No.783957

艦隊 真・恋姫無双 61話目

いたさん

予定より遅れてしまいました。 6/16 誤字等修正しました。

2015-06-16 02:03:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1225   閲覧ユーザー数:1073

【 都城内の様子 の件 】

 

〖 司隷 洛陽 都城内 にて 〗

 

洛陽都城内には『謁見の間』がある……。

 

どの国の城内には謁見の間があり、そこで君主が他国の使者から拝謁を行ったり、自分の部下より報告を受けたりする等、使用される部屋である。

 

ここでは、大陸の首都であり、多くの国の上に立つ存在ゆえ、他の城内の物より遥かに立派な部屋が作られていた。

 

例えば……大人が何人も集まってやっと抱える事が出来る柱。 

 

多数の精密な彫刻、高価な材料で飾られた壁。

 

初めて入る者が思わず見上げるほどの高い天井。

 

そんな絢爛豪華な大広間であるが、その中で四面に一際大きい彫刻が、東西南北に別れて取り付けられている。 

 

言うまでもなく『四神相応』のレリーフを取り込んでいるのである。

 

北の玉座の上には玄武、東に青龍、西に白虎。 

 

そして、出入り口になる扉の上には、南の朱雀が彫られている。

 

「天子ハ南面シ、臣下ハ北面ス」の故事を、聖獣を使い視覚化して表したようにも見えるが、これには目的がある。 

 

それぞれの聖獣の視線は、中央に重なるように制作されているのだ。

 

つまり、この場所が神聖な場所であり、魔除けの意味も込めている事を示唆している。 天子に対して害を与える者を省くよう、霊的防御も施していたのだ。

 

ーーー ーーー

 

因みに……どこかの世界の四神相応は、『タコ』『ドラゴン』『ゴリラ』『イーグル』になるらしい。 

 

『古事記』に、そう記載されていたからだという。 いいね?

 

★☆☆

 

そんな謁見の間に、何百人の官兵と女官が大忙しで準備を整え、場所も丹念に清掃していく。 多勢で働き、無駄話を一切せずに黙々とこなしていく様子は、何とも異常に見える。

 

だが……これも仕方がない事だ。

 

ここに集まる者は、皇女たちを人質に取り、皇帝陛下を恫喝した悪逆十常侍を捕縛した名誉ある諸侯、礼を述べる為に臨席する皇女方。

 

そして……十常侍の卑劣な行為から皇女方を救った『天の御遣い一行』と『大将軍何進』が、この場所に集合されるのだから、緊張感も増すもの。

 

『下手な失敗など犯し、御機嫌を損ねたら……!』

 

『一緒懸命行えば……御利益があるぜ!』

 

主に損得勘定が渦巻いていたが、無事に用意も済み、入室の許可の知らせが各場所の担当へと報告される。

 

────

───

──バタバタバタバタッ!!

 

真っ先に報告された文武百官の部署では、出席する者が慌ただしく動き出した。 

 

誰も彼もが……無言で緊張した様子を見せ、謁見の間に向かう。

 

ーーー

 

『天の御遣い』……その名と噂だけが先行していた有名無実の話。

 

多くの官僚は、これを民の作り上げた伝説の類と考え……地方の州牧以下たちに適度に対処するよう命令だけ出していた。 

 

しかし……彼らは……伝説の通りに現れる。

 

白き衣服を纏い、圧倒的ともいえる『未知なる絡繰り』を操作し、元益州州牧劉焉の反乱を見事な手腕で鎮圧! 

 

その報告に右往左往している官僚を尻目に、亡き劉宏は大将軍何進を遣わし、『天の御遣い』たちを貴賓として招待する事を実行。 

 

その行動に……懸念と野望を抱いた十常侍たちが引き起こした『十常侍の変』だったが、天の御遣いの機転、大将軍何進、他の御遣いたちの活躍により、いち早く収束に導かれた!

 

そのため、一躍有名な人物になり……皇女たちよりも厚い信任を得ている。

 

ーーー

 

つまり……これでは……地方の諸侯たちから『漢王朝の官僚は、無能呼ばわりされる事態』に陥る可能性がある。 そうなれば……失脚、はたまた地方の閑職へと『栄転』の憂き目に遭う可能性も高い!!

 

しかし、一部の官僚は……益州の反乱を更に詳しく報告させた。

 

『何かしらの歪曲(わいきょく)した部分がないか?』との探りを入れる為。 もし、事実と違う事があれば、そこを糾弾しようとする企みである。

 

だが、上がってきた幾つかの報告には『煙を吐く鳥のような物』『雷電を伴い敵陣を切り裂く……』『敵味方……死者皆無』と信じ難い報告ばかり。

 

中には……『山海経に描かれているような者に追われた。 瓜二つの者が多数……顔は●●、身体は◆◆、その動き……まさしく飛燕の如し……』と実に詳細で多岐に渡り書かれている物も存在していた。

 

何故か塗り潰してあり詳細が不明、報告した者に問うと無言で首を振るばかりで説明しないため、そのままで提出されていたが。 

 

報告された竹簡を読んだ官僚は『……まるで、古代の黄帝が蚩尤へ交戦した事を、写実的に描写したようだ!』と語り、頭を抱えることになった。 

 

なぜなら、まさしく……天の御遣いを証明する物になるから。 

 

しかも……益州成都の全住人がコレを目撃していると報告されていた。 

 

得意の報告改竄しても、余りの目撃者の人数が多すぎて、事実と合わない! 

 

万一の為に口封じを行うとしても、こんなに多くては……金も力も権力も役に立たないと……分かってしまったから──! 

 

後は、命じられる事の無いように……祈る手立てしか……なかったのだ。

 

ーーー

 

そして、入室後、その地位に定められた場所へと、左右へに別れ立ち並んだ。

 

誰もが思い悩むが……その動きに緩慢さが無い。 どちらかと言えば、いつもより素早く行動しているぐらいだ。

 

この行動理由は簡単だ。

 

思い悩み過ぎて、職務を疎かにすれば……可能性は……『確実』の二文字に昇格して、その者を洛陽の職場から消してくれるだろう。

 

誰だって慣れた職場から、楽な仕事から離れたくない。

 

この官僚たちも……またしかり! 

 

だから、立ち並ぶ者の顔は、同じ表情をしていた。 まるで、屠殺場に送られる、哀れな動物のような顔をしながら……

 

 

◆◇◆

 

【 謁見の間付近の出来事 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 謁見の間付近 にて 〗

 

衛兵が重厚な扉を……二人掛かりで押して開く。

 

衛兵長が、声を張り上げて謝罪した後、敬礼をして諸侯を迎え入れる。

 

ーーー

 

衛兵長「お待ちして頂き申し訳ありません! どうぞ、案内の者に従い着座して下さい!」

 

ーー

 

華琳「では……案内を!」

 

案内役「はっ! 此方で御座います!」

 

春蘭「ソワソワ……ソワソワ……」

 

桂花「アンタねぇ……。 少しは……落ち着きなさいよ……」

 

ーー

 

案内役「袁公路さま……どうぞ此方に………」

 

美羽「……………」

 

七乃「美羽さま……ふぅ──ッ!!」

 

美羽「ひゃぁああッ!! な、七乃!! 耳に息を吹き込むなと、何度──」

 

七乃「美羽さま、案内役の方が困っていますので、お早くして下さいねぇ!」

 

美羽「わ、わかった! 今、参る……案内せい!」

 

案内役「はっ!」

 

ーー

 

蓮華「……………」グッ!

 

冥琳「……宜しく頼む」

 

案内役「はっ! 此方へ……」

 

ーー

 

翠「……………」

 

案内役「馬孟起さま! 如何なさいましたか?」

 

翠「い、いやッ! 何でもないんだ! 行こうか!」

 

案内役「………はっ!」

 

ーー

 

月「宜しく……お願いします……」

 

案内役「どうぞ……此方へ……」

 

詠「……………」

 

ーー

 

案内役「こちらへ……」

 

白蓮「………頼む」

 

ーーー

 

無事に諸侯が入室が終わると……再度、扉が閉まり……周りを数人の衛兵たちが立ちはだかる。 

 

ーーー

 

衛兵長「お前たち……警護を厳重にせよ! この前のような失態を見せるな! 甘言に惑わされ踊らさせる事が無いよう、自分を厳しく律せよ!!」

 

衛兵「「「「 はっ!! 」」」」

 

衛兵長「皇女さま方の温情を忘れれば……俺たちは生涯洛陽に顔向け出来ない! 職務を全うし、漢王朝に忠を尽くせ!!」

 

衛兵「「「「 ────はっ!! 」」」」

 

ーーー

 

先の『十常侍の変』では、多数の近衛兵が十常侍のアメと鞭により、手足として働く事態に陥った。 

 

この事を知った多くの兵士に衝撃を与えたが、更に驚いたのは、劉辯皇女と劉協皇女の下した裁可……『兵士たちは全員無罪』であるといえよう。

 

ーーー

 

劉協『貴方たちの行いは、間接的陛下の命を奪い、十常侍の行方を眩ます手助け、そして……《天の御遣い》さまを害しようとした事! 非常に罪は重いですよ!』

 

近衛兵『覚悟は……既に出来ております……。 如何様にでも……!』

 

劉協『では………貴方たちに一つ問いましょう! 貴方たちは、この罪を二度と起こそうと……考えていますか?』

 

近衛兵『と、とんでもない! 私たちは、十常侍さまより命じられた故に動いたまで。 同じように命令されても、動く輩は居ないと思われます!』

 

劉協『ふぅ………《御遣いさま》の仰る通りでしたね……』

 

近衛兵『………?』

 

劉協『家族を人質に取られ、やむを得ず働く事を強要されたようですし、私や姉上にも怪我は無し。 それに、陛下……父上の寿命は……天命。 全員無罪とし……これからも職務に励みなさい! いいですねッ!!?』

 

近衛兵『お、お待ちください! わ、我々の最大の罪───《天の御遣い》さまを害しようとした極罪は!?』

 

劉協『誰も怪我が無いから許すそうですよ……。 天の国では《罪を憎んで人を憎まず》との格言があり、反省して二度とやらないのなら……許して欲しいと……笑顔で言われたのです。 これでは、私が罪に問えませんよ……』

 

近衛兵『み、御遣いさま……が……!?』

 

劉協『姉上と協議して、何皇后さまに伝えて承認してあります。 あの方は姉上には甘いですから大丈夫ですよ。 もし、何かあれば……私か姉上に内緒で伝えて下さいね……。 それでは、以上御開きにします! 散会!!』

 

近衛兵『──はいッ! あ、ありがとうございました!!!』

 

ーーー

 

この事を、当時者である近衛兵士から直接聞いた兵士は、その英断と温情に感涙し、洛陽中の兵士たちに話した。 

 

同じように噂を聞いた者も、近衛兵より直接聞きに行き、真実だと判明! 

 

兵士たちの士気は、このように鰻昇りになったという。

 

 

◆◇◆

 

 

【 何皇后 登場 の件 】

 

〖 都城内 謁見の間 にて 〗

 

『謁見の間』にて、諸侯が案内されて着座し、皇女二人と何皇后が……専用の出入り口より入室した。 案内役が案内を申し出たが、優雅な手付きで退け、自ら皇女たちを連れて……玉座に向かう。

 

ーーー

 

何皇后「劉辯……そちは……ここじゃ! 劉協、何を佇んでおる! そなたは……ほれっ! そこじゃ!! 早よう座れなされ!!」

 

ーーー

 

劉辯「……是……」

 

劉協「……はい……」

 

ーーー

 

何皇后「さて……わらわは……」

 

ユックリと……煌びやかな衣装で着飾った何皇后は、白磁の陶器人形のように表情を崩さず、皇女たち二人を専用の誂えた席に座らせ、自分は────玉座に腰を下ろした。

 

何皇后「ぁあ……んふぅ……」

 

その瞬間……美麗な顔が妖艶に綻び、均整が取れた身体が……艶めかしくひくついた! 初めて座る玉座に、快感に酔いしれている。

 

『………………』

 

文武百官たちは……その艶めいた動作にあてられ……ボォーと惚ける。

 

『ーーーーーーー!?』

 

しかし………居並ぶ諸侯は……何皇后の態度に不審を抱く。 

 

いや、確信を得た者の方が……多いのかも知れない。 

 

なぜなら諸侯の大部分は、劉宏が崩御した事を知っているのだ。

 

それと同時に、ある情報も──耳にしている。

 

他の諸侯ならいざ知らず、この場に居る諸侯の情報網は優秀!

 

洛陽内で、情報収集を怠らず調査している時に、彼女の黒い噂を把握できた。

 

それは……大将軍何進と犬猿の中である十常侍!

 

何進と養子縁組みで義理の妹になった何皇后!

 

この者たちが裏で繋がり、大将軍何進を……亡き者にしようと企んでいた事を───!!

 

★☆☆

 

前は……十常侍と何皇后に、私的な付き合いは無かった。

 

都城内に女官で仕官した時は、十常侍の手引きがあっての故だったが、自分が皇后に迎えられたのは自分の美貌と努力のため!

 

十常侍も、別の思惑で何皇后を利用したので、別に請求もしなかった。   

 

ところが、ある日……嫉妬のため、劉協の母『王美人』を毒殺し、劉宏により皇后の地位を剥奪されそうだった!

 

そこを宥めて、助けたのが十常侍たち!

 

そこから……付き合いが始まったのだ!

 

ーーー

 

それから、何皇后は十常侍たちと仲が良くなり、相互扶助で助け合いをしながら、洛陽で大きな勢力を持つようになった!

 

勿論……仲良くなる事情も、それなりにあったのだ。

 

何皇后は、漢王朝の政権を我が物に! 

 

十常侍は、自分達の地位安泰! そして……更なる富を!

 

だが、それは……『互いに利』あればこそ共同作業を行うのであり、一方が目標を達成すれば、後は邪魔者に過ぎない。

 

そして現在……十常侍は……全員死んだ。

 

十常侍たちを引き渡された執金吾は、何皇后の命令により、牢屋に入れて隔離させ、僅か数刻で刑を執行した!

 

必要な物は全部整え、場所も定め、その処刑方法さえも…… 

 

 

◆◇◆

 

【 十常侍の最後 の件 】

 

〖 司隷 洛陽内 広場 にて 〗

 

執金吾「……どうだ? いい運動になっただろう? 牢屋から歩いて、洛陽の広場まで歩くのも悪くは無いだろうが。 まぁ……これから死ぬ奴らが、健康に気をつけるように諭すなんて……馬鹿らしいがな?」

 

『…………………』

 

執金吾と兵士50人ほどが、十常侍を連れて洛陽の広場へ現れた。

 

事前に話を流してあったため、洛陽の民たちが黒き人集りを作り、この処刑を一目見ようと周りを囲み始めた。

 

執金吾「よしっ! 準備を始めろ! まずは、十常侍の顔を民衆によく見せておけ! 間違いないことを確認させるんだ!」

 

兵「────はっ!」

 

その後、事前に用意した罪状を読み上げ……

 

牢屋の中で、全員に紐を通した竹筒を、そのまま噛ませた状態で……

 

丸く円を描くように並べ、顔を中心に向けさせ、お互いの顔が分かるようにした。 そして、一人ずつ……また一人と……首を落としていく。

 

順番を決めると覚悟を定められて、恐怖が半減。

 

執金吾は、天に指を示し何回か回転させたのち、不規則に……選ぶのだ!

 

「次は………お前だっ!」………と。

 

そうする事により、十常侍たちに表れる表情が、百面相のように変わる!

 

……恐怖、絶望、激怒、悲痛、放心、狂乱、悔恨、嘲笑、焦燥、憎悪、怨恨!

 

それを、残った者へと……存分に見せつけるため!!!

 

ーーー

 

執金吾「───と罪状は……以上だ! ───やれッ!!」クイッ!

 

『…………!』

 

ザシュ! ゴロゴロ……!

 

ーーー

ーーー

 

『~~~~~!』

 

──ザシュ! ゴロゴロ……

 

『ーーー!? ーーーッ!!!』

 

───ザシュ! ゴロゴロ……

 

ーーー

ーーー

ーー

 

執金吾「………貴様で最後だ……張譲。 何か……言い残して置きたい事はあるか?」

 

張譲『@&#&ッッ!! #у-※‡§━━━ッ!!!』

 

執金吾「おぉぉ……そう言えばぁ~猿轡をしていたよな。 クククッ……すまん、罪人の猿轡を外す事は、法で禁じられているから無理だ!」 

 

張譲『∉√§∃¢ℓ‰∋×━━━ッッッ!!!』

 

執金吾「───しかし、心配するな。 それが……お前の最後の言葉として、何皇后さまへ御報告してやろう!! ────やれっ!!」

 

張譲『━━━━━━ッッッッッ!!!!』バキバキッッッ!!

 

ーーーーーザァアシュゥウウ!!

 

執金吾「…………さらば、道化の者よ!」

 

 

ゴロゴロ……ゴロゴロ…… 

 

………ゴロリッ!!

 

ーーー

 

十常侍の顔は、どれも無念の形相に満ちていた。 

 

特に……張譲の口の中にあった竹筒は、張譲の最後の執念で、粉々に噛み割られていたという。

 

この竹筒は、執金吾の説明で『断末魔を出されて、民衆が不快な思いを与えないようにした!』と配慮した旨を話していた。

 

だが、事実は違う。

 

死の間際で、十常侍たちが……何皇后との癒着を喋られては困るゆえの対策。

 

執金吾に命じて……これらを行わせたのは何皇后。

 

生家の屠殺業を思い出して実行した……十常侍たちへ賜らせた……最後の贈り物だったのである。

 

ーーー

 

こうして……真相は……十常侍たちの屍と共に……葬られた。

 

十常侍を捕縛して、話を聞き出した一部の者を除いては………

 

 

◆◇◆

 

【 爆弾発言 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 謁見の間 にて 〗

 

 

─────スッ!

 

衛兵長「閣下……諸侯の皆様、全員着座され、何皇后、皇女さま方も……臨席されました。 ただ、北郷さま方が………」

 

何進「一刀たちは……いいんだ。 アイツはアイツなりにやらせてやれ!」

 

衛兵長「………はっ!」

 

ーーー

ーーー

 

何進「これより、漢王朝に弓を引いた張譲並びに十常侍を捕縛し、洛陽まで身柄を堅固にして護送してくれた諸侯に対し、その忠義を讃え論功行賞の儀を行う! 呼ばれた者は、玉座の前へ着座するように!」

 

ーーー

 

華琳「(何皇后が玉座に腰を!? どうやら……間違いなさそうね。 十常侍の対応からして、黒幕は何皇后! 秘密を掴んだ私たちを……そのままにしておくワケが無いわ! ……肉屋の娘風情の手腕、拝見させて貰うわよ?)」

 

ーー

 

蓮華「(か、一刀の姿……無い?)」

 

ーー

 

月「(………ご主人様……)」

 

ーー

 

白蓮「………一刀……」

 

ーーー

 

何進「『陳留太守 曹孟徳』 『南陽太守 袁公路』 『天水太守 董仲穎、僚友 馬孟起』 『幽州太守 公孫伯珪』 前へ────!!」

 

『────はっ!!』

 

何進「『陳留太守 曹孟徳』 中常侍『孫璋、宋典、夏惲』三名捕縛の功績により、刺史への昇進を認める。 印綬を受け取れるが良い!」

 

華琳「有り難き幸せ!」

 

ーーー

 

何進「『南陽太守 袁公路』 中常侍『畢嵐、栗嵩、張恭』三名を捕縛、しかも、隣国で起きた反乱軍の鎮圧をも重ねて行う手腕! 実に見事!」

 

美羽「あ、ありがとう……御座りますしゅる!」 

 

何進「それと……特別に功ある臣も、拝謁の許可を願いたいという事で与えたが、その者共が……そうか?」

 

美羽「は、はい! この者たち……です! この者たちが……中心となり動いてくれました!」

 

蓮華「御尊顔を拝見致します! 袁公路配下、孫伯符の妹……孫仲謀と申します……!」

 

冥琳「袁公路配下、孫伯符の臣……周公瑾と申し上げます! 今回の格別の計らい……主、孫伯符に成り代わり御礼申し上げると共に、君臣共々、更なる忠義を漢王朝に尽くす所存です!!」

 

何進「なるほど……天の御遣いの配下より活躍は聞き及んでいる! 主な活躍は孫仲謀率いる軍勢だったとな。 漢王朝に対して、その無私の活躍は、非常に喜ばしい! 豫州刺史を袁公路配下である孫伯府に任命しよう!」

 

美羽「─────!」

 

蓮華「………そ、そんな!」

 

何進「可笑しな事ではあるまい? 報奨を直接渡す相手と間接的に受け取る相手を見極めて渡したまでの事だ。 それぞれに益があると思うが……どうかな?」

 

美羽「───つ、謹んでお受けするのじ……お受け致します!」

 

蓮華「……あ、ありがとうございます!!」

 

ーーー

 

何進「『天水太守 董仲穎』『西涼太守 馬寿成の息女 馬孟起』の二名、

『韓悝、張譲、段珪』の三名を共闘して捕縛、よくぞ洛陽へと引き渡した! 特に張譲は弁舌巧みな者、よくぞ真意を掴み、賊に荷担しなかったな?」

 

月「は、はいっ! 私の臣が優秀だったおかげで、惑わされずに済みました! そうでなければ、私は誘われるまま……かの者たちを連れて天水に戻っていた事でしょう!」

 

翠「あ、あたし……私も同じです! 軍勢の中心的指揮は、董仲穎殿に任せていました。 仲穎殿が丸め込まれたら……あたしも………」

 

何進「ならば、その臣に労いの言葉、充分な報奨を渡しておくといいぞ? 『君臣騎馬の如し』というからな。 臣を大事にしない者は、臣により滅ぶ! 主らの報奨は、西涼の領地拡大! 具体的な事は、また追って報告する!」

 

月「───はっ! ありがとうございます! その御言葉も……この董仲穎、確かに肝へと命じさせて頂きます!!」

 

翠「ど、どういう事だ……?」

 

何進「ふふふっ……難しく考えると、余計に解らなくなるぞ? 優秀な騎馬隊を持つ西涼の君主なら分かると思うが、乗り手が『君』であり『馬』が臣と例える。 そうすれば……馬が荒れた場合、どうなるかは直ぐに解るだろう?」

 

翠「は、はいっ! あ……ありがとう……ございました!」

 

ーーー

 

何進「さて……『幽州太守 公孫伯珪』よ! 見事に中常侍『趙忠、高望、韓悝』の三名を捕縛した! たびたびながら、中常侍たちより配下に加わるように申し出があったそうだが……よくぞ漢の忠義を通した!」

 

白蓮「───はい! これも当然の事です!」

 

何進「見事な忠義よ! 報奨も追って報告させて貰う。あそこは、今回の事で我が配下『袁本初』も活躍した。 領地拡大を望むだろうが……調節が難しいのだ。 悪く思うな……公孫伯珪よ!」

 

白蓮「─────はっ!」

 

ーーー

 

何進「そして、最後に………漢王朝に対する二つの内乱があった事は、既に存じているだろう! 天の御遣い『北郷一刀』と仲間の活躍で、被害は最小限に抑えられた! これは、王朝だけでなく、大陸全体で感謝すべき事である!」

 

『───────!!』

 

何進「漢王朝としては、皇帝陛下と同格、寧ろ……それ以上の方かもしれん! 私は天の御遣い『北郷一刀』をお連れした際、つぶさに様子を見て信用に値する人物として、我が真名を預けた!」

 

ーーー

 

衛兵「閣下が……真名を預けられた……」

 

衛兵「あの真名を預ける事を嫌う……閣下が、進んで預けるなんて………」

 

ーーー

 

何進「王朝としては、劉焉討伐等の内乱で、多大の貢献をしてくれた北郷を、益州州牧として迎えたい!! 人格、臣下の実力、民の支持、どれを取っても素晴らしい物だ! 必ずや益州州牧として力を発揮してくれるだろう!」

 

ーーー

 

春蘭「な、何だとぉ………?」

 

桂花「───そんなっ!?」

 

ーーー

 

蓮華「め、冥琳!?」

 

冥琳「………………」

 

ーーー

 

月「へうぅ………」

 

詠「…………………」

 

ーーー

 

翠「まだだっ! まだ、諦めるのは早いさ!」

 

ーーー

 

白蓮「……………」

 

ーーー

 

美羽「あぁ…………………!」

 

ーーー

 

何進「──以上で論功行賞の儀は、これにて終了する! 皇女さま方……何か意見はございますか?」

 

劉協「私たちは──何も異論は無い! ただ、国に対して、陛下に対して……無礼を働いた十常侍を……捕縛して頂いた事! 深く感謝させて頂く! 皆……大儀!!」

 

『─────はっ!!』

 

何進「では……これにて──」

 

何皇后「───待たれぇ! 何進よ! この皇后たる妾に意見を求めぬのかえ? 陛下亡き後……次代の皇帝不在の中、皇后である妾が摂政として、勤め上げるのが役目! それを無視して……何とする?」

 

何進「今回の件は、武官最高位にある大将軍の采配で済むもの。 摂政であり何かとお忙しい何皇后の御手を、煩わせる(わずわらせる)のも失礼と思い行ったまでの事。 その配慮を分かって頂けず、残念です!!」

 

何皇后「ふ、ふん! そのような些細な事はえぇ! 問題は『天の御遣い』さまや! 妾の考えでは『天の御遣い』さまを人の統治に巻き込む事は、罰当たりどす! もっと相応しい場所があるはずやで!」

 

何進「と、言いますと………?」

 

何皇后「簡単な事! こん国の陛下になる方と婚儀を挙げ、漢王朝皇帝ん地位を磐石にさせるんや! そないなって、子が産まれれば──まさしく天の血を引く御子! 漢王朝の繁栄と栄華も……末永く続くわぁ!!」

 

『───────!!?』

 

 

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

話が纏まらなくて……やっと出来たました。

 

近頃は、話がつまって……なかなか書けませんが、何とか頑張って続けたいと思います。


 
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