No.806344

ゼロの使い魔 AOS 第30話 トリスタニアの使い魔

koiwaitomatoさん

長い準備期間を終えていよいよ新しい町を作る計画が始まった。
おなじみのメンバーで始まる新しい暮らしと仕事、はたしてすんなり行くのでしょうか?
第3章の「トリスタニアの使い魔編」はここからスタートします。
なお、この章から原作のメンバーもお話に絡んできます、戦闘も増えるかも?

2015-10-05 06:56:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1427   閲覧ユーザー数:1410

 

「東地区大災害」から一週間が過ぎようとしていた。

 

大規模な竜巻が発生して王都トリスタニア東地区の住居と住人に甚大な被害が出た、つい最近起こった事だ。

 

幸いにも死者が出ずに、また、その場に偶然居合わせたラ・ヴァリエール公爵救助作業に加わったのも死者が出なかった原因だった。

 

しかし、居住区を元通りに戻すのにはかなりの時間が掛かるようで大勢の住人たちが長期間、住む場所を失う事になった。

 

そんな住人たちを哀れんで、支援金と新しい住居を提供するように提案してきた人物が先ほども話しに出たラ・ヴァリエール公爵だった。

 

被害にあった住人の治療費を全額支援して、東地区の全ての住民に約半年分の生活費を支給した。

 

さらには家を失った住人のために王都トリスタニアの外壁の外側に大規模な居住区を作って、無償提供するとの事。

 

いわいる「社会福祉事業」という所だろうか、とにかく不幸な自然災害に多くのお金と労力を注いでくれたのである。

 

ラ・ヴァリエール公爵のこの行いは、東地区以外の平民やその他の貴族たちに大きな驚きを与えた。

 

本来であれば一方的に搾取する特権階級の貴族が自分の領地ならいざ知らず、管轄外の平民にこれほど大規模な慈悲を与える事は前代未聞だったからだ。

 

ある者は何か裏があるのではと勘繰り、また、ある者は国民のために力を尽くす国士だと彼を褒め称えた。

 

前者は主に貴族たちで、後者は東地区以外に住む平民たちである。

 

何にしても、ラ・ヴァリエール公爵の評判は平民たちを中心にうなぎのぼりで良くなっていた。

 

そんなラ・ヴァリエール家が手がける新しい居住区がどうなるのかが世間の話題の中心になっていた。

 

 

 

 

 

 

平賀才人はこの世界の人間ではない、この世界と言うのは魔法が存在するハルケギニアの事を指す。

 

もともとは日本で暮らしていた彼は、この世界の貴族「ルイズ」に使い魔として召喚されて現在はここで暮らしている。

 

才人がこの世界の「トリステイン王国」に召喚されてからすでに一ヶ月が過ぎていた。

 

二十一世紀の日本から剣と魔法のファンタジーな世界に連れてこられて、死ぬような目にあったりと色々と苦労もしたが何とか生き延びてこられた。

 

そんな平賀才人だったが、ここに来て「ある意味」最大の危機を迎えようとしていたのだった・・・。

 

 

 

「ちょっと!?サイト!しっかりしてよ・・・苦しいんでしょ?私が診てあげるからこっちに来なさい」

 

「ごめん・・・エレオノール。そういうのじゃないからさ・・・ちょっと・・・ううっ・・・・・・」

 

「ちょっとじゃないでしょ!そんなに苦しそうにしているのに我慢なんてしちゃダメよ。どこが痛いのか言いなさい!」

 

「・・・くっ、そういうのじゃないんだって・・・そういうのじゃ・・・・・・」

 

「サイト、姉さんには全部分かっているよ。まあ・・・頑張りなさいな」

 

エレオノールとミス・ロングヒルは苦しんでいる才人を囲んで状況を見守っていた、いったい才人に何が起こったのか?

 

話は数日前に戻る・・・

 

 

 

 

 

 

「新都計画」

 

「東地区大災害」で住居を失った住人たちに新しい住居を提供するためにラ・ヴァリエール家が主導で進める国家福祉事業である。、

 

しかしこの計画にはもう一つ目的があって、王都トリステニアの人口過密状態を解消するべく新しい居住区を作る。

 

平賀才人が立案した「東地区拡張計画」の基本方針を引き継いで、名前と規模を変更した計画になった。

 

とは言っても、ラ・ヴァリエール家はあくまでもスポンサーで実働メンバーは才人を中心とした三人である。

 

平賀才人・・・新都計画のリーダーであり計画の総責任者、企画と建設を担当する。

 

ミス・ロングヒル・・・資金の管理、そして住人たちとの折衝や新都の広報を担当する。

 

エレオノール・・・ラ・ヴァリエール公爵(スポンサー)との連絡と監査、そして全体の補佐を担当する。

 

このような役割分担で現在は新しい町を作るために各々、慌ただしく動いていた。

 

才人は親方を中心としたトリスタニアの大工の組合と仕事の割り振りの交渉や、長期的に見た町の設計や経営を練っていた。

 

ミス・ロングヒルはとにかくお金の計算をしている、建設にかかる人件費や材料費、また運営にかかる資金の見積もり。

 

・・・もちろん、本命である中抜きをするための計算も入れながら。

 

エレオノールは「東地区大災害」の件があるので、積極的には人前には出てこないのだが毎日、事務所には顔を出している。

 

そして、その事務所なのだが才人が住んでいる家を使っていた。

 

朝から夕方までは各自動いて、夜になると事務所に集まって会議をするというのが一連の流れになっている。

 

そして、今日も才人の自宅兼事務所で会議が行われていた。

 

 

 

「こっちはうまくいってるよ。トリスタニアの大工が大体二百人ぐらいは確保できているから。あとはその報酬なんだけど・・・」

 

「二百人ね・・・そんなにいるのかい?人件費が高くつくじゃないか。伝説の大工が一人でやってくれたら助かるんだけどね・・・どう?」

 

「いやいや!無理だって、何千人と住む町を一人で作ってたら何十年かかると思ってるんだよ。って言うか二百人でもカツカツだからさ、見積もりを出しといてよ」

 

「はあ~・・仕方がないね、とっとと作らせるんだよ。後は・・・サイト、これは必要ないんじゃないのかい?」

 

「えっ?どれ」

 

「この水洗トイレってやつと、公衆浴場だよ。トイレなんざそこらでしちまえばいいし、風呂なんて貴族の贅沢品みたいなもんだろ。何より金がかかる!」

 

「・・・姉さん、何度も言うけど衛生施設は絶対必要だから。・・・あんまり言いたくは無いんだけど、この世界ってすごく臭いんだよ」

 

日本とトリステイン、両方の世界で暮らした才人が差を感じたのが衛生観念だった。

 

排泄物を処理するべきトイレが基本的には無いのである、じゃあどこで用を足しているのかと言うと・・・「おまる」にするのであった。

 

現代の日本では「おまる」は子供のトイレトレーニングのための器具であり、大人が使う機会は基本的にはありえない。

 

しかも、おまるに貯まった排泄物を道端に捨てるというのがこの国の常識らしく町全体が排泄物の臭いで溢れていた。

 

「せっかく新しい町を作るんだから、目玉商品みたいなものが欲しいし、それに伝染病の予防にもなるんだからさ・・・ここは絶対に譲れねぇ!」

 

「・・・わかったよ。そこまで言うんなら予算を組んどくけどさ、ただ、風呂は別にいらないよ。水と燃料でどれだけお金が掛かると思ってるんだい!?」

 

たしかにお風呂はお金がかかる、特にこの国では。

 

大金持ちの貴族はお湯を張ったお風呂に入れるものの、平民には大量の水と燃料(主に薪など)を毎回用意する金銭的余裕はない。

 

平民は濡らしたタオルで体を拭いて済ますのだ、それだって毎日するわけではない。

 

才人も特別きれい好きという訳では無いのだが、日本で暮らしていた時はお風呂に入らなくてもシャワーだけは毎日浴びていた。

 

日本では当たり前のマナーなのだがこの国ではそんなマナーは無いらしく、服装がしっかりしている人でも体臭が酷い。

 

「・・・価値観の違いなのかもしれないけど、俺の国では昔から風呂に入るのは当たり前だった。それに清潔にしていた方が病気にも掛かりづらくなるんだって」

 

「そこまでみんなの健康を気にする事もないと思うけどね・・・エレオノール。あんたはどう思うの平民が毎日、風呂に入れる施設を作る事は?」

 

「そうねぇ・・・平民に贅沢を覚えさせるのもあまり良くは無いわね。私だって毎日お風呂に入ってるわけじゃないし」

 

「だとさ、トイレはともかく貴族でも毎日入らないお風呂はさすがにやりすぎだと思うけどね。どうするんだい?」

 

「・・・・・・保留って事で」

 

あまりにもお風呂に対する概念が違うようなので、ここは一旦引くことにした。

 

そんなこんなで色々と話は進んでいき、だいぶ遅い時間になっていた。

 

 

 

「さてと・・・今日はここまでかな。サイト、あたしは風呂に入ってくるから晩飯の用意をしといてね~・・よろしく」

 

「はぁ!?何言ってんのよ。あなた、今日もここに泊まっていくつもりなの?自分の家に帰りなさいよ!」

 

「女ひとりで、夜道を歩いたら危ないでしょうが。自分のことを棚に上げて言う前にあんたも家に帰りなよ、婚約者がいるくせにとんだ浮気ものだね~」

 

「浮気とかじゃないわよ!これは仕事なんだから、それにあなたを襲うような男なんているわけないでしょ!・・・って、な・な・な・なにやってるのよ!!」

 

「あん?風呂に入るから服を脱いでるだけだよ、見りゃ分かるだろうに」

 

「なんでここで裸になる必要があるのよ!お風呂場で着替えなさいよ!サイトは見ちゃダメよ!!」

 

「・・・ああ・・・うん」

 

「全くうるさいね~弟に見られたって別に気にしないわよ。じぶんちぐらい好きにさせてくれよ・・・サイト!寝巻きになる物を用意しといてね~じゃね」

 

「ここはあなたの家じゃないでしょ!!なんなのよあの女!!下品すぎるわよ!!」

 

「あの・・・エレオノール・・・さん?夜中なんで少し音量を落として・・・」

 

才人の家にはお風呂が備え付けてあった、ルイズが選んでくれた家にたまたま付いていたのだが。

 

実を言うと前日もこの二人は才人の家(兼事務所)に泊まっていた、三人でも非常に余裕がある大きさで狭くはない・・・狭くはないのだ。

 

この二人は前日にもお風呂に入っていったのだが、今日のミス・ロングヒルは才人の前で大解放をしてしまう。

 

才人に気のある素振りを見せないミス・ロングヒルなのだが、完全に男として意識していないのか弟の様に思っているのか恥じらいがゼロである。

 

「あのさ・・・姉さんの寝巻きになるものを探してくるから、エレオノールも落ち着いて・・・ね」

 

「・・・わかったわよ。あっ!サイト、ちょっといい!?」

 

「えっと・・・何かな?」

 

「あの女となるべく二人っきりにならないようになさい。出来れば私のそばを離れないで・・・いいこと?」

 

「・・・?」

 

「あんな下品な女の近くにいたら、いつか襲われるかもしれないでしょ!とにかく、私の近くにいる事!わかったかしら?」

 

「え~・・と、たぶん姉さんは俺にはそんなに興味ないかと・・・」

 

「サイト・・・あなたが心配なのよ・・・ぐすっ」

 

「わっ!?分かったから!だから泣かないでよ。そばにいるから、エレオノールの近くから離れないから・・・ねっ」

 

男としての意識がゼロのミス・ロングヒルに対して、こちらは意識が高い様子で。

 

才人はエレオノールに婚約者がいる事を知っているので、まさか自分がそういう風に意識されているとは露ほども思っていないのだが・・・。

 

 

 

結局、お風呂の順番はミス・ロングヒル→エレオノール→才人の順番で入った。

 

ただ、エレオノールが入浴している時に才人は風呂場の前で待機させられ、逆に才人が入浴中にはエレオノールが風呂場の前で待機していた。

 

(・・・落ち着かねぇ)

 

体を洗いながらも、どこからか視線を感じる才人だった。

 

そして、夕食の準備は才人が行うのだが・・・誰も手伝わない。

 

否!二人ともちゃんとした料理が出来ないのである!

 

「サイトは男の子なのにお料理も出来るね」

 

「ずっと一人暮らしだったから。エレオノールは苦手なものとかある?」

 

「ふふっ!サイトが作ったものなら何でも食べるわよ・・・・・・できれば人参はいれないでちょうだい」

 

「りょ~かい!」

 

ちょっとキツめの綺麗なお姉さんと台所で献立を話し合いながらキャッ!キャッ!ウフフだと・・・才人くんよ爆発しろよ!!いやマジで。

 

そんなこんなでエレオノールとおしゃべりしながらも夕食は完成した。

 

「サイト~!お酒を持ってきて~!」

 

「はいはい、ちょっと待ってて」

 

「サイト!人参は入れないって言ったじゃない!お肉の中に入ってるわよ!」

 

「買ってからだいぶ時間が経っているから使いたかったんだよ、こっちのお皿に入れてくれれば俺が食べるから・・・」

 

「なにかつまみが欲しくなってきたよ、ささっと作ってちょうだい」

 

「ちょっと!私から離れないでっていったでしょ!あなたは人参でもつまみにして食べてなさいよ!」

 

「あんたの唾がついた人参なんてつまみじゃなくてゴミだろ・・・せめて人間が食べれるものをちょうだい」

 

・・・姦しい、そして賑やかな割には動かない。

 

エレオノールは長女だし、ミス・ロングヒルも才人の姉(姉貴分)であるのだが・・・才人は二人を相手にしながら思った。

 

(姉ちゃんっていうのは年下に対してわがままだって言うのは聞いた事があるけど、ここまで酷いのかよ・・・)

 

女性に対しての幻想をすこし汚された才人ではあったが、賑やかな自宅はルイズと過ごした時以来で楽しくもあった・・・たぶん。

 

 

 

「じゃあ明日も早いから寝るかな、姉さんたちも明日も忙しいんだから早く寝たほうがいいぜ」

 

「そうだね・・・そうさせてもらうか、家主が泊まれって言ってるわけだし今日もここで休ませてもらうかな」

 

「じゃあ二人とも昨日と同じで俺のベッドか、来客用のベッドを使って寝てく・・・」

 

「サイト!あんたはあたしと同じベッドで寝るんだよ」

 

「えっ!?」

 

「はぁ!?」

 

「えっ!?じゃないよ。サイトはあたしと一緒に寝るのよ。じゃ~ねぇ、エレオノール。いい夢見なさいよ~」

 

「・・・・・・はっ!?ちょっ!ちょっと待ちなさいよ!何ふざけた事言ってるのよ!」

 

「別にふざけてなんかいないわよ、夜中なんだから少しは静かにしなさいよ」

 

「一緒に寝るって!あなた、サイトに何をするつもりなのよ!」

 

「・・・この子は昨日居間で寝ていてね、寒そうだったから今日はベッドで眠らせるつもりなんだけど。何をするつもりって一体ナニですか?エレオノールさん?」

 

「なっ///!?それは・・・その・・・くっ!」

 

「はぁ~・・別にあんたが考えている様なことはしないよ。まあ、そんな訳で兄弟水入らずでのんびり眠ろうかね・・・サイト」

 

「えっと・・・ハイ、じゃあそういう事で・・・」

 

前日はミス・ロングヒルが才人のベッドをエレオノールが来客用のベッドを使っていて、才人は居間で毛布をかぶって寝ていた。

 

朝方、寒そうに寝ていた才人を見たミス・ロングヒルが今日は暖かいベッドの上で寝かせてあげようという母性の様なものを働かせたのだった。

 

今回はエレオノールの負け、と言うか自爆と言うか・・・そんな訳で才人のベッドにミス・ロングヒルと二人で寝ることになったのである。

 

 

 

ベッドに入ってから一時間が経ったであろうか、ミス・ロングヒルは完全に寝入っていた。

 

そして我らが平賀才人はと言うと・・・起きていた。

 

(・・・スンスン・・・くっ・・・姉さん・・・ダメだ!眠れねえよ!!)

 

と言うよりも眠れないのであった。

 

それも当然である、目の前にいるミス・ロングヒルはパンツ一枚と才人のシャツ一枚で寝ているのだ。

 

そして、ミス・ロングヒルの寝息と女性の香り・・・動くたびに聞こえる衣擦れの音が気になって仕方がない。

 

才人は十六歳の健康な男子である、性欲旺盛な十代の男子がこの状況下でまともに眠れるはずがないだろう!

 

(どうしよう・・・いったん外に出て落ち着かせるか?・・・でも、ここから動きたくない)

 

(姉さんってやっぱり大きいよな・・・エロ本では見たことがあるけど・・・どうなってるんだろう・・・いや待て!)

 

少しずつおっぱいに近づいて行く才人、だが目と鼻の先まで来てギリギリで留まる!

 

(危ない・・・さすがにそれはマズイよな・・・エレオノールだって近くにいるんだし・・・これがルイズにバレたら・・・くっ!)

 

・・・おっぱいが見たい欲求とそれは人としてまずいという理性で激しく戦っている才人だった。

 

こんな不毛な戦いをしばらく続けていたのだが、戦況は全くの五分と言った所だろうか・・・いっその事このまま眠ってしまえば幸せだったのだろう。

 

「・・・サイト。起きている?」

 

(えっ!?この声は・・・・・・エレオノール?)

 

「・・・・・・寝ているわよね?」

 

まさかのエレオノール登場!

 

目の前(至近距離)のおっぱいと、自分の欲望と理性の戦いに集中していた才人は声をかけられるまで気がつけなかった。

 

この状況は色々とバツが悪い才人、ここは狸寝入りを選択してエレオノールをやり過ごそうと決意したのだが・・・。

 

――― バサッ!

 

なぜか才人にかかっている布団が持ち上げられて。

 

――― ガサッ!

 

エレオノールがベッドの中に入ってきた・・・才人の真後ろに彼女の気配を感じる。

 

――― ぎゅっ!ぎゅう~~~~!

 

・・・何だろう?後ろから抱きつかれているような気がする・・・いや、抱きつかれている。

 

――― もにゅん!もにゅん!(うおっ!やわらかい!)

 

顔面がミス・ロングヒルのおっぱいに埋められた、ワザとじゃない!エレオノールに押されてこうなった訳で決してワザとではない!

 

――― ガサッ!ぎゅっ!(ちょっと待って!こっちもか!)

 

ミス・ロングヒルが才人を抱きしめてくる、さらには足も絡めてきて前と後ろで完全に身動きが取れなくなってしまった。

 

前後から聞こえてくる吐息を発する声と香り・・・さらにはそれぞれ違った体臭と柔らかかったりスベスベだったりする感触・・・才人は限界に近かった。

 

 

 

結論から言おう、才人は勃起をしてしまった・・・ズボンからはみ出るくらいに・・・かつてないほどに。

 

そして、イキそうなのも時間の問題なくらい現在の状況は危険だった。

 

才人はトリステインに召喚されてからオナニーを一回もしていなかった。

 

生きる事に忙しかったのもあるし、ネットやエロ本などの気軽に性欲を発散できるものがこの世界にはなかった。

 

では、ルイズといっしょにいた時にはどうだったのだろうか?

 

何故かわからないがそういう気にはなれなかった、好みの問題なのか?もしくはカッコつけたかったのか?とにかくそういう気にはならなかった才人だった。

 

そして・・・性欲溢れる十代の男の子の約一か月分がここで解き放たれようとしている、お姉さん二人の目の前でだ。

 

(冗談じゃねぇ!・・・この部屋から出て・・・動くと余計に・・・ぐっ!・・・そういえばなんでラノベの主人公はオナニーしないんだ・・・)

 

(・・・ううっ!・・・あいつら基本的にハーレムなのに・・・ありえねえよっ・・・俺もラノベの主人公なら・・・うっ、ぐぅ!」

 

「ちょっと!サイト!?どうしたのよ、どこか痛いの?」

 

「えっ!?・・・なんで・・・あれ?声が出てた・・・いや、なんでもないからさ・・・ちょっと外に行かせて・・・」

 

少しずつ立ち上がろうとしている才人、少しでも刺激を与えれば性欲が解き放たれる事は間違いない、とにかくこの部屋から脱出しなければ。

 

「ちょっと!?サイト!しっかりしてよ・・・苦しいんでしょ?私が診てあげるからこっちに来なさい」

 

「ごめん・・・エレオノール。そういうのじゃないからさ・・・ちょっと・・・ううっ・・・・・・」

 

「ちょっとじゃないでしょ!そんなに苦しそうにしているのに我慢なんてしちゃダメよ。どこが痛いのか言いなさい!」

 

「・・・くっ、そういうのじゃないんだって・・・そういうのじゃ・・・・・・」

 

必死に勃起を隠そうとエレオノールに背を向けているのだが、正面から様子を見ようと必死に才人の体をつかんでくる・・・さすがにまずいかも。

 

「サイト、姉さんには全部分かっているよ。まあ・・・頑張りなさいな」

 

いつの間に起きたのかミス・ロングヒルは全てを理解して、この状況を見守っているようだ・・・いや、助けてくれよ。

 

「いいかげんになさい!!」

 

才人を強引に仰向きにさせたエレオノール。

 

この刺激が最終的なトリガーとなり・・・。

 

「あっ・・・?」

 

溜まりに溜まった才人の欲望が・・・精子がエレオノールを直撃した!

 

「えっ・・・?」

 

頭が真っ白になりながら、自分から飛び出る真っ白いものを才人は眺めていた。

 

 

 

(長いな・・・こんなに長い時間射精したことあったっけ・・・俺の精子がエレオノールの顔面にかかってる・・・まるでAVみたいだよな)

 

そして10秒以上かかった長い射精が終わり、部屋の中に沈黙が訪れた。

 

(え~と・・・これってアレよね?男の人がセックスをする時に出す・・・えっ?なんでサイトが・・・その・・・射精をしているの?)

 

「・・・」

 

(なんで私が精子をかけられているの・・・これって汚されたって事かしら・・・私が・・・お嫁に行けないような事を?)

 

「・・・ううっ!」

 

(えっと・・・私はサイトを怒ればいいのよね・・・でもどうやって怒ればいいのかしら・・・そういえばさっきすごく苦しんでいたのって・・・コレ?)

 

「うっ・・・ううっ・・・ぐすっ!・・・ひぐっ!」

 

「え~と・・・サイト。その・・・どこか痛くないの?えっと・・・泣くほど痛いのかしら。その・・・だから」

 

「ほら、さっさと顔を洗いにいくよ。いっしょにおいで!」

 

「えっ!?だってサイトが泣いて・・・」

 

「後で説明するから、いいからこの場はサイト一人にしてあげるんだよ」

 

泣き出す才人と混乱してどうしていいのか分からないエレオノール、この中で唯一冷静なミス・ロングヒルがエレオノールを外に連れ出した。

 

洗面所で顔を洗って居間に戻ってきたエレオノール、そして彼女を待っていたミス・ロングヒル。

 

「あんたも災難だったね、まさかサイトに顔射されるとは思わなかったよ」

 

「えっと・・・顔射って何かしら?」

 

「あんた、経験が少ないのかい。セックスの時のプレイの一種だよ」

 

「なっ!?そんな事するわけないでしょ!!結婚もしていないのにセッ・・・セックス///なんてしちゃいけないのよ」

 

「・・・・・・・・・あたしより年上なのに、まさかの処女だったか。悪い事を聞いちまったね」

 

「別にどうでもいいでしょそんな事は!それよりもサイトよ!その・・・一体どうすればいいのよ」

 

「う~ん・・・どうしようかね?気にしないふりをするのが一番だとは思うけどね。あんたはどうしたいのさ?怒りたいのかい?」

 

「私にあんな事をして・・・怒りたいけど・・・」

 

「けど?」

 

「あんなに泣いてるサイトを慰めてあげたい・・・様な・・・でも顔射した事は許されないと言うか・・・どうしよう」

 

「・・・しかたないね。今回は本気で助け舟を出してあげるか」

 

「えっと・・・助け舟って?」

 

「まあ、こっちにも思うところがあってね。(こうなる事が分かって見逃しちまったしね)どうすればあんたにとって一番いいかアドバイスしてあげるよ」

 

「一番いい方法・・・本当に!?」

 

「ああ・・・たぶんあの子ならこれで行けると思うよ。」

 

「で?それはどういう方法なのよ」

 

「・・・いまからサイトの所に戻って、朝までずっと抱きしめてあげるんだよ。それだけだ!」

 

「抱きしめる・・・本当にそれだけでいいの?」

 

「ああ!それとサイトは最初は嫌がると思うけど、そしたらこう言えば良い・・・・・ってな感じでな、後は・・・」

 

「・・・」

 

「以上だ!あたしは客間で寝ているから後はあんたに全て任せるよ。まあ頑張りなさいな!」

 

そう言ってミス・ロングヒルは客間のほうに姿を消した、居間に取り残されたエレオノールは先ほどのアドバイスを呟きながら才人が待つ寝室に向かうのだった。

 

 

 

才人は泣いた・・・こんなに泣いたのは久しぶりだったと思う。

 

年上の綺麗なお姉さんたちの前でみっともなく射精をしてしまったのだ、男のプライドがボロボロになっていた。

 

生理現象なのだから仕方がないのだが、若い才人にはそこまで割り切る余裕はなかった。

 

特にエレオノールにはAV顔負けの顔射までしてしまったのだ・・・もはや、彼女と合わせる顔が無い。

 

明日からどうしようとか、エレオノールからルイズに伝わったら嫌われてしまうだろうとか考えていたその矢先。

 

――― ぎゅっ!

 

後ろから抱きしめられた。

 

「・・・!?」

 

先ほどと同じ感触でエレオノールだという事はすぐに分かった。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

エレオノールなのは間違いないとは思うのだが、一言も話さない。

 

先ほどの件もあって非常にバツが悪い才人、そしてつまらない男のプライドなのか後ろから来る抱擁を逃れようとするのだが。

 

――― ぎゅっ!

 

「私、怒ってるんだからね」

 

「・・・」

 

怒っていると告げるエレオノールの声と腕が才人を放さない。

 

「今日はずっとこのままよ・・・そしたら許してあげるわ。わかった?」

 

「・・・うん」

 

「じゃあ・・・こっちを向きなさい」

 

「・・・うん」

 

そうしてお互いに向き合って布団の上に寝ている二人・・・そして、正面から再び抱きしめられる才人。

 

そのまま無言で抱きしめられる才人、許しを得られて心のわだかまりがゆっくりと解けていく。

 

心が安らいでいく感覚を才人は心地よく感じていた・・・そして、そのまま眠りに・・・つけなかった。

 

「・・・んっ・・・うんっ・・・はぁ・・・あっ!?」

 

「・・・?」

 

「あっ・・・あっ・・・あっ・・・んんっ!・・・んっ!」

 

「えっ?エレオノール、一体何をしてるの?」

 

「・・・・・・オナニー///・・・してるのよ///・・・んんっ!!」

 

「えっ?」

 

「だから・・・オナニーしてるんだから!・・・別に恥ずかしい事じゃないんだから・・・あっ・・・サイトだけじゃないから・・・私だって・・・んんっ!!」

 

才人の目の前からクチュクチュと淫靡な音が響いてくる・・・どうやら本当にオナニーをしているようだ。

 

最初は訳が分からなかったが、要するに才人がやった事は恥ずかしい事じゃないと身をもって証明してくれているらしい・・・自らする事によって。

 

「あの・・・エレオノールさん?言いたい事は分かったし・・・気持ちはすごく嬉しいんだけど。俺はもう大丈夫だからさ・・・その手を」

 

そう言って才人は彼女の右手を止めようとして手を掴もうとしたのだが・・・。

 

――― にゅるん!くにぃ!

 

「ヒィィ!?・・・!!・・・!!!・・・!!!!・・・あっ!はっ・・・あぁ・・・」

 

密着していて手元が見えない状態では手を掴むことはできずに、代わりにエレオノール陰部をピンポイントで触ってしまった・・・彼女は激しく痙攣しながらイッた。

 

「ひぃ!?その・・・ごめん!ワザとじゃないんだ!だから・・・えっ?」

 

「はぁ~・・サイト・・・もう一回・・・触って・・・オナニーをさせて・・・ねぇ?」

 

そして才人をガッチリとホールドしてもう一度触るように要求してくるエレオノール、さすがの才人もこれには恐怖を覚えたがどうする事も出来ない。

 

まだ夜が明けるまで何時間も残っていた、才人は薄れ行く意識の中で・・・

 

(これが罰なのか・・・しかたがねえよな・・・あれっ・・・こっちも起ってきちゃったかも・・・ははは)

 

・・・そんな事を思っていた。

 

翌朝、誰よりもはやく起きたミス・ロングヒルが才人の部屋に入った時に「臭っ!」と叫んだとか・・・。

 

 

 

前日の夜の事もあって非常に気まずい空気の中、朝食をとる三人。

 

エレオノールはこちらと目を合わせてくれないし、ミス・ロングヒルは新聞を見ながら我関せずといった態度だ。

 

トリスタニアの新都計画を進めるに当たって先行き不安な、使い魔一匹とお姉さまたちだった。

 

そんなギクシャクとした朝の中、才人の家を一人の来客が訪れる。

 

その人物は・・・

 

 

 

....第30話 トリスタニアの使い魔 終

 

 

 

 

next第31話A 少女の名はタバサ

 

next第31話B トリステインの花と呼ばれる姫君

 

next第31話C ゼロと呼ばれるルイズ

 

 

 

 

執筆.小岩井トマト

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択