No.815941 宝城双斗のIS学園生活 第3話再会destinyさん 2015-11-27 12:59:05 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:398 閲覧ユーザー数:397 |
side双斗
入寮手続きも終わり、僕は今自分の部屋である1050号室に向かっていた。ちなみにだけどIS学園の寮は1年生がA棟、2年生がB棟、3年生がC棟と学年ごとに分かれてる。そのため2、3年生には僕が今日IS学園にいるのは知られてない。1年生の方は1人しか入寮してる人がいないため大した問題にはならないとのことだ。
「1050室はっと・・・、あったあった」
自分の部屋を見つけ、一息つく。
「それにしても、もうお昼か・・・。時間が経つのは早いな」
僕が学園にやってきたのは8時半だからすでに3時間以上が経過していることになる。
「お腹も減ってきたし、荷物を置いたら購買にでも行こうかな」
僕は入寮手続きの時にもらった鍵で部屋のドアを開けた。僕はこのとき1つ忘れていたことがあった。
それは僕の部屋が相部屋だということだ。僕はルームメイトは明日から来るものだと思っていた。そのため僕は部屋には誰もいないと早とちりしていたのだ。
故に僕は一日早く『彼女』と再会することになった。
sideナレーション
双斗の部屋である1050号室には双斗のルームメイトとなる少女がいた。
彼女が入寮したのは4週間前。
彼女は通っていた女子中学校を卒業後、その日のうちにIS学園の寮に入寮した。その理由は主に2つある。
1つは彼女が日本の代表候補生であるということだ。
彼女が日本代表候補生になったのは今から約1年前。
彼女自身は気づいてないが、彼女のIS操縦技術はこの1年間で『秀才』から『鬼才』と呼ばれるほどにまでなっていた。しかし、決して少女がすさまじい才能があったわけではない。むしろ彼女自身の才能は微々たるものだった。ではなぜ彼女が鬼才と呼ばれるようになったのか? それは彼女の積み上げてきた途方もない努力にある。
彼女には1人の姉がいた。名前は更識楯無。
彼女の姉は『天才』だった。学校のテストではいつも満点をとり、運動神経も抜群で、『完璧超人』という言葉は彼女のためにあるのではないかと思えるほどだった。
そしてそれはISに関してもそうだった。
楯無はIS操縦に関して、誰もが認める才能を持っていた。そのため楯無は中学2年生にしてロシアの国家代表になることはいわば必然であった。
そしてそれを見てきた妹はいつしかこう思うようになった。『姉を超えたい』と。
それから少女は他人の言うことなど気にせず努力し続けた。誰よりもISについて学び、誰よりもISに乗り続けた。その結果、『模擬戦150戦無敗』という記録を残し、IS稼働時間は中学3年生になった時点で1000時間を軽く超えていた。またその努力は『IS適正ランク』にも出ていた。
IS適正ランクは名前の通りIS操縦においての適正ランクであり、D-・D+・C-・C+・B-B+・A-・A+・S-・S+・SS・SSSの12のランクがある。例として少女の姉である更識楯無、世界最強と呼ばれる織斑千冬やISの生みの親である篠ノ之束はS+である。
その少女は中学1年の時はA-と3人に比べて決して高くはなかったが、IS学園が実施した2週間前の適性テストで彼女は誰も到達したことのなかったSSランクを叩き出したのだ。
しかし、彼女をここまでさせたのは単純に姉を超えたかっただけではない。
実は彼女には小学校時代好きだった少年がいた。そう、それが『宝城双斗』だ。しかし、双斗は小学校を卒業と同時に旅へ出た。そこで彼女は決意した。また双斗と再会した時に自分が成長した姿を見せたいと。
そしてその思いが彼女を『秀才』から『鬼才』に変えたのだ。
しかし、彼女がISの特訓をするだけなら別に4週間も前に入寮する必要はない。そこでもう一つの理由である。もう一つの理由は彼女の専用機にある。
彼女は代表候補生になったこともあり、専用機が与えられるはずだった。しかし、いまだに彼女の専用機は完成していなかった。その理由は織斑一夏が世界初の男性IS操縦者として現われ、開発陣が一夏の専用機への制作に集中してしまったからだ。
以降、彼女は製作途中だった専用機を引き取り、自分自身の手で完成させようと、今日まで頑張ってきた。しかし、彼女も薄々気づいていた。自分一人じゃISは完成させられないと。
そもそも彼女が何でここまで1人で専用機を完成させようとしていたのか? それは姉の楯無が自分の手で専用機を完成させていたからだ。
そう。つまり、姉へのつまらない対抗心が発端だったのだ。手伝おうか、と周りに言われても意地を張ってきた。
しかし、それは凄いことなのだ。
いくら専用機の開発が止まったからと言って、普通は自分1人で完成させようとは思わない。
本来なら何人ものスペシャリストたちがチームを組んで行うものだ。いくら誰よりも優れていようと、自信があろうと、普通なら思わないし、そもそも思いつきもしない。
だが、彼女はそれをしようとしている。
姉の前例があるとは言え、他人を決して頼らず、自分の手でことを為そうとしている。
そもそも何かを為す人物とは、彼女のようなタイプが少なくない。間違いなく、彼女は超がつくほどの一流になる逸材なのだ。そしてそれこそが彼女が『鬼才』と呼ばれる所以なのだ。
しかし、とうとう彼女の専用機は完成しないまま入学式の前日にまでなってしまった。
side???
「はぁ・・・」
私、更識簪は追い込まれていた。入学式が明日に迫る中、専用機である『打鉄・弐式』が未だに完成していないのだ。
「どうしよう・・・、もう時間がない・・・」
時間はすでに11時半となり、今日も残り半日となっていた。
そしてその時だった。
ガチャッ
「えっ?」
部屋のドアのカギが開いた。
「(誰だろう・・・?)」
私は入口を見た。そこにいたのは
「双斗・・・?」
「簪・・・なの?」
その人物は私がずっと会いたかった幼馴染であり、初恋の相手である宝城双斗だった。しかし、私は目の前に双斗がいるのが信じられなかった。双斗も私と同じく目の前に私がいることが信じられない様子だった。
私は無意識のうちに双斗の方に歩み寄り、そして私は双斗に抱きついた。私はそこで目の前にいるのが双斗だと気付いた。そして・・・
「ずっと会いたかった・・・」
私は我慢しきれず泣いてしまった。すると双斗は私の頭を優しく撫でて・・・
「僕もずっと君に会いたかったよ・・・簪」
そう言って私を抱きしめ返してくれた。
「(暖かい・・・)」
私は双斗の温もりを感じて安心していた。すると・・・
「簪・・・君に話があるんだ」
「・・・?」
「僕は簪のことが好きだ」
「!!」
まさかの告白だった。突然の告白に私は数秒の間混乱していた。
「簪、君さえ良ければ僕と付き合ってほしい」
双斗にそう言われ、徐々に心の整理がつく。
「本当に・・・」
「うん?」
「本当に・・・私でいいの?」
私は信じられなかった。双斗が私のことを好きだと言ってくれたことが・・・。すると、双斗は私を抱き寄せて・・・
「簪じゃなきゃダメなんだ」
「双斗・・・」
「簪は僕のことはどう思ってるの?」
「わ、私も・・・双斗のことが好き・・・大好き!」
「ありがとう。僕も大好きだよ、簪」
「双斗・・・」
双斗は目を閉じる私の顔に、自分の顔を近づけて、キスをした。
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