時間毎に体力が回復する『癒療再生装置』と、抑制していた戦闘能力値をリミッター解除して最大に上昇させる『制限解除』を発動した絡繰人間7号
最早最悪のシナリオと言っても過言ではない状況となってしまった一刀と少女…………
それでも絡繰人間7号は
2人に襲いかかったのだった………!!!!
八節 〜本気〜
一刀「勝てる確率が一段と低くなったな…………
これは厳しいな…………」
流石の一刀も弱気な事を言い漏らす
??R「『制限解除』と『癒療再生装置』………
最悪の組み合わせです…………」
少女も顔を歪ませる
絡繰人間7号「トットと終わらせテヤロウ………………
元々ココまで時間を掛ケる気八なカッたノだかラナ……………」
絡繰人間7号は静かに構える
殆どの傷が既に完治されている状態となっている
完全にスタートに戻されてしまっている
一刀「最早燃料切れに近いぞ、俺は………」
一刀は額の汗を制服の袖で拭う
??R「………………」
少女は苦虫を噛み潰したような表情で一刀を見る
よく見れば、一刀はかなり疲れ切っている
汗は留まることなく吹き出ており、呼吸も浅く息もかなり荒い
それもそうであろう
本来なら敵との戦闘は既に終わっている筈
にも関わらず、敵である絡繰人間7号は平然と立っているのだ
更にパワーアップまでしている
一刀の体力は、現状的に限界の瀬戸際まできている
この状態で勝利することはほぼ不可能に近い
だが、一刀は拳を構えて
一刀「だけど、俺は諦めが悪いタチでね……………
諦める気は毛頭ない…………!!!」
ギュォォッ!!
??R「っ!!!」
一刀の表情と今の状態からの気の厚みにより、思わず身震いしてしまう少女
絡繰人間7号「ほぉ?まだココまでノ気ヲ発せラレるのか…………
ソレでこそ北郷一刀……………我等、絡繰人間の憎キ愚カナる敵………
ソウデなくテハ面白くない………」
絡繰人間7号は音もなく静かに構える
一刀「憎いだか何だか知らないが、大陸の平和を乱す奴は俺が許さないっ!!!」
一刀と絡繰人間7号は拳を構えたまま同時に駆け出す
??R「っ!!!ダメです!!!真正面から戦い合っても勝機はありません!!!」
少女は片手を伸ばして一刀を止めようとするが、最早後の祭り
2人の距離はどんどん縮まり
一刀「はああぁぁぁっ!!!」
絡繰人間7号「にょわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
フォン!!
フォン!!
ドカッ!!!
同時に互いの右手がぶつかった
その瞬間
一刀「うわっ!!?」
??R「っ!!!」
一刀が突如、後方に転がり込んだのだ
絡繰人間7号「………フフフ」
一刀「いてて………」
??R「大丈夫ですかっ!!?」
少女は素早く駆け寄り、一刀の怪我を確認する
一刀「………大丈夫だよ、ちょっと驚いて転んだだけだ」
一刀は制服についた土埃を払い落としながら立ち上がる
一刀「……………なんて力だ………
こうも簡単に押し切られて吹き飛ばされるなんて…………
相打ちにすらならなかった………」
少女が一刀の右隣に並んで語りかける
??R「それが『制限解除』です………
もし、今打ち合いをすれば負けるのは此方側です………」
一刀「参ったな……………」
絡繰人間7号「ドウシタ?もう終わリカ?」
絡繰人間7号は一刀と少女2人を挑発する
一刀「降参なんて一言も言ってないぞ?」
??R「その通りですっ!!!」
一刀は『龍終』を、少女は弓矢を構える
絡繰人間7号「懲りナい者達メ…………
ナラバこの私が現実トイウモノを教えてやロウ………」
ゴオッッ!!
絡繰人間7号は『龍走』を発動して、接近してきた
一刀「悪いけど、お前よりは分かってるつもりさ
非現実的な奴に現実を問われても説得力に欠けるな………」
戦闘にも関わらず、一刀は溜息をつく
??R「た、確かに………」
少女は思わず苦笑い
そこへすかさず
絡繰人間7号「にょわっ!!!」
フォン!!
一刀「っと!!!」
接近していた絡繰人間7号が攻撃を仕掛ける
先程よりも俊敏で正確な突きを行う
しかもそれを連続的に行うのでかなり辛い
一刀「(くそ、回避するので精一杯だ…………っ!!!)」
??R「むぅ…………くっ!!」
少女は何とか絡繰人間7号の隙をついて矢を放とうと試みるが、隙は殆どないといっても過言ではない
万が一、隙があってもあまりにも速すぎる動きで標準が合わない
少しでも標準がズレれば一刀に直撃してしまう
姿を追うので精一杯だ
??R「(全く放てない!!!)」
一刀「っ!!!そこだ!!!『北郷流・無喰冠』っ!!!」
一刀は『龍終』を真横に振って斬りつけた
だが
ガキンッ!!
一刀「っ!!?くっ!!!硬てぇ………」
『制限解除』により皮膚の硬さまで最大にまで上昇されていたた為、一刀の腕と『龍終』の力を持ってしても弾かれてしまった
その隙を狙って絡繰人間7号
絡繰人間7号「死ねっ!!!」
フォン!!
フォン!!
フォン!!
フォン!!
フォン!!
ドカッ!!!
バキッ!!
バキッ!!
ドカッ!!!
一刀「ぐっ!!?がっ!!ぐはっ!!!ぐあっ!!!」
高速の蹴りや殴りつけが一刀の身体にヒットする
その一撃一撃がとてつもなく重い
パンチたった一発で骨に罅が入る程の威力だ
一刀「ぐぅ………………!!!」
流石の一刀も思わず怯んでしまう
絡繰人間7号「吹っ飛べ!!!」
フォン!!
ドカッ!!!
絡繰人間7号の蹴りは一刀の胸辺りに直撃して、一刀を派手に吹き飛ばす
吹き飛ばされた方角にある岩に激突して、一刀は崩れた岩に埋もれる
??R「あぁっ!!!」
少女は吹き飛ばされた一刀のいる方角を見て堪らず声を上げる
絡繰人間7号「留めダ………!!!」
ギュォォッ!!
絡繰人間7号は追い討ちとして右掌に気を集める
『気力破』を放つ気のようだ
絡繰人間7号「『制限解除』の状態デノ『気力破』は全テを打ち砕ク…………」
今までにない程の気が絡繰人間7号の掌に集まっていく
??R「ダメーーーーーーーーーーーーっ!!!」
フォン!!
少女は咄嗟に構えた得物である弓で矢を放つ
せめて『気力破』の放出を回避させなければならない
怯みさえすれば………という気持ちで放ったのだが、その考えはあまかった
バキッ!!
絡繰人間7号「ん?」
??R「っ!!?そ、そんな…………」
直撃はしたが、矢先が触れた瞬間に矢が砕けてしまったのだ
??R「『制限解除』の能力最大限の上昇がここまで高まるなんて…………」
少女は冷や汗を滴らせながらふと思ってしまう
最早、打つ手無し………絶望という単語を…………
絡繰人間7号「面倒ダ、貴様カラ葬ってヤル…………」
シュンッ!!
ガツッ!!!
??R「あぅっ!!?」
絡繰人間7号は集めた気を蓄え直して『空走』を行い、少女の首根っこを掴んで持ち上げた
絡繰人間7号「終わったナ…………」
絡繰人間7号は表情一つ変えずに言う
少女は激しく暴れて掴まれている腕を殴ったり、絡繰人間7号の顔を蹴ったりする
だが、ビクともしないうえ自分の四肢が痛んでしまうのが結果だった
絡繰人間7号「貴様如きが暴レタトコロで無意味だ………」
??R「くっ……………!!!」
少女は終始、絡繰人間7号を睨みつける
絡繰人間7号「シカシ、先程私自らガ持ツ全ての情報ヲ掛け合ワセて、貴様の素性を調べてミタが………」
絡繰人間7号はニヤリと嗤う
絡繰人間7号「ソウカ貴様…………
『あの弓兵』の娘ダッタノカ………
道理で我々二詳しいワケだ………」
??R「………………」
絡繰人間7号「貴様の母親ニハ随分とお世話ニナッタな…………
シカシ、考えたモノだ………抹殺対象目標者に確認サレテイナイ貴様を送るトハ…………」
??R「くっ!!!黙れっ!!!」
少女は声を荒らげる
絡繰人間7号「……………ソウダ、貴様に最期の機会ヲヤロウ…………」
??R「な、なに……………?」
少女は眉を顰めて聞き返す
絡繰人間7号「貴様等の全情報ヲ提供してクレルのなら命を助けテヤロウ…………
どうだ?悪イ条件ではナイと思うガ………」
絡繰人間7号はニヤリと嗤う
一種の脅迫にも兼ねた賄賂だ
だが、勿論の如く少女は
??R「くっ…………この下衆め!!!
誰が話すものですか!!!!話す位なら死んだ方がマシだ!!!!」
少女の言葉に絡繰人間7号は嗤うのを止めて、再び無表情になり
絡繰人間7号「そうか、元々期待ハシテいなかったカラ問題ハない………
ならば………………」
ギュォォッ!!
??R「っ!!!」
片方の手を構えて、蓄えていた気を再び集めだした
絡繰人間7号「心配する必要ハナイぞ…………
母親達には『北郷と力を合わせて見事に戦ったが、奮闘虚しく絡繰人間7号にいとも簡単に抹殺された』ト伝えテオクから安心シテ死ぬがイイ」
ギュォォッ!!
集めた気はどんどんと大きさと邪悪さが増していく
??R「ふ、ふざけるなっ!!!」
少女は左手を絡繰人間の顔に突き出し
ゴオッッ!!
ドゴォォォン!!!
至近距離で『気力破』を放った
大きな爆発と伴に轟音と煙が辺りを支配する
??R「はぁ……はぁ…………っ!!?」
だが、掴まれている手は少しも力を緩んでいなかった
絡繰人間7号「………軟弱な『気力破』ダナ
本物ノ『気力破』を見せてヤル」
煙が晴れると絡繰人間7号は全く動じず気を更に集める
??R「そ、そんな…………………」
少女の瞳は徐々に潤みだす
やがては瞳から頬へと水の路を創り出し、渇いた地面へと滴り落ちていく
絡繰人間7号「サラバだ…………勇気アル愚か者ヨ…………」
絡繰人間7号は気を開放仕掛けた
その時、
ドゴォォォン!!!
ゴオッッ!!
絡繰人間7号「んっ!!?」
??R「っ!!?」
突如、後方の岩山から爆音と光を引き連れて来たのは
一刀「させるかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
言わずと知れた北郷一刀だった
一刀は勢いをつけて『龍走』を行なって突っ込んできたのだ
フォン!!
バキッ!!
絡繰人間7号「ぬおっ!!!」
渾身の力で絡繰人間7号を殴りつけ
一刀「せぁっ!!!」
フォン!!
バキッ!!
絡繰人間7号「オゴっ!!?」
続いて左足で、顎を的確にヒットさせて蹴り上げ
一刀「はああぁぁぁっ!!!『掌撃波・車香』っ!!!」
ドォォォン!!!!
絡繰人間7号「ゴヘァっ!!!」
『掌撃波』系貫通力最強の『車香』で絡繰人間7号を吹き飛ばした
絡繰人間7号はあまりの衝撃により少女を手から離してしまい、少女はその場に倒れ込む
一刀「大丈夫か!!?」
一刀は素早く走り寄って少女を抱きかかえて揺らす
??R「っ!!!……………は、はい……」
少女はあまりの出来事に驚いて頬を赤く染める
一刀「??本当に大丈夫かい?
顔が真っ赤だけど……………」
一刀はキョトンとして少女の額に手を添える
??R「~~~~~っ!!!だ、だ、大丈夫ですっ!!!大丈夫なんですってば!!!」
少女は一刀の手を振りほどき、素早くその場から立ち上がり涙を拭う
一刀「??」
超がつく朴念仁の一刀には全く分かる筈もなく、ただただ首を傾げるだけだった
絡繰人間7号「グゥぅぅぅ………おのれ死に損ないメ………」
絡繰人間7号は岩場から立ち上がる
一刀「……どんだけお前が硬くても『掌撃波』にはなす術無しだ」
一刀は構えて睨みつける
??R「………………」
少女も同様に構える
絡繰人間7号「マダ戦うツモリか?
貴様が全力で………本気デ戦ってモこの私ヲ倒すコトは出来ないノダぞ………?」
絡繰人間7号はニヤリと嗤う
確かにその通りだ
一刀は全力で戦っていても、絡繰人間7号は対北郷一刀用に備えてある情報を全て知っている
だから攻撃を仕掛けても僅かな筋肉の動き、空気の流れを体感で察知して瞬時に受け止めたり躱したりしてしまう
この状態で勝つのは困難を極める
だが、一刀は
一刀「え?何だって?本気を出したって?」
耳に手を添えて態と挑発するように聞き返す
絡繰人間7号「ん?」
一刀「おいおい……俺が何時自分の口から『全力を出した』って言ったんだ?」
一刀はヤレヤレというように呆れる
絡繰人間7号「ナンだと…………?」
一刀「俺はまだ本気じゃないぞ………?
はああぁぁぁっ!!!」
ギュォォッ!!
絡繰人間7号「んぐ……………」
??R「わわわっ!!?」
一刀が溜め始めた気は、大きな風や衝撃を生み出して辺りに地響きとして伝わって行く
一刀「そらっ!!!」
ギュォォッ!!
一刀は右掌に今残っている全ての気を集中させ、超高濃度の気の塊を創り出した
絡繰人間7号「…………ふむ」ピピピッ
??R「……………不思議……
あの気の塊、凄く暖い………」
少女は一刀が手に作っている気の塊を見て声を漏らす
一刀「よし、出来た………」
今度は一刀がニヤリと笑う
絡繰人間7号「ソレがドウシタ?
計測スレばその気の塊ニハ大した攻撃力は見受けラレないゾ?
それを私に投げつケル気か?」
絡繰人間7号が聞くと一刀は
一刀「誰がそんな勿体ないことをするんだよ
こうするのさっ!!!」
一刀はそれを『上空へ放り投げた』
一刀「いくぜ!!!!轟け『月光下』ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
するとその気の塊は上空で眩しく輝き出した
??R「っ!!!眩しいーーーっ!!!」
少女は堪らず背を向ける
絡繰人間7号「盲ましカ………『遮光眼(しゃこうがん)』、起動」
絡繰人間7号がそう言うと、眼がサングラスのように黒くなった
だが、それで防げる程輝きは小さくない
絡繰人間7号「グ…………」
絡繰人間7号も思わず目を背ける
…………………
…………………………………
やがて超高濃度の気の塊『月光下』は少しずつ小さくなり、消失した
??R「………………………
な、何だったのです……………か……?
って………へ………………?」
絡繰人間7号「んん……………うんっ!!?」
少女と絡繰人間7号は一刀を見て絶句する
その『人間とはかけ離れた姿』に………
一刀「……………ふぅぅぅぅ…
よし…………いくぞ、絡繰人間っ!!!」
一刀は大きく深呼吸をして構え、生えた尻尾や耳を動かし、両目を開けて真っ赤になったで右目威嚇しつつ、鋭く生えた前歯と両手の爪を見せニィと笑った
絡繰人間7号「ぐっ!!?」
一刀「さぁ…………『鷹狼虎龍』で」
一刀「反撃開始だっ!!!!!!」
……終……
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絡繰人間7号との激戦は激しさを倍以上に増していた
天の御遣い・北郷一刀とそこへ現れた謎の弓兵の少女の奇妙なタッグ戦により、形勢逆転とまではいかないが少しずつ絡繰人間7号にダメージを与えていく
だが、遂に本気出した絡繰人間7号は2つのの兵器『制限解除』と『癒療再生装置』を起動させてしまう
このまま、一刀は抹殺されてしまう…………!!?