No.79790

学園の恋姫たち その3

ぴかさん

学園の恋姫たちのその3です。

かなり短めですが、今回は華琳様のターンとなっております。
うまく書けているか分かりませんが、楽しんでいただけると幸いです。

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2009-06-18 18:35:21 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:10144   閲覧ユーザー数:8010

簡単なあらすじ・・・

 

武将が女の子ばかりの三国志の世界から戻ってきた北郷一刀。

また、彼の願いにより一緒にこちらの世界に来てしまった蜀の面々。

聖フランチェスカの理事長の計らいで女子寮に住み学園への入学も出来た。

そして新学期が始まり、北郷一刀のクラスに蓮華が転入してきた。

蓮華との関係がうまく築けない一刀は、部活動である剣道に打ち込むことにした。

だがそれも、桃香達が入部したことでなかなか大変な状況だった。

 

そんなある日、部活の帰りに出会ったのは、魏の覇王曹操こと華琳であった。

 

 

突然抱き付かれ困惑する一刀。

だが、胸の中では涙を流し一刀の胸に顔をうずめる見慣れない姿の華琳。

 

一刀(か・・・かわいい・・・。)

 

素直に思った。

そして、空いている腕で抱きしめてあげたいと。

だが、一刀は決して節操なしではない。

ここははやる気持ちをグッと抑えた。

 

一刀「あの・・・曹操・・・さん?」

華琳「!?」

 

一刀の自分への呼び名でハッとする華琳。

そして、体を離し後ろを向いて涙をぬぐう。

一刀には真名を授けたはずだ。

最後のあの時も華琳と呼んでいた。

だが、目の前にいる北郷一刀は自分の事を“曹操”と呼んだ。

華琳は、キリッとした覇王の表情になって尋ねた。

 

華琳「あなた、名前は?」

一刀「は?」

 

さっきまで一刀と呼んでいたのに突然名前を聞いてくる華琳に唖然となる一刀。

 

華琳「だから、名前を聞いているのよ!!キチンと答えなさい!!」

一刀「俺は、北郷一刀だけど?」

華琳「そう・・・。」

 

華琳は腕を組み考える。

あの者は北郷一刀で間違いない。

だが、自分の事を真名ではなく姓名で呼んだ。

これだけで別人と決めつけるには情報が足りなさすぎる。

さらに質問をしてみようと考えた。

 

一方一刀は、涙ながらに抱き付かれたかと思ったら真面目に名前を聞かれ困惑するばかりであった。

 

華琳「あなた、北郷一刀なら一刀でいいわね。一刀は、私の事を知っている?」

一刀「知っているよ。魏王の曹操だろう?」

華琳「知っているのね・・・。」

 

この回答はある程度予見できていた。

名前だけならともかく姿形が全く同じ人間がいるはずはない。

問題は次の問いだった。

 

華琳「なら、一刀・・・。あなたは誰に仕えた?」

 

ここは紛れもなく一刀が帰った天の世界だろう。

その世界にいながら、自分の事を知っている。

ならば、この者も華琳が元にいた世界へ来ていたはずだ。

その時、誰に仕えていたか。

それが分かれば、この者が華琳の探し求める北郷一刀かどうか分かる。

そう華琳は考えた。

そして、内心“曹操に仕えた”と言って欲しかった。

だが、一刀の口から出た言葉は、華琳の期待を裏切るモノだった。

 

一刀「俺はとう・・・劉備に仕えたよ。」

華琳「そう・・・。」

 

華琳は平静に務めた。

しかし、内心は泣き出しそうであった。

せっかく見つかった一刀は自分の捜す人物とは別人のようである。

と言う事は、あの日まで過ごした日々の事を知らない。

素性の分からぬ一刀を拾ってあげた事。

魏の警備隊長として日々勤めていた事。

定軍山では秋蘭を助け、赤壁では呉や蜀を退けた事。

初めて肌を重ねた日の事・・・。

魏のみんなとの、そして華琳との思い出はこの目の前にいる一刀の中には無いのだ。

 

華琳(これじゃ、素直になったって・・・。)

 

あの謎の声の主が発した言葉を思い出していた。

これからは自分の気持ちに素直に、1人の女性華琳として生きようと心に決めてきたのに・・・。

何とも言えない絶望感が華琳を包んでいた。

 

 

一刀「あの・・・曹操さん?」

華琳「?」

 

一刀がハンカチを差し出す。

気が付くと、華琳の目には涙が溢れてきていた。

 

華琳(一度ならず二度までもこの一刀にこんな姿を見られてしまった。)

 

華琳は一刀の手からハンカチを奪い取ると後ろを向き涙をぬぐった。

そのまま後ろを向き何も話そうとしない華琳。

しばらくの沈黙の後、一刀が話し出した。

 

一刀「曹操さん。俺は君の知っている北郷一刀ではないだろう。だけど、ここにいるのは俺だ。だから、その・・・君の知っている北郷一刀の代わりをさせてくれないか?」

華琳「!?」

 

一刀の提案に華琳が振り向く。

 

一刀「俺の中にある曹操さんとの思い出は、黄巾党や反董卓連合、桃香と一緒に戦った事と、平和になってからその帝王学を教わったこと位だ。」

華琳「?」

一刀「だけど、時間はまだまだ進んでいく。せっかくこの世界に来たんだ。これからたくさん思い出を作っていけばいいじゃないか。」

華琳「・・・。」

 

華琳は、一刀の提案について考えた。

自分はなぜ北郷一刀を好きになったのか。

最初は天の知識に興味を持ち、面白そうという位しかなかった。

しかし、日が経つにつれ自分の中の一刀の存在が大きくなっていくのを感じた。

それは知識や姿形ではない。

北郷一刀の生き方、その想いに惹かれていったのだろう。

じゃあ、目の前の一刀はどうだ。

まだ分からない事も多いが、また初心に戻って付き合っていくのも良いかもしれない。

 

華琳(ああ、そういう事か・・・。)

 

華琳の表情に明るさが戻ってきた。

 

華琳「そうね・・・。一刀の提案を受け入れるわ。だけど、私の付き合うのは生半可な気持ちじゃつとまらないわよ!!」

 

そう言葉にする華琳の表情は、覇王のように凛々しく、そして少女の柔らかい笑みをたたえていた。

 

一刀「あ・・・ああ・・・、努力するよ。」

 

一刀はとんでも無いことを言ってしまったと後悔したが、華琳の笑顔を見てまあいいかなと納得した。

 

 

あとがき・・・

 

華琳様のターンでしたが、いかがでしたでしょうか?

もうちょっと長く書くつもりでいたのですが、話がうまくまとまらず今回のような形になりました。

 

一刀君が華琳フラグを立ててしまったことで、今後の流れはさらに混沌を極めることになりそうです。

 

ゴールシーンはまだ全然見えてませんが、精一杯頑張っていこうと思いますのでこれからもよろしくお願いします。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。


 
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