覇王の願い・星詠編――最終話『願いを、もう一度』
全てを覆う光の中――。
やがてそれは力を失い、包み込んでいた二人を解放する。
【一刀】「華琳!・・・薫!」
―――ズキン
【一刀】「ぐっ・・・・・」
急にとても大きな頭痛。
【貂蝉】「ご主人様、大丈夫?」
【一刀】「ああ、俺より、二人は・・・・・」
二人のほうへ目を向ける。
【華琳】「・・・・・・・・・」
だが、そこに現れたのは、華琳一人。
それはどんな言葉より、その状況を語っていた。
【一刀】「華琳」
【華琳】「・・・一刀・・・・・・私は・・・・」
失ってしまった。
記憶と引き換えに。
そんなことが言葉ではないもので伝わってくる。
記憶は、戻った。
【一刀】「・・・・・・・」
ようやく、約束を果たせる。
【華琳】「・・・・・・」
たしかに俺は帰ってきた・・・
だけど・・・・・・
【華琳】「こんな・・・・のが、望みなんかじゃなかった・・・・」
【一刀】「ああ・・・」
違うんだ。
誰も望んでいなかった。
ただ、知らなかっただけなんだ。
【春蘭】「華琳様!!!」
少しして
ドン!!!と、広間に飛び込んでくる春蘭と秋蘭。
そして、秋蘭は俺の顔みて、少し複雑そうな顔をする。
【一刀】「・・・・思い、出したよ。秋蘭。」
【秋蘭】「・・・そう、なのか・・・」
【華琳】「貴女たちも、ちゃんと思い出した?」
【春蘭】「はい・・・・」
【秋蘭】「・・はい」
【華琳】「そう・・・・ほんとにあの子の言う通りね。忘れてていいものではなかったわ・・・」
【一刀】「ああ」
【華琳】「皆を、呼ばなくてはね・・・」
【春蘭】「皆を・・・ですか?」
【華琳】「ええ、改めて・・・言わなければいけないことがあるでしょう?一刀」
【一刀】「そうだな・・・2年越しにはなったが、これもあいつのおかげだ。」
そして、意識が戻ってきた者から広間へと集まり、全員がそろった。
記憶がもどり、ようやく、ちゃんとしたこの言葉が言える。
ほんとに・・・・・
つくづく教師泣かせな生徒だったよ。
でも、
ありがとう・・・・薫。
夜――。
城壁の上。
【華琳】「星詠・・・・か・・・・」
星空を見上げて、つぶやく。
【華琳】「貴女には、今私がこうしているのも見えていたの?薫」
だったら、どうしても言ってやりたい。
【華琳】「・・・・・・・・・馬鹿」
本当に、一刀といい、薫といい
私を落ち込ませて楽しいのか。
薫との想い出はひとつしか残っていない。
ここで交わした、約束。
――私に仕えてくれる?――
――当然でしょ?――
もう、果たされることの無い約束。
でも、少なくとも私は・・・・守っておこう。
私が王でいる間は、軍師の椅子は4つ。
埋まることの無い空白の軍師。
【一刀】「華琳」
【華琳】「・・・・一刀」
【一刀】「ここにいたんだ」
【華琳】「ええ。薫の事を考えていて・・・」
【一刀】「・・・・・俺は、薫に対して、どう向き合えばいいんだろうな・・・」
【華琳】「・・え?」
【一刀】「薫が生まれたのは、俺が願ったからだ。華琳との記憶を忘れたくないとね」
【華琳】「・・・・・・・そう」
【一刀】「・・・・」
【華琳】「でも、少なくとも、彼女は貴方を恨むことはないわ。嫌う事も・・・」
【一刀】「そう、かな?」
【華琳】「ええ・・・だから、薫の分も貴方が働きなさい」
【一刀】「薫の分もかぁ・・・・結構大変そうだ。」
【華琳】「ふふ・・・あの子仕事はとてつもなく出来そうだったわね」
【一刀】「あいつが本気だしたら、桂花や稟でも危ないと思うぞ」
【華琳】「それは・・・期待してるわ」
【一刀】「はぁ~~・・・」
【華琳】「・・ふふ」
だから、
帰りたくなったら
いつでも帰ってきなさい。
私が生きている間は、
ちゃんと、待っていてあげる。
貴女が仕えるのは、私だけなのでしょう?
―――薫。
そして、時は流れる。
それはいつもより晴れた空の下。
木陰で涼む、一人の女性。
彼女はかつて、覇王と呼ばれ、大陸を制覇した。
そしてその国は、時代を経ても尚、安定した平和を送っていた。
―――19年後。
【華琳】「・・・・ふふ」
いつものように書を読んでいる。
最近は毎日が退屈でしかたない。
以前は春蘭がよく騒ぎに来ていたが、最近はそれもない。
兵の育成を子供には任せられんと、自分から進んでやっている。
まったく、これでは次世代が育たないでしょうに。
結局、あの当時の女官では全員が一刀の子を産んでいる。
しかもよりによって全員女の子。
正真正銘、魏の種馬となったわけだ。
子供達も大きくなり、最初に産んだ子などは、すでに政治に大きく関わっている。
私も今は王位を娘に譲り、静かに過ごしている。
ただ、やはりまだ甘えたがる年頃なのか
【女性】「母様~~」
【華琳】「あら、子桓・・・どうしたの?」
こうしてやってくるのだ。
【子桓】「いえ、新政府の人事考案がある程度まとまりましたので、母様にも目を通していただこうかと。」
【華琳】「ふふ・・・・もうこの国の王は貴女なのよ?」
【子桓】「そんな・・・私なんてまだまだ・・・・」
【華琳】「・・・ふぅ。仕方ないわね・・・見せてみなさい」
これもいつも通りの事。
落ち度なんて見当たらないものだから、私がすることなんて、何も無い。
【子桓】「はい」
せいぜい見知った名前があるかないかを見据えるくらい・・・・・
そこに書かれていた名前を見る。
――願いは、意思を動かす――
そして、そこに在った見知った名前。
【華琳】「・・・・この者をここへ呼んでもらえる?」
【子桓】「何か気になるものでも??」
【華琳】「お願い。」
【子桓】「・・・・わかりました」
その名前はこの世界では珍しい二字姓。
一族すべてが何かの才に秀でているという。
最近になって急速に勢力を伸ばしつつある、名家の出。
――意思が動けば、外史はその姿を変える――
その者は特に智謀に秀でていると聞いた。
変わった趣味で、常に黒い扇を持ち歩いている。
そして、何かと言うと、曹操に仕えるのが夢だというのだと。
【子桓】「母様、連れてまいりました。」
【???】「・・・・あの、私また何かやっちゃいましたか??」
政治から身を引いた今でも仕えるのは曹操だと。
だから、娘である曹丕には協力しているだけだという。
【華琳】「また?・・・・・」
【子桓】「ええ・・・こいつは少々落ち着かないところがあって、よく他の者と問題を起こすことがありまして・・・仕事は完璧なんですが」
――そして、それは終端を迎えたものを、再び――
そして、その顔を見上げる。
気持ちを抑え、たずねる。
【華琳】「そう・・・・貴女、名前は?・・・・真名を聞いてもいいかしら?」
【???】「はい!」
――突端へと、戻すことも可能かもしれない――
【???】「私、姓を司馬、名を懿、字は仲達。真名は―――・・・・・・」
『妹達のとなりには、私ではない、姉がいた。』
『星詠が見るのは”現在”だけではない』
『貴女は誰?』
『司馬仲達は誰の名前?』
【薫】「真名は―――薫といいます!」
――この後、子桓は魏の皇帝として君臨するが、常にその支えとして彼女の隣には黒き扇を携えた丞相の姿があったという――
あ・と・が・き
さて、これにて『覇王の願い・星詠編』完結でございます。
いかがでしたでしょうか?(’’;
正直、かなり現在進行形で考えていたストーリーの連発でしたので、皆さんのコメントや支援を見て、おおお!!とかア・・・・・やヴぁいとか
色々思っておりました。
オリジナルキャラということで、薫に出てもらったんですが、一番不安だったのはやっぱり受け入れてもらえるのかどうか。
次に、薫をヒロインの一人として認めてもらえるのか。
華琳と並んでストーリーを引っ張ることに違和感はないかなど、不安をあげるとキリがないくらいです。
そして今回のエンディングですが、投稿する直前までどういうENDにするか、すごく迷ってました。
薫が消えていくシーンとか、作者なのに・・・いえ、あえて作者だからこそかもしれませんが、打ってる最中に思わずマジ泣きしてました。
正直ここまで薫に対して感情移入していくとは1話の時点ではおもってなかったのでw
最後は史実へとつなげてみましたが、一応、生まれ変わりEDって事になるのかな・・・?(汗
19年後とかなりとんだのは曹丕が実権を握っていてなおかつ華琳とのつながりがまだ切れていない時期を見計らったからです。
まぁ、エンディングに関する解説はこの辺にしましょうかw
皆さんのコメント・支援・応援メッセージにかなり助けられたと思います。
ここまで長編になっちゃうと思ってなかったのでw
帰還編からあわせて31話ですか・・・・
よく書き切った自分!
終わったばかりなので少しほめさせてください!
え?だめ?サーセンorz
あとがきで書きたいことありすぎて、やばげなので、最後に。
薫に関してですが、作中でもありますが、やはりこの外史をでることはまず無いと思います。
あれば作者としては感涙の極みなんですがね。
ただ、やはり不可能だと思ってますので
なので、もし、もう一度ボクの投稿した作品を見る機会がありましたら、あー、いたねそんなキャラ程度でもいいので少し思い出してあげてくれると嬉しいです。
それから、一応野球のほうの話がまだ残ってますので、そちらもおいおい投稿するつもりです。
ただこっちに比べて極端にペースは遅いでしょうがorz
それ以外の次回作はまだ考えてないですが、覇王の願いとしてはこれで一応完結ということで(´・ω・`)
では、また次の機会があれば!!(`・ω・´)ノ
ここまでありがとうございました!!!!
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真・恋姫(魏ED)AS。
最終話です。
もう1話いるかと思ってたんですが、あまりグダグダしても仕方ないので、今回でエピローグとなります。
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