No.784429

【サイバ】あじさい祭りの一幕【交流】

古淵工機さん

2015-06-18 21:55:12 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:640   閲覧ユーザー数:626

6月、『あじさい祭り』真っ最中の天空稲荷神社。

 

「ふぅ、それにしても祭りの時期となると参拝客が多くなるわね」

あふれかえる人の波にもうろたえず、巫女として一生懸命働く愛。

彼女が娘の名を呼んだそのときである。

「ねえ唯。唯…?…はっ!これは唯じゃない!!いつの間に!?」

稲荷山公園・屋台街。

「いやー、イリーナ博士に作ってもらった『等身大リアル唯ちゃんドール』がまさか役に立つとはw」

「ホントよねえ。お祭りといえば食べ歩きが定番なのにお仕事なんて、ねえ」

相変わらず懲りない様子の唯と和美。

「でも詩穂ちゃんと歌穂ちゃんはどうしたのよ?」

「それがねえ…なんか新天空駅前からの参拝客の案内係なんですって」

「じゃあ優奈ちゃんとかは…」

「それがね、彼女もパトロールだから来れないって。新奈ちゃんも同じよ。ユーニスちゃんとキャリーちゃんじゃ一発でバレちゃうし…」

「なるほど、それで等身大ドールを。考えたわね唯ちゃんw」

「ふっふっふ、屋台マスターは常に作戦を考えておくものよ。さて、どこから回りましょうかね」

「ねえ、じゃあまずはあそこの団子屋さんで食べていかない?」

「賛成ーw」

で、団子屋台の前。

「すみませーん、あたしと和美ちゃんでみたらし団子10個ずつください!」

「はい、みたらし団子10個ずつで…あーーーーっ!?」

突然、唯と和美を指差して大声を上げる店員。

無理もない。その屋台はきつね屋の屋台で、店員は唯の姪にあたる玲だったのだから。

 

「ど、どうして玲お姉ちゃんがここにいるのよ!?」

「こっちの台詞よ唯ちゃん!あなたこそなんでここにいるのよっ!」

「え、いや、その…ねぇ和美ちゃん、どうしよう…」

「いや、あたしに振られたって…」

と、どもる唯と和美をよそに、玲はスマートフォンを取り出す。

 

玲が電話を掛けたのは愛。唯にとっては母親だが、玲にとっては姉である。

「もしもしお姉ちゃん?あ、うん、唯ちゃんったらまた抜け出してたみたい。うん。すぐ連れ戻しに来て…え?もう適役が行ってる?」

と、電話の話が終わろうとしていたとき、唯の背後に白い影。

「げっ…お、お天さまっ!?」

そう、現れたのは天空稲荷の祭神・天洸だったのだ!

「唯…仕事サボって何してんのかと思ったら、案の定こんなところで油売ってるたぁね」

「いや、あの、これはその…」

慌てふためいている唯の手を引く和美。

 

「唯ちゃん、逃げるわよ」

「え、え…」

まさにその場から逃げ出そうとした、その時だった!

「雪歩キィィィックッ!!」

「ごげぇ!?」

今度は和美の顔面に雪歩の跳び蹴りが炸裂!!

 

「い、痛い…いきなり何するのよ雪歩!」

「何するもあるか!今日はばあちゃんの店の手伝いだって言ったろ!!ほら帰るぞ!」

「あっ、ちょっと待って、いやぁぁ!唯ちゃぁぁぁん!!」

雪歩に引きずられて、和美退場。

 

「そんな、和美ちゃぐえっ」

和美を追いかけようとする唯の尻尾を掴む天洸。

「ほら、もう帰るよ!ウチの神社の巫女なんだからキリキリ働く!」

「そ、そんなぁぁぁぁぁぁ…」

天洸は唯を抱えたまま、神社へと飛び去っていった。

「あ、うん。なんとか連れて行ってくれたみたいよ。あとできっちり叱ってあげて。それじゃ」

と、電話を切った玲の目の前には、見慣れた青い影が。防犯パトロール中のドラゴ郎だ。

彼はちょうど休憩時間らしく、ここに団子を買いに来たというわけである。

「あ、いらっしゃいませドラゴ郎さん」

「えーと、みたらし団子15個」

「はい、みたらし団子15個ですね」

「…ところで何かあったの?唯ちゃんと和美ちゃん、なんか凄い勢いで連れ戻されてたみたいだけど」

「あー…あの子たちったらお祭りのときはいつもこうなんです…」

「…へぇ…」

…ちなみにこのあと唯は母親・愛に、和美は祖母・寧子にこってりしぼられたそうな。お後がよろしいようで。


 
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