No.797490

2体の魔神皇帝 IN艦これ

HIBIKIさん

第参話です。書いては書き直しの作業をしていたら時間が掛かってしまいました。

2015-08-21 03:12:00 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2082   閲覧ユーザー数:2027

青葉を黒焦げにした一夏は昴に少し怒られたが反省の色は殆ど見えなかった。

強引な取材をしようとした青葉も流石にあんな事は二度と御免だと言わんばかりに

真面目な鎮守府の新聞記者とまでいわれるようになった。

 

「そういえば明後日ですよね。例の演習」

 

(ん?あぁ。そういえばあったな。そんなの)

 

「忘れてたんですか・・・(汗)」

 

吹雪に言われてそういえばと頭の片隅にホッポリ出していた情報を思い出した一夏。

 

(そういえば吹雪、お前昴提督に呼ばれてたろ?)

 

「すっかり忘れてましたあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

大急ぎで昴のいる執務室に向う吹雪。一方その執務室では・・・

 

「吹雪ちゃん遅いなぁ・・・」

 

「一寸忘れているのかもしれません。彼女は此処に来てまだ2日目。

 仕方ないと思います」

 

「まぁ確かに加賀の言う通りだよね」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

地響きかと思えるくらいの音が聞こえてきた。

 

「この音はまさか・・・金剛さんでは・・・」

 

「スイマセン!遅れました!!」

 

(ふ、吹雪さん!?あんな物凄い音を出していたのに!?)

 

加賀は音の原因が吹雪である事に凄く驚いていた。

他の駆逐艦の子達はどんなに大きい音でもドタドタといった感じなのだ。

 

「そんなに慌てなくてもよかったのに・・・」

 

「しかし5分前行動は常識です。着任二日目とはいえ・・・」

 

「つまみ食い常習犯が言えた事か阿呆」

 

昴の言葉に加賀が厳しい一言をそえるが一夏のツッコミでガックリと力を失う。

 

「つまみ食い?」

 

「あの・・・その・・・」

 

「今朝駆逐艦のガキ共が朝食を食べながら喋っていたんだがコイツと赤城が

 あいつらが目を離した好きにおかずを失敬してたんでな。

 まぁ罰としてこいつ等持ちでデザートと代わりのおかず注文したけどな」

 

加賀はしどろもどろになりながらも誤魔化そうとしたが一夏が包み隠さずに

彼女等一航戦コンビのしでかした事をばらした。

 

「加賀ぁぁぁぁ・・・」

 

「う・・・すいません・・・」

 

「追加罰則として夕飯も奢ってあげなさい。もちろんデザート付きで」

 

ガックリと崩れ落ちる加賀。食い意地さえ張らなければ頼りになるのにと思った吹雪だった。

一夏は興味が失せた様で寝てしまっている。

 

「えっとね、吹雪ちゃんを呼んだのは建造と開発をして欲しかったからなの」

 

「???」

 

「建造とは私達艦娘を作り出すこと、開発は私達の装備を作り出すことです。

 建造は艦種に関しては結構運頼りですがそれ自体は失敗する事はありません。

 そして開発なのですが此方も艦種によってできるものが違うのと建造とは異なり、

 此方は結構失敗する確率が高いんです。無論どちらにも資材は使います」

 

吹雪はいまいちピンと来ないようだが昴から渡された指令書を持って工廠に向った。

 

「あら、吹雪ちゃん。色々調べさせてくれる気になった?」

 

「夕張さん、建造機ってどれですか?」

 

明石が吹雪を見て若干鼻息を荒くするが吹雪はガン無視して夕張に説明をうける。

 

「之が建造の為の機械ね。このパネルに数値を設定すると自動で資材が投入されて

 艦娘の建造が行なわれるの。で反対側にあるアレが開発の為の機械で使い方は一緒だよ」

 

「ありがとう御座います」

 

「っていうか明石さんガン無視してたけど・・・って真っ白になってるぅぅぅぅ!?」

 

無視された明石はショックで真っ白に燃え尽きていた。

心配する夕張をよそに吹雪は建造機に資材の数値を入力していた。

 

「えっと・・・油、鋼材、弾薬が・・・ボーキサイトはそれより200多く・・・開発資材は・・・

 で一回・・・後は・・・最低量で・・・」

 

「か・・・完全に無視してる・・・凄いスルースキル・・・」

 

吹雪は建造時間を見ると夕張に問いかける。

 

「夕張さん、建造時間48時間って普通ですか?」

 

「何それ!?聞いた事ないよ?!提督に連絡するね」

 

話を聞いた昴は工廠に飛んできて建造時間を確かめ、バーナーの使用を指示した。

 

「しかし48時間か・・・どんな子なんだろう・・・」

 

建造機の扉が開くと加賀と青黒い明細模様である事以外似ている服を着ていて、

髪の毛は深い緑で毛先が空色になっている女性が出てきた。

よく見ると艤装は結構違っている。両肩に装備されている二つに分かれた

飛行甲板らしい物の左肩部分にはには『ZUIKAKU』とローマ字で書かれていた。

しかも二つに分かれていても片側だけで加賀達の装備している飛行甲板と同等の大きさだった。

 

「翔鶴型光子力空母、二番艦の瑞鶴です」

 

「あれ?瑞鶴さんって普通の空母だった気が・・・」

 

「あ、貴女吹雪ちゃんね。最近光子力研究所で改装して光子力空母になったの」

 

吹雪とは顔見知りだったようでお互いに色々と話している。

 

「そういえば私達がこっちの世界に来てそちらではどの位経ってます?」

 

「大体半年かな。あの後束さんと箒ちゃんと清香ちゃんが私の改装終えてから艦長さんを

 探しに行くって言ってどっか行っちゃったけど・・・。まぁ無事でしょ。あの人達なら」

 

「あぁ・・・簡単に想像できるのが末恐ろしい・・・」

 

あっさりとその光景と無事であろうことが確信できたので吹雪は変な声で答えてしまう。

 

「というか艦長さん一緒じゃないの?」

 

「艦長は・・・なんて言えばいいのかな・・・一寸一体化しているといえばいいのかな・・・」

 

「あぁ・・・大体解ったわ」

 

「冷静ですね」

 

「艦長さん、私にも乗艦経験があるからね。そのときに色々と見てたから」

 

夕張は二人の会話を聞いていたがよく解らないでいた。

 

「とりあえず明石さん何とかしないと・・・。提督に言っておこうかな」

 

吹雪は今度は開発を行なう。瑞鶴はそれを後ろから興味深そうに見ている。

資材の数値を設定し、開発を行なう。

 

「なにができるかな?」

 

「私も初めてだから解らないです」

 

機械から出てきたのはダンボールに入ったヘンなペンギンと綿なのか雲なのか識別不能な顔つきの変なものだった。

夕張に聞くと開発に失敗すると之が毎回出てくるとのこと。

昴は開発、建造を行なった吹雪に一通りの流れを理解したか聞く。

 

「大体なら」

 

「そっか♪あ、瑞鶴ちゃんには挨拶が遅れちゃったね。私は東雲昴。この鎮守府で提督をしています」

 

「翔鶴型光子力空母、二番艦の瑞鶴です。よろしくね、提督さん」

 

「へ?光子力空母?」

 

「どうも私達の世界の艦みたいで・・・」

 

吹雪が苦笑いして答える。昴はまぁいいかと気持ちを切り替えた。

 

「それじゃあ鎮守府正面海域で一寸力試しさせてね?」

 

「了解」

集められた出撃メンバーは瑞鶴を旗艦とし、加賀、青葉、天龍、睦月、響だ。

一夏は瑞鶴に乗り換えられるか?と吹雪から一時分離してから瑞鶴に乗り込むイメージをすると

乗換えを行う事ができた。

 

「あれ?艦長さん?」

 

(乗り換えできるのか?と思ってやってみたら思いのほか・・・)

 

「上手くいっちゃったのね」

 

「む~・・・」

 

吹雪は一寸嫉妬気味のようだ。瑞鶴は初出撃だし念の為と一夏が言うと納得したようだ。

 

「何で五航戦の子なんかと・・・」

 

「あれ?加賀さんって戦艦じゃなかったっけ?吹雪ちゃん」

 

「私達とは違う世界の加賀さんですから」

 

「成程ね。それと加賀さん、私一応就任時から一航戦なので」

 

「貴方が・・・?がっかりね」

 

加賀はどうやら自分の世界の瑞鶴と同じ扱いをしているようだ。

瑞鶴はこりゃ駄目だ、と言わんばかりに溜め息をついて説明を止めてしまった。

石頭所じゃない。ダイヤみたいに硬い金剛頭だと。

出撃すると瑞鶴は加賀に合わせて航行する。

 

「あら、貴方意外と遅いのね」

 

「え?・・・一応最高速度(スクリューで)60ノットなんですけど・・・」

 

「「「「ファッ!?」」」」

 

まさか自分たちの鎮守府には居ないが最速と言われている島風より20ノット速いとは思わなかったようだ。

 

「速くても私より艦載機の搭載数は少ないでしょう・・・」

 

少々膨れっ面の加賀。相当五航戦に対抗意識があるようだ。

 

「改装に改装を重ねてきたので・・・121機・・・」

 

ガックリとうな垂れた加賀。自分よりも23機も多い。

 

「装備を装着するスロット・・・でしたっけ?1~3まではある程度変化させられますけど

 4スロは1機で固定だし此処艦長さん専用だし・・・飛行甲板も拡張されたから発艦と着艦が

 同時にできますし・・・」

 

「ゲッ、吹雪の艦長さん専用かよ・・・」

 

「ふえぇぇぇ・・・」

 

「・・・凄いな」

 

天龍は彼女のスロットに一夏専用のものが有ると知り驚き、睦月は全てに驚いていた。

響も睦月と似たような感じで瑞鶴を見ながらポゲーとしている。

 

「アハハ・・・っ!」

 

瑞鶴の表情が急にかわる。艦隊の正面をジッと睨んでいる。

 

「レーダーに反応・・・敵は・・・6隻・・・正規空母、軽空母、重巡・・・各一、

 残りは・・・駆逐艦と見られる・・・索敵機、発艦用意!」

 

「其処までわかるのかい?」

 

響の問いに瑞鶴は背中の矢筒から矢を取り出し、弓を構えて答える。

 

「完全じゃないけど的中率は八割三分って所ね。発艦!」

 

矢を放つとジェット機に変わってあっという間に見えなくなる。

 

「あれ?今の機体・・・私達が知っているのとは違うね」

 

「あぁ、私は70年以上現役でいるからね。今搭載しているのはああいう機体なの」

 

「70年の壁・・・くぅ・・・」

 

加賀は相当悔しいらしく、弓を持つ手に力が入っている。

 

「上手く垂直離着陸できる機体が開発で来たら装備します?」

 

「まぁ・・・できたらでいいわ・・・」←真っ赤

 

(加賀さんはツンデレっと。いい写真も手に入りました♪)

 

加賀は瑞鶴の言葉に顔を真っ赤にして答え、青葉はこっそりとメモ帳に色々書き込んでいた。

 

「加賀さん可愛い♪・・・索敵機から入電・・・やっぱりさっきの艦種で間違いなかったわね。

 攻撃隊発艦初め!」

 

今度は翼の下にミサイルを搭載した戦闘機が飛んでいく。続いて対空戦用の装備を持った機体が

射出されていく。加賀も負けじと艦載機を発艦させるがプロペラ機なので速度差は歴然だった。

 

「・・・」

 

瑞鶴は焦りの見える加賀を見た後に発艦した加賀の舞台を見つめる。

 

「瑞鶴さん、どうしたの?」

 

「ん?」

 

睦月が瑞鶴の様子を見て何かあったのか問うと

 

「加賀さんの部隊、綺麗に飛ぶなぁ・・・って思ってね。

 優秀な部隊なのに加賀さんが・・・なんだか自分の部隊の子達を信じてないような気がして」

 

「そんな事ありません」

 

「じゃあさっきから何を焦ってるんです?焦る必要なんてないですよ?」

 

加賀は言い返せずに艦載機からの通信を待つことにした。

 

(対抗心・・・だよね。あれ)

 

(多分加賀達の世界の瑞鶴と何かあったんだろ)

 

(・・・なんだか複雑なんだけど)

 

瑞鶴の部隊から通信が入り、軽空母と駆逐艦二隻を沈めたとの報告があった。

加賀の部隊も空母を大破させ、重巡を沈めたとのこと。

駆逐艦一隻は数機の敵艦載機と共に此方に近づいている。

 

「加賀さん、空母の方はお願いしますね。天龍、響ちゃん、睦月ちゃん、出番よ。

 対空は私に任せて」

 

「ちょっと・・・」

 

「艦長さん、出てもらえます?」

 

(了解だ。グレートで出撃する)

 

瑞鶴は両肩の飛行甲板を一体化させて一寸やそっとじゃ仰け反らない体勢を整えた。

加賀は敵空母を撃沈させて彼女の行動に疑問を覚える。

 

「一体何を・・・」

 

「グレートマジンガー発進!用意!」

 

彼女の飛行甲板にグレートマジンガーが現れる。

 

「あれは・・・」

 

「スクランブル・ダーシュッ!!!」

 

スクランブルダッシュが火を噴き、同時に瑞鶴がカタパルトでスクランブルダッシュを

上まわる加速を付ける。

一夏は天龍達をあっという間に追い越して敵艦載機残党と戦闘を開始した。

視認した敵機は6。

 

「マジンガーブレード!!」

 

マジンガーブレードで敵艦載機を一機切捨てる。

特殊な装備が付いていなかったので対空専用の機体だったようだ。

 

「残りは・・・」

 

残りのうち3機には魚雷が、もう二機には爆弾が搭載されていた。

 

「ガキ共をやらせるか!グレートタイフーン!!」

 

爆撃機をグレートタイフーンで撃破したが残りの機体は睦月に狙いを定めていた。

 

(まずい!!)

 

向かおうとした時には魚雷を切り離していた。

 

「させるもんですか!!!」

 

瑞鶴が睦月の正面に出て彼女を庇い、魚雷をうける。

煙に包まれ、彼女の姿を確認できない。睦月が叫ぶ。

 

「瑞鶴さん!!」

 

天龍と響は敵駆逐艦を倒してから睦月の下に向う。

睦月は瑞鶴が沈んでしまったと思っているらしく、座り込んでしまっている。

 

「わ、私・・・」

 

すると・・・

 

「煙いわね~。艦長さん、こっちは大丈夫よ」

 

「すまん、追撃が間に合わなかった」

 

「アレだけ高速飛行してれば仕方ないわ。それに私達も油断してたし」

 

「お互い悪いって事か・・・」

 

何故か一夏と瑞鶴はたいした事もなく会話している。

その間にも一夏は逃れようとする艦載機をサンダーブレークで撃墜していた。

 

「し、心臓にわるいですぅ~・・・ふぇ~ん」

 

「だ、大丈夫?」

 

「だって・・・だって・・・」

 

「あぁ・・・泣くな泣くな。俺も悪かったけどな。ほら、な?」

 

一夏が睦月を抱きかかえて頭をなでるとまだ泣き止んでいないが落ち着きを取り戻していく。

落ち着いていくと寝てしまった。そんな一夏を見て天龍は保父さんか?と思ったとか。

 

「あぁ・・・艦長さんよ、睦月の事そのまま連れ帰ってくれねぇか?」

 

「別に構わんよ。之ばっかりは俺が悪いし」

 

「瑞鶴は大丈夫なのかい?」

 

「平気よ。アレくらいならほぼノーダメージよ」

 

瑞鶴の言葉から色々考える。

 

「装甲空母にでもしたのかあのジジィ」

 

「ニューZで強化されたんだよ」

 

通りで吹雪並に硬い訳だよ納得する一夏。加賀は瑞鶴の装甲の硬さに驚いている。

一夏は加賀に瑞鶴の性能などを解説し、彼女の性格はまだよくわからないとも言った。

 

「・・・五航戦も少しはやるみたいですね」

 

「アイツ一航戦だぞ。進水後部隊配属されてから」

 

「そういえばそちらでは私は戦艦でしたね」

 

「それと赤城はペーパープランで終わっるからな」

 

加賀は一寸寂しそうな表情をする。

 

「そ、そういえば金剛さんは日本に辿り着けなかったって言ってましたけど・・・」

 

「あぁ。正確に言えば金剛型巡洋戦艦一番艦になる予定だった戦艦だけどな。

 俺が知っている戦艦金剛は比叡型戦艦4番艦の事なんだ」

 

青葉が機転を利かせて話をかえ、一夏がそれに答える。

 

「その時乗組員の方々とか兵器行政とかは・・?」

 

「えーっと・・・乗組員は沈没時に生存者189名、行方不明者287名、死亡が確認されているのが

 大体30人だったか?生存者には初代艦長もいたな。まぁ嵐の規模が数百年に一度ってレベルだったし

 日本も仕方が無いって感じだったな確か。それから結構直ぐにDrヘルの世界規模のテロが起こり始めたから

 戦争どころじゃなくなってDrヘルの一味VS残りの人類って図式が出来たんがな。

 金剛は保険金使って比叡型戦艦の四番艦として改めてヴィッカーズ社で建造されて日本に来たって

 どっかの書籍で読んだな」

 

「なるほど~、要するに艦長さんが知っている戦艦金剛は私達の知っている戦艦金剛とは

 全くの別物なんですね~」

青葉はメモに一夏の話を書きとめると今度は瑞鶴を見る。

別の鎮守府で見かけた瑞鶴とは性格は似ているがかなり素直で人懐っこい上にスタイルも此方の瑞鶴の方が良い。

 

「な、なに?」

 

「いいえ。私の知っている瑞鶴さんと比べると随分と可愛いと思いまして」

 

「はにゃにゃにゃにゃ!?」

 

瑞鶴は初めて可愛いと言われて混乱状態になる。

 

「かかかかか艦長さん!?」

 

「落ち着け」

 

之で落ち着けるなら誰も苦労しないだろうに。

 

「私って・・・かかかかか可愛いの!?」

 

「知らん」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

瑞鶴の質問に知った事じゃないと言わんばかりに即答する一夏。

相変わらず一夏の感覚は一般人より相当ずれているようだ。

寝ている睦月と混乱している瑞鶴以外は『その回答はないだろ』と言わんばかりに一夏をジト目で見る。

しかし瑞鶴の混乱は収まったようで深呼吸して何とか落ち着いた。

 

鎮守府では演習に向けてメンバーを昴、吹雪、長門が話し合って決めていた。

 

「吹雪ちゃんと長門、加賀は既に決定しているけど他の子を如何するか・・・」

 

「瑞鶴さんは?」

 

「瑞鶴は今日着任したばかりだぞ?」

 

「それ私もなんですけど・・・」

 

吹雪の提案に長門が反論するが当の吹雪も先日着任したばかりだ。

 

「今回は無しでもいいだろう?」

 

「艦長からすれば多分参加させたがると思うんですよね」

 

また次の機会にすればいいと遠まわしに言う長門に吹雪は苦笑いしながらも一夏が

考えているであろうことを言う。結局小一時間程話して他の三人は金剛、睦月、神通となった。

 

また、瑞鶴達が戻って来た際に睦月が一夏にお姫様抱っこされているのを見た文月が駄々を捏ねて

半日一夏にくっ付いていたのだった。

 

「ふみぃ~♪役得れす~♪」

さらに翌日・・・

 

「う~ん・・・」

 

昴が資料とにらめっこして何か悩みながら廊下を歩いて来ているのを吹雪が見つけて理由と問う。

 

「実はね、ブラック鎮守府を制圧してくれないかってお爺ちゃん・・・あ、元帥の渾名ね。

 お爺ちゃんから依頼があったんだけど・・・その鎮守府、艦娘達の錬度が高いからさ。

 誰に行って貰おうか悩んでいたの」

 

「え?でもそういう鎮守府ってまともに機能していないんじゃ・・・」

 

「言いたくないけど薬とか洗脳を行なっているって噂がね・・・」

 

吹雪はこのことに対して怒りを覚えたが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブッツン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪は自分の中に居る一夏の堪忍袋の尾が盛大に千切れる音が聞こえた気がした。

 

「あの・・・艦長・・・?」

 

しかし既に分離していたらしく昴の手にあった資料もない。

 

「「まさか・・・いっくん/艦長!?」」

 

この数時間後、そのブラック鎮守府が壊滅的な打撃を受けた上、提督や賄賂を受け取っていた憲兵等が

見るも無残にされた状態の遺体で発見された上にそれに乗って甘い汁を啜っていた上層部にも

髑髏の化け物が出たと言って発狂した大将等数名が逮捕された。

 

なお、逮捕された大将たちは腕があり得ない方向に曲がった上に骨を砕かれ、

腕と腕が硬結びされた上に爪は剥がれただけでなく釘が打たれていた。

足も酷い者は根元から切断されていたりしていた。体自体も無事では澄んでおらず顔は皆原型をとどめていなかったとか。

 

薬を使用されていた艦娘は如何言う訳か襲撃者が落ち着かせており、今は艦娘専用の大本営の病院に居るとか。

洗脳されていた者達は強いショックを受けたので洗脳が解除された。

この強いショックの原因は艦娘達も記憶にないそうだ。

そして幸いにも後遺症もなく、新たに別の鎮守府に配属になる事となった。

中には人間不信になっている艦娘も居るが昴の鎮守府で預かってもらう事になった。

 

そしてこの襲撃を受けた鎮守府に居た艦娘達の証言によると襲撃者を皆「悪魔」や「髑髏の魔神」

と答えたとか。

さらになぜか駆逐艦等の精神年齢や見た目が幼い者達からは「お父さん」や「お兄さん」と答えた者も居たそうだ。

怖くないのかと聞かれたらその者達は『全く怖くなかった、逆に安心を覚えた』とこたえたそうな。

全てに共通しているのは巨大な悪魔のような翼を持ち、腕を飛ばし、二丁拳銃で大剣も扱う

髑髏を頭に乗せたロボットのようなものであるとの事。

 

事の全てが終わり、電話で元帥に色々報告を行なう事になった昴。吹雪と長門も報告をしている昴を見ながら

ハラハラしている。

 

「はい・・・はい・・・わかりました。いえ!そんな・・・はい、了解しました。・・・・はい、失礼します」

 

「ど、どうだったのだ?提督」

 

「昴さん・・・」

 

「いっくんは建造でやって来たロボットって事で帳尻を合わせてくれるし、今回の事も何のお咎めも無しだって。

 艦娘の子達に対する対処も適切だったし」

 

「ホッ・・・」

 

「それで洗脳のせいで人間不信になっちゃっている子が3人居たらしくて・・・。その子達を

 うちであずかる事になりました。まぁこれが何の連絡も無く勝手に動いた事に対する罰則って事にしてくれるってさ」

 

この事で青葉は記事を書いた為に一夏からまたサンダーブレークを食らったとか食らわなかったとか・・・。

 

 


 
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