No.813167

マクロスF〜とある昼行灯の日常〜

これっとさん

フロンティア居住区に侵入した謎の生命体。
そして更に侵攻してくる増援。
次から次へと現れる敵に対し、命の削り合いが展開される。

2015-11-11 23:40:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5626   閲覧ユーザー数:5294

 

【ハードチェイス①】

 

 

 

 

『スネイク2!宙域はスネイク1に任せて。スカル4と連携してこれ以上居住区域に侵入させないようにするわ。だからお願いね』

 

『了解!』

 

 

これで良いわね。

新統合軍の絶対防衛線が破られ、僅かと言えど敵の侵入を許してしまったけど、ダイチがいてくれたら心配することは無いわね。

 

 

『オレもいるぜ、スネイク1!』

 

『クスッ、期待してますわ、スカル2』

 

 

メインバリアの穴へ赤いバルキリーが敵を追って入って行くのを確認、これで戦力の差も無くなった、と。

ならば後は私は私の仕事をしましょうか。

 

 

『スネイク1!ボクがミサイルで敵を翻弄しますから狙撃でとどめをお願いしますね』

 

『ええ、分かったわ。訓練通り、行くわよ』

 

『了解、スカル4は一時的にスネイク1の指揮下に入ります』

 

 

さて、と。集中力を高め、目と感応力をアップ。

12時の方向そして下へ6時、敵一個小隊3機

11時の方向そして下へ4時、敵一個小隊3機

10時の方向そして上へ12時、敵二個小隊6機…

 

 

『スカル4、探知はできたかしら?』

 

『いいえ、正面の敵は捕捉しましたがそれ以外は…』

 

『了解、先ずは敵に一当てするわよ。正面の6機をお願いね』

 

 

ライフルの装填動作を素早く終わらせ、同時に近くにあるデフリに身を預ける。ミシェルよりも1.5倍のキリングレンジ…スコープも無しに隊長格の機体へ照準。

射!射!

目では遠くに閃光が映っただけの光景。それは私にとって撃破の合図でもある。

一発目が頭部分へ命中、そして衝撃で仰け反った僅かな誤差を修正した二発目で同じ所を撃ち抜き撃破。

出だしとしては上々ね。

 

 

『いっけぇ!!』

 

 

ルカが散開した所に絶え間無くミサイルを撃ち込んでいく。

何発かが命中し、暗い宙域に赤い華を咲かせる。

 

更に照準…爆炎の全ての方向に神経を集中…っ!撃ち漏らし?!

 

射!射!

 

煙が盛り上がり、少しだけ現出していた機体へダブルタップ。

距離があればあるほど、ほんの少し照準をずらすだけで大きく弾着を変えることができる。この微作動がスナイパーたる私達の真骨頂でもあるわけだけど…

出てこようとした敵へ命中。ダメージがあったせいか、一発で爆発し撃破を確認。

まだ距離の遠かった10時の方向から光。視線。殺気。死…

 

 

ちっ

 

 

他の敵機体からの攻撃を確認。速やかに他のデフリヘ小移動する。

スナイパーは拠点を知られたら速やかに移動をするのが基本。移動、スナイプ、移動、スナイプ…これの繰り返し。

 

先程までいた小デフリが爆散。線の太い敵の射撃…これはエネルギー弾?

まともに喰らったらシャレにならないわね。

 

 

『スカル4、敵がイエローゾーンへ緊迫しつつあるわ。通常弾から追跡弾へシフト。削るのではなく撃破メインでいくわよ』

 

『了解!』

 

 

パイロットの目を通し、照準を合わせそして射出することにより敵への追跡が可能になる。ルカの目がめまぐるしく動き、そして焦点が合う。

 

この時…!

 

射!射!射!射!射!射!

 

 

敵が散開し、迫り来るミサイルから逃れようとする動きをシミュレート。12、3、5、7、11、9…予想を2つ外した。それでも爆炎によるダメージを確認。

…!敵の一斉射撃!

 

 

『回避!』

 

 

ルカへ指示を出しつつデフリから離脱しつつムービングショット。完全な空中動作の為照準はしにくいけど、イエローからレッドへ近づきつつある敵に当てるのは簡単。

 

射!射!射!射!

 

合計12発。マガジンを替えつつ更に小移動。

爆散した敵を脇目に次の標的を探しながら装填動作を終わらせる。

 

 

『落ちろぉ!』

 

 

ルカも更に攻撃を加えている。

この戦線は、我が方が有利ね。敵の小隊は散り散りになり、単機での動きをしているのが見える。

これ以上は近づかない…の?何かを伺っているような動きをしているわね。

 

照準…

 

さっきまでの単調な動きじゃなく、いつでも回避できるような感じを受けるわね。

これ以上はムダ…?

 

 

『スネイク1、敵は増援待ちでしょうか?』

 

『分からないわね。他の小隊も戦闘継続中だから警戒をしつつ待機、フォールド反応があったら速やかに報告』

 

『了解』

 

 

こちらは均衡状態まで持込たわ。あとの掃除は任せるわよ、ギリアム大尉、ダイチ。

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダイチさん!」

 

『よう、無事かランカちゃん。ちぃっと待っててくれよ…なっ!!』

 

 

ダイチさんが操るバルキリー?で良いのかな、人型から翼の形になって回転して相手を弾き飛ばしちゃった。

わっ、人型にまた変形して吹き飛んだ相手に駆け出して…

 

 

『おりゃあっ!』

 

 

わわ、いつも家でお兄ちゃんとやってる格闘技の技?相手が腕みたいなのを突き出した瞬間にその腕を取って空いてる手でナイフ?なのかな、それで脇みたいなところに突き出す。

 

 

『せいっ!!』

 

 

相手が屈んだ瞬間に後ろ取った!そこから『ドンドンドン!』…うわぁ…ゼロ距離からの射撃って。ちょっと可哀想かも。

 

あれ?ダイチさんの機体が後ろへ…?

 

 

『ズキャンッ!!!』

 

 

「ひゃっ?!」

 

 

後ろへ下がったと思ったら相手の頭が爆発した。えっ?どうなってるの?

あ…!

上を見上げれば、青い機体が銃みたいなのをこっちに向けてるよ。

そっかぁ、そういうことだったんだね?

 

 

今の自分の状態に気がついて、慌てて尻餅を着いた状態から立ち上がる。

もう大丈夫…だよね?

 

 

「ダイチさん!」

 

 

ダイチさんが乗る機体に駆け寄る。

 

 

『っ!!まだだ、来るな、ランカちゃん!』

 

「えっ…?」

 

 

『!!!!!、、、、!、っつ!、!』

 

 

ひゃっ、まだ生きてる…の?

うそ、そんな

 

 

『ちぃっ、ランカちゃん!!』

 

 

ダイチさんの機体がこっちに来るよりも早く、相手の機体の腕がこっちに伸びて来る…いや、来ないで。いや。いや。

 

 

「っ!?」

 

 

屈んで目をつぶる。

 

 

………あれ、何も…起きない…?

 

 

『ダイチてめぇこの昼行灯が!隊長の妹さんに傷一つつけてみろ、オレ達がボコられんぞ?!』

 

 

えっ、赤い…機体?

 

 

『『ギリアム大尉!』』

 

わっ、新しい味方なのかな?相手を抑えてくれてる。

い、今のうちに…あ、あれ?足が震えて…

 

 

『おい!はやくこっから逃げろ!死んじまうぞ?!』

 

「は、はい。でも足が…っ!!う、後ろ!!!」

 

 

顔をこっちに向けて注意してくれるけど、相手が赤の機体を押し込むかのような感じになっちゃってるよ。

 

 

『くそっ、離しやがれ!』

 

 

機体を揺すっても抵抗すらできていない。だ、ダイチさん…!

お願い…!助けて!!

 

 

『ギリアム大尉!ちぃっとばっかり…痛いですよぉっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

『ギリアム大尉!ちぃっとばっかり…痛いですよぉっ!?』

 

 

ランカちゃんが近くにいたため、銃は使えない。最初に取り出していたのが仇になった。初動が遅かったせいでランカちゃんを危険な目に合わしちまった。ギリアム大尉に怒鳴られんのも仕方ねぇ、か。

オレの代わりに捕まったギリアム大尉を助けるため、新たにナイフを装備しバルキリーを疾走させる。速度の到達点に達した瞬間、跳躍。ナイフの切っ先を敵の頭に突き入れる。

 

 

『!、、、!、!、、!、!、!、、、、!、!っ!、』

 

 

ちぃっ、まだくたばらねぇか。

突き刺していたナイフを抜き、後方へ着地。更に踏み込んで今度は袈裟斬りにナイフを走らせる。

 

くそっ、ノドみたいな所が急所だと思うがギリアム大尉のバルキリーを抱え込んだままだから露出していない。ならば、もう一度…

 

 

『この…化け物がああぁぁぁぁあああ!!!』

 

 

っ!!ギリアム大尉!それは『悪手』だ!!

コクピットから飛び出し、アーマーを展開してバルキリー備付の銃を乱射する大尉。あれじゃあ防御力が…!ヤバい、掴まれた、このままじゃあっ!?

 

 

『おぉっ!!!』

 

 

この瞬間、オレの目の前が緩やかに動く。レバー操作、三歩の最短移動、大尉を掴む腕を掴み取り…

 

 

『ザシュゥッ!!!』

 

 

既に満身創痍な敵から新たに紫の血が吹き出す。と同時にバルキリーを拘束している腕へ縦一文字一閃。離れた瞬間をもって更に脚を踏み込み肩撃。一連の動作が何故か淀みなく行われ、敵を吹き飛ばす。

 

 

『くっ?!』

 

 

ガツンとした頭痛が起こり、追撃をしようとしていたオレの足が止まる。

くそっ、あと一撃…!!

 

 

『よくぞここまで到達した。後は任せろ!』

 

 

オズ…マ……?

 

 

 

力強い言葉が聞こえた瞬間、ランカちゃんから遠く弾き飛ばされた敵をミサイルの雨が包んだ。そして。

 

 

『おおおおおおおぉぉおおおっ!!!!』

 

 

爆炎からの煙物ともせず、イエローカラーのバルキリーのナイフが敵の喉元を突き刺し…

 

 

『!、!、、!、、、!!!!、!、っ!、!、』

 

 

断末魔を発し、コクピット内に映る敵の生命反応が消失した。

 

 
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