No.796821

サラダの心は首ったけ!

スーサンさん

お盆が過ぎてようやくこっちも休みです!
本当、このお盆の間、忙しかったです……

サイトで後日談的なものを書きました。
良ければ読んでください!

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2015-08-17 17:13:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:13970   閲覧ユーザー数:13940

 いつものバーガー屋。

 かつてはボルトの父・ナルトの世代では一楽というラーメン屋が一つの集いの場であったが世代が変わり、新しい時代になると若者たちの集いの場は一個、100両程度でいつまでもいられるジャンクフード店であった。

 世代のギャップを強く感じ始めている父・ナルトが見たら、複雑な顔をする光景だろう。

 実際、彼が親しんだ一楽のラーメン屋も今じゃ、チェーン店を持つ大企業になり、待ち合わせの場としてはあまりにも不釣り合いな場所になった。

 そんな新時代を感じさせる光景でボルトとシカダイ、イノジンはいつものメンバーで電脳空間を旅していた。

 これも若干、時代に取り残された感のあるナルトから見るとチンプンカンプンな光景だろう。

「なぁ、ボルト……」

 シカダイはゲームの画面から目を離さずボルトに話しかけた。

「なんだよ?」

 同じようにボルトもゲームの画面から目を離さず必死に携帯ゲームのボタンを連打した。

「サラダとはどこまでイッたんだ?」

「はぁ……?」

 ボタンを押しながらボルトは不思議そうに答えた。

「古代の沼まで行ったてばさ!」

「そうじゃなく……」

 シカダイは欲しい回答がもらえず苛立った声をした。

「ボルト、ゲームの話じゃないよ」

 いのじんも鈍感だなぁと笑った。

「サラダとはもうキスは済ませたのかと聞いてるんだよ」

「キスッ!?」

「うわぁ!?」

 ボルトのゲームのキャラクターがシカダイのキャラクターを斬りかかり、慌てて避けた。

「あぶねぇな!」

「す、すまねぇってばさ……」

 息を整え、改めていのじんを見た。

「いきなりなに言ってるんだってばさ!」

 顔を真っ赤にするボルトにいのじんは困った顔をした。

「言ったのはボクじゃなく、シカダイだよ……」

「ふわぁ……」

 ゲームを弄りながらシカダイはあくびをした。

「いい加減、サラダと付き合っちまえよ……」

「なんで、そうなるんだよ!」

 怒鳴り声を出すボルトにいのじんが笑った。

「だって、サラダはボルトが好きだから」

「なななな!?」

 サラダの顔が脳裏にアップで映り、ボルトは慌てた。

「な、なんでそういう答えになるんだってばさ!?」

 ボルトの動揺にシカダイといのじんは不思議そうに顔を見合わせた。

「あんなに付きまとわれてりゃぁサラダの気持ちにも気づくわ俺でも……」

 いのじんも親譲りの優しい(黒い)笑顔でうなづいた。

「サラダはボルトのストーカーだからね!」

「すとーかー?」

 初めて聞く単語にボルトは首をかしげた。

「お前、もう少し勉強しろよ……」

 呆れかえるシカダイにいのじんは批難するような視線を向けた。

「そういうシカダイはもう少し集まりに参加しようよ……」

 この前の秘伝技の集まりをサボり一人怒られた思い出を思い出し、いのじんは涙した。

(母さんの顔、鬼より怖かった……)

 いのじんにとってこの世で一番怖いのは大筒木一族よりも怒った母親なのは間違いなかった。(実際、掴み処のない父も怒った母には逆らえない)

「それよりも次のステージに行こうってばさ!」

 慌てて話を置き換えた。

「俺一人じゃ、勝てそうにないし!」

「そうだな……」

 ボルトのキャラクターを見てシカダイは少し嬉しくなった。

(ちゃんと、自分で育ててるじゃねぇかよ)

 以前のズルが当たり前だったボルトのキャラクターからは感じない温かみのあるキャラクターを見て、シカダイはガラにもなくクスッと笑った。

(これでサラダとも少しは進展すりゃあ、俺も温かく見守れるんだがな……)

 面倒臭がりだが、そこは友達。

 友達の恋路くらい応援したくなるのも若さゆえの青春かもしれない。(メタル・リーが聞いたら目に炎を浮かべそうな話である)

「やっぱり、いたわねぇボルト!」

「うん?」

 机をバンッと叩かれ、三人はようやく顔を上げた。

 サラダだった。

「なんだよ、サラダ?」

「なんだよじゃないわよ!」

 ボルトの手を掴んだ。

「ッ……!?」

 さっきの話で妙に意識してしまったボルトはサラダの柔らかい手を感じ、真っ赤になった。

「来なさい!」

「ちょ、なんだってばさ!?」

 慌ててゲームを仕舞い、立ち上がった。

「今日は木ノ葉丸先生と特訓の日でしょう、さっさと行くわよ!」

「ちょ、待ってくれてばさ!」

 ボルトは慌ててシカダイといのじんにゴメンと手でジェスチャーした。

「じゃあな、今度もレベル上げに付き合ってくれってばさ!」

「ほら、行くわよ!」

「腕、引っ張るなぁ!」

 気づいたら抱き付くように腕を引っ張るサラダにボルトも慌てて引きずられていった。

「……」

「……」

 その様子を見て、二人はあきれた顔をした。

「アイツ、ずっと俺達を見てたよな?」

「うん……」

 気づいてないのはボルトだけで二人はずっとサラダの(ボルトにだけ向けた)熱い視線を感じゲームを続けていたのである。

「やっぱり、ストーカーだよな……」

「ストーカーだね」

 うんうんと頷き、二人はゲームに戻った。

「ところでこのステージ、ボク達、二人だけじゃ、ムリだよ……」

「仕方ねぇ、少しミッションを下げて明日、またここにチャレンジするか」

 移動用の巻物を使い、二人のキャラクターは拠点となるステージとへと戻っていった。

 

 

 木ノ葉丸の訓練を終え、ボルトもサラダも、ましてやミツキまで息を荒くしてグッタリしていた。

「木ノ葉丸先生、厳しいってばさ!」

 ボルトの言うことももっともである。

 上忍としては若年に入る木ノ葉丸だがそこは元・七代目火影・うずまきナルトの弟分。

 何事もスマートにと考える新世代と違い、彼の時代は兄貴分譲りの気合と根性が基本とした割と古い訓練法で特訓される。

 新世代の忍者にはちょっとキツイ話である。

「じゃあ、俺は少し火影様に用があるから帰るぞコレ」

 ボルト達以上に動いたはずの木ノ葉丸は疲れた顔を一切せず、ピンピンした顔で笑って帰っていった。

「本当に人間かよ、木ノ葉丸先生は……?」

 必死に起き上がり、ボルトは息を整えた。

「そ、そうだねぇ……」

 さすがのミツキも同意して、額当てを外し、汗をぬぐった。

「七代目様に師事して貰ってただけに実力も七代目様に近いのかも……」

 サラダも息を切らせながら立ち上がった。

「ふぅ……」

 用意してあったスポーツ飲料をボルトとミツキに渡した。

「サンキューだってばさ」

「ありがとう」

 ミツキは自分のスポーツ飲料とボルトのスポーツ飲料を見てクスッと笑った。

「やっぱり、サラダはボルトに甘いんだね」

「え、なんで?」

 不思議そうにミツキを見た。

「だって、このスポーツ飲料、新しいものでしょう」

 最新型のロゴの入ったボルトのスポーツ飲料を見て、ミツキは笑った。

「ボルトは新しいものが好きだから新しいものを渡したんでしょう?」

 サラダの顔が真っ赤になった。

「ち、ちがうわよ! たまたま二つしか無かったから……」

「でも、サラダもボルトと同じものだよね?」

「……」

 ぐうの音も出ないサラダにミツキはクスクス笑った。

「これは七代目様も可愛い娘がもう一人出来てよろこ……」

 ボルトの顔を見て、ミツキはニコッと笑った。

「寝てるよ……」

「がぁ~~……がぁ~~……」

 大口を開けて居眠りをするボルトにミツキは優しくサラダを見た。

「ボクも帰るけどサラダはボルトを見ててあげなよ。雨でも降ったら風邪ひくし」

「う、うるさいわよ……!」

 スポーツ飲料を飲みながら去っていくミツキを見て、サラダは少し恥ずかしくなった。

 でも、よく見ると足元がおぼつかなく明らかに木ノ葉丸の訓練に疲れてるのが分かった。

(やっぱり、人間なんだ……)

 班の仲間を知った気がした。

 

 

「……」

 ボルトのいびきも弱くなり安らかな眠りに入るとサラダは胸がドキドキ高鳴った。

「お、起きないでよ……」

 自分の膝の上で眠っているボルトの顔を近くに見てサラダは顔を真っ赤にした。

「うぅ……」

 サラダの膝の上が気持ちいいのかボルトはちょっとかわいい寝顔を浮かべた。

 その寝顔にサラダはさらに顔を真っ赤にして身体を固めた。(ただし、膝は柔らかい)

 そう、今、サラダは全国1億2729万8千人の人間の永遠の憧れ、膝枕をして貰ってるのだ。

「……」

 ボルトの端正で優しさのある顔が間近に写り、サラダはドキドキした。

(……髪、サラサラだ)

 女の子であるサラダすらも嫉妬するくらいボルトはいろんな面で容姿に優れていた。

 日向家の血筋か、それともうずまき家の血統か……

 とにかく両親のいいところを取ったようにボルトは端正な美少年でたまに女の子の自分ですらドキッとするくらい艶めかしい色気を感じるときがある。

 しかもたちが悪いことに本人にそれが無自覚でこっちの予想だにしないときに色気を発揮するからたまったものじゃない。

「……」

 それとは反対にボロボロな服を見て、サラダはふと笑みがこぼれた。

(確実に変わってる……)

 あれだけ努力を嫌い、常におろしたての服を好んで着ていたボルトが今じゃ、誰よりも努力する立派な忍者になったのだ。

 サラダだけじゃない、ボルトが生まれた頃から期待していた木ノ葉丸もボルトの成長を素直に喜んでいた。

『お前が火影になったら俺がサポートしてやるよ!』

 ボルトの言葉を思い出し、サラダはまた赤くなった。

「うぅ……」

「ッ……!?」

 寝返りを打ち、自分の膝の上から頭を下ろすボルトを見て、サラダは慌てて彼の頭を摩った。

「ホッ……」

 特に外傷がなく、むしろ気持ちよさそうに眠っているボルトを見て、サラダは妙な気持ちに支配された。

「ボルト……」

 眠っているボルトの顔に自分の顔を近づけ、唇を重ねた。

「……」

 自分の取った行動にビックリし、サラダは慌てて立ち上がり駆け出した。

 もう気分が浮かれてるのか沈んでるのかわからないくらいサラダは動揺していた。

 いまだ眠り続けているボルトを置き去りにして……

 そんなボルトの顔もどこか嬉しそうに綻び、寝返りを打っていた。

「さらだぁ……」

 思わず出た言葉だが肝心のサラダはその言葉を聞いていなかった。

 まことに惜しいカップルである。

 

 

 次の日。

「ぶえくしょんッ!」

 ベッドの中、ボルトは鼻水を垂らし顔を真っ赤にした。

「頭がボォ~~とするってばさ……」

「喋らないで寝てなさいよ」

 普段着のサラダがボルトの額に乗せた濡れタオルを外し、ふぅと息を吐いた。

「バカは風邪を引かないって言うけどあれはウソね」

「誰がバカだよ!」

「……」

 熱にうなされたボルトの顔を見て、サラダはキュンとした。

「い、いいから寝てなさいよ。幸い、任務もないしゆっくりしてなさい」

 無理やりボルトの身体を寝かせつけるとサラダは自分の手のひらに伝わるぬくもりにドキッとした。

(あつい……)

 熱のせいで体温が上がってるのもそうだがここまで男の子の身体が熱く気持ちいいことをサラダは知らなかった。

(もう少し触りたい……)

 風邪にうなされるボルトをジ~~と見て、サラダはゆっくりとパジャマの下に隠れた彼の素肌を触った。

「ッ……!」

 肌と肌で感じる熱いまでのぬくもりにサラダはドキドキした。

(ごくり……)

 心の中で強い獣欲を感じた。

(我慢できない……)

 仲間とか世間体とかそういうのも全て捨ててサラダは一匹の牝になろうとした時……

「サラダちゃん、お昼、食べていかない?」

「ッ……!?」

 ボルトの母・ヒナタの乱入にサラダは慌てて立ち上がった。

「い、いただきます!」

 自分がなにをしようとしたのかわからずサラダは顔を真っ赤にした。

「……?」

 その姿にヒナタは不思議そうな顔をして小首を傾げた。

 若い二人が過ちを犯すのを未然に防いだことを母・ヒナタは知る由もなかった。


 
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