No.753721 魔法少女リリカルなのはStrikers ダメ人間の覚悟makeさん 2015-01-25 22:04:54 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:8811 閲覧ユーザー数:7630 |
~六課が『デビル』破壊の為に出動した直後~
透「ハァ・・・・身体が鈍るのぉ・・・・」
俺は今日も退屈な病室のベッドの中で寝っ転がりながら手をグッパッグッパッと握ったり開いたりしていた。
透「ッと・・、そうだった・・・・口調もなんとかしないとダメだったな・・・・・・・・慣れんな」
以前ハルカに言われたことを若干俺は気にして、広島弁を標準語に直そうと思い俺は普段独り言でも標準語にしようと心掛けていた・・・・・もちろんこっちの地の文?ていうの?まぁとにかく、こっちでもだ。
透「だが・・・・・どうしたものかな・・・・この身体は」
とりあえず、なのは達に黙って逆立ちとかをやっていた為リンゴを握り潰すくらいの握力は回復した。
しかしそれでも全快というわけでもなく、いつまでもなのは達に任せるというわけにもいかない・・・・・というか、俺がそうしたくない。
透「・・・・・このままというのは・・・ダメ・・・だな」ボソッ
???「何がダメなんだい?」ガラガラ
俺が独り言(うっかり広島弁が出てしまった)を呟いていると病室の扉が開いた。
透「おぉ・・・・ユーノ」
扉を開けて入って来たのは、おそらく司書の仕事を休んできた・・・もしくは午前中休みのユーノだった、しかもユーノの後ろには見知らぬ女性が付いてきていた。
透「・・・・だけではないようだな」
カリム「失礼しますね」
ユーノに続いて入って来たのは聖王教会のカリム・グラシアさん・・・・・だけでもなく、次々と色々な人が入って来た。
レヴィ「せぇんせぃ!来ったよぉ!」
シュテル「レヴィ、病院内は静かにしないといけませんよ」
ヴィヴィオ「・・・・・・・」
透「お前等も・・・・何でまた?」
グラシアさんの後ろから入って来たのはシュテルとレヴィの二人だった。
そしてグラシアさんのやや後ろについて裾を掴みながらこちらを見ているヴィヴィオも一緒だった。
ユーノ「2人は彼女の護衛としてね・・・・・という名目で透のお見舞いに来たって」
透「そういうことか」
俺が納得しているとユーノは俺の顔を見開きながらジッと見ていた、ユーノだけじゃなくグラシアさんやシュテル達も同様にだ。
透「?・・・どうした、そんな顔して」
ユーノ「あ、いや・・・・透がいつもと喋り方が違うからちょっとね」
レヴィ「うん、いつもと違うよ先生」
シュテル「『マダラ』の時の喋り方になってますね」
透「あ~・・・・これか」
ユーノ達が不思議そうな顔をしていた理由を理解した俺は何故こういう風にしたのかを説明した。
透「まぁ何て言うか、心境の変化というか・・・・・ハルカに言われてな、俺はアッチの方言よりこっちの方がいいんじゃないのかってな」
透以外「あー・・・・確かに」
透「声揃えんなや・・・・」
ユーノ「あ・・」
透「・・・・慣れてないから、偶に地が出てしまうんだ・・・・・そんなことよりもだユーノ」
ユーノ「ん?」
透「そちらの女性は?俺は会った事が無い筈だが・・・・・・(ん?この女、どっかで見たような)」
ユーノ「あぁうん、透は初めてだったよね?こちらは・・・・」
ユーノが後ろの女性を紹介しようとすると、その女性が自分から前に出てきた。
???「初めまして、ユーノさんと同じく『無限書庫』で働いております、副司書の『ケルビナ・マリンバッシャー』と言います」
名前を聞いた瞬間、俺は『あぁーアイツか』というのと、この人がユーノと付き合っている人という事に気付いた。
透「あぁこっちこそ初めまして、俺は・・・」
ケルビナ「存じております、ユーノさんから聞いております」
俺はケルビナさんに『そうですか』とだけ言うと、人差し指でユーノにコイコイと顔を近付かせた。
透「この人が前に言っていた、お前の恋人か?」ヒソヒソ
ユーノ「う、うん・・・・そういうこと・・・かな(テレテレ)」///////////////
ニヘェとしながら頭をポリポリと掻きながら頷くユーノ・・・・・正直イラッときた。
普段ならばツッコミとして軽くワンパンは入れていたんだが、一つ分かったことがあった。
俺がユーノに恋人・・・または好きな人がいるのが分かったのが、中学の時だった。
そこから数年経って未だ恋人止まりというのには何か理由があるんだろう・・・・・・おそらく俺やなのは達に遠慮しての事だと思う。
それを考えたらワンパンを入れるのを止めた・・・・・それに、俺にそんな事をする権利は無い、ここは素直に礼でも言っておくか。
透「そうですか、コイツの事よろしくお願いします。本当にいい奴なんで」
ケルビナ「ハイ」
ケルビナさんは微笑みながら肯定の返事をしてくれた、俺はそれに満足しながらユーノに聞いた。
透「今日は何の用なんだ?」
ユーノ「用って程のモノじゃないさ、僕とカリムさんは君のお見舞い」
そう言いながらグラシアさんは持っていた花束を見せつけてきた。
透「シュテルとレヴィは?」
レヴィ「僕達はゴエー出来たんだよ!」
透「護衛か・・・・あぁそうか、ヌエラさんもあっちの方に行ったからか、それでお前等が代わりにグラシアさんの護衛をか」
シュテル「そう・・・・・・でもありますけど」
透「・・・・もっと別の事なのか?(もしかしてまたヴィヴィオが?)」
俺の質問にユーノとグラシアさんが困った顔で見合っていた。
カリム「まぁ、そんなところです」
ユーノ「最近この近辺で不審者が出てるからね、この子達に護衛を頼んだってこと」
透「成程な、そいつは心強い事だ」
不審者ね・・・となると、ココも奴等の捜索範囲に絞りこまれている可能性も・・・・無きにしも非ず・・・といったところか。
ユーノ「と、そんな暗く堅っ苦しい話をしに来たんじゃないよ、それに今日はもう一人、特別ゲストに来てもらってるからね」
透「特別ゲスト?・・・・あぁ、それはさっきからその扉の陰に隠れている奴の事か?より正確には、お前がそうさせた人物が」
ユーノ「彼女も感知してたのか、流石と言うべきか・・・・ちょっと待ってて」
そう言うとユーノは病室の扉を開け、「入って」と促していた。
そしてユーノと一緒に入って来たのは、10代前半の少女だった。
手には花束・・・と言う割には本数が少なく、4,5本の花を手に持っていた。
少女は初対面の俺に緊張からかずっと下を向いていた・・・・・・いや、どこかであったか?初対面でなければ態々ユーノが連れて来る筈がないからな。
透「この子は?」
俺はどうしても思い出せずユーノに尋ねた。
ユーノ「やっぱり思い出せない?と言っても無理もないかな、当時は一瞬の事だったらしいし、この子も今より小っちゃかったって話だし」
透「小っちゃい?・・・・・??」
ユーノがそれらしいヒントを言ってはくれているんだろうが、なかなかに思い出せない・・・・・ここ数年激しい戦闘ばっかしていた所為なんだろうか。
???「あ、あの!」
透「ん?」
思い出そうとしていた俺に痺れを切らしたのか、少女が俺に声を上げた。
???「私『ラグナ・グランセニック』っていいます!5,6年前井上さんに助けてもらったラグナです!」
透「5,6年前・・・・あぁーあの立て籠もりか、あの時の子か・・・確かに小さくて分からなかったな」
ラグナ「ハイ、あの時は兄共々お世話になりました」ペコッ
透「いや・・・・ん?兄?」
ラグナ「ハイ・・・・って、知らないんですか?兄は『ヴァイス・グランセニック』っていうんですけど、今は『機動六課』にいるんですけど」
透「?・・・・どっちだ?」
俺の中にはザフィーラを除いた二人の男が頭に浮かんではいたが、中々思い出せずにいた・・・が。
透「っ・・・・いや、段々思い出してきた・・・・・!そうかあの時の狙撃手か」
ラグナ「そうです・・・・あの時は兄もしばらくの間イライラしてましたけど、今では兄も井上さんに感謝してました・・・・も、もちろん私もですよ!」
透「そ、それはありがたいんだが・・・・・・ぶっちゃけお前さんを助けたのは本当に偶然だったんだ、あの時はそっちに居る子達の一人がお気に入りにしている菓子を盗まれたからな、ソレを取り返すために奴等を襲っただけだからな」
ラグナ「・・・それでもです、それでも・・・・・井上さんは私を助けてくれたんです・・・・だから・・・・・・ありがとうございます」ペコッ
透「ぁ・・・・あぁ」/////////////
俺はこうも真正面からお礼を言われたことに対し気恥ずかしくなり、少々どもりながらも返答しておいた。
ユーノ「それで、今日の調子はどうなんだ?」
透「ん?あぁ、いやまぁ・・・・いつも通り良くも無く悪くも無くっと言った感じか、以前アイツ等に注意されてからというものの筋トレも出来んしな・・・・どこで見てるか分からんし・・・・こうしてお前まで来させているんだしな」
ユーノ「まぁそれもあるけどさ、友人として心配だった・・・・ていうのもあるんだけど、あの子の事もあるしさ」
そう言いながらユーノはヴィヴィオの方へと顔を向け、俺もユーノに釣られる様にヴィヴィオを見た。
するとヴィヴィオは俺が見たことにビビったのかグラシアさんの裾をより強く握り締めながらグラシアさんの後ろへと隠れた。
透「嫌われて・・・・・無い・・・よな?」
ユーノ「たぶんね・・・」アハハ
それから俺達は軽く談笑した、グランセニック妹は入って来た時よりも多少砕けた感じになり比較的話しやすくなっていた。
しかし気になったのはグラシアさんとシュテル達だった、何か積極的というか・・・迫ってくるというか・・・・。
グラシアさんと話していると、
カリム「うふふ、そんな他人行儀なこと言わずに、カリムって呼んでくれて結構ですよ?」
なんて言って熱い視線を寄せてきたり、シュテルはシュテルで俺と話すのはいいんだが、話しながらも何故か手が俺の下半身辺りにいく・・・・俺の予想が当たってたらだが、止めなさい!お前にはまだ早すぎる!
卑猥な事を言っているのは重々承知・・・・・ってだから手を置いて若干擦るなって言うてるじゃろ!?(実際言ってないけど)しかも微妙に恍惚とした顔になんなや!!
妙な行動に出ているシュテルをアイアンクローで黙らせていると病室の扉が開かれた、開けたのはこの医療院の看護師だった。
看護師「あのぉ~・・・・少々宜しいですか?」
カリム「ハイ、何ですか?」
看護師「それが、担当医が皆さんにお話があるとのことで呼びに来たんですけど」
ユーノ「話・・・・ですか?何だろう?」
カリム「もしかして、透さんの容態の事ですか?」
看護師「恐らくそうではないかと思うんですけど・・・・とにかくこちらへどうぞ」
ユーノ「あ、分かりました・・・・じゃぁ透、僕達ちょっと行ってくるから」
透「あぁ、分かった・・・・・俺の事なら気にするな」
シュテル「そうです、先生の事なら私達にお任せを・・・・しっかり護衛をしてみせます!(さわさわ)」////////////
と言いつつまたも俺の下半身辺りを撫で回すシュテル。
透「オメェは一体どこを護衛するつもりだ?あれか?もう一人の俺か?もう一人の透さんを護衛かゴラァ!分身じゃなくて本体護れや!」ベシッ!
卑猥に走って行くシュテルに俺は言葉的と物理的なツッコミをシュテルの後頭部にお見舞いしてやった・・・何で叱られていながら顔を赤くしてんだ?透さんちょっとお前の将来が心配なんだが・・・。
するとグラシアさんから異様なオーラのようなモノを感じ取った。
カリム「あらあら、シュテルちゃん・・・・あなたには『そういう』のはまだ早いんじゃないかしら?」ゴゴゴゴッ・・・・
シュテル「はて?早いとは一体何のことでしょうか?私にはさっぱりわかりませんね」
カリム「あら?言わないと分からないのかしら(その手を放しなさいこのクソガ○)」ゴゴゴゴッ・・・・
シュテル「私まだ子供なモンで(さっさと消えてくださいこのアバ○レ)」ゴゴゴゴッ・・・・
カリム シュテル「「・・・・・・・」」
カリム シュテル「「フフフフフ」」
怖い、この二人なんか怖いんだけど・・・・・・なんか沈黙した後にいきなり笑いあってるし・・・・・ていうか目が笑ってないし。
レヴィ「ねぇねぇ先生、この花萎れてるよ?」ゴロゴロ
俺の腹の上でゴロゴロと転がるレヴィ、確かにレヴィの言う通りで花弁が数枚落ちている・・・・最近見舞いに花は持ってきてなかったなぁ、水はやりかえてはいたが。
透「そうだな・・・・だったらシュテルと・・・そこにいるヴィヴィオ・・ちゃんを連れて、水を変えてきてくれや・・・・それでシュテルは頭冷やしてこいコノヤロー」
俺は何やら居心地が悪いのか単に緊張をしているのか分からんが、とにかく気まずいであろうヴィヴィオに気を紛らわせようと年の近いシュテル達と一緒に行かせて少しでも緊張を解してやろうと思った。
シュテルは若干拗ねながらちゃんと花瓶を持っていき、レヴィはヴィヴィオの手を取り一緒に病室を出て行った。
ユーノ達はシュテル達とほぼ同時に病室を出て行った。
ユーノ Side
僕らは呼びに来た看護師に連れられ廊下を歩いていた、その後ろではカリムさんが何やらブツブツと呟いているのが聞こえるんだけど・・・・ぶっちゃけ怖い。
しかしそんなことより僕が気になったのは僕達の行先だった。
ユーノ「あの、この階じゃないんですか?」
看護師「申し訳ありません、この階の既に別の医師が使う予定でして、別の階での話になりますので・・・申し訳ありませんがそちらまでご足労願います」
ユーノ「あ・・・・わかりました」
看護師の言うことに一応は納得しておいたけど、それでも気になった僕は念話でカリムさんに聞いてみた。
ユーノ『カリムさん、この人が言った事って本当なんでしょうか?』
カリム『ブツブツ・・・ぇぇえ?!何が!?』
ユーノ『(念話でもブツブツ言えるもんなの?)あの、いやだから、この看護師が言った事なんですけど、何か変じゃないですか?呼び出しておいて、こう歩かされて・・・・まるで僕らを透から遠ざけてるような』
カリム『・・・・・確かにそう感じなくもないけど、でもこの人が言った事もあり得ない話ではないわ・・・・・・でも・・・変ね』
ユーノ『何がです?』
カリム『今日透さんを担当している医師なんだけど・・・・』
カリム『今日は父の所に行ってて此処には来ないって父から聞いてたのよ』
Side out
シュテル Side
シュテル「剪定は済ませてますから、あとはビンの水を入れ替えて花を入れればいいだけです」
私とレヴィ、そしてヴィヴィオは一緒に近くの談話室に来ていた、備え付けられている水道で花の水をやり替えに来たからです。
レヴィは・・・・まぁ談話室に来たのはいいんですけど、先にいらしてた老人と意気投合し話しに夢中になって私達の事はそっちのけの状態と言った感じですね。
ただヴィヴィオは会ってからもずっと無言を貫いている状態、先生と会った時でも黙ったまま・・・いえ、何度か喋ろうと試みたんでしょうが周りに私達が居た為か緊張して中々喋ろうとはしませんでしたね。
私は古い花と新しい花をやり替えている時にチラッとヴィヴィオを見ましたが、やはり俯いてますね。
はぁ・・・・・仕方ありませんね。
シュテル「おや?剪定のし忘れが・・・・ハァ、これは少しかかりそうですね、スミマセンがヴィヴィオ」
ヴィヴィオ「な、何?」
シュテル「先生・・・・透にお花に時間がかかるから少し遅くなると伝えてもらえますか?」
ヴィヴィオ「あ・・・うん、わかった!」
タッタッタッと談話室を走って出ていくヴィヴィオ、そんなヴィヴィオを見送りながら私は花のやり替えと水のやり替えをチャッチャと済ませました。
シュテル「さてと」
レヴィ「あれぇ?もう終わったのにヴィヴィオ先行かせちゃったの?」
いつの間にやら老人たちとの会話を終わらせたレヴィが私の後ろに立っていました。
シュテル「えぇ、今ならヴィヴィオも先生とお話が出来るでしょうからね」
レヴィ「ふぅ~ん、そっか♪」
レヴィはニシシと笑ってはいますが・・・油断できませんね。
この様子だと先程のコミュニケーションも意識してやったわけでは無さそうですね・・・・・・というか普段と変わらない感じでしたが、レヴィは先生・・・・透に対して本当に恋心を持っているのか不思議ですね。
などと考えていると、廊下から大きな音が響いてきたのが聞こえました。私もレヴィもその音に驚き肩をビクッと震わせてしまいました。
レヴィ「な、何今の音?ビックリしたぁ」
シュテル「本当ですね・・・・音的に医療器具等が倒れた音でしたけど・・・・・・・・」
私にはそれ以外の音も交じっているように聞こえた気がしましたが、特に気には留めなかったので。
しかし、この後私はすぐにこの事を後悔する事になりました・・・・・何故すぐに先生の下へと向かわなかったのかと。
Side out
ヴィヴィオ Side
今ヴィヴィオ・・・・・『あの人』がいる所に行こうとしているの。
ヴィヴィオ「・・・・・・」
シュテルちゃんに言われてあの人に伝えないといけないんだけど・・・・・行けなかった。
何で?・・・・・・何でかな・・・・怖い?・・・そうかもしれない、でもなのはママとフェイトママは優しいって言ってた、優しいから怖くない怒らないって。
でも・・・・やっぱり怖い、それに・・・・・なのはママはあの人がヴィヴィオの『パパ』になる人って顔を真っ赤にして言ってたけど、何でか言えない。
入るの・・・・なんだか怖い・・・・でもお礼言わないと、あの人のお陰でヴィヴィオ悪い人から助けてもらったし・・・・・。
あ、そう言えばハルカってお姉さんが言ってたっけ?
ハルカ『ウジウジどうしようか迷ってるなら、一歩足を出してみなさい?』
そんな事言ってたっけ?足・・・・・・足・・・・。
ハルカお姉さんが言ってたことを思い出しながら足を出そうかどうかを迷いながらも、右足を前に出そうとした瞬間、あの人の病室の中から大きな音が聞こえてきた。
ヴィヴィオ「!」
その瞬間、私は走り出していた。今まで行こうかどうかを迷っていたのが嘘みたいで、なんの迷いなく走ってた・・・・。
私は急いであの人の病室を開けると、中にはあの人と知らない男の人が立っていた。
それだけなら誰だろ?と思うんだけど、そうは思わなかった・・・・。
知らない人の手に剣が握られてて、あの人がベッドから倒れていたから・・・・。
そして、私は咄嗟にこの言葉を言ってしまってた。
ヴィヴィオ「パパ!!」
Side out
ヴィヴィオが扉を開ける数分前
ユーノ達が出て行ってから少しして、俺はまた病室で一人になった。
つっても、ユーノ達はすぐに戻ってくるだろうからそれまで寝ておくことにした・・・・ちょうど眠かったし。
なので俺はベッドに潜り込み目を閉じた・・・・当然魔力を練ってないから感知はしていない、誰が来るのなんざ・・・わかってるし。
というか、さっきはシュテルに対してついうっかり銀さん風な感じのツッコミをしてしまったな・・・・・俺って銀さんもいける?
なんて考えながら寝ようとした瞬間、病室の扉が開いた音、そして俺の左側へと歩いてくる足音が聞こえてきた。
透「(やけに早いな・・・まぁどーせ、シュテル達が即行で終わらせて帰って来たんだろうさ、花に水やるだけだし)」
俺はそう思い、せっかく寝ようとしてはいたが、起きようと身体を起こした・・・・・が目の前にいたのはシュテルでもレヴィでも、ましてやあのヴィヴィオという子ではなかった。
榊「死ねゴミが」ブンッ
と持っていた剣を袈裟切りのように斜めに振り下ろしながら言い放つ榊の姿だった。
俺が榊と剣、この両方を認識した時には既に剣が俺の右肩に当たる寸前だった。
しかし俺は剣が当たる瞬間、もはや神憑り的とも言えるような回避行動を後方へととっていた・・・・まぁただ反射神経がいいだけなんだが。
そのお陰なのかバッサリ斬られる事は無く、榊とは反対の方向、つまり右の方へと転がり落ちた・・・・ただ流石に無傷とは言えず、咄嗟にガードしようとした所為か左腕を軽く斬られてしまった。
まぁ斬られた傷は大した事は無い・・・・が、問題は『上』ではなく『下』の方だった。
ドサッとベッドから落ちた瞬間、脚に激痛が走った。
当たり前だ、俺の両脚は疲労骨折やら複雑骨折とかで絶対安静にしていないといけない状態なのだ・・・・お陰で絶賛脂汗が出まくる出まくる。
しかし、そんな激痛に耐えながらポーカーフェイスで俺は斬りつけてきた相手を見た。
どっからそんな凶器を出したのか、榊の右手にはどこかで見た事があるような西洋の剣が握られていた・・・・いや、マジでどっかで見た事があるんだが。
榊「避けてんじゃねぇよ、ゴミモブ野郎」
セイバー『マスター!?何故無抵抗の彼に斬りかかったんですか!?』
あ、それ俺も聞きたいところだな・・・・・。
透「出来れば、俺も聞きたい所だが・・・・何故俺は斬られなければならん?(まさか、公安の指示でか?)」
榊「ああ゛?すっ呆けてんじゃねぇよ!!テメェがなのは達を騙してんのは分かってんだよ!?どこの馬の骨か知らねぇ野郎になのは達が靡(なび)くはずねぇだろ!!」
また・・・被害妄想・・・・いや、もはや被害妄想でもなくなったか?俺となのは達って恋人同士な・・・わけだしな。
セイバー『またそのような理由ですか!?いい加減そんな考えは御止めになったらどうなんです!?そのようなマスターのお考えで、一体どれだけの方々にご迷惑が!!』
榊「・・・おい、お前は俺のデバイスだろぉが?一体いつから俺に指図できるような立場になったんだ?あぁ??」
セイバー『主の行動が間違いだと判断したならば、諌めるのもデバイスとはいえインテリジェンスたる私の役目でもあります!!』
そうそう、もうちょっと言ってほしいねぇ・・・・そのまま言い続けてくれれば、這っていくにしても榊の死角を取るのは出来ん事ではないしな。
と、俺は壁にもたれながらも右手を杖替わりにしながら腰と尻を捻ったり突き出しながら右へ右へと徐々に移動していった、この調子ならば多少時間は掛かろうとも榊が気付く頃には腕の力を目一杯使い廊下に飛び出せばいいだけの事だ。
・・・・・・が、物事はそう上手く、そして簡単には運ばないモノだ。
バンッッと病室の扉が勢いよく開けられる・・・・開けたのは意外にもシュテル達と一緒に出て行ったヴィヴィオだった・・・・その表情は焦燥感に満ちていた。
そして開けたヴィヴィオは俺達を見た瞬間に言った言葉が。
ヴィヴィオ「パパ!!」
だった。
榊「・・・ヴィヴィオ・・・・・今・・・・パパって・・・」
自分のデバイス、セイバーと言い争っていた榊だったが突然の来訪者のヴィヴィオが出てきた事により、セイバーを無視しセイバーからヴィヴィオへと視線を移した。
榊「・・・そうかそうかぁ!俺の事パパって呼んでくれんのか?!子供にはやっぱ分かんだなぁ、誰がふさわしいのかってことがさぁ!」
おそらく、緋村の事を言っているんだろうな。
榊「さぁヴィヴィオ、こっちに来な?」
榊がヴィヴィオを受け止めようと両手を大きく広げる(てか剣どこやった?)、それと同時にヴィヴィオは病室に入り榊の下へ・・・・・・ではなく、榊の横を避けて俺の所まで走って抱き付いてきた。
透「え・・・え?ちょっ・・えぇ~」汗汗
俺の表情はきっと漫画で表すならば目が白く丸くなるというギャグタッチな感じになってるに違いない、ヴィヴィオの行動に俺は理解できず焦ってしまっているからだ。
だがヴィヴィオは俺を心配してなのか、俺の胸に顔を押し付けながら俺の病院着をギュッと握りしめていた。
その仕草を見ただけで俺のヴィヴィオへの動揺は無くなった・・・・が、別の焦りは未だ継続中な為、安心することが出来ずにいた。
榊「・・・・・」
そう、榊という存在だった。
未だ両手を広げている状態だったが、その後の榊がどういった行動に出るのかはすぐに予想出来ていた。
榊「・・・・・・・んの野郎~」
そう言いながらゆっくりとこちらに向いてくる榊、その手にはこれまたいつの間に出したのか分からない剣が握られていた。
緋村もだが、榊は未だなのは達が自分に惚れていると思っているに違いない。
当然この子・・・・ヴィヴィオも例外ではないと思っているはず、その子が自分(榊)ではなく俺の方へと向かい、剰え『パパ』というある意味では死の宣告を言ってきた。
それを聞いた榊たちはどう行動に出るか?簡単な事だ。
榊「ダサ男のくせになのは達だけじゃなく、俺のヴィヴィオにまで手ぇ出そうなんてなぁ!!!」ブンッ!
当然、俺を消そうと斬ってくるに違いないということだ。
自分の女や娘と思い込んでいる子でさえ俺に取られたと思い込んでいる時点で、これは誰でも簡単に予想できる。
ただ残念な事に、そこまで予想出来ても俺が焦る事に変わりない、何故なら俺の身体にしがみ付いているヴィヴィオの存在があるからだ。
透「馬っっ鹿じゃろ!!??」ガシッ!グルンッ!
俺は急いでヴィヴィオを片手で抱き、身体を反転させようとしたが何分ヴィヴィオを抱こうとする分、身体の反応は遅れる。
故に、榊の攻撃を軽減する事は出来ず、更には榊は俺が連れ去られるときに使用した剣を使用し、必殺技っぽいモノを放ってきた。
病室の窓と壁が破壊され、同時に俺とヴィヴィオは医療院の外へと投げ飛ばされた。
割と高い所からの落下なので鍛えているとはいえ背面での地面の激突は中々に来るものがある・・・・・・ちなみに落下の時、ヴィヴィオはちゃんと上に来るようにして守った。
透「ぐっ・・・・っつ・・・・肩を斬られたか」
榊の攻撃を避ける事が出来ず左肩を負傷してしまった俺、まぁ背中に傷が出来なくてよかったがな。
座りながら肩の具合を見ていると、胸の中にいるヴィヴィオがゆっくりと俺を見た。
ヴィヴィオ「・・・・・ヴィヴィオの「お前に所為ではない」で、でもヴィヴィオが来たからあの人が!」
透「確かにお前が来た時に奴は攻撃してきた・・・・が、お前が来たからというわけではない・・・アイツはお前が来ても来なくても、どの道俺を斬ろうとしていた」
ヴィヴィオ「・・・・・」
とは言ったが、それでもヴィヴィオは顔を伏せたまま落ち込んでしまっていた、そこで俺はふとこんなことを聞いてみた。
透「そう言えばさっき咄嗟ではあったが、俺の事をパパって言ったな?」
ヴィヴィオ「あっ」////////////
自分が言った事に恥ずかしさ戻ったんだろう、今度は別の意味で顔を伏せた。
その仕草に微笑ましくはあったが、今はそれどころではなかった・・・・・未だ榊が俺を狙っているのだから。
そうこうしているうちに、その榊が俺のいた病室から飛び降りてきた。
榊「チッ、屑のくせに中々しぶとい奴だぜ・・・・つーかいい加減ヴィヴィオから離れやがれ!!俺のヴィヴィオが穢れるじゃねぇか!?」
人を突き落す・・・・じゃないな、とにかくあんな高い所から落としておきながら詫びの一つもないのか・・・。
等と心の中で愚痴をしていると、榊のデバイスが大声を張り上げた。
セイバー『マスター!!一体何をしているのですか!?無抵抗の・・・しかも怪我人に剣を振る等と、殺すつもりですか!?』
榊「あぁ、殺すつもりでやったに決まってんだろ?俺のなのはや娘のヴィヴィオに手ぇ出しやがったんだ、死んで当然だろ?」
セイバー『マスター・・・・あなたはいつまでそのような自己中心的な考えをするんですか!?そんなことをして本当になのは達があなたに振り向くと御思いですか?!』
榊「・・・あ゛ーさっきからウルセェなぁ!セイバー、テメェ誰に向かって口聞いてんだ?たかだかデバイスのくせに・・・それにお前は所詮あの『セイバー』の人格を基にしただけの模造品なんだぞ?模造品が生意気なこと言ってんじゃねぇぞ?テメェなんかいなくても俺には『レアスキル』があるんだからな」
おー言うねぇ、確かにデバイスは『物』ではある・・・・が、それでも『ソイツ』はただのデバイスではないだろう。
まぁ俺が本人に言った所で聞く耳なんぞは持たんだろうさ。
セイバー『っ・・・・・・・~~~~~!!』
榊「さて、余計な奴と喋っちまったから時間食っちまったけど・・・・・オイそこのクズ野郎」
透「ん?」
榊「嫌がるヴィヴィオに、何抱き付いてんだゴラ!ヴィヴィオ、パパの所に来い!そいつから離れるんだ!」
ヴィヴィオ「やっ!!」ギュッ
榊の言葉に耳も貸さず、俺の胸に顔を押し付け病院着をギュッっと握りしめる。
榊「・・・・・テメェ、誰だか知らねぇが・・・俺のヴィヴィオに・・・・・・何吹き込みやがったんだぁぁぁぁ!!!」
娘になるはずだったヴィヴィオに見向きもされず、しかも俺がこの子といるもんだからか、榊は等々キレた。
榊「死ねよモブ野郎!!!!!」
さて・・・・またまた問題発生だ。
前の俺だったら『輪廻眼』で弾いたり、ガラスの破片で対処したり、蹴りで剣を弾くことが出来た。
だが、今の俺は能力をなのは達に貸したので使えない、『武器恐怖症』で武器の類も使えないし持てない、更には脚はギプスで動かせない・・・・合気道が出来れば苦労しなかったんだろうがな。
『写輪眼』すら発動出来ない今、まさに絶体絶命の大ピンチ・・・・本当に文字通りでだ。
しかも避けようにもヴィヴィオを抱えては余計に思うように動けはしない、動いてしまってはこの娘が怪我をしてしまう!?
・・・・・・ヤバい、マジでマズイぞこれは!!
そんな焦る俺にお構い無しに、榊は持っていた剣を”ビュンッ”!と俺目掛けて迫っていた。
ザンッ!!
あとがき
皆さん、遅くなりましたが・・・・新年、明けまして・・・・おめでとうございます!!!!!
いやぁ~とうとう2015年ですか、早いですねぇ・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・いや、分かってます、いくらなんでも開けすぎだということは・・・・・。
えっと・・・・・・・・すいまっせんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
正直に白状します!!動画見てたり、他の方々の作品を見てたりで長引きました!!!
出来れば言い訳をさせて頂ければ!色々と不調で中々話も纏まらず、以降の話の展開もどうすればいいのか迷ってしまい、こうなってしまいました!!
新年早々から本当に申し訳ないです、ですがこれからは頑張って投稿していこうと思っています!まったく投稿していないのに尚も応援してくださってるユーザーさんの為にも!!
さて、今回は主に透の話というわけですが、皆さんお気づきでしょうか?透の言葉が標準語になっていることを。
と言いましても、物語の中で透が言っているのでいいですかね?
それとこれもお気づきでしょうか?若干・・・というか1行なんですけど、少しだけ『銀魂』要素を入れたツッコミを取り入れてみたんですが・・・・・いかがでしょうか??
そして、サブタイトルにもありますように、とうとうここでヴィヴィオに『パパ』と呼ばれるようになりました!
しかし、その所為もあってか入院中に・・・あのクズ野郎の一人の榊に襲われてしまいましたね・・・・・自分で打っていてなんですが、腹が立ちまくりでした。
さて次回は!!透が襲われたことを聞いたなのは達、駆け付けてみるとそこには・・・・そして襲撃した奴はどうなったのか!?なのは達はどう行動するのか!!??
それでは皆さん、簡単ではありますが、次回をお楽しみに!!!
とまぁそれはそれとして、少し皆さんにご相談がありまして。
この『ダメ人間』なんですが・・・・あ、止めるとか他のサイトに移るとかじゃないですよ?
じゃなくて、今後の話なんですが、皆さんの賛否を窺いたいと思いまして・・・・・。
いえね?他の方々の作品も見させてもらってると先程も言いましたが、その中にR-18的な要素を入れられてる方々もいらっしゃって・・・・。
まず1つ目の相談です、この『ダメ人間』もエロ要素と言いますか、R-18的要素を入れるのに賛成な方や反対な方はいらっしゃいますかね??
というか、TINAMIさんはやっても大丈夫なんですかね?
そして2つ目は、この『ダメ人間』は今は『Strikers』ですが、終わったら『Vivid』をオリジナルの物語にしようかと思うのですが・・・・どうでしょうか?
ちなみに2に関してはオリジナルという風にしましたが、サブタイトル的には『劇場版』という風にしようかと思ってます・・・まぁ大体の話の構想は出来てはいるんですけどね。
厚かましいようですが、ご意見等がございましたらご遠慮なくコメントをしてください。
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第49話 義理と父親