No.797429 ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY 37 襲撃グローレストやぎすけさん 2015-08-20 22:14:33 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:2102 閲覧ユーザー数:2035 |
前回のあらすじ
いちゃつくバカップルを置いて外に出たデュオは偶然行き着いたガンショップで太陽光を 弾丸にする銃をセリアの祖父から「孫を助けてもらったお礼」ということでもらった。
その頃キリトはアスナのパジャマ姿にうっとり、そのあとは互いにスキンシップを取りながら成分補給と相変わらず。
そんな中、3人のいるグローレストの村にはディフォア、ギラス、グートという3人の敵が迫っていた
STORY ⅩⅩⅩⅦ 襲撃グローレスト
デュオ視点
ガンショップを出た後もなんとなく辺りをブラブラしていた俺だったが、歩いている途中で腹が鳴った。
ウィンドウで時間を確認すれば、時刻は既に12時を回っている。
デュオ「何処かで昼食にするか?」
レストランを探すために再び歩き、そして1つの店に辿り着いた。
そこは屋根の上に風見鶏が取り付けられたやや大きめな建物。
看板に書かれている名前は「風の森レストラン」。
デュオ「ここにするか」
なんとなくそこに惹かれた俺は、レストランの扉を開いて中に入った。
奥の窓辺のテーブルに腰を下ろして一息吐く。
ひとまずベルトを外して背中の剣を置くが、いつでも抜けるように右手の傍からは離さない。
デュオ「さて何にしようか?」
メニューを呼び出して見るといろいろな料理の画像が表示される
野菜をメインにしたヘルシーなものから溢れ出る肉汁が食欲を掻き立てるもの、中にはキリトが好きそうなゲテモノ系料理まである。
その中から俺はバターがたっぷりと使われた白身魚ムニエルを選ぶ。
他にパンとガーネットエールという飲み物を一緒に選択して注目ボタンをタッチする。
すると少ししてからウェイトレスが料理を運んできた。
?「お、お待たせいたしました!」
まだ慣れていないのか少したどたどしい口調でこちらに歩いてきたその少女の姿に、俺の思考は半ば停止させられることになった。
サイドで縛ったアスナより薄い茶色の髪に小柄な身長、少しいたずらっぽそうな顔に光るルビー色の瞳。
見覚えがあるなんてものじゃない。ずっと会いたくてしかなかった相手がそこにいた。
デュオ「シリカ・・・」
シリカ「えっ・・・?」
そこで初めてウェイトレスの少女、シリカがこちらを見た。見つめ合う格好のまま、俺たち互いにフリーズ。するとそれを見ていたらしい1人の男性店員がこちらへ近付いてシリカに声をかけた。
店員「シリカちゃん、今日はもうあがっていいよ」
シリカ「えっ、で、でも・・・」
彼の声に我に返ったようだが、未だに混乱しているらしくまともな言葉を発することが出来ていない。
店員「彼が君の探してた人なんだろ?」
爽やかな印象の彼はにこやかに笑いかけ、早く着替えてくるよう促す。
戸惑い気味だったシリカだったが、やがて「ありがとうございます」とお礼を言って店の奥に入っていった
その後程なくして着替えを済ませたシリカが戻ってくる。
シリカ「お待たせしました」
店員「積もる話もあるだろうし、このまま一緒に昼食を済ませたら?」
シリカ「はい。そうさせていただきます」
「じゃあね」と言って店員は去っていった。
シリカは「失礼します」と言って俺の向かい側に座ると、俺はまず彼女が無事だったことに息を吐いた。
その後はシリカと情報を交換し、先日までアスナが囚われていたことやベリルが言っていたウィアードアーティファクトについても話した。
シリカの方はゲーム開始と同時にこの近くの森に倒れていたらしく、ここに辿り着いてからは外から来た客に聞いて俺たちの情報を集めていたそうだ。
お互い状況を知って少し真面目な話をしていたが、やがて話は逸れていき他愛も無い談笑に変わっていた。
昼食を食べ終えた俺たちは支払いを済ませて外に出ると、いい加減気が済んだであろうあのバカ夫婦が待つ宿屋へと足を向ける。
その直後だった、轟音とともに放たれた爆炎が村に恐怖を振り撒いたのは・・・
突然の轟音に村の人々の悲鳴が上がる。
その方向に目をやると、一軒の民家から火が上がっていた。2階の壁は半分以上が抉られ、燃え盛る炎の奥には人影が揺れる。だが見えたのはほんの一瞬で、人影はあっという間に火炎に飲まれて消えた。
途端に抑えようのない怒りが湧き上がり、噴火寸前のマグマのように沸き立つ。直後2度目の轟音が響き、再び砲弾が飛んでくる。
村の人々がざわめいて逃げ出す中、俺はゆっくりと剣に手を掛けた。意識を尖らせ、迫る砲弾を見つけ出す。
デュオ「そこだ!」
上体を捻ると同時に刀身にエネルギーを集め、ブラストを撃ち出す。焔を纏う紅蓮の 三日月は飛来した砲弾を包み込んで爆ぜる。
?「ふふふ・・やりますね」
デュオ「っ!?」
突然の声に振り返ると、右手に方天戟のような矛を携えた朱色の長髪の人が立っていた。とはいえ、背中にある猛禽類のような翼からして完全な人間またはプレイヤーである可能性は低い。
?「私は火の鳥のギラス。弟がお世話になったようで」
丁寧な動作で会釈しているが、鋭い視線の奥には明らかな殺意が満ちている。周囲の空気がピリピリと張り詰め、冷や汗が頬を伝う。
俺は剣を正面で構えて視線を動かさずにシリカに指示を出す。
デュオ「シリカ、キリトとアスナを呼んできてくれ」
シリカ「デュオさんは・・・!?
デュオ「俺はシリカたちが戻るまでこいつを止める」
シリカ「わかりました!気を付けて下さいね」
不安そうな表情をしていたシリカだったが、決心したようにそう言って駆け出した。
ギラス「逃がしませんよ!」
シリカが駆け出した瞬間、ギラスが方天戟の切っ先から高熱の槍を放ってシリカを襲う。
デュオ〈させるか!!〉
踏み締めた足で地面を強く蹴り付けてシリカと炎の間に割り込むと、巨大な熱の塊に刃を食い込ませた。風船に受け止められるような手応えの直後、柄が刀身を伝ってきた熱で燃えるように熱くなる。思わず顔をしかめながらも、俺は強引に剣を振り切った。
すると、縦に斬り裂かれた炎は火の粉となって拡散した。
?「やるじゃねえか」
デュオ「まだいるのか!」
ジリジリと痛む手を無視して剣を構え直すと、ギラスに続いて姿を現したのは大振りな2本のブロードソードを交差させて背中に吊っているくすんだ銀髪の男。
ギラス「ディフォアの兄者」
ディフォアと呼ばれた男は背負っていた剣を抜くと横目でギラスを見る。
ディフォア「ギラス、おめぇはさっさと行け」
ギラス「わかっていますよ」
ディフォアの指示で飛び上がったギラスは、そのまま俺の横を通過しようとする。
デュオ「行かせると・・・」
ディフォア「おめぇの相手は俺だよ」
デュオ「ちぃ・・・ッ!」
銃を構えようとした俺に、ディフォアが突っ込んでくる。慌てて構え直した次の瞬間、甲高い金属音が響いた。その隙に、ギラスは悠々と俺の上を通り過ぎて行く。
内心で舌打ちするが、よそ見をするほどの余裕はない。
ギリギリと噛み合った3つの刃が音を立てて軋み、敵を押し退けようとする力を受けて小刻みに震える。
ディフォア「いい剣じゃねえか。俺の一撃で折れねえとはな。だが・・・」
キン、と音を立てて均衡が僅かに“ズレた”。それによってバランスを崩した俺に、鋭い斬撃が飛んでくる。どうにか剣を引き戻すが、防ぐのが精一杯で後ろに弾かれてしまう。
ディフォア「このネージュとトネールの敵じゃねえよ」
デュオ「言ってろ!」
言い返しつつ振り上げた剣にエネルギーを集め、それを維持したまま抜き放ったソルブラスターを打ち込む。最小限の威力で放った光弾は当然ながら避けられるが、着地の瞬間に隙が出来た。
デュオ〈ここだ!〉
そこに狙いを定めて、ブラストを放つ。狙い違わず飛翔した斬撃が、ディフォアを捉えた。爆炎が吹き荒れ、辺りに白い煙が立ち込める。
あれだけの攻撃を受けたのだから、ディフォアがどれだけ頑丈でも無傷ではないだろう。
だがここで、俺はある違和感を覚えた。
デュオ〈爆発で発生する煙はここまで白かっただろうか?〉
そこで俺はディフォアの言葉を思い出す。
奴は自らの剣の名を「ネージュとトネール」と言った。
トネールはフランス語で雷、ネージュは・・・
デュオ「・・・ッ!!」
しまった!っと思い、剣を構えた直後には氷のつぶてが刀身を打っていた。
ネージュはフランス語で雪、つまり奴の剣は氷と雷の属性を持った武器ということだ。
砕けてシャーベット状になっていく氷に次いで、今度は紫電を纏った光弾が飛んでくる。
デュオ「くそッ・・・!」
避ければ村に被害が出るため、回避は出来ない。だとすれば防ぐしかない。
俺はソルブラスターで光弾を全て撃ち落とした。
すると同時に立ち込めていた煙が晴れ、無傷のディフォアが姿を現す。
ディフォア「いい技だったぜ。俺じゃなかったら危ねえトコだ」
デュオ「見た目の割にタフな奴だな」
軽口を叩いてはいるものの内心、かなり焦っている。
連中の口ぶりからして、あの時の亀男はこいつらの仲間だろう。なら、ディフォアやギラスとは別の部隊がいる危険性もある。
ただでさえ、逃がしたギラス、村やそこにいるキリトとアスナ、2人を呼びに行ったシリカと心配なことが多過ぎるというのに。
その焦りが命取りだった。
ディフォア「気ぃ抜くなよ」
デュオ「しまっ・・・!?」
普通なら反応出来たであろう一撃を、一瞬の気の乱れが判断を遅らせたことで躱せなかった。
突っ込んできたディフォアの斬撃が俺の上体を捉え、バツ字に斬り裂く。
デュオ「ぐわあぁぁぁ・・・ッ!!」
弾かれた身体が宙を舞い、次いで地面に叩き付けられた。
デュオ「がっは・・・ッ!!」
肺から押し出された空気とともに溢れてきた鮮血を吐き出す。芝生色の地面が一瞬で紅に染まり、その後俺の傷口から流れ出た血によって赤い水溜まりが出来る。
ディフォア「チッ、もう少し楽しめると思ったがまぁいい。とどめだ!」
ディフォアが剣を掲げると、その刀身が纏っていた紫電が落雷となって俺目掛けて落ちてきた。
避けようとするが身体が全く動かず、俺は落雷によって貫かれた。
デュオ「ぐわぁぁぁ・・・ぐっ・・・うあぁぁぁ・・・ッ!!」
全身を焼かれるような熱さと斬られるような鋭い痛みが駆け抜け、傷口からは止めどない鮮血が吹き出す。HPもまた凄まじい勢いで削られていくが、それを意識することさえ出来ない。
死を覚悟したその時・・・
?「デュオォォォ・・・ッ!!」
俺を呼ぶ叫び声が聞こえたと思うと、突如駆けてきた青紫の三日月がディフォアに襲いかかった。
それがディフォアを直撃すると雷は収まり、俺も解放されて地面に転がる。HPはまだ3割程度残っているが、全身を包む痺れのせいでとてもではないが動けない。
ディフォア「危ねえ、危ねえ・・・なんてパワーだ・・・」
そう言っているディフォアは剣を盾にして防御姿勢をとっており、左手に握る剣からは円形になった氷がラウンドシールドになっている。おそらく俺のブラストも同じ方法で防いだのだろう。
だが今度は防ぎ切れなかったらしく、シールドには斜めに切れ込みがあり、氷の盾はそこで2つに分けられた。
ディフォア「ちっ・・・やるな小僧」
ディフォアの視線の先には、2人の人影があった。
膝下まであるロングコートをなびかせる2本の長剣を構えた少年と、同じく膝下まであるマントを翻したレイピアを携えた長髪の少女。俺の相棒とその恋人であり、誰よりも頼れる友人、キリトとアスナの姿がそこにはあった。
安堵からか力が抜けた俺は、その場に倒れ気を失った。
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ようやく続編投稿出来た
大変、お待たせいたしました