No.77507

満月の夜に・・・

ぴかさん

真・恋姫無双の魏√アフターの話です。

華琳中心でお届けします。

誤字脱字報告、感想、叱咤激励お待ちしております。

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2009-06-06 08:46:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:13659   閲覧ユーザー数:10191

キーンコーンカーンコーン・・・

 

学校の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

すると、それまでの鬱々とした雰囲気はどこへやら、教室内は活気に満ちあふれた。

鞄を持ち走って出て行く者、友人達と談笑を楽しむ者など、各々放課後を楽しむようだ。

 

私はと言えば、部活をやっているわけでもなく、放課後どこかに行く予定もない。

 

??「それじゃ、また明日ねー!!」

 

手を振り教室を出て行く友人に笑顔で手を振り返す。

宿題があったので、数学の問題集を忘れずに鞄へと詰め込む。

他に忘れ物はないか最終確認をしていると、横から声をかけてくる者がいる。

 

??「華琳、帰ろうぜ!!」

 

そう言って彼が手を差し出してくる。

私には勿体ないくらいの笑顔だ。

家が近所という事もあり一緒に帰るのが当たり前のように思えたが、最近は変わってきた。

彼はどうか分からない、主に私の心境がである。

私は正直、彼を幼馴染ではなく男性として意識していた。

最初は彼の何気ない仕草や言動にドキッとする程度だったが、今では彼の姿を追う私がいる。

想いを伝えたい・・・、そう思うことも何度もあった。

でも、断られたらどうしようとか、今の関係が壊れてしまうのではと思うと怖くて告白など出来なかった。

だから、今はこのまま進んでいこうと思う。

いつか、この想いを告げて前進できるその日まで・・・。

そう思いながら、私は彼・・・北郷一刀の手を握りかえして言った。

 

華琳「うんっ!!」

 

と。

 

 

華琳「!?」

 

私は目を覚ました。

視界には見慣れた寝台の天幕が映る。

隣には桂花が一糸まとわぬ姿で寝ていた。

 

華琳(そういえば、今夜は桂花を閨に誘ったんだわね。)

 

そう思いながら、桂花の頭を撫でる。

桂花は、寝返りをうちながらも気持ち良さそうに眠っている。

そんな桂花を見ながら、先ほどまで見ていた夢を思い出していた。

 

全てが見慣れない情景。

なのに、そこには私がいて・・・一刀がいた・・・。

 

華琳「一刀・・・。」

 

北郷一刀。

数年前までこの魏で、警備隊長を務め天の御遣いと呼ばれて民に慕われていた。

また、魏の種馬として自分を含め魏のほとんどの武官、文官と関係を持った不思議な男。

大陸平定を成し遂げたその夜に、みんなを残し去っていってしまった。

その時、私は泣いた。

この曹孟徳の人生で、最初で最後の大泣きだった。

その涙で全てを吹っ切った後、他の者達に一刀がこの世界から去っていった事を告げた。

唖然とする者、泣き出す者、怒り出す者、みながそれぞれ様々な反応を示したが、それのどれもが一刀が慕われていた事を示すモノだった。

その場は自由に振る舞わせたが、その後は気を引き締めるよう伝えた。

そして、一刀の事を忘れなくてもいいが、必要以上に思い出させる事を禁じた。

それは、私自身への戒めでもあったが、どだい無理な話だった。

一刀の残した功績は、国中に残されておりそれを見るたびに思い出してしまう。

だからこそ、私は戦後復旧を急いだ。

それはもうがむしゃらという言葉が一番似合っているだろう。

何か別の事に熱中すれば、一刀の事を思い出さずに済む。

そのつもりで急いでいたのだが、それ以上に一刀がうらやましがるような世界にすればまた戻ってくるのではという根拠のない思いが私を突き動かしていた。

だが、1年、2年経とうとも一刀が戻る様子はなかった。

 

戦後復旧を急ぎはじめてからだろうか。

時々、先ほどの夢を見るようになった。

最初は半年に一度くらいだったのだが、年数が経つにつれ、よく見るようになった。

 

華琳「なんなのかしらね。」

 

見慣れない情景ながら、その中にいる自分は幸せそうだった。

あれが、女としての私の望みなのだろうか・・・。

 

華琳「バカバカしい・・・。」

 

私は、脱ぎ捨ててあった服を羽織ると、外に出て井戸で水を飲む。

そして空を見上げると、そこにはあの日と同じ満月が美しく光り輝いていた。

 

 

翌日、三国の平和を祝う式典が開かれた。

魏、呉、蜀の主要な武官、文官が集まり立食ぱーてぃーなる新しい形の食事会が開かれていた。

魏からは、流琉と凪、蜀からは、朱里と雛里、そして、呉からは祭と亞莎が料理人として抜擢され次々と料理が運ばれてくる。

それを、鈴々、恋、猪々子、春蘭、季衣といった大食いが平らげていく。

それと同時に華琳が醸造したお酒が振る舞われ、星、紫苑、桔梗、雪蓮といった酒飲み達が飲み干していく。

それ以外の面々も、各々食事をしたり談笑しながらその場を楽しんでいた。

 

華琳はちょっと離れた場所から、その様子を眺めながら1人でお酒を飲んでいた。

しばらくすると後ろから胸を揉む手が現れた。

 

華琳「きゃっ。」

??「きゃだって・・・。可愛いなぁ、華琳さん。」

華琳「桃香・・・。」

 

後ろを振り返るとそこには蜀王である桃香が酔っぱらって華琳の胸を揉んでいた。

 

華琳「桃香・・・、何しているのかしら?」

桃香「華琳さんのおっぱい、気持ちいいんだもん。」

 

そう言いながら胸を揉む事をやめない桃香。

 

華琳「いいかげんに・・・。」

 

と、桃香を注意しようとしたが、そこにもう一つ影が近づいた。

 

??「2人とも、仲いいわね。」

華琳「雪蓮。」

 

そこには、呉王であり江東の小覇王である雪蓮がお酒片手に立っていた。

 

華琳「これのどこが仲良さそうに見えるの?」

雪蓮「嫌いな相手の胸なんか揉まないし揉ませないでしょ。」

桃香「雪蓮さんもどうです?気持ちいいですよ。」

雪蓮「そうなの?じゃあ、私もご相伴にあずかろうかしら。」

 

そう言って手に持つお酒を飲み干し手を動かしながら近づく。

 

華琳「いいかげんにしなさーい!!」

 

そう言って桃香を振りほどく。

そして、バツが悪くなったのか横を向き憂鬱そうな顔をする。

 

桃香「・・・?」

 

桃香は華琳のその様子に疑問を持つ。

だが、雪蓮はその様子にあてがあるのか華琳に話しかける。

 

雪蓮「いつまでも、1人の男の事を引きずっているんじゃないわよ!!」

華琳「!?」

 

雪蓮の発言に驚き、怒りの表情を現し始める華琳。

 

華琳「雪蓮・・・、それってどういう・・・。」

雪蓮「どうもこうもないでしょ。そのまんまの意味よ。」

 

そう言ってにらみ返す雪蓮。

華琳は、立ち上がりそばにあった絶に手をかける。

 

華琳「そういえば雪蓮、あなたとは決着をつけていなかったわね。」

 

雪蓮も腰にかけた南海覇王に手をかける。

 

雪蓮「そうね。私も暴れたいと思っていたところよ。」

 

そう言って、にらみ合う2人。

周りでは、華琳と雪蓮の様子に気付いた者達が取り囲み始めた。

だが、その雰囲気に誰もがその間に入ることは出来なかった。

しばらくにらみ合う2人だったが、武器を構えてぶつかり合う、その時だった。

 

桃香「けんかはだめですよー!!」

 

そう言って、2人の間に桃香が割り込んだ。

突然の事に驚く2人だったが、必死に止める桃香の様子を見て構えていた武器を下ろした。

そして、

 

華琳・雪蓮「はははは・・・。」

 

2人で大笑いし始めた。

桃香を始め、周りにみんなも何が何だか分からない。

 

華琳「ちょっと私らしくなかったわね。」

雪蓮「分かればいいのよ。忘れる必要はない。でも、必要以上に固執する必要もないのよ。」

華琳「そうね・・・。」

 

それはあの日、魏のみんなに華琳が言ったことのはずだった。

どうも、華琳が一番固執してしまっていたようだ。

 

華琳「さあ、楽しまなきゃね。」

 

そう言って華琳は流琉達が作った料理の並ぶテーブルへ駆けていった。

 

 

その日の夜。

桃香は、酔い潰れてしまい愛紗達に用意された部屋に連れて行かれた。

雪蓮も冥琳や祭を連れて、飲み直すわよーといいながら部屋に戻っていった。

華琳は、誰かを閨に呼ぶこともなく1人部屋に戻っていった。

だが、ある部屋の前で立ち止まった。

一刀の部屋である。

この部屋はあの日以降立ち入り禁止とした。

せめて掃除をしたいという侍女もいたがその一切を禁止した。

華琳は、その想いを吹っ切るつもりで一刀の部屋と入っていった。

 

部屋は満月の光で、明かりが無くても充分見られる状態だった。

そこは、あの時のまままるで時間が止まったかのようだった。

普通は経年の劣化で、家具や寝台などは痛んでいるはずなのだが、全く痛みなど無かった。

 

華琳「どういう事なの・・・。」

 

部屋を歩きながらその状況を不思議がる華琳。

そして、足下に落ちていたモノにぶつかった。

 

華琳「?」

 

華琳が見下ろすと、そこには鏡があった。

鏡はとても貴重品だ。

皇帝への献上品にも採用されるほどの品物でおいそれと見かけるモノでもない。

そんなものが、こんな風に無造作に置かれているはずがない。

 

華琳「なんでこんなところに鏡が・・・。」

 

そう言って鏡を拾い上げたときである。

鏡から目映いばかりの光が溢れてきた。

 

華琳「何!?」

 

その光は華琳を飲み込むと、収縮して消え去った。

 

 

あとがき

 

前作品にはたくさんの支援、コメントありがとうございました。

 

前作品では魏や呉の武将のことが全く書けなかったので

何番煎じか分からない魏アフターを書いてみましたが、どうでしょうか?

 

この続きは・・・書けるのかなぁ。

とりあえず、未定と言うことにしておいてください。

 

ご覧いただきありがとうございました。

 


 
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