彼は乱世に舞い降りた。
彼は乱世で皆と出会った。
彼は乱世で戦った。
彼は乱世を終わらせた。
そして彼は世界から消えた。
多くの彼への想いと
彼の命を受け継ぐ娘を残して……
彼の娘、真名を
……っていったの」
「ううっ、グスッグスッ……」
「まったく、この話するとすぐ泣くんだから」
「グスッ、えへへ、でもかかさまのするととさまのおはなしだいすき♪」
「ほかの誰かからもお話聞くの?」
「うん、あのねかりんさまでしょ、ふうちゃんにりんちゃんにきいちゃんるるちゃん、しゅうらんおねえちゃんにしゅんら、「アイツだけは駄目!」わあっ!」
コテン
「あっ、ごめんなさい」
「ふう、びっくりした」
「でもアイツはろくなこと言わないでしょ」
「うん、しゅんらんおねえちゃんのおはなしはよくわかんない」
「それでいいのよ、さてこれからどう…」
どうしようかと思った所に兵士がやって来た。
「荀彧様」
「どうしたの?」
「はっ、申し訳ありませんが厄介な問題が発生しましたのですぐに来てほしいと樂進様が」
「分かったわ、すぐに行きます」
「はっ、ではこれで」
「ごめんね鞘花、ちょっと行ってこなくちゃ」
「うんいいよ、かかさまのたいせつなおしごとだもん。さや、いいこでまってるよ」
鞘花はそう言うと、花の様な笑顔を浮かべる。
ああ、ダメ。可愛すぎる。
「ああ~なんていいコなの♪よしよし、すりすり♪」
「きゃあ~♪くすぐったいよかかさま」
……まさかここまで子煩悩になるとは、華琳すら最初は唖然とするほどだったという。
「じゃあ行って来るからいい子にしてるのよ」
「は~い」
鞘花視点~
「あ~あ、つまんないな」
りっしょくぱーてぃのじゅんびはできたっていってたけど、まだとうかおねえちゃんやれんふぁおねえちゃんたちがきてないから、かいじょうにいってもじゃまになるよね。
「りんりんちゃんやしゃおちゃんたち、はやくこないかな~」
!! そうだ、あそこにいこう。きょうはちょっとあついからちょうどいいよね。
サラサラサラ
おしろのちかくにあるおがわ。みずがきらきらひかってて、さやはここがだいすき!
だけどかかさまはここにくるといつもかなしそうなおかおをする。
「きらきらひかってこんなにきれいなのになんでかかさまはあんなおかおをするのかな?」
サラサラサラ
ク~ン、ク~ン
「あっ、おいぬちゃんだ♪こっちにおいで」
!! ワンワンワンッ、タッタッタッ
「あっ、そっちじゃないよ、いっしょにあそぼうよ。よ~し、まて~~~っ」
ふう、ふう、ふう、どこにいったのかなぁ?
ワンワンワンック~ンク~ンッ
「あっ、いた。そっちだな~。ん、あれぇ?」
サラサラサラ
ク~ンク~ン、チュンチュン、チチチチチ………
だれだろう?しらないひとがいる。
おいぬちゃんやことりさんたちにかこまれている、いいな~。
「!!」
あっこっちむいた、おとこのひとだ、だれなのかな?
しらないひとにちかづいたらだめだってかかさまやかりんさまたちにいわれてるんだけどわるいひとじゃないみたいだし。
それにきらきらひかるしろくてきれいなふくをきて、やさしそうなえがおでまるで、おはなしできくととさまみたい。
サラサラサラ
「あの~」
「ん?何だいお嬢ちゃん」
「あなたはだあれ?ここはぎのくにのおがわだからしらないひとはきちゃいけないんだよ?」
「うん、そうだね。でも俺は昔この魏の国でお仕事をしてたんだ、ちょっと旅をしてたんだけど今日やっと帰ってこれたんだ」
「そうなんだ、じゃあおかえりなさい」
ペコリッ
「うん、ありがとう!きちんと挨拶ができるいい子だね。」
ナデナデ
!! あいさつしたらなでてくれた。
えへへへ、このひとのおててあったかい♪
「あのねあのね、わたしのなまえはさやかっていうの、よろしくね」
「でもそれって真名だろ?会ったばかりの俺に教えていいの?」
「うんっ!だっておにいちゃん、わるいひとじゃないもん!さや、ちゃんとわかるよ」
「じゃあ真名を教えてくれたお礼にいいものあげよう」
「いいもの?」
「うん、これはねチョコレートっていう遠くの国のお菓子だよ食べてごらん」
「ちょこれいとお?」
クンクンッ…ペロリッ
!!!!うわぁっ♪
パクリッ、モグモグモグ。
うわぁっ♪うわぁっ♪うわぁっ♪
「おいしい!おいしい!おいしいよ♪」
「はははは、もう少しあるからゆっくりお食べ」
「ううん、あとでりんりんちゃんたちといっしょにみんなでたべる♪」
「うん、やっぱりさやちゃんはいい子だね」
ナデナデ。
えへへへ♪ナデナデきもちいい!
サラサラサラ
おにいちゃんにひざまくらしてもらって、あたまナデナデしてもらって、なんだかねむくなってきちゃった。
サラサラサラ……
おがわのせせらぎがこもりうたみたい、おっきなおてて、あたたかいおひざ、ととさまのおひざも…こんな……ふうなの………か…なあ……………。
くぅ…………。
「………」
サラサラサラ
桂花視点~
「鞘花、鞘花、鞘花ーーー。何処に行ったのかしら、鞘花ーーー!…きっとあそこね、まったく私が苦手だってしってるくせに」
サラサラサラ
まったく、此処は嫌いだ、あの場所とほとんど同じ。
小川のせせらぎも、川面のきらめきも、風の匂いも……。
…すべてがあの日の
サラサラサラ
「鞘花ーーーどこなの、さや…か………」
サラサラサラ
そこには信じられない光景があった。
日の光を受けて光る白い服、何もかも背負おうとする広い背中、風に揺れる柔らかな髪。
そして彼の膝に寄り添って眠る「私達の娘」
「………」
「………」
以前と同じ笑顔がそこにあった、申し訳なさそうな、照れくさそうな、嬉しそうな笑顔が。
サラサラサラ……
もう、このせせらぎは嫌いじゃない、川面のきらめきも美しい、風の匂いも愛おしい。
ガサガサッ
「!!!!」
ワーワーワーッ
どうやら彼女達も気付いたらしい、驚いた声、嬉しそうな声、泣きじゃくっている声。
ワーワーワーッ
ドドドドドドッ
皆がやって来る、私はまだ一歩も動けないでいた、あの時と同じように頬を涙が流れていた、でもあの時よりも熱く、そして止めどなく。
ワーワーワーワーワーワーッ
「・・・・・」
ドドドドドドドドドドドドッ
彼は何か言ったが歓声と駆け寄る音にかき消された、でも私にははっきりとその言葉が聞こえた。
「ん~、うるさいなあ、えっ…うわあっなに、なに、なに?」
ワーワーワーワーワーッ
ドドドドドドドドドドッ
『「ただいまっ!」』
~Fin~
(`・ω・)一姫伝にも一姫の義妹として鞘花という女の子が出てきますが、じつはこの物語に出てくる一刀と桂花の娘、鞘花の方が出番は先でした。
というのも、この桂花ENDこそオイラが始めて書いたSSだからです。
見た目はそっくりですが、全くの別人でありんす。
ちなみに鞘花のセリフがひらがななのは、彼女が小さいからです。
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先に書いた桂花ENDの続きです。
時間的にはあのすぐ後になります。
では・・・
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