「私達のところに来ない?」
「――――えっ?」
「行くとこ無いんでしょ?なら私達と一緒に来ない?」
むぅ・・・確かに行くあてなんて有る訳もないよなぁ・・・
「それは助かるけど・・・、いいのか?」
「いいのよ。あなたは天の御遣いなんだし」
「だからそれは・・・」
違うんだが・・・
「まぁ、それは建前だからいいのよ」
「建前?」
「ホントはね?どっちでもいいの」
「どっちでもって?」
「あなたが天の御遣いでもそうでなくても」
「どういうこと?」
「大切なのは名前なの。天の御遣いという名前が持つ意味・・・」
「意味?」
「えぇ、天が私達に味方した。そうなれば孫家の名前は天下に広がり、人々は私達に畏怖の念を抱く・・・」
「なるほど・・・」
確かにこの時代ならそういった信仰的、宗教的なものは十分に効果があるだろう
「それで?来るの?来ないの?」
「あぁ、行くよ」
寝るとこがあるなら今は大歓迎だ
「それじゃ、よろしくね。一刀♪」
「よろしく、孫策さん」
「雪蓮よ」
「えっ?」
「私の真名よ。これからは私のことは雪蓮って呼びなさい」
「真名・・・?」
「えっ?真名知らないの?」
「あぁ、俺の居たとこにそんな習慣は無いな」
「ふ~ん、真名ってのはね家族や親しい人にしか教えない、呼んじゃいけない神聖な名前なの」
「なるほど・・・、いいのか?」
「えぇ、もう仲間になったんだから。それに・・・」
「それに?」
「一刀、私の好みだし♪」
「ブッ・・・!」
「あ、赤くなった」
「き、気のせいだ」
「もしかして照れてる?」
「照れてない!」
「やっぱり照れてるじゃない♪」
「ったく・・・、からかうなよな。雪蓮」
「あ・・・」
「どうした?」
「う、ううん。なんでもないわよ・・・」
「照れてる?」
「て、照れてないわよ・・・」
「そうか?顔が赤いけど・・・、熱でもあるのか?」
前髪をかきあげ、額同士で温度を測る
「っ!?か、一刀・・・///」
「二人とも、儂を忘れてはおらぬか?」
「あ!ご、ごめん。黄蓋さん」
「祭じゃ」
「いいの?」
「主が許したのだからな。それにおぬし、なかなかの武をお持ちのようだ」
「ありがとう。ふたりには敵わないよ」
「ふむ・・・。策殿、そろそろ城に戻りませぬと」
「そうね。一刀、ついてきて」
「わかった」
俺は荷物を持って孫策の居城へ向かった。
「ただいま、冥琳いる~?」
「雪蓮!今までどこに行っていた・・・の・・・?」
出てきたのは黒髪のメガネの女性
「あぁ、これ?拾ったの。じゃ~ん!天の御遣い!」
「どうも・・・」
とりあえず会釈する
「すまない、雪蓮。状況が理解できん・・・」
「まぁまぁ。ちょっと話せば分かるって」
それから俺はその女性(名はあの周瑜だそうだ)から数時間の尋問を受けたの後、やっと信じてもらえた
「それで?北郷はこれからどうするのだ?」
周瑜が尋ねる
「そうだな・・・、帰る方法を探さないといけないんだけど、あても無いしなぁ」
「ならば此処に居ろ。帰る方法を探すのを手伝ってやろう」
「えっ?いいのか?」
「あぁ、その代わり天の知識、天の御遣いの名は使わせて貰うぞ」
「あぁ、ありがとう」
「か~ずと!」
「雪蓮?」
「っ!?北郷!なぜその名を知っている?」
「私が教えたのよ」
「全く・・・、軽々しく真名を教えるなとあれほど・・・」
「まぁまぁ、一刀はイイ男よ?」
「ちょっ?雪蓮!?」
「あ、照れてる」
「そりゃ・・・、照れるだろ」
「あ、認めた。かわい~」
そう言って、雪蓮が抱きついてくる
「ちょっ!抱きついてくるな!」
「二人とも、私を忘れないで欲しいのだが・・・」
「ご、ごめん。周瑜」
「冥琳だ」
「いいの?」
「あぁ、主に倣っただけだ」
「そっか、よろしく冥琳」
「あぁ」
「ちょっと!私を忘れるな~!」
「ごめん、ごめん。雪蓮、冥琳、これからよろしくおねがいします」
「えぇ、頑張りましょ♪一刀♪」
その日は、疲れているだろうからとのことで、雪蓮にあてがわれた部屋で食事を取り、寝た
目が覚めれば元の世界に戻ってるんじゃないか
――――そんな淡い期待を胸に抱いて・・・
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