No.818681 真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第八十三話2015-12-13 18:07:42 投稿 / 全14ページ 総閲覧数:4422 閲覧ユーザー数:3264 |
「大将軍!?…俺が?」
泰山から戻って来て二日後、朝議の席で命より告げられたのは俺を大将軍に任じるという話
であった。
「ああ、ちなみに拒否権は存在せんぞ。何せこれは妾だけでなく、月以下大陸全ての諸侯の賛
同は既に得ておるでな」
マジで!?そう思って月の顔を見ると、月はしっかりと頷きを以て返してくる…どうやら本
当に皆の賛同を得ているようだ。
「でも…何故俺が?」
「漢が再び復興し、大陸に平和も戻りました。これも全て一刀が私達の前に現れてくれたから
こそです。それに、一刀は劉康の父でもあります。実は丞相に任命しようかという話もあっ
たのですが、月が相国として政の頂点にいる以上、一刀には大将軍として軍部の頂点に立っ
てもらうのが妥当だろうという結論になった次第です」
俺の問いに夢がそう答える。
「でも俺が命達の前に現れたというかいたのは単なる偶然だし…」
「その偶然から漢の…大陸の今が生まれたのじゃ。もし一刀がおらんかったらおそらく妾達は
天水で亡命生活を送ったままじゃったかもしれんしの」
「それを言うなら私なんか未だに牢の中だったかもな」
「一刀殿がいなければ、私は劉焉に成都の奥で軟禁されたままだったでしょうね」
「私は今頃張譲の慰み者にされていましたでしょう…それもこれも一刀がいてこそ助けられた
と言っても決して過言では無いわね」
俺の言葉に命・空様・鈴音・瑠菜さんがそう答える。
「じゃからの、お主にはもっと上の存在になってもらわなければならんのじゃ。それに…いず
れは妾もお主の子を産むのじゃからの(ボソッ」
うん?命が最後に何やら呟いたような…俺の耳には良く聞こえてこなかったのだが、何故か
皆の…女性陣の眼の色が変わったように感じたのは気のせいだろうか?
「ま、まあ、とにかく、お主が大将軍になる事に反対や不満を申す者はいなかった。故にお主
が大将軍になる事は正当じゃ!」
…皇帝の言葉な上に各諸侯の支持もある以上、拒むのは無理か。はぁ、しかし俺が大将軍と
はねぇ…単なる一学生だった元の世界の時とは随分と違う所まで来てしまったものだな。
こうして目出度く(?)俺は大将軍となる事となったのであった。
・・・・・・・
「「「「「「「「「大将軍任官、おめでとうございます」」」」」」」」」
その夜、屋敷にて俺の大将軍任官のささやかな祝賀会を北郷組の皆が開いてくれた。
(ちなみに李厳さんは北郷組を抜けて益州へと戻っており、及川は張三姉妹との大陸ツアーの
準備の為、此処にはいない)
「いや~、さすがは北郷の兄貴っすねぇ!雍州で初めて会った時に兄貴の臣下に加わったこの
俺の眼に狂いは無かったわけだ!!」
「あれ?確か文聘さんって最初はお兄様の事を馬鹿にしたみたいな態度で接していたよね?」
「はい、一刀様にボコボコにされるまでですけどね」
「…はははっ、その辺の話は勘弁してくださいよぉ~。俺も含めてあの時から従っている面子
は皆あの時の事は反省しているんですから」
文聘さんは酒の勢いもあってか嬉しそうにそう話しかけてきたが、蒲公英と沙矢にツッコま
れてタジタジになっていた。
「でもあれから随分経ったんですね。あの時はまさかこんな風になるなんて思いもよりません
でしたけど」
「ふ~ん、輝里姉様はお兄様の事を信じてなかったんだ?」
「…蒲公英の言葉に何やら棘のような物を感じますね。普通に考えて、あの状況から漢が此処
まで立て直すとは思いもよらなかったと言っているんです」
「へぇ、今度は皇族に対する批判?」
「陛下がこの程度で処罰を下すような方なら結局漢は長くは持ちませんし」
「そうですねー、陛下は政に対する批判はむしろ率先して聞く位ですからねー」
「そこについては陛下はおそらく歴代皇帝の中でも最も優れていると言っても良い所ですね」
輝里の言葉に風と燐里も乗っかってくる。やはり知恵者一同が言葉を揃えると誰も反論はし
てこないようだ。
「でも、輝里姉様の言葉の通りだとすると…普通に考えたらもしかしなくとも漢は無くなって
いたって事になるの?」
「…普通に考えれば、ね。蒲公英だって初めて洛陽に来た時の状況は覚えているでしょう?」
「確かにね…伯母様も昔は何時も何時も『このままでは漢という国は滅びるだけだ、何故宦官
共も何進達もそれに気付かないんだ?』って嘆いてばっかりだったからねぇ。たんぽぽも初
めて洛陽に来た時は本当にこんな状態から復興なんてするのかってちょっとだけ疑問に思っ
てはいたんだけどね」
「そこからこれだけの短期間と言っても良い時間で此処まで復興出来たのも、陛下や相国閣下
以下の皆様のお働きもさることながら、ひとえにお兄さんの存在があってこそでしょうねー」
風の言葉に皆も頷く。
「そうかな?俺は特別何かをしたわけじゃ…」
「それは一刀さんにとって特別では無かったというだけです。正直な話、一刀さんから天の国
の知識を聞く度に私は心の高揚を止められませんでした。一刀さんの知識をどうすればこの
国の為に活用出来るかと考えていたら一晩や二晩徹夜だったなんてざらでしたし」
「はい、私と風と稟も一緒に議論していた事もありました。あれは楽しかったです」
俺がそう言いかけた所を輝里と燐里が少々興奮気味に言葉をかぶせてくる。
「一刀殿、あなたの知識と存在はあなたが思っている以上に私達の生活…いえ、人生を一変さ
せる物だったのです」
「そうですよー、お兄さんあってこその今の風達ですしねー」
「そうだよ、お兄ちゃんは凄いんだよ!!」
「璃々の言う通りです。でも、そういう謙虚な所もご主人様の良い所ですけどね」
稟と風もそう言ってくる所に璃々と紫苑も乗っかってくる。。何だか照れくさいというか恥
ずかしいというか何とも表現しがたい感じだ。
そしてその後一刻程宴は続いて何となくな感じにお開きになったのであったが…。
・・・・・・・
~宴が終わって半刻後、一刀の部屋の近くにて~
「誰の姿も無し…にししし、さすがに皆あれだけ飲んでれば寝ちゃうよね~。少しお酒を控え
めにしたたんぽぽの作戦勝ちだね~」
周りの様子を窺いながらもそう言ってほくそ笑む蒲公英の姿があった。
「皆、ごめんね~…でも、今日はたんぽぽがお兄様を独占しちゃうんだから。お兄様、待って
てね~。今、あなたのたんぽぽが行きま~す」
そして蒲公英が一刀の部屋の扉に手をかけようとしたその時、その手が後ろからガシッと抑
えられる。
「誰よっ!?…って、沙矢」
「…まさかとは思ってましたけどやはりそういう魂胆でしたか、蒲公英様。他の皆に比べてお
酒のお召し上がりの量が少ないと思ってはいましたが」
(沙矢は元々馬家の侍女であった為、時々蒲公英の事を様付けで呼ぶ)
「えっ…嫌だな~、たんぽぽはちょっとお兄様に用事があっただけで…『あなたのたんぽぽが
行きま~す、でしたっけ?』…いや、その、あはは…」
何とか言い訳しようとするも最初から見られていた事を知った蒲公英はひきつった笑いを浮
かべていた。
「蒲公英様、一刀様はこの所激務が続いていて今日は久々のお休みなのです。ですからしっか
り休んでもらわないと明日以降に差し障りが出るかもしれません。よって、今日はお諦め下
さい」
「…むぅ、じゃ何で沙矢は此処にいるのさ?」
「何処かのどなたかのように此処に忍んでくる方がいないか見張る為です」
「へぇ…それじゃ一晩中見張っているわけ?」
「そうですが何か問題でも?」
「いや、それって本当なのかなぁってさ」
「…どういう意味です?」
「まさかとは思うけど、誰も来ない事を確認したら沙矢がその『忍んでくる方』になるつもり
だったんじゃないのかなって」
「な、なななな…何をバカな事を言うのですか!」
蒲公英のその言葉に沙矢は大きな声を出してしまう。
「しーっ、そんな大きな声出したらお兄様が起きちゃうでしょ」
「も、申し訳も…しかし、蒲公英様が急におかしな事を言い出すから…『へぇ、どの辺がおか
しな事なのさ?』…いえ、その、私が一刀様の部屋に夜這いに行くつもりとか何とか…」
「違うの?じゃ、沙矢はお兄様とそういう事はしたくないんだ?」
「したいとかしたくないとかじゃなくて…一刀様が求めてくださるなら私は何時でも大丈夫な
ように準備は常日頃から…って、何を言わせるんですか!」
「だから声が大きいって」
沙矢が再び大きな声を出すのを蒲公英は慌てて抑える。
「…私の事は良いんです。とりあえず今は蒲公英様がおとなしく帰っていただけるかどうかと
いう話で『嫌だけど、何か問題でも?』…引き下がるつもりは無いという事ですか」
「たんぽぽだって此処まで来るのを決めるのに結構考えたんだから…ただでさえ強敵揃いなん
だから多少は強引に行かないと何時までも後回しになっちゃうでしょう?」
蒲公英が真剣な顔でそう言うと沙矢も反論に詰まる。
「というわけで…たんぽぽ、行きま~す!」
「あっ、ちょっ、蒲公英様!」
沙矢が考え込んだ隙に蒲公英は一刀の部屋に入る。しかし…。
「あれ?お兄様いないよ?」
「えっ!?…本当ですね。一体何処へ…って、これは…まさか」
中で寝ているはずの一刀がいない事を訝し気に思った沙矢が一枚の手紙を発見する。そこに
書かれていたのは…。
『一刀は貰っていく。空』
という一文であった。
「「…やられたーーーーーっ!」」
その手紙を見た蒲公英と沙矢はそう言って膝から崩れ落ちていたのであった。
そしてその頃…。
「あの…空様?何故俺はあなたの部屋にいるのでしょうか?確か普通に自分の部屋で寝ていた
はずなのですが?」
「まあ、深く気にするな。それよりも、折角の二人きりなのだから今宵は大いに盛り上がろう
ではないか」
何時の間にやら空様に捕まっていた俺は状況に付いていけずに混乱していたのだが、空様は
それに構う事無く俺にその身を寄せてくる。
「盛り上がるって何を…」
「この状況で何を今更な事を。さあ、此処は年上らしく私が主導で進めてやる事にしようぞ」
空様はそう言いながらその手を俺の下半身に伸ばしてくる。しかし…。
「「ちょっと待ったーーーっ!!」」
そこに命と夢が入って来る。
「むっ、なかなかに無粋な事を…我が娘達ながら恥ずかしい限りだ」
「恥ずかしいというなら母様のおやりになられている事の方が遥かにそう見えるのは私どもの
気のせいでしょうか?」
「そうです。目的の為に無理やり一刀をさらってくるなど言語道断です!」
「さらって来たなどと人聞きの悪い事を…私はただ寝ている一刀を此処まで運んだだけだ」
「「一刀の同意を得てない時点でそれは『さらった』というのです!!」」
そのまま三人は睨み合ったまま動こうとしない。だが、場の空気は段々と険悪な方向へ向か
い始めている…これは前に命と夢(と月)が喧嘩した時と同じだな。このままではまずい…
俺が此処で間に入った所で解決する可能性はほぼ無いだろう事は容易に想像出来るが、何も
しないわけにもいかないだろうな。
俺がそう覚悟を決めたその時。
「三人方、そこまでです」
そこに恋と霞を引き連れてやって来た月が現れる。
「月、お前も私の邪魔をするか?」
「空様、あなたのお気持ちは良く分かります。おそらくそれは命様や夢様も同様でしょう。で
すが、それはあくまでも一刀さんの同意を得た上での行動とするべきあって、無理やり力ず
くで行う事ではありません。よって此処はあなたの敵です」
「ほぅ…まさか恋と霞と三人なら私に勝てると思っているのか?」
「残念ですが、五人です…のぉ、夢?」
「はい、もしかしたらそれでも母様を止めるのは大変かもしれませんがね」
そう言うと命達五人は戦闘態勢に入る。
「ほっほぅ…そうか、そうか。くっくっく…そう来るか。はっはっは!ならば受けて立ってや
ろうじゃねぇか!!小娘どもがどれだけ雁首揃えようったって私の敵じゃねぇがな!!」
それを見た空様がいきなりそう吠えたてる…しかも何故か口調もおかしくなってるし。
しかしこのまま此処にいるのは危険極まりないので何処か安全な所へ…。
「一刀さん、こちらへ」
その声のする方を向くとさっきまで閉まっていたはずの窓が開いていたので、俺はそこから
外へ出る。そこにいたのは輝里だった。
「ありがとう輝里。でもどうやって此処まで?」
「蒲公英と沙矢から一刀さんが李通殿に連れて行かれたのを聞いたのです。しかもそちらに陛
下達も向かっているという話も聞きまして…此処までは詠に頼んで裏道を通してもらったん
です。さあ、早く此処から離れましょう。正直、これから始まる惨劇はもはや人では止めら
れませんから」
そして俺は輝里と共に何とかそこから逃げ出して詠達が警戒線を張っている所まで辿り着い
たのだが…。
「なあ、詠?此処って命達がいる所から結構離れているよね?」
「そうね…だけど正直、此処でも凄く危険な気がしてならないわ。新参の兵達を遠ざけておい
て正解だったわね…古参の兵ですらもはや及び腰になってるし」
言葉の通り此処は命達がいる場所からかなり離れているのだが、此処からも殺気のような物
が恐ろしいばかりに伝わって来ており、周りにいる兵達は詠が短い時間の中でも選りすぐっ
てきた古参ばかりだというのに大半が及び腰状態だ。
「今更聞くのも何だけど…大丈夫なのか?もし命達の身に何かあったりしたら…」
「とりあえず劉康殿下は王允殿のお屋敷に移してあるから大丈夫よ」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
「だったら止めに行ってくる?そもそもあんたにも原因はあるんだし」
「…ごめんなさい」
「というわけで…皆、とりあえずあの殺気がもう少し収まるまであの場所から五町以内は立ち
入り禁止!良いわね!」
詠の号令で命達がいる場所から五町の範囲内に非常線が敷かれて俺達は遠巻きに警戒する事
となったのであった。
・・・・・・・
それから一刻後。
「恋、霞、大丈夫か!?」
まず最初に中から出て来たのは恋と霞であった。恋はかすり傷は負っているものの大した事
は無さそうだが、霞は恋に肩を借りないと歩けない程になっていた。
「…恋は平気。まず霞の治療を」
「あいたた…情けない話やで。仮にも『神速の張文遠』と呼ばれたこのウチがこの体たらくな
んやから…恋にも迷惑かけてもうたし」
「恋は平気…むしろあのまま霞があそこにいたままの方が危険だった」
「そんなに凄まじい事になっているのか?」
俺の言葉に恋はただコクッと頷いたのみであったが…その眼はそれ以上に恐怖を語っている
かのように見えた。かの飛将軍呂布を以てしてもこの状況って…残りの面々は鬼か修羅か何
かなのだろうか?まさかこれが原因で漢が滅ぶとか無いよね?
「だから劉康殿下が無事だから漢の行く末は大丈夫だって言ってるでしょうが」
「そういう問題では無いような…っていうか、月もあそこにいるのだけど詠は心配にならない
わけ?」
「月は自らあそこに行ったのよ?無事に帰ってこれる自信があるからに決まってるでしょ?だ
から僕は心配してないわよ」
詠はあっけらかんとそう言ったように見えたが…声が少し震えている。何だかんだ言っても
心配ではあるようだ。
「何だ何だ?一体何が起きているんだ?二十里位先からでも殺気を感じて急いで来てみれば…」
そこに現れたのは葵さんだった(一応その後方に仄もいるが、現場からの殺気に彼女も及び
腰状態になっていたりする)。
「ええっと…」
・・・・・・・一刀、説明中・・・・・・・
「そうか、モテる男はつらいなぁ、一刀よ」
「いや、その、何かすみません…って、そうじゃなくて!俺も無関係ではないですけど」
「まあ、良い。とりあえずこのままでは色々と具合も悪かろうから私が行って止めて来てやる
事にしよう」
葵さんはそう言って何故か嬉々とした顔で殺気溢れる現場へ入って行った…何故此処であん
な笑顔でいれるんだあの人は?
「何か火に油を注ぐだけの結果になりそうな…気のせいだったら良いけど」
俺は葵さんの後ろ姿を見ながら嫌な予感しか感じないのだが…杞憂に終わる事を祈る。
それから半刻後。現場からの殺気は和らいていた。
「何とか葵さんが止めてくれたのかな…とりあえず俺は中に入ってみる。詠達は引き続き警戒
を続けていてくれ」
詠達にそう声をかけて俺は中へと踏み込んで行ったのだった。そしてそこで見たのは…。
「何がどうなったらこういう状況になるんだ、これ?」
元は建物があったであろう残骸と、グロッキー状態でのびている命達三人と中央で何やら満
足そうな顔で大の字になっている空様と葵さんの姿であった。
「久々にスッとした気分だな、葵よ」
「ええ、こんな気分は氷蓮や十六夜(いざよい・月の母親の真名)と一緒に空様の部下として
働いていた頃以来です…思えば我らも年を取りましたな」
「ふふん、私はまだまだ現役だがな」
「私とてまだまだ小娘どもに譲るつもりなどありませんぞ?」
二人はそう言って顔を見合わせると大声で笑いあっていた…一体あの人達の底はどの辺りに
あるというのだろうか?なかなかに不思議というか疑問ではあるが、今はそれを考えている
場合では無い。
「終わった…で、良いのですか?」
「ああ、一刀か。この通りだ」
「そういえば私は喧嘩を仲裁に来たんだった…すっかり忘れて空様の味方をしてしまったよ」
「葵がこっちの味方になってくれたおかげで早く終わったのだ。『けっかおーらい』とかいう
やつだろう」
「なるほど…『終わり良ければ全て良し』ですね」
そう言って二人は笑いあっていた。そして何やら満足気な顔で去って行ったので俺はとりあ
えず詠達を呼んでのびたままの命達を運んだのであった。
そして次の日。
「なぁ…何故妾達が怒られるのじゃ?」
「仕方ありません…あれだけの事をすれば言い逃れは出来ませんって」
「今回はやり過ぎてしまいましたしね…」
「そうだ、そうだ。お主達のせいで私達まで巻き込まれたではないか。なあ、葵」
「まったくです」
「「「半分以上、母様(空様)と葵(様)のせいです!!」」」
命・夢・月・空様・葵さんの五人は玉座の間で絶賛正座状態であった。
昨日の喧嘩の結果、現場の周り三町の建物は全壊・五町以内の建物は全壊もしくは半壊状態
となり、さすがに無罪というわけにもいかないだろうという事で、王允さんの裁決により五
人には玉座の間で首から『私達が建物を破壊しました。ごめんなさい』という札を下げた状
態でしばらく正座という事になったのであった。ちなみにその部屋には各諸侯や役人が普通
に陳情や報告で入ってくるので、皆の眼にそれが止まるというオマケ付きであった。玉座の
間に入って来た皆はまさかの皇帝・皇族の姿に何とも表現しがたい表情を浮かべていたりし
ていたのだが。
(陳情等の応対は俺と王允さんで行っているのでご心配なく。ちなみに恋と霞は月からの指示
だったという事で外れている)
「のぉ、じい?妾達は何時までこうしておれば良いのじゃ?」
「もうしばらくですな」
「その台詞はもう三回は聞いたぞ」
「そりゃ、空様が単にこらえ性が無いだけでしょう。まだ始まってから二刻位ですし」
「まさか一刀がそんなに冷たい男だったとは…もう、お前とは遊んでやらん」
「良かったですね、姉様。母様がもう一刀に手を出さないと言ってます」
「ならば安心じゃ…のぉ、月」
「はい♪」
「なっ…だったら撤回だ!今のは無し!!」
「朝令暮改とは皇帝だった御方の物言いでは無いですな~、母様?」
「うるさい、うるさ~い!」
こうして、四人(さすがに葵さんはその話の輪の中に入っていないので)の騒がしさはもう
しばらく続くのであった…これも平和だからこそって事で良いのかな?
続く。
あとがき的なもの
mokiti1976-2010です。
投稿が遅くて申し訳ありません。
そして今回の話は…何ともグダグダで申し訳ありません。
最初はもうちょっと違う風な話を描いていたのですが…ご不快
に感じられた方もおられるかもしれませんが何卒ご容赦の程を。
そして…次回がこのssの最終話となります。
どういう風にこの外史の話を締めくくろうか色々考え中
ですのでお楽しみに。
それでは次回、第八十四話(最終話)でお会いいたしましょう。
追伸 結局、命達はその日一日中玉座の間でさらし者にされて
いたそうです…食事や排泄はどうしたかはご想像にお任
せします(オイ。
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お待たせしました!
管理者との戦いも終わり、無事に洛陽へと戻って来た一刀達。
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