No.76065

恋姫無双 袁術ルート 第六話 交差する思い

こんばんは、ファンネルです。

美羽ルートの六話です。

ようやく帰ってきました。

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2009-05-28 20:23:53 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:32931   閲覧ユーザー数:24373

第六話 交差する思い

 

 

「なんじゃと?孫策たちも出場するのかや?」

「ああ、結構乗り気みたいだぞ。」

「ふふふ、妾と一刀の組に勝てると思っておるのかの~?ふはははは!」

 

うわ~~・・・もう優勝した気でいるよ、うちのお姫様は。

 

「そう言えば、七乃さんは出場しないんですか?」

「はい。今回は司会者として出るんです。立場的に応援できないけど頑張ってくださいね♪」

「はい。」

 

よし、美羽のため、七乃さんのために少し張り切るか!

 

「あ~あ、早く明後日にならんかの~♪」

「美羽、あんまり油断しちゃダメだよ。相手はあの雪蓮と冥琳なんだから。」

「・・・え」

 

・・・・・あれ、なんか空気が変わった?

 

「・・・・・か、一刀?お主いつからあ奴らを真名で呼ぶようになったのじゃ?」

「え?え~と・・・ついこの間かな。」

「な、な、何で、あんな奴らを真名なんかで呼ぶんじゃ!?」

「何でって?大切な名前を託されたんだぜ?呼ばないのは相手に失礼じゃないか?」

「だ、駄目じゃ、駄目じゃ!!あ奴らを真名で呼んでは駄目じゃ!!」

 

・・・・どうしたんだ?美羽のやつ。いつもの美羽らしくないな。

 

「お主が真名で呼んでいいのは、妾と七乃だけなのじゃ!!」

「何でだよ?せめて理由くらい言えよ。」

「う、・・・・と、とにかく駄目と言ったら、駄目なんじゃ!!」

 

なんだそりゃ

 

「美羽、いい加減にしないと怒るぞ。」

 

当然だ。理由もなしにダメと言われたら誰だって怒るに決まっている。

 

「・・・う、・・・ひっ・・・ひぐ・・・・・」

 

・・・え?

 

「・・・ひぐ・・・か、一刀の・・・・」

 

お、おい・・

 

「一刀のバカーーーーーーー!!!!」

 

ズドドドドドドドドドドドド・・・・・ !!

 

美羽は脱兎の如く、その場から姿を消した。

 

「・・・・・・・・・・なぜ!?」

 

・・・・・・

 

え~と俺は悪くないよな?絶対に悪くないよな?・・・・・でもあれはマジ泣きだった。

 

「え~と・・・七乃さん?」

「は~い♪」

「・・・あれは、俺のせいですか?」

 

恐る恐る聞いてみた。

 

「はい♡ 完全に一刀さんのせいですね~。」

 

え~~~~~!!!

 

「・・・え~と、七乃さんも怒っている?」

 

もしかしたら、七乃さんも・・・

 

「はい♡もちろん怒っていますよ♪」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!

 

やっぱり!!

 

「あの~なぜなんでしょう?」

「そんなこと聞いてる前にやる事があるんじゃありませんか~?」

 

こ、こえ~~!普段怒らない人が怒るとものすごく怖いって言うけどその典型だな、七乃さんは!

 

「み、美羽を探してきま~す!!」

「はーい、いってらっしゃい。」

 

俺は、さっさとこの場から離れた。だって怖かったんだもん。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・

 

 

・・・・

 

 

「ふう、本当に鈍感なんですから、一刀さんは。」

 

 

美羽side

 

 

 

(・・・グス・・・一刀のバカもの・・・)

 

美羽は、中庭の隅っこの方で泣いていた。一刀に怒られたから泣いているのではない。

一刀が自分以外の女の真名を呼んでいるから・・・・ただ、それだけでのことなのに無性に腹が立って・・・・・・分からなくなった。

自分でも何であんなに声を荒げてしまったのか。でも間違いなく分かるのは、一刀は自分のことが嫌いになった、ということだ。仕方のないことだ。訳もなく怒鳴られたら誰でも傷つく。

・・・『一刀に嫌われた』・・・ただそのことが悲しくて泣いているのだ。

 

(・・・わ、妾は、ひくっ一刀に嫌われてしもうた!!ぐす・・・)

 

「あーら、袁術ちゃんじゃないの。どうしたの?こんなところで泣いたりして。」

 

雪蓮だった。からかうように美羽に近づいていく。

 

(なっ!孫策!?)

 

「な、泣いてなんかおらんのじゃ!目にゴミが入っただけなのじゃ!」

「ふーん・・・・てっきり一刀とケンカしたのかと思った♪」

「なっ!ど、ど、どうしてそこで一刀の名が出てくるのじゃ!?」

「ん~・・・・カンかな?間違っている?」

「当り前じゃ!!わ、妾は一刀のことなんて何とも思ってないのじゃ!」

「うーん、それは都合がいいわ。」

「・・・・ほえ?」

「ねえ、袁術ちゃん。私と賭けをしない?」

「か、賭け?」

「そう、明後日の祭りの催しでね」

「・・・・・・・・」

「そうね~あなたが私に勝ったら建業をあげるわ。」

「なっ!!」

 

信じられないことだった。一国の王がたかが祭りの賭けごとに国を出すというのだから。美羽は自分の頭が弱いということを自覚していた・・・・いや、自覚できるくらいには成長していたのだ。一刀に勉強を教わり、学校にも通っているのだから。

 

だが、そんな美羽にもこの話が尋常でないことが理解できるほどの突拍子のない話だった。

 

「な、何を言っておるのじゃ!?お主は!・・・そ、それにあそこはもう妾のものじゃ!」

「今は貸しているだけよ。それに忘れてもらっては困るけど、私たちはあんたの部下じゃないのよ。」

「そ、それは・・・・」

「安心しなさい。別にあなたが負けたら国をよこせって言っている訳じゃないのだから」

「・・・ど、どういうことじゃ?」

「もし、私が勝ったら・・・・そうね。一刀をもらうわ。」

「・・・・・・・!!」

 

言葉が出なかった。絶対にありえない。王が国と一人の男を天秤に掛けるなんて狂っているとしか思えない。

 

「なにを驚いているの?別にありえない話ではないわ。この国を見て分かったけど一刀は一国を賭けるに値する人材よ。正直に言うとね・・・あなたには一刀はふさわしくないわ。」

「な、なんじゃと~!!」

「はいはい、怒るのは後のして・・・・で、どうなの?破格のお話だと思うのだけど。」

 

・・・・・・・・・妾は・・・

 

「何とも思っていない男と一国を賭けるのよ。あなたには、何の危険もないんだから。」

 

・・・・妾は・・・

 

「さあ、決めなさい。」

 

妾は・・・

 

「分かったぞ、孫策!その話受けてしんぜよう!!」

 

「・・・・・・王に二言はないわよ?」

「当り前じゃ!!」

 

(そうじゃ、一刀なんてどうせ妾のこと何とも思ってないのじゃから・・・)

 

 

「そっ、じゃあ祭りの日を楽しみにしているわ。じゃあね~。」 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・

 

 

・・・・

 

「うまくいったわよ、冥琳。」

 

「ふう、私は確かに北郷を賭けの対象にしろとは言ったが、何も国まで賭けろとは言っていないぞ。」

 

「でも、一刀は一国に値するって言ったのも冥琳よ。」

 

「確かに天の御使いの名は大陸中に広まっている。奴を手に入れ、風評、政治力、技術力、そして奴の種を手に入れることができれば孫呉は1000年は繁栄し続けるだろう。だがな、少し危険だぞ。」

 

「だいじょうぶよ、あんな奴に・・・しかもあんな状態で私たちに勝てると思う?」

 

「・・・・まず勝てないだろうな。」

 

「そゆこと♪」

 

 

(どこに行ったんだ?美羽の奴。)

 

さっきから探しているがなかなか見つからない。城の中はあらかた捜したから今度は庭の方を探してみようと思った。

案の定、美羽はそこにいた。何やら雪蓮と話をしているみたいだが・・・・あ、雪蓮が帰って行った。

 

「見つけたぞ、美羽。」

 

美羽に声をかけたのはいいが、このあとは何て言うのか全く考えていなかった。

 

(なんで逃げたんだ~と怒鳴ってもまた繰り返しそうだし・・・・よし!ここは男らしく謝ろう!何が悪いのか分からないけど!)

 

「美羽!ごめん!本当にごめん!何が何だかわからないけどごめん!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

あれ・・・・・?何の返事もない。

 

「おーい、美羽。生きてるかー?」

「・・・・・・・・さい・・」

 

・・・・・・え?

 

「み、美羽?」

「・・・・・るさい・・」

「お、おい。美「うるさい!!」・・・・・・・っ!!!」

 

な、何なんだ!?本当に美羽か?

 

「さっきからうるさいのじゃ、お主は!お主は黙って妾の言うことを聞いていればよいのじゃ!」

 

え、えええええええええええええええ!!

 

怒りよりも、まず疑問の方が大きかった。なんで?どうして?

 

俺の頭にはいろんな疑問形の言葉しか入ってこなかった。

 

「ほれ、さっさと昨日の練習の続きをやるぞよ!」

「あ、ああ。」

 

(孫策め~~~!!)

 

その日の歌の練習は・・・・酷かった。

歌が酷いというのではない。ただ、いつもみたい一緒に練習していて楽しくなかった。それに美羽の歌はいつも頭ではなく心に響いてくる歌だというのに、何にも感じることができなかった・・・・・いや、感じることはできた、焦燥感と恐怖感を。

 

その日の練習を切り上げ、城に戻って床に就こうと思った時、誰かが俺の部屋に来た。・・・・・・美羽だった。

 

 

少し前・・・

 

 

 

「どうでしたか?今日の練習は。」

 

美羽と七乃は風呂に入っていた。この時代は風呂なんて高級だったらしいが一刀が考案した湯沸かし法で一般人でも気軽に入れるようになっていた。

 

「最悪じゃった。」

「へ~そうなんですか~。」

「大体、一刀の奴が、妾に合わせぬから歌が台無しになってしもうたんじゃ!」

「そ~なんですか?前に私が見学していた時は息がぴったりだったのに~」

「そ、それは・・・・!」

「きっと今の一刀さんは、今のお嬢さまを理解することができないんでしょうね♪」

「な、何じゃと!君主を理解できぬ奴なんて・・・・・・・奴なんて・・・」

美羽は、何か不安がっていた。

 

それもそのはずだ。自分でも分からない感情に支配され一刀に辛く当たってしまったのだから。

 

「もしかして、美羽さまは一刀さんに嫌われていると思っていらっしゃるのですか?」

「・・・・・・・・コク。」

「そんなことありませんよ。一刀さんは美羽さまのことが大好きなんですから。」

「でも、でも・・・今日、妾は一刀にひどい仕打ちをたくさんしてしまったのじゃ。」

「大丈夫ですよ♪この程度でお嬢さまを嫌うならとっくの前にここを出てると思いますし♪」

「・・・・・一刀は、妾を嫌っていないと申すのか?」

「はい♡ただ、自分が悪いと思ったら謝ってみましょうね。」

「・・・・・うむ。さすが七乃じゃ♪今夜、一刀に謝ってみるぞ。」

 

そう言って風呂からあがり、服を着替え一、刀の部屋に直行した。

 

(一刀は妾を嫌ってなんかいなかった♪)

 

美羽は、急いで一刀のもとへ駆けて行った。

 

 

その日、俺は城の屋上に上って月を眺めていた。今日はいろんな事がありすぎて頭がついてこられなかったから少し整理してみようと思った。

 

(え~と・・・最初は雪蓮を真名で呼ぶな、というところから始まったんだよな?・・・・・よくよく考えてみれば美羽は雪蓮に事があまり好きじゃないんだよな・・・自分の部下が気に入らない相手の真名を呼んでいたらやっぱり怒るのかな・・・・・でも中庭でのあれはいったい何だったんだろう。それに練習のときだって・・・)

 

・・・・・・・・・・

 

だめだ、分からない。とりあえず自分の部屋に行って今日はもう寝よう・・・

 

そうして俺は自分の部屋に戻った。そして・・・

 

コンコン・・・・

 

「か、一刀?・・・・居るかや?」

「み、美羽か?・・・あ、ああ。居るよ。」

 

いったい何の用だろう?今日の美羽は明らかに様子が変だった。ちょっと聞いてみようかな?

 

「そ、そのじゃな、一刀よ。え~と・・・・」

 

なぜか言葉を濁していた。

もしかしてまだ怒っているのかな?と、とりあえず謝ろう!あの時はうるさいと言われたが、こうなったら男の意地だ!うるさいと言われようともなんだろうとも許してもらうまで地べたをなめ続けてやる!

 

「み、美羽・・・・」

「か。一刀よ・・・・」

 

「「ごめん!」「すまぬ!」」

 

・・・・・・・・・・・・・あれ?

 

「ん?何で一刀が謝っておるのだ?」

「え?だって今日美羽を怒らせたのは俺だし・・・・」

「あ、い、いや。妾の方こそ済まぬ。今日はお主に強くあたりすぎてしもうた。」

「いや、気にしていないよ。」

「ほ、本当に?妾のことを嫌いにならない?」

 

やばい・・・・・上目づかい&涙目がこれほどの威力とは!!

 

「もちろんだよ!俺が美羽のことを嫌いになるわけないだろう?」

「本当に?」

「ああ!」

「よかった!」

 

・・・・へっくちゅ!

 

「ん?」

「う~、 お風呂上がりじゃから少し体が冷えてしまったようじゃ。」

 

美羽の髪は少しぬれていた。おそらく急いでいたのだろう。

 

ギュ!

 

俺は、いつの間にか美羽を抱き包んでいた。・・・・・ふ、深い意味はないぞ!た、ただ寒そうにしていたから・・・・ただそれだけだからな!

 

「か、か、か、一刀・・・・・////?」

「ち、ちゃんと拭かないから寒くなるんだ。・・・・温まるまでこうしておいてやる・・・」

「う、うむ・・・・・一刀はあったかいの~」

「美羽も温かいよ。」

 

風呂上りのせいか、とてもいい香りがする。髪が少し濡れていた。そして顔を赤くしていている美羽は年相応でない色気を持っていた。

 

(・・・・・けっこう、やばいかも・・・)

 

今まで俺は美羽を妹のように見ていたが、こうやって見ると美羽も女性なのだと理解させられる。

 

・・・・・・・・・

 

「・・・決めたぞ。今日は一刀と閨を供にするぞ。」

「え、え~~~!?」

「なんじゃ?妾と寝るのが嫌なのかの?」

「い、いや、そんなんじゃないんだけど・・・・美羽、意味わかって言っている?」

「意味?よく分からんが七乃はよく妾と添い寝してくれるぞ。」

 

ああ~そういう意味か・・・・・少し残念だが・・・・いけない!いけない!何考えているんだ、俺は!?

 

「い、嫌なのかえ?」

 

 

ウルウル・・・・・

 

 

ぐは!!俺の心に痛恨の一撃・・・・・・・・負けた・・・・

 

 

「嫌じゃないよ。おいで美羽。」

「うむ♪」

 

こうして俺は美羽に添い寝してやるはめになった。

 

「ところで、七乃さんに話さなくていいのか?」

「大丈夫じゃ、七乃には一刀の部屋に行くと伝えておったから。」

「そうか。」

 

(はぁ・・・しかしこれじゃあ生殺しだな・・・)

 

もんもんしながら俺は美羽を抱きながら眠りにおちていった。

 

・・・・・・・・・・・

 

(一刀はもう寝てしまったのかの?)

 

美羽は一刀の隣で少し恥ずかしがっていた。今まで七乃以外と閨をともにしたことがなかったのだから。

 

(一刀は七乃と同じくらい温かいの・・・)

 

この男のそばにいるだけで心が安らぐ。ただ一緒にいたい・・・離れたくない・・・

嫌われたくない・・・七乃以外にこれほど心を安らかにしてくれる奴はいないだろう。

 

(・・・・・・一刀・・・・・・・・大好きじゃ・・・・)

 

こうして美羽も眠りにおちて行った・・・・・・・・・・あれ?何か忘れているような~・・・・・・ま、いっか・・・・・・

 

 

 

翌朝

 

 

「よくなーーーーーーーーーいのじゃーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

そうじゃ!そうじゃった!!

 

「うおっ!!な、何だ!敵襲か!?」

 

一刀は飛び上るように起きだした。い、いったい何なんだ!?

 

「・・・・・う・・・ひぐ・・・・・ふぐ・・・・」

 

そこには泣いている美羽の姿があった。

 

(え、えええええええええええええええ!?)

 

いったい何だ?何で美羽は泣いているんだ?俺か?俺なのか?もしかして知らないうちにオオカミになって美羽を襲ってしまったのか!?確かに、昨日の美羽は髪が少しぬれていて結構色っぽかったが・・・・・もしそうなのだとしたら、俺は何と言うことを・・・!

 

「か、一刀~!わ、妾は、妾はとんでもないことを~!!」

「どうしたんだ、美羽!いったい何が?」

「・・・・ひぐ・・・ふぐ・・・・・う・・・・・わ、妾は・・・ひぐ・・・か、一刀を・・・ぐす・・・」

「ああ、どうしたんだ?」

「・・・ぐす・・・か、一刀を・・・賭けものにしてしもうたのじゃ~~~!!!うえーーーーーん!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

・・・・

 

 

 

ようやく泣きやんだ美羽から大まかな話を聞いた。俺は驚愕した。なんせ、自分と国を賭けた戦いになっていたのだから。

もちろん雪蓮のところに駆け寄った。

 

「雪蓮、いったいどういうつもりだ!?」

「あら?知らなかったの?そういうことよ♪」

「そういうこと♪・・・じゃないよ!いったい何考えているんだよ!?一国を賭けの対象にするなんてどうかしている!」

 

誰でもそう思うはずだ。でも雪蓮は・・・

 

「あなたにはそれくらいの価値があるわ。袁術のところにいるのは気に入らないけど。あの子にあなたは宝の持ち腐れよ。」

「・・・・・おれは、こんな勝負認めないぞ!」

「認めるも認めないもないわ。もう決まったことなんだから。」

「けしかけたのは雪蓮じゃないのか!?」

「決めたのはあの子よ。この私と・・・孫呉の王と約束したのだから。」

「くっ!!」

 

俺は完全に言い負かされた・・・・最初から無理だったのかもしれない。王と王の決定事に口をはさむなんて・・・

 

「そんなに悲しい顔をしないで、一刀。あなたにそんな顔は似合わないわ。」

 

そう言って雪蓮は詰め寄ってきた。

 

「別にあなたを軟禁するって訳じゃないわ。ただ私のところにいてくれればいいの。時期が来れば袁術ちゃんにも合わせてあげる。もっともその時は私が袁術ちゃんを滅ぼしているけどね♪」

 

雪蓮は両腕を俺の肩にかけてきた。少し動けばキスができるんじゃないか、と思わせるくらい顔を近づけてきた。ものすごく綺麗で妖艶で少しドキッとしてしまっていた。

 

・・・・・・でも、

 

「・・・・・なんで・・・・なんでそんなに美羽が嫌いなんだ?」

 

俺は、聞きたかった。もう嫌う理由なんてないのに・・・・

 

「雪蓮が美羽のことが嫌いなのは民たちに暴政を強いていたからじゃないのか?でも今はそんなことないじゃないか?雪蓮だって見たろ?この街を。」

「・・・・・・からよ。」

 

・・・・・え?聞こえなかった・・・いや、聞きたくなかった。

 

「むかつくからよ。常に誰かに頼り、自分一人では何もできない。でも自分の思い道理にならないと我慢ならない。この街だって一刀が立て直したのでしょう?そんなのが王を名乗るなんて鼻で笑っちゃうわ!」

 

・・・・・・・・

 

「雪r「聞きたいことはもう済んだわよね。じゃあ私行くから。」・・・・・ああ・・」

 

俺の言葉を遮りながら雪蓮はその場を去った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

・・・・

 

「冥琳!早く昨日の続きをするわよ!」

 

「はいはい。しかしどうしたのだ?そんなに興奮して。」

 

「なんでもないわよ!」

 

「ふう・・・・素直に袁術に嫉妬しているといえば少しは可愛げがあるというのに。」

 

「あら?冥琳は嫉妬してくれないの?一刀に私を取られちゃうかもよ♪」

 

「ふふふ、私も北郷を気に入ってしまったのでな。」

 

「へえ、冥琳まで籠絡させるなんて・・・・やっぱり凄いわね、一刀は。」

 

「だから、いまのお前の気持ちもわかるのだよ。」

 

「・・・・・・聞いてたの?いい趣味してるわね。」

 

「それほどでもない。ふふふ」

 

「うふふ♪」

 

 

・・・・・・・・・どうしよう・・・・?

 

参った、本当に参った。本当にどうしよう?そう思いながら俺は美羽のもとへ戻った。

 

「ど、どうじゃった?一刀?」

「・・・・・無理だった。」

「・・・・ぐす・・・すまぬ・・・一刀。・・・妾のせいで・・・」

「気にするなよ。それにまだ負けたわけじゃない。祭りは明日だ。もし勝てれば国が手に入るんだぜ!」

「・・・む、無理じゃ・・・」

「・・・・え?」

「無理じゃ無理じゃ無理じゃ!!妾が孫策に勝てるはずがないのじゃ!!」

「そんなことやってみないと分からないじゃないか!」

「・・・無理なんじゃよ・・・・・ひぐ・・・」

「・・・・・どうして・・・?」

 

美羽は最初から負けた気でいる。なぜだ?

 

「む、昔、孫堅と交流があったとき・・・・ひぐ・・・・孫策と遊んだとがあるのじゃ。・・・・ぐす・・・いろんな勝負をしての・・・・今まで勝ったためしがないのじゃ・・・」

 

・・・・・なるほどな、コンプレックスを抱えていたのか。

 

「じ、じゃから今回も負けるかもしれぬ・・・」

 

負けることが怖いのではない。美羽は一刀を失うことのほうがよっぽど怖いのだ。

 

「・・・・・・美羽、練習をしよう。」

「じゃから勝てぬと・・」

「確かにお前ひとりじゃ雪蓮に勝てないかもしれない。」

 

 

美羽は弱い・・・・・だが

 

 

「じゃったら・・・・」

 

 

いや、だからこそ

 

 

「だけどお前には俺がいる。」

「・・・ほぇ?」

 

俺の・・・・

 

「お前は一人じゃない。俺がついている。大丈夫だよ、絶対に勝てる。忘れたのかい?俺は天の御使いなんだぜ♪」

「・・・か、一刀・・・」

 

心は・・・・

 

「俺は常にお前とともにある。忘れるな。」

「・・・・・一刀!」

「俺を信じてくれるか?美羽。」

 

 

この小さき王に

 

 

「当り前じゃ。」

「ふ、それでこそ美羽だ!」

 

 

捧げる

 

 

「うむ♪」

 

 

 

そうして一日がたった。

 

 

 

      祭りが始まる。

 

 

 

 

 

さまざま思いが交差しながら

 

 

 

 

 

 

     ある者は愛する者のために

 

 

 

 

「絶対に勝つぞ!美羽!」

 

「うむ!もちろんじゃ!」

 

 

 

 

 

   

     ある者は国のために    

 

 

 

 

「さてと、もう完璧ね。行くわよ、冥琳。」

 

「そうだな。雪蓮。」

 

 

 

 

 

 

     ある者は名声のために

 

 

 

 

「ふふふ、優勝は地和たちのものね♪」

 

「お姉ちゃん、頑張っちゃうんだから!」

 

「はいはい、油断しないの、姉さんたち。」

 

 

 

 

 

 

     ある者は欲望のために

 

 

 

 

?「準備はどうじゃ?」

 

?「は、すべて滞りなく・・・」

 

?「うむ、では行くぞ!」

 

?「は!」

 

 

 

 

 

          思いは交差する。

 

 

 

 

 

 

           そして

 

 

 

 

 

 

 

         祭りが始まった。

 

 

 

 

 

 

つづく・・・

 

 

こんばんは、ファンネルです。

 

旅行から帰り、早速小説を書き始める今日この頃・・・・

 

どうでしたか、今回の本編は?

 

美羽がソフトツンデレになってしまい、七乃さんはヒロインの理解者キャラになりました。

 

自分で書いていて美羽に萌えてしまいました。

 

本当は、お祭り編はこの話で終わらせるつもりだったのですが結構長くなってしまったので二つに分割させていただきました。

 

次でお祭り編が終わります。

 

では今度もゆっくりしていってくださいね。

 

 

 

 

 


 
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