専用機持ちによるタッグ戦の開催が発表されてから数日後
どのメンバーもそれぞれ特訓をしている
一夏は簪と組み、鈴はセシリアと、シャルロットはラウラと組んでいる
そして箒は楯無と組み、3年のダリルは2年のフォルテとそれぞれタッグを作った
メンバーを確認しながら当日の試合をきちんとした形で運営するために職員室で真耶とナターシャが資料作成を実施している
勿論二人の相方、アンジュとチェスターも一緒だ
「さて、注意事項はこれくらいですかね、ナターシャさん」
「そうですね、私も特に疑問点はないです。先日の日曜日に織斑君から意見も参考になっていますし」
日曜日に一夏に電話したのは彼女達であった
今回の資料作成に置いて一般生徒からも意見をもらった方が良いのではないかというアンジュの考えを採用したためである
そこで誰が適任かと考えた時にチェスターが一夏を提案した
ISを操縦する男性からの視点というのも重要だというのが理由である
チェスターの考えは成功し、資料がうまくまとまった
「本当に助かりました。さて、明日はどうなりますかね? ナターシャさん」
「そうだな、参加者じゃないもののペアがないからわからないな。それにこの短い期間でどれだけ息を合わせられるか指導者として楽しみだな」
真耶の質問にナターシャは答える
「二人とも、明日も早いし戻りましょう」
「そうだな、明日遅刻とかしたらシャレにならないからな」
アンジュとチェスターがそれぞれの相棒に声をかける
その言葉に頷き、四人は部屋を後にした
次の日、参加者でもないのに張り切っている生徒がいる。薫子である
今回のタッグ戦にてどのチームが勝つのかの賭けが発生している。そのため、それぞれのチームに自信を聞いて賭けに役立てようとしている
そもそも彼女の所属する新聞部が、この賭けの話を楯無に持ち込んだ。その方が盛り上がるからということだろう
楯無も面白そうとは思ったものの、トラブルを避けるためにも賭けの対象は食券程度ならと良いという許可をもらっていた
早速彼女は一夏と簪の所に行って質問を開始している
「ねえ質問だけど織斑君たちは勝算ってあるの? 特に次に戦うたっちゃんと篠ノ之さんのペアに」
「そうですね……まあ、楯無さんの本気を見たことないので何とも言えません」
「でも、私達も強くなっているから……負けたくない」
一応答えてはいるが、あまり真面目に受け答えをしてくれていない
そのように薫子は感じる
試合のことを考えているのだろうと納得はする
「そっか、じゃあほかに注目している選手は……って二人ともどこを見て」
「黛さん! 気をつけてください!!」
「何か……来る!」
一夏と簪がそう言った瞬間、いくつもの大きな地響きが発生する
その衝撃で体勢を崩した薫子を一夏は支える
「あ、ありがとう、織斑君」
「それよりも避難してください。多分、厄介なことになりそうですから」
一夏の言葉通り、教員から一般生徒はシェルターに避難するように指示が出る
薫子は急いでシェルターに向かい、一夏達はアリーナに向かった
「状況はどうなっている!?」
「はい、アリーナに無人機が8……いえ、10機ほど、襲撃してきました。すでに専用機持ち達が交戦しています」
千冬は現状を真耶から聞き、アリーナの様子を携帯端末で確認する
「くそ……あいつはまだ出せないというのに……」
「……織斑先生、指示をお願いします」
千冬は何かこっそりと呟いていたが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに指示を出すように依頼する
このような有事の際には、かつて世界最強の称号、ブリュンヒルデを得た千冬が指揮をすることになっている
「以前と同じようにセクションがロックされているのか……ならば、教師は生徒を避難させると同時にシステムのロックを解除。戦闘教員は全員アリーナに突入、ツーマンセルで戦ってもらう」
「いえ、それはダメよ」
だが、千冬の指示を批判する者がいた。姿を現したアンジュである
「貴様……一体どういう意味だ!?」
「襲撃して来た無人機はアリーナだけじゃないの。客席にも現れて生徒をすでに襲っているわ」
アンジュの言葉に驚く二人。アリーナだけでなく、客席にもいたという事実に
「アンジュ、数は!?」
「今チェルシーとリーガルさんが確認しているわ」
アンジュの言葉と同時くらいにチェルシーとリーガルが真耶たちの下にやってきた
「待たせてすまない、確認できた数は6機だ。すでに本音、虚、蘭、ナターシャはパートナー達と協力して無人機と戦っている」
「ですが、すでに何十名もの生徒が負傷しています。織斑先生、アリーナに向かわせる戦闘教員を全て避難誘導に回してくださいませんか? アリーナの無人機は生徒たちにしばらく食い止めてもらい、避難誘導が終わってから教員を向かわせてください」
リーガルとチェルシーの報告にアンジュと真耶は千冬の判断を待つ
すぐにでも行動するべきなのだが、現在指揮を執っている千冬の許可が必要である。
許可もなく勝手に行動しては、後でどうなるかわからないからである
(く、こいつらの言いなりになるのは気に食わない……だが今優先するべきは……生徒達の安全……)
「いいだろう、教員たちには指示を出しておく」
千冬のその言葉を聞いた瞬間、真耶とアンジュ、チェルシーにリーガルはすぐに走り出した
「あいつめ……考えている通りにいくと思うなよ」
千冬はそんな呟きを残していた
「ナース!!」
「今治すね! ヒール!」
法術師の服に着替えている虚は術を唱え、3年生の負傷した人をまとめて治している
一方、本音は1年生の怪我人を対応している。彼女は普段通り制服だが、手に持っているレンズの力を借りて昌術を使っている。虚みたいにまとめて治すことはできないが、術を唱える早さは倍以上違う。
一部の生徒は避難が完了しているが、それでも負傷して動けない生徒の数が多い
「てぇい! 風迅剣! 閃光衝!!」
「虎牙破斬! 幻影刃!」
一方、騎士の服を着たメルはリオンと一緒に襲撃してきた無人機を3機同時に食い止めているが、少々苦戦している
本気で戦おうにも避難できていない生徒がいるため、下手に大技を使うと巻き込んでしまうからである
「おい、本音。あとどのくらいかかる?」
「まだまだかかりそうだよ……終わり次第手伝うから」
「いけない! 虚さん、こっちの支援を」
「わかったわ。シャープネス! バリアー!」
虚はリオンたちのサポートにも回っているため、ものすごく疲れている表情をしている
(まずいわね……そろそろ休まないと私が持たない……)
(うう、お姉ちゃんもだけどリオ君達も辛そうだよ……せめて無人機の対応をしてくれる人があと一人、こっちの下が人の対応でもあと一人いてくれないとまずいかも……)
パートナーの二人はこの状況を何とかしないといけない
そう思いながら治療を続けている
だが、無理をし過ぎたのか虚が倒れそうになる
「お姉ちゃん!」
本音は慌てて自分の姉を支えようとした時、メイド服を着た女性が彼女を支えた
「遅くなってすまなかった。私たちも手伝おう。チェルシー、虚や生徒たちの治療を頼む。私は無人機たちを食い止める」
「わかりました。虚さん、しっかりしてください」
彼女たちの目の前にリーガルとチェルシーがやってきてくれた
これで事態は好転する、世界樹大戦の参加者たちはそう確信していた
「うう、痛いよ……」
「今治すから……治癒功!」
別の場所では、蘭は怪我をしたクラスメイトに対して治療している
こちらは中学生と2年生の生徒が避難している。だが、1年と3年と同じように負傷して動けない生徒がいる。それもあちらよりも数が多い
「蘭! 治療はどのくらいかかりますか」
「まだまだかかりそうです。そちらは大丈夫ですか?」
ナターシャの質問に蘭は治療を続けながら答える
「こっちは平気だ。一人一機対応すればいいからな」
「それよりも蘭、無茶をしすぎるなよ。その人数の治療だと倒れかねない」
チェスターは状況を報告、ガイは蘭の心配をしている
この4人の中で回復術が使えるのは蘭だけである
しかも一人にしか使えないうえ、効力も大きいわけではない
「ねえ、こっちにも怪我人がいるの! 早く対処してよ!」
「それはこちらも同じです」
「何!? 私たちに意見する気? 2年生の私たちに!?」
「だからなんですか? 蘭は中学生ですよ。同級生である私たちの治療が先ですよ」
早く治してもらいたいため、生徒達は喧嘩を始めてしまった。自分たちが先に治療を受けるべきだと主張して
(困ったな……まさかこんなことになるなんて……でも私の力だと一人ずつしか治療できないし……)
このままだと争いが激しくなって何が起こるかわからない。どうにかしなければと焦る蘭
その時、早く治療を受けようと2年生の女子が中学生の女子を突き飛ばそうとした
「いい加減にしなさい!」
だが、それを止めるかのように大きな声が響き渡った。真耶の声だ
普段のおっとりとした印象を持つ彼女の声とは思えず、ここにいる生徒は驚いて止まっている
「今争っている場合じゃないというのが分からないの!? まず治療を受けた生徒は速やかに避難しなさい! あなたたちがいても邪魔なだけよ! それと今から私たちも治療を手伝いますが、もし治療の順番に文句をつけるようでしたらその生徒に対しては、治療せずに避難してもらうつもりでいますからそう思っていなさい!」
アンジュの一喝に反論する生徒は誰もいなかった
「アンジュさん、山田先生。ありがとうございます」
「お礼を言うのはこちらの方です。蘭さん、あなたはしばらく休んでいてください。必要なときには声をかけますから」
真耶の言葉に頷き、蘭はしばし休息を取れるという事実に一息つけた
アリーナではそれぞれのペアが2機ずつ相手に戦っている
ペアの数は5組であり、無人機の数は10機
ちょうどいいのだが、それぞれ戦っている無人機に違いがある
客席を襲った機体が4体、それよりも濃い目の灰色の機体が6体いる
それぞれ戦っているのだが、ここにいるメンバーは同じことを思っていた
色の濃い機体の方は強いと
そしてそれは突然起こった
いきなり色の濃い機体が光り輝き始めた。それを知る者は驚く
何故オーバーリミッツを使えるのかと
スキット
楯無の理由
大会の前日の夕食
シャルロットと鈴が一緒に食事を取っていた
「それにしても楯無先輩、箒と一緒にペアになるなんて意外だよね」
「そうね、あたしとしては一夏が速攻で簪と組んだのが気に入らないけど」
「あはは……でもさ、随分と早く組んでいたよね?」
「ああ、それなら簡単ですよ。一夏さん、多分事前に知っていたんだと思いますよ」
シャルロットの疑問にジェイが答える
「知っていたってタッグマッチを実施するってことを?」
「ええ、恐らく楯無さんから聞いたのでしょう。そして彼女は箒さんと組んだ」
「どうしてよ? 楯無先輩だったら一夏と組みそうだけど」
「これも推測ですが、篠ノ之束が作成した機体に興味があったのではないでしょうか。それを調べるためにコンビを組んだ」
ジェイの答えに鈴とシャルロットは納得する
「まあ、本当の所は分かりませんけどね」
「実際に聞いてみようにもあの人、するりとかわしそうだもんね」
マオの言葉にシャルロットと鈴は同意した。
いつも通り投稿が遅れてしまって申し訳ありません。
なかなかうまく書けない日々が続いています。
次回は、それぞれISキャラのあることを出すつもりです。
感想・指摘等あればよろしくお願いいたします。
余談ですが、フェスティバルは楽しかったです。
新作発表等色々楽しみです。
ゼスティリアで何やら騒いでいますが、自分はこれからもテイルズシリーズを好きでいるつもりです。
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