No.753638

リリカルなのはZ 第五話 鉄の男の歌

たかbさん

第五話 鉄の男の歌

2015-01-25 17:00:40 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2659   閲覧ユーザー数:2486

 碇シンジは現在エヴァと呼ばれる巨大ロボットに乗ってグランツ研究所で模擬戦を行う事になっていた。

 彼の目の前には自衛隊が操縦するロボット。コクボウガー。

 それのプロトタイプと言われているグランツ研究所の工事用ロボット。ガンレオン。

 模擬戦会場となる周囲にはバリアが張られていてその向こう側にはグランツ研究所の体感ゲームを楽しみにしていた子ども達に加えて各国からの様々な機関、ネルフからの研究者達が今から行われる模擬戦を真剣な顔で眺めようとしていた。

 

 そう、眺めようとしていたのだ。

 

 『もげっ、もげもげっ、もげっ』『ウーワオッ!』

 

 目の前でうねうねと踊るガンレオンの姿を見るまでは・・・。

 

 自衛隊のロボット。コクボウガーの登場には『ガーディアン』と銘をうった歌が流れてきた。その歌は聞いているだけでも勇気が湧いてくる力強い歌だった。のだが、

 ガンレオンが模擬戦を行う場所に出てくると同時にノリの軽い音楽と共に現れた。

 そして女性の乳房をもげと訴える歌を歌いながらうねうねと踊るガンレオンに、その周囲で踊るチヴィット達。

呆気を取られるお偉いさん方。逆に笑顔を見せるちびっ子達。よく見れば、観戦席にいるいつもは無表情な綾波レイも両手をにぎにぎしている。

 そんなに愉快な少女だったっけ?

 自分は重体の彼女がエヴァに乗れないから代わりにエヴァに乗ると決意して乗り込んだのに・・・。

 というか、目の前のアレが本当に使徒と言う化け物を倒したロボットなのだろうか?

 

 

 ガンレオンは不思議な踊りをした。

 碇シンジのMPが吸い取られた。

 

 

 もちろんそんなはずはない。

 だが、その愉快な踊りのおかげでシンジは余計な力は抜けて、リラックス状態で模擬戦に挑むことが出来るのであった。

 

 

 フェイト視点。

 

 「・・・残念ですけど、アレからオーバーSクラスの魔力を感知しました」

 

 「・・・ああ、やっぱりそうなんだ」

 

 観戦席の方でロボット同士の模擬戦を見て、自分達の脅威になり得るガンレオンのデータを取ろうとしていたフェイト執務官は、サポートのエキスパートであるシャマルから聞かされた情報に落ち込んだ。

 自分達の攻撃がまるで通らない化物のバリアを打ち破り、高出力の光線を受け止め、怪物を粉砕した存在と思いたくはなかった。

 しかし、現実と言うのは非常である。

 模擬戦会場のど真ん中からせり上がってくる時に感じた魔力は自分達をここまで連れて来た男性の魔力。そして、まったくと言っていいほど同質の魔力を持ったアリシアの魔力が感じ取れた。

 十中八九、あのロボットにはあの二人がいると考えていいだろう。

 そう、あのふざけた踊りをしているロボットに。

 

 「・・・しかし、上手い事を考えたものですね」

 

 「どういうことですかシグナムさん?」

 

 自分の隣ではお腹を押さえ、大笑いするのを必死にこらえている自分の主をよそに守護騎士の長であるシグナムは、そんな不思議な踊りをするガンレオンを見て感心したかのように頷いていた。

 そんな彼女に疑問を持ったなのはは質問をぶつける。

 

 「ふむ。そうだな。…テスタロッサ。高町。お前達から見てアレをどう思う?」

 

 「アレですか?」

 

 アレとはもちろんガンレオンの事である。

 チヴィット達に囲まれながら踊る鋼鉄の獅子を見ているとはやてほどではないが笑いがこみあげてくるなのははすぐに視線を逸らす。

 

 「その、ちょっと・・・。面白いロボットかな?」

 

 「歌っている歌は、その、エッチぃけど…」

 

 二人の答えを聞いてシグナムは再び頷く。

 

 「だろうな。…アレを見て脅威だと考えるか」

 

 「「いえ、まったく」」

 

 二人の答えはまったく同じだった。

 つまり、

 

 「あれは平和の使者なのだろう。『我々はあなた達の敵ではない』もしくはアレを見ている者達に対して『敵対の意志は無い』と体で表現しているのだろう」

 

 使者は槍を持たない。

 闇の書事件の時にヴィータが言っていた言葉だ。

 ガンレオンの武装。というか、武器は全てが工具であり、大型の設備器具である。

 使徒を撃退したのはその時に持っていた器具だと説明をしていた。

 

 「まあ、確かにアレを見たら戦いの道具だなんて思わないわな」

 

 ヴィータは呆れたような表情で不思議な踊りをしているガンレオンを見る。

 一度はその戦闘能力を一度見たとはいえ、アレを見ていると戦力が萎える。

 

 「ですが、同時に別の脅威も感じます」

 

 ヴィータの発言に続くように子犬モードで待機していたザフィーラが続く。

 

 「脅威?アレから?」

 

 「あれはいわば巨大な鎧。それなのにあのように滑らかな動きをするという事はそれだけあのロボットが精密な動きを見せ、また、その開発に携わった技術士、操者の技術があるという事です」

 

 「まあ、あれだけうねうね動いていたらそうなるわなぁ」

 

 お腹を押さえていたはやてはザフィーラの言葉を聞いて頷くが、再びお腹を押さえる。

 

 「あかんっ、やっぱあかんわっ。この歌!あはははははは!」

 

 『チッチチ、オパーイ、サンカクオパーイ、バズーカボイン~♪』

 

 再びお腹を押さえて笑い出すはやて。

 思春期を迎えた御嬢さん方には恥ずかしいだろう歌だが、身内に日常的なセクハラをしているはやての琴線にヒットした歌は彼女を楽しませる。

 それは、沖縄で住む家を無くしたり、家族を失った子ども達の顔にも笑顔を取り戻させる歌。

 傷だらけの獅子曰く、フィクション、ノンフィクション問わず最高のエンターテイナーの歌だと豪語するその歌は会場にいた子ども達全員を笑顔にしていた。

 それでも小さい子どもが聴くには教育上問題があると思ったシャマルは生まれたての守護騎士の事を気にかけていると・・・。

 

 「・・・てぇっ、リインちゃんが一緒に踊っています?!」

 

 「ほ、本当だ!リイン戻ってきてぇえー!」

 

 ガンレオンの周りで踊っているチヴィットに紛れて初代リインフォースの後継機。

 ユニゾンデバイスのリインフォース・ツヴァイの姿を見つけたシャマルはなのはや他の者達と一緒に彼女に戻ってくるようにメッセージを送るのであった。

 

 

 なのは達が研究所に訪れる少し前。

 

 高志「ガンレオンの登場する音楽はこれでいいと思う」

 

 関係者「OK!」

 

 高志「止めてもいいんだぞ?!」

 

 みたいなやりとりがグランツ研究所で行われていたりした。

 グランツさんは誰が聴いても笑顔になれそうなこの歌を気にいっています。

 

 


 
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