・・・・

 

 ポンッ

 

 ゆうまは、りおんの肩をポンと叩くと、一声かけたのでした。

 

ゆうま:りおん、そろそろいくよ

りおん:ガツガツ、え~、もうちょっと休もうよ~、久々の登山で疲れてて…

ミズキ:疲れている人は、ガツガツお弁当を食べられません。追跡しながら出発します

りおん:あーあ。あ、そういえば、ターゲットをさ、“あの娘”って言うのもなんだから、素材の名前の“イア”って呼ぼうよ。可愛いし

ゆうま:そうだな、素材が“イアちゃんフィギュア”だからな

ミズキ:わかった。今度からはターゲットを“イア”と呼ぶ事にする。では出発!

 

 こうして、この三人組も、ある程度の距離をとっての追跡を再開したのでした。

 一方その頃のアペンドのパーティーですが・・・・・・

 

(午後 下山中のダイナム山山道)

 

 ゴトン ゴトン

 

 アペンド、レン、ルカ姫を乗せた山道用の馬車は、比較的ゆっくりと山道を下っていました。そのゆったりさも相まって…

 

ルカ姫:(うとうと……ぐー)

 

 ルカ姫は、どうも眠気に弱いのか、まだうとうとしてました。でも登っているより危険な“山道を下っている”最中なので、アペンドが肩を叩いて起こしました。

 

アペンド:ルカ姫、寝てると危ないです。ちゃんと起きていて下さい

ルカ姫:むにゃむにゃ…、いや~、なんかのんびりしていて、ついつい…

アペンド:ついついじゃないですよ。今は山道なんですから、気を付けないと

ルカ姫:ごめんごめん。あのお昼のサンドイッチ、美味しくて沢山食べたから満腹で、ついつい眠気が…。で、そろそろ麓?

 

 アペンドは地図を確認し、懐中時計を取り出して、時間も確認しました。

 

アペンド:うーん、まだですね。でも、時間的にあと2時間もすれば麓に到着すると思います

ルカ姫:えー、結構長いな~。自分で冒険探索しているときは短いと思うのに、馬車に揺られているのって結構退屈だね

 

 そんなようなアペンドとルカ姫の会話の最中、レンは厳しい目で周りを警戒していたが、突然、しゃがみ込んで、馬車を操っているおじさんに話しかけた。

レン:・・・・・・・馬車のおじさん、馬車をゆっくり右横につけて止めて隠れていて、アペンド、ルカ姫も隠れて!

アペンド:! 盗賊か?

レン:いえ、低級の魔物ですね。多分、ここら辺で張っていて、馬車を襲っているのでしょう。僕が倒してきます

アペンド:頼む

 

 こうしてレンは馬車を飛びだし、ワラワラと山道に集まってきた魔物の前に駆け寄ったのでした。魔物の名前はゴブリン。まぁ平たく言えば、魔物版の盗賊みたいなものだが、知能は低かった。

 

 

ゴブリン達:キシャー! タベモノ、ヨコセ!

レン:ゴブリンか。出来るだけ殺生はしたくない。これを見て、さっさと帰れ!

 

 ブンッ!

 

 そういうとレンは、横にあった大木に向かい、ブロードソードを振り抜いた! すると、刀身から青白い刃が飛びだし、大木を切り刻み、粉々にした後、青白い刃は消えてしまったのでした。

 

レン:お前ら、あの大木みたいになりたくなかったら、とっとと消えろ!

リーダーゴブリン:ううう・・・・全く今日はダメダメだぜ! どこのグループもツイてないみたいだし…

レン:お前らがツイていたら、物騒だろうが!

リーダーゴブリン:ヴェロス山の連中の連絡じゃ、変な機械を持った三人組には、変な銃で追い返されたらしいし…

レン:お前達が悪いんだろうが…

リーダーゴブリン:おまけにそいつら、その後、お前達のような馬車の三人組を襲おうとしたら、眼鏡をかけたヤツの結界で近づけなかったらしいし…

ルカ姫:メガネ?

リーダーゴブリン:ああ、メガネかけたスカした魔導師と、魔術使いそうな女の子と、なんか人形みたいな女の三人組だったらしいぞ。全くどこもツイてないぜ。今日は退散だ

 

 そういうと、ゴブリン達はワラワラと崖を降りていって帰っていってしまったのでした。しかし、こいつら、最後に“爆弾”のような余計なことを残していってしまったのでした。

ルカ姫:・・・・・・・・・・・・

アペンド:ル、ルカ姫? まぁ世の中にはいろんな人がいるわけで、似た人も沢山いるのよ

ルカ姫:・・・・・先を急ぎましょう。今日は麓の宿でもう一泊するんでしょ?

アペンド:え? ああ、そうだけど・・・・・

ルカ姫:・・・・・・・・・・・・

アペンド:(まずいな、気づかれたかな・・・・)

 

 なにやら、アペンド達のパーティーに、不穏な空気が漂い始めたのでした。

(夕方 インタネ共和国との国境の村 ブレシス村)

 

 テル達はヴェロス山を越えて、夕暮れ時に麓で馬車を降りると、国境の門がある村の“ブレシス村”に到着した。今日はここで一泊するわけだが、食堂や宿泊施設があるのは、越境した先のエリアだったので、手続きを先に済ます必要があったのでした。

 

 そこで、国境の門の警備員の所まで歩いて移動し、テルが警備員に書類を見せました。

 

国境警備員:ふむふむ、クリプトン王国の方ですか、解りました。OKです、ようこそインタネ共和国へ

テル:では、先に進んで、宿泊させてもらうよ

国境警備員:ご自由にどうぞ。飲んで食べて、ゆっくりお休み下さい

 

 テル達は荷物を宿まで引いていき、部屋に置いた後、内鍵をかけて食事に出かけたのでした。

 

 そして、その20分後・・・

 ミズキ達の三人組も時間差を付けて到着し、テル達と同じように、国境警備員の所に書類を提出したのでした。

 

国境警備員:ふむー・・・・ちょっと1つだけ質問してもいいですか?

ミズキ:はい、結構です

国境警備員:あなた達、あの辺鄙な島国の『ヤマト国』の方なのに、なんでクリプトン王国とかここに用事があるんですか? 私も長いことココを守ってますが、初めてですよ?

ミズキ:あ、そうですね、クリプトン王国に入った時は、ここを使わなかったですからね。わかりました。私たちは、捜し物があって、ヤマト国からこの大陸まで来ている、旅人なんですよ、っという説明を毎回、ゲートで話して、OKを貰っているのですが…

国境警備員:あ、そうでしたか、それはスミマセンでした。OKです。ようこそインタネ共和国へ。飲んで食べて、ゆっくり休んでいって下さい

ミズキ:はい、そうさせて頂きます

 

 こうして、『ヤマト国』からの旅人である“ミズキ達三人組”は、ノートPCをチェックした上で、テル達とは違う食堂で食事を取り、宿に入り、ノートPCでイアの行動を追っていたのでした。

 

 遂に舞台はインタネ共和国へ・・・・

 

(続く)

 

CAST

 

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-

ルカ姫:巡音ルカ

魔導師アペンド:初音ミクAppend

魔導師テル:氷山キヨテル

僧侶リン:鏡音リン

勇者レン:鏡音レン

 

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ

裁判官 勇気めぐみ:GUMI

 

ヤマト国からの旅人三人組

瑞樹(ミズキ):VY1

勇馬(ゆうま):VY2

兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

 

その他:エキストラの皆さん


 
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