No.761518

真・恋姫†無双 裏√SG 第31話

桐生キラさん

こんにちは
Second Generations司馬師伝其二
汜水関突破・その頃、許昌では…

2015-03-01 15:36:10 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1434   閲覧ユーザー数:1268

 

 

 

 

 

咲希『はい、わかりました。私達も行動します』

 

お父様が許昌を出て二日目の日暮れ時、月姉さんから念話が入り、汜水関突破の報告を受けた。

 

兵数は約3万、その数での行軍になるから、どんなに早くても汜水関に着いたのは今日の昼頃。今は夕刻だから、半日も経たずに落とした事になる。

 

咲希「流石はお父様だな」

 

秋菜「落ちたのか?」

 

私の呟きに秋菜が反応する。

他の妹達にも聞こえていたようで、ぞろぞろと私の方に集まってきた

 

咲希「あぁ、今しがたな。私達も行動開始するぞ」

 

悠香「さっすがお母さん達だねー。汜水関落としの大陸記録塗り替えたんじゃない?」

 

凪紗「そんな記録、あったっけ?」

 

蓮鏡「はいはい、お喋りはそこまでよー。準備準備!」

 

蓮鏡がパンパンと手を叩き、準備するように促した。

 

私達は揃って家の地下室へと降りていき、そこにある武器庫の扉を開く。

中には剣や槍、銃など、ありとあらゆる武器が飾られていた

 

咲希「全員、護身用の銃を一丁は持っていけよ」

 

私は50口径のセミオート拳銃、デザートイーグルのマガジンに弾を込めながら言った。

妹達はその言葉に従い、それぞれ愛用している銃に弾を込め始める

 

秋菜はM9A1に

 

蓮鏡はコルトガバメントに

 

悠香はFN57に

 

凪紗はS&W M500に

 

それぞれ弾を込めていた

 

蓮鏡「弾込めといてあれだけど、銃なんてほとんど使わないわよね」

 

秋菜「そうだな。私も弓が主流だし」

 

悠香「あたしは時々使うよー?2丁拳銃とかカッコイイじゃん!」

 

凪紗「私の銃だと、2丁拳銃なんてやったらあっという間に弾無くなるけどね」

 

その前に、凪紗の銃だと一般人が使ったら肩が外れちまうんだけどな

 

マガジンに弾を込めた物を数個用意し、マガジン用のベルトを肩にかけるように巻き付ける。背中に銃のホルスターが来るように調整し、2丁のデザートイーグルを仕舞った

 

咲希「よし、後は各々の武器だな」

 

私は壁に掛けてあるナイフを一本取る。大型のサバイバルナイフだ。

それを腰に差し、次に刀も手に取る。少し長めの長刀を布袋に仕舞い、肩に掛けた

 

秋菜「矢は…百本入る筒を二つくらいしか持っていけないな。攻撃回数に制限がある弓はそれがネックだな」

 

蓮鏡「秋菜なら、いざとなったらその場で出せばいいじゃない」

 

悠香「その点、あたしも凪紗ちゃんも、武器は自分の身一つだからいいよね!」

 

凪紗「私は関節技、悠香は足技だからね」

 

それぞれが武器を手に取り、用意を済ませる。完全武装というやつだな。気が引き締まっていい

 

悠香「ねぇ、どうせならにぃにも呼ばない?」

 

凪紗「あ、そうですね。こんな事態ですし、兄さんの力も借りましょうよ」

 

悠香と凪紗の発言に、私も秋菜も蓮鏡も固まってしまった

 

確かに、士希の転移の力があれば、救出も奇襲もあっという間に完遂できる。

というか、あいつなら許昌から洛陽まで一瞬で行けるんだから、こんな面倒な事をしなくても済む。

済むんだが…

 

蓮鏡「あー、兄貴ねー」

 

蓮鏡も歯切れが悪い。

士希の事情を知ってしまったが故に、どう言っていいのかわからないのだろう

 

秋菜「姉者」

 

どうしようか考えていると、秋菜が耳打ちしてきた

 

秋菜「兄者も呼びましょう。今回の作戦は北郷さんの救出という名目がある。それを理由にすれば、外史も黙っているのでは?」

 

北郷一刀の救出…それなら確かに、管理者側も何も言わないだろう。

お父様達が戦場に出ているのに、何も言ってこないのが何よりの証拠だ。

徐福の討伐も、士希にはあくまでサポートとして私が討ってしまった事にすれば、どうとでも言い訳が出来る。

要は、あいつの名が表舞台に出なければ良いだけだ

 

咲希「よし、なら聞いてみるか」

 

蓮鏡「え!?大丈夫なの?」

 

秋菜「無論だ。家族の一大事なのだからな」

 

蓮鏡は驚きの声を挙げるが、秋菜が直ぐに言いくるめた。

見れば、悠香と凪紗も少し嬉しそうにしている

 

私は魔力を解放し、士希の魔力を探し始める。

次元を越えた念話。私がまともに出来る魔法という奴だ。

ティアとかの、魔法が一般的にある世界の人間でも出来ない技術らしいが、どういう訳か私にはそれが出来た。次元を越えて話すには、私が事前にマーキングをしなければいけないが、それさえ済めば、世界のどこに居ようが話す事が出来る

 

私は目を閉じ、士希の魔力反応を追う。すると、妙に遠い所でヒットした。

 

ここは…士希は一体、どこに居るんだ?

 

とりあえず、私は士希に念話を繋げてみた

 

咲希『あ、士希か?お前、ちょっと帰ってこいよ。デケェ祭りがあるぜ!』

 

とりあえず、明るめに言ってみた。

私自身は確かにこれを戦争とは思ってないので、嘘は言っていない

 

しばらくすると、士希のため息が聞こえた。

 

士希『なんだ藪から棒に。てか、祭りってなんだよ』

 

む、そうだな。何祭りと言えば楽しそうだ?

もうすぐ春だから、春の殺陣祭り、なんてどうだろうか?流石に物騒か?

 

咲希『化け物退治だ。お前の力が必要だ。だから帰ってこい』

 

とりあえず、ありのままを伝える事にした。

と言っても、必ずしもこいつの力が必要という訳ではない。あったら便利だなぁ程度だ

 

士希は何かを考えているのか、しばらく沈黙が続いた。

というか、士希は今どこに居るんだ?お父様の世界ではないよな?

 

士希『悪いな。俺も今からちょっと、神様退治するところなんだ』

 

こいつはホントにどこに居るんだ?神様退治ってなんだよ?厨二病ってヤツになっちまったのか?

 

咲希『はぁ?なんかよくわかんねぇが、それ終わったらすぐに来い。じゃなきゃ殺す』

 

そう言って、私は念話を切った。

どうせふざけているだけだろう。こう言っておけば、そのうち来るだろう

 

秋菜「兄者はなんと?」

 

咲希「用事があって直ぐには来れないらしいが、終われば来るだろう。残念ながら、バイクでの移動は確定だがな」

 

そう言うと、皆が嬉しいような残念のような、そんな表情になった。やはり移動が面倒なのだろう

 

咲希「さて、なら街の皆に挨拶して、私達も出発するぞ」

 

 

 

 

私達5人は、揃って城へとやって来た。そこには霰、甄姫、璃々さんなどがいた

 

咲希「汜水関が突破された。私達もそろそろ行くよ」

 

その報告に、この場に居た全員の表情が明るくなる

 

甄姫「流石に速いですわね」

 

璃々「うん、順調そうだね。私達もここの守り、しっかりしないとね」

 

霰「せや、凪紗、こっから3日以内の未来ってどうなっとる?」

 

霰の発言に、凪紗はハッとして直ぐさま目を閉じる。

 

凪紗は、最長で3日先までの未来なら予測できる能力を持っている。

相当疲れるらしいが、この際それは仕方ないだろう

 

凪紗は額に汗を浮かべながら力を使っていく。すると、凪紗の表情は強張り、パッと目を開けた

 

凪紗「……今から2日後、いえ、正確には28時間後、許昌に賊の集団が襲撃して来ます。正確な数は不明。ただ、間違いなくここにいる兵士よりは多いかと…」

 

凪紗の報告に、先程までの喜色に満ちた空気が一瞬で凍った

 

甄姫「それは間違いありませんの?」

 

甄姫が問う。一瞬の動揺はあったが、それも直ぐに落ち着き、策を練り始めているようだった

 

凪紗「私が視えるのは、あくまで予測された未来です。確定したものではありませんが…」

 

璃々「そっか。用心するに越したことはなさそうだね。霰ちゃん」

 

霰「おう、今から皆に伝えて、心構えだけでもしっかりせいって言っとくわ!咲希!そっちは任したで!」

 

霰は小走りで城の中へと引っ込んで行った

 

さて、どうしたものか。2日後に襲撃があると知って、私達は行くべきなのだろうか?

かと言って、今回の作戦はスピード重視。そんなに待つ余裕はないが…

 

悠香「どうしよっか…」

 

蓮鏡「来るって分かってて、見過ごすのもね」

 

妹達も判断に困っていた。その未来を予測した凪紗ですら、罪悪感に満ちた表情で考えている

 

甄姫「どうするも何も、貴女達は当初の予定通り、洛陽へ向かいなさい」

 

甄姫が、何を迷う事がある、とでも言いたげな口調で言った

 

凪紗「しかし…」

 

璃々「確かに、咲希ちゃん達がいた方が、確実に守れると思うよ。でも、それだと大元を断つ事は出来ない。わかるよね?三国は、この世界は咲希ちゃん達にかかってるんだよ」

 

甄姫「そうですわ。それに、別に貴女達が居なくとも、ここの防衛くらい、余裕でこなしてみせますわ。何と言っても……長の……あれの願いでもあるんですからね」

 

甄姫は、途中ごにょごにょとしながらも、ここは守ると断言した。やはり、男嫌いのこいつでも、士希の事は信頼していたらしい

 

そこまで言われたんだ。私達、姉妹も、こいつらを信じよう

 

咲希「そうか。なら、悪いが頼んだぞ。私達の家を、帰る場所を、守ってくれ」

 

私が言うと同時に、妹達も頭を下げる。それを見た璃々さんと甄姫は、揃って微笑んだ

 

甄姫「えぇ、行って来なさい。その代わり、絶対に救うのよ」

 

璃々「気をつけてね、みんな。終わったら、また一緒にご飯を食べようね」

 

そして私達は、許昌の外へと向かった

 

 

 

 

悠香「大陸の命運はあたし達にかかってるんだ…」

 

蓮鏡「なんだか大事になって来たわね」

 

秋菜「フッ、怖くなってきたか?」

 

凪紗「まさか。父さんや母さんの娘なら、これくらいは当然です」

 

咲希「よく言ったぞ、凪紗。さぁ、用意はいいな?」

 

許昌を出て直ぐにある森の中。ここにはお父様が秘密裏に建てた乗り物が置いてあるガレージがある。その中には、お父様がコツコツ用意したバイクが5台あった

 

私達はそれぞれバイクに跨り、エンジンをかける。

ブォンという重々しいエンジン音が、薄暗い夜の静寂を破っていく

 

今回使うルートは、汜水関、虎牢関を避け、大回りして洛陽の裏から入るルートだ。

バイクを使えば、最短で明日の夜頃に洛陽にある丘に辿り着くはずだ。

そして、その丘に辿り着いたら、徒歩で洛陽に潜入。

潜入の際、陽動の為、お父様達が洛陽で開戦するまでは待機。

その間に敵兵の配置、数、兵装を確認し、月姉さんに報告。

そして開戦と同時に裏から洛陽城へ入る事になっている

 

悠香「行くよー!大暴れしてやる!」

 

蓮鏡「クゥー!ゾクゾクしてきたわね!」

 

秋菜「お前達、隠密作戦という事を忘れるなよ」

 

凪紗「友紀さん…もしあなたがいるなら、私が必ず止めてみせる」

 

咲希「さぁ、お前ら!私達の邪魔した奴らを潰しに行くぞ!」

 

『応!!』

 

そして私達はバイクを走らせた。この馬鹿げた戦いを終わらせる為に

 

 

 


 

 
 
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