絡繰人間7号を撃破した一刀達は成都の城へ帰還する
そこでようやく情報共有として起こった出来事を話していく一刀
そして少女の話題に触れた皆に一刀が発した言葉は
まさかの璃々だった…………
二節 〜彼女の名は『璃々』〜
焔耶「………………は?」
祭「なに?」
美羽「うむ……………?」
紫苑「………………!!?」
一刀の発言により玉座の間に静寂が訪れた
全員が首を傾げ、疑問符を頭に浮かべる
特定の一部の者は眉間に皺を寄せて少女を見る
特に紫苑に至ってはかなり困惑している
一刀「(まぁ………予想通りの反応だろうなぁ……)」
一刀は心の中で思う
それはそうであろう
いきなり現れた重要参考人と言われる人が、何故か璃々と言われたのだから
誰もが納得しないだろう
春蘭「………一刀、何を言っているのだ?
璃々は今、紫苑の寝室で華佗が看病しているではないか…………」
春蘭が珍しく真っ当な発言をする
華琳も追尾弾を放つ
華琳「一刀、その根拠………はたまた証拠はあるの?」
一刀「証拠…か…………?」
雪蓮「えぇ、その子が私達の知っている璃々ちゃんという動かぬ物的証拠がある?
あまり言いたくはないけれど、全くの赤の他人という事も考えられるのよ?」
雪蓮も今回ばかりはキツく問い詰めていく
一刀「まぁ、そうくるのと思ってたよ
第一、年齢が釣り合わないし一言で信じてくれたら苦労しないしね」
蓮華「分かっていたのなら何故?」
蓮華は質問を投げかける
一刀「でも、この子が皆の知っている璃々ちゃんという事を証明することは可能だ」
桃香「えっ?でも、どうやって?」
桃香は再び疑問符を浮かべる
一刀「ここにいるじゃないか、最適任者が………」
一刀は笑顔で歩み寄る
紫苑「…………………」
一刀「紫苑という璃々ちゃんのお母さんがね♪」
一刀は紫苑の目の前に立つ
冥琳「確かに璃々の母親である紫苑なら証明することは可能だ、理に適っている」
冥琳も一刀の発言に微笑む
風「この場にいる魏・呉・蜀の重鎮達にしか知らない質問を彼女に聞いて、その答えが合っていれば良いのですものね〜」
音々音「または、その逆でもいいのです
紫苑にそいつが質問しても問題ないのです…………うにゃぁ♪」
一刀は近くにいた音々音の発言により頭を撫でてやる
思わず声が漏れる音々音
その行動に皆、微笑ましく見つめる
一刀「そう言うこと……それじゃ早速始めようか………」
音々音「そ、その前に!!皆の前でなでるななのです〜!!!」
音々は小さな手を振り回して訴えるのであった
そして、いよいよ尋問が始まる
紫苑「では…………質問をしていきますね」
??R「は、はい…………」
詠「ゴク…………」
今までにないよく分からない緊張感が流れ始める
紫苑「まず1つ目………私の字は?」
紫苑の口からあまりにも簡単な言葉が出てきた
??R「漢升です」
紫苑の最初の質問に間髪入れず、即答する少女
祭「流石に簡単過ぎではないかの?」
祭は苦笑いをして言う
紫苑「そうかしら?じゃあ……2つ目、私が最初に遣えていた者の名は?」
桔梗「………………」
紫苑の2つ目の質問に桔梗は眉間に皺を寄せて、途端に機嫌が悪くなる
焔耶「き、桔梗様…………」
焔耶はすかさず桔梗を宥める
??R「…………劉璋さんです」
少女は桔梗の顔や焔耶のやり取りも関係なく答え、これも何事もなく通過
桔梗「あんな奴に『さん』などいらぬ!!!」
??R「ひっ!!?」
焔耶「き、桔梗様…………落ち着いて下さい…………
この者に当たっていても仕方がないですよ…………」
………………何事もありました。
一刀「……………えっと…気を取り直していこうか、紫苑………」
紫苑「…………そうですわね……」
一刀は苦笑いをして、紫苑は呆れながら質問を続けていく
紫苑「3つ目、私の好物は何ですか?
大きく分けて………3つ程挙げて下さいな」
ここから少し難易度が上がり、親子や良き人間関係でしか分からない質問を投げかける
??R「えーっと………甘い物と、お酒と……………」
そこまで言って少女は顔を赤く染めて
??R「………………天の御遣い様も入りますか?」
とんでもない爆弾を投下する
月「へぅ…………!!!」
明命「はぅわっ!!?」
朱里「はわわっ!!?」
雪蓮「………随分大胆ね、この現状で
肝がすわってると言うべきでしょうかね」
雪蓮は苦笑いをしながら言う
一刀「えっと…………紫苑さん?」
一刀は困惑しながら聞く
紫苑「………………そうですわね、ご主人様もですわね♪」
一刀「喜んでいいのか悪いのか………」
一刀は苦笑いをするが、内心複雑な心境だった
何だかんだ言って3つ目の質問もクリア
紫苑「それでは4つ目、桔梗………厳顔と私は何年来の付き合いでしょうか?」
これまでと違い、難易度がグーンと上がった質問である
流琉「これは桔梗さんや焔耶さん、蜀の皆さんでないと難しい質問ですね……」
冥琳「逆に良い質問ですね、そう考えると………」
他の者達もそれぞれの発言に頷く
それに対して少女は
??R「えーっと……………確か、き…………厳顔さん方が………確か……」
少し頭を捻ってゆっくりと答える
??R「7歳の頃からお知り合いになられた筈です」
桔梗「………………正解じゃの」
紫苑「えぇ…………もう、懐かしいですわね…………」
紫苑と桔梗は遠い目で昔を思い返す
焔耶「……………」
一刀「(これは果たして年齢の事について聞いて欲しいフリなのか何なのか分からないけど…………
触らぬ神に祟りなしだな…………)」
特定の者達は若干の冷や汗をかいていた
紫苑「それでは………5つ目、最後の質問ですわ」
??R「は、はい…………」
少女はジッと身構える
質問の内容は
紫苑「私達の夫である、ご主人様の生まれ故郷の場所を応えて下さいな」
??R「っ!!?」
真桜「隊長の?」
蒲公英「生まれ故郷?」
星「これは……………」
いくら何でも難易度が高過ぎる
この場の全員がそう思った
何せ一刀の生まれ故郷の名前は未来の日本の場所の名前
この時代の者達は全くもって知る筈がない
この中でも覚えているのは極僅か
管理者と本人の一刀を除いても数人しかいない
分かるはずのない質問といっても過言ではない超難問
勿論、出題者の紫苑は分かっている
紫苑「(ですが、これで分かっていればそれこそ私達、ご主人様の重鎮である証
璃々には口酸っぱく教えたから分かるはず)」
??R「えーっと…………………」
流石の少女も頭を抱え、答えを導き出す
一刀「(これはちょっとツライかもな…………)」
一刀が助け舟を出そうとしたその時
??R「……えっと…………あっ!!?そうだ!!!確か『浅草』っていう処です!!!」
少女は両手をポンと叩いて記憶の中から『浅草』という単語を絞り出した
華琳「…………………」
雪蓮「…………」
愛紗「ご主人様………………」
全員が一刀と紫苑を見る
一刀「…………正解だよ、合ってる」
紫苑「その通りですわ」
紫苑と一刀は真顔で頷く
全員はどよめき出すが、まだ完全に璃々と決めつけた訳ではない
一刀「全部正解……………だけど、まだ納得できない人が多いと思う
そこで…………貂蝉」
一刀は手をこまねいて貂蝉を呼びつける
貂蝉「あらん?ご主人様が頼み事なんて珍しいわねん
もしかして遂にぃ……………?」
貂蝉は一刀の顔の高さまで腰を落し、耳をかす
皆には陰になって分からないが、両手で紐パンの紐を解こうとしている
一刀「張り倒すぞ?お前……
じゃなくてな……于吉の話しだと確かお前は医師免許を持ってるよな?しかも全部」
一刀は左の拳に力を込め、右手には『龍終』な握られていた
貂蝉「残念ねぇ……………………
えぇ、脳外科とか内科とか機器関係を扱うのは現代に戻らないと出来ないけど、一通り出来るわよん?
一応于吉ちゃんも一通り持ってるし、薬物関係も私より詳しいわよん?」
一刀はここでようやく武装解除をする
一刀「于吉はあくまで最後の手段として残しておく
そこでだ…………寝室で寝ている璃々ちゃんとこの子を同一人物に結びつけてくれ」
貂蝉「………………なぁる程……『DNA鑑定』ねん」
貂蝉はニヤリと笑う
一刀「そういう事………頼んだぞ」
一刀はそう言うと貂蝉を送り出す
貂蝉は何処から出したか、注射器と試験管等の専門器具を取り出し
貂蝉「ちょぉーっとご免ねん
チクッとするからねん」
??R「??………っ!!?」
少女の血を採取した
少女は一瞬、苦痛の表情を見せる
貂蝉「じゃあ、鑑定して来るわん」
一刀「任せたぞ」
貂蝉は少女の手当をした後、右手でグーサインをして玉座の間を後にした
冥琳「……………一刀、何をする気だ?」
話が聞こえていなかった皆はなるゆきに任せるしかなく、ただ見ていたので何をするのか分かっていない
かといって説明するにも専門学的に厳しいのでここは多少の説明だけする
一刀「簡単に言えば、人の型を確認するんだよ」
思春「人の型?」
そこへ于吉が助け舟を出す
于吉「人それぞれには型があるのです
少し難しいのでそこは省かせて頂きますが、一つ言える事はその型は一人の人に一つしかありません
ですので…………」
蓮華「その者の型と璃々の型が一致すれば……………」
蓮華の発言に于吉は頷く
于吉「えぇ、同一人物という事となります」
ここでようやく全員が納得する
一刀「貂蝉を待っている間にこの場で物的証拠を確認しようか?」
一刀の突然のぶっちゃけ発言に華琳は驚く
華琳「あるの!!?物的証拠が!!?」
一刀「あぁ………華琳、君は『指輪』をしているか?」
一刀の質問に華琳は頬を赤く染めて
華琳「………………してない訳ないじゃないの……」
華琳は左手を一刀に見せる
華琳の左手の薬指には一つの指輪がされていた
紫色を中心とし、魏の紋章に一刀の十の紋章が重ねられた特殊な紋章の指輪である
しかも、元々は純金を使用して特殊加工して紫色にしているので値段は表示出来ない程、馬鹿高い
これは、かつて一刀が『否定過激派』との闘いの際に全員を自分の妻として認めた時に造らせた、云わば婚約指輪
蜀は緑色を中心としたカラーで蜀の紋章の上に十の紋章、呉は赤色を中心としたカラーで呉の紋章の上に十の紋章の指輪となっている
因みに一刀の指輪は、この時代には超希少なプラチナを使用した物で、紋章は十のみ
一刀しか持っていない貴重な指輪
売ることはないだろうか、売ればそれこそ国一つ買える程の超高級指輪だ
更に内側にはそれぞれ持ち主の名前が彫り込んである
しかも、全部に于吉がかけた術が施されてあり、有害な者が接触すると指輪は色々な効果を示すのだ
例えば電気が流れたり、猛毒を噴出させたりと効果は様々
なので、盗まれることは絶対にありえない
一刀「この場にいる全員がそれを持っている、又は身につけていると思う」
すると、皆は左手を一刀に魅せつけた
全員の左手の薬指の付け根からは輝きを放った装飾品が見られる
一刀「ここまで言えば何となく分かるでしょ?」
一刀はニヤッと笑って回りを見る
雪蓮「……………確か、璃々ちゃんにも渡してたわね」
雪蓮は顎に手を添えて頷く
稟「我々が知っている璃々ちゃんなら、同じ物を持っている筈」
雛里「璃々ちゃんは私達と同じ蜀の紋章が入った指輪…………
それがあれば………」
霞「この子は璃々に間違いないっちゅー訳やな」
華琳「更に言えば、この指輪は盗まれることはないもの
本人以外、有り得ないわ」
全員が納得の表情を見せる
一刀「そしたら………」
一刀は目で少女に合図を送ると
??R「…………………」
少女はおずおずと胸元から指輪を取り出した
桃香「っ!!!」
愛紗「それはまさしく、蜀の指輪……」
星「だが、これは…………」
少女が取り出した指輪は蜀の紋章が入り、十の紋章が重なった婚約指輪だった
だが、どう見ても違和感を感じる
傷が多く、全体に血がこびりついており、トレードマークの紋章と緑の色の殆どか酸化した血の色
要は赤黒い色となっていたのだ
しかし、これもれっきとした蜀の婚約指輪のようだ
一刀「念の為確認して見るよ……」
一刀は少女から指輪を受け取り、内側を見ると『璃々』と彫られていた
一刀は指輪を皆に見せつけ
一刀「これが動かぬ証拠!璃々ちゃんとこの子は同一人物だ!!!」
全員「「「「…………………っ!!!」」」」
全員が息を呑む
そこへ
貂蝉「ご主人様ぁ〜〜〜ん♪結果出たわよ~~~~ん♪」
クネクネした動きをしながら貂蝉が薄気味悪い笑顔をしながら走ってきた
その動き・表情は最早、不気味さを通り越し吐き気すら要する
一刀「うっぷ…………」
焔耶「うぅ……」
左慈「おえ……………」
全員の反応は違うものの、同様の吐き気が生じる
貂蝉「遊んでる場合じゃないわよん!!
この子と璃々ちゃんのDNA鑑定をした結果、100%………完全に一致したのよん!!!」
一刀「(遊ばせてるのは誰だよ……ってか遊びじゃねーし)」
一刀は一瞬ジト目をした後、すぐさま切り替えし
一刀「………………これで信じてもらえたかな?
この子が璃々ちゃんだっていう事に…………」
一刀は回りを見渡して問いかけると
雪蓮「…………それだけの証拠が揃っていたら信じない訳にはいかないじゃないの」
雪蓮は目を瞑り腕を組んで頷く
華琳「そうね………何故この場にいるのかは本人から聞きましょう
一先ず、歓迎するわよ」
華琳もニコリと微笑む
??R「あ、ありがとうございますっ!!!」
少女……基、大人?の璃々は頭を物凄い勢いで下げた
一刀「さて…………この子が璃々ちゃんという事が分かったから、話を戻そうか………」
一刀の発言により、場の空気に緊張感が戻りだしたのだった…………
一度時間は遡り絡繰人間7号が自爆した頃、場所は変わってここはいつかの城
龍が天に歯向かう旗が風に揺られてたなびいているあの城だった
そこは前回と同様、『この時代には絶対に存在しない機器』が大量に配置されている大きな部屋
入り口のプレートには『監視情報室』と書かれ、扉はまさかの横のスライド式で厳重な『鍵』が掛けられている
そこには十数人の男達が騒がしく『画面』を見ていた
??1「な、何だとっ!!?」
??2「どうした?何があった?」
??1「こんな事……有り得ないっ!!!」
??3「こ、これは…………!!?」
そこへそこの責任者らしき人物が割って入り
??4「………………これは……!!?
おい!『8301号』!!!『この事』をすぐ『斬魔』様へご報告しろ!!!
『斬魔』様は自室で御本を読んでおられる筈だ!!」
8301号「御意っ!!!」
『8301号』と呼ばれた男は力強く頷き、勢い良く部屋から出ていった
??4「……………しかし、何故だ?
何故7号が『あの北郷』に破壊される?」
………………
………………………
再び場所は変わり、とある部屋の前
そこには先程、指令を受けた『8301号』と名載る男が扉のノックをしていた
8301号「失礼します………『斬魔』様、いらっしゃいますでしょうか?」コンコン
すると部屋の中から落ち着いた声が聞こえる
??Z「えぇ、いますよ………所属先はどちらの者です?」
8301号「はい!!『監視情報部』の者です!!!
至急、ご報告を…………」
??Z「おやおや………?『監視情報部』ですか?
その切羽詰まった口調ですと緊急事態のようですね………
一先ず、部屋へお入りなさい」
すると勝手に扉が横へスライドする
8301号「失礼します!!!」
男は敬礼をして部屋へ入室する
??Z「それで……何があったのです?」
部屋の主の『黒い衣を纏い、目元だけを隠す仮面』を掛けた男は椅子に座ったまま本を閉じ、視線を入室した男へと向ける
8301号「それが…………」
男は緊急事態の内容を事細かく説明する
??Z「おやおや…………………?
…………分かりました、久しぶりの緊急会議を開きましょう
『絡繰人間8301号』、貴方は『五虎将』に収集を呼びかけて下さいな
場所は『龍禅の間(りゅうぜんのま)』でお願いします」
黒い衣を纏った男は椅子から立ち上がり、落ち着いた表情で命令を出す
絡繰人間8301号「御意っ!!!それでは失礼します!!!」
男は駆け足で部屋から出ていった
??Z「……………やれやれ、本当に人の計画の邪魔をするのが好きですね………………北郷一刀」
衣を纏った男は、先程の冷静な表情とは裏腹に、憎悪に満ち溢れた表情が顕わとなっていたのだった…………
次回、いよいよ刺客やこの男達の正体が大人の璃々の口から話されることとなる!!!!
……終……
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戦闘を終えた一刀は成都の城に帰還して皆に情報共有をする
現れた輩…………その正体である絡繰人間の猛威と脅威………
そして、遂に一つ目の謎である
駆けつけた少女の正体の謎に迫る!!!