No.749081

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅15

Seigouさん

悵恨の修羅

2015-01-05 15:23:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6979   閲覧ユーザー数:4824

天和「・・・・・影和ちゃん、大丈夫かな?」

 

地和「うん、天の御遣いと会えたとかな?」

 

人和「あれから三日・・・・・天の御遣いと会っていたとしてももう暫くかかるわね」

 

三人は黄巾党を泰山にまで後退させ、ここで英気を養っていた

 

地和「まさか、裏切ったりしてないわよね?ちぃ達の事を諸侯に喋っちゃっていたりとか!」

 

天和「え~~~~!!?それじゃあ何もかもお終いじゃん!!」

 

人和「大丈夫、敵の手中に落ちていない限り、彼女に限ってそんな事は・・・・・」

 

無いと言い切れるわけではない、なにせ人というのは分からないものだ

 

その時、天幕に一人の黄巾党員が入ってきた

 

「申し上げます!!ただいま波才様がお戻りになられました!!」

 

天和「良かったぁ~~~~」

 

地和「ええ、これで一息つけるわ・・・・・」

 

人和「随分と早いわね・・・・・ご苦労様です、波才さんは人をお連れですか?」

 

「はい、外套を被った背の高い人物です」

 

人和「その人は、大切な客人です、粗相の無い様に・・・・・それと人払いをお願いします、とても大切なお話がありますので」

 

「分かりました!」

 

そして、黄巾党員は天幕から出ていき、それと入れ替わるようにして影和と外套を被った人物が入ってきた

 

天和「ご苦労様~、影和ちゃ~~~ん!」

 

地和「帰ってこないかと心配しちゃったよ~!」

 

人和「随分と早かったみたいですけど・・・・・」

 

影和「はい、一刀さんの馬が凄く速くて、あっという間に着いてしまいました♪」

 

人和「・・・・・あなたが、天の御遣い北郷一刀さんですか?」

 

そう問われ、外套を降ろしながら一刀は答える

 

一刀「・・・・・ああ、北郷一刀は俺だ」

 

天和「わぁ~~~、結構かっこいいね♪」

 

地和「ふ~~~ん、これなら及第点はあげてもいいわね♪」

 

一刀「(なるほど、影和の言っていた事は本当だったか・・・・・しかし、皆どうしてこんなありえない服を着ているんだ?)」

 

目の前にしている三人の女性が来ている服は、二千年も前の三国志の時代ではあるはずのないものだ

 

今まで出会って来た武将達も同じようにありえない服装をしていた

 

ネクタイ、スパッツ、ニーソックス、ビキニ、パンスト、ハイヒール、Gパン、極め付けは眼鏡をかけている人物までいる始末だ

 

どう考えても現代ファッションが混同しているこの世界は、本当に二千年前の三国志の世界なのか疑う

 

しかし、実際に黄巾党の乱が起き数えきれないほどの犠牲者が出ているのだ、何とかしなければならない

 

一刀「君達が、張角に張宝に張梁か?」

 

天和「うん、その名前あまり好きじゃないけど、私が張角だよ」

 

地和「ちぃが、張宝よ」

 

人和「私が、張梁です・・・・・天の御遣い様、そこの波才からうかがっていると思いますが」

 

一刀「ああ、事情は聞いているし、匿ってくれる所を探している事も聞いている・・・・・全て引き受けた」

 

天和「ほっ、よかったぁ~~~」

 

地和「話の分かる人物で助かったわぁ~~~」

 

人和「ありがとうございます、本当に感謝のしようもありません」

 

一刀「その前に、幾つか質問がある」

 

人和「はい、なんでしょうか?」

 

一刀「影和から聞いているけど、君達は旅芸人らしいな?」

 

人和「はい、それが何か?」

 

一刀「影和は、君達の歌に希望を見出したと言っていたけど、どういう事なんだ?」

 

天和「希望だなんてぇ~~、照れちゃうなぁ~~~/////////」

 

地和「ふふ~~~ん♪ちぃ達はこの大陸一の歌姫なんだから♪」

 

人和「それを目指している段階だけどね」

 

地和「そこ!!それを言わない!!」

 

一刀「・・・・・それじゃあ、一回ここで歌ってみてくれないか?」

 

天和「え、なんで?」

 

一刀「本当に君達が黄巾党に希望を与えていたのか気になる、俺は確たる証拠が見たいんだ」

 

地和「ちぃ達の歌を独り占めするなんて、高いわよ♪」

 

人和「姉さん、そんな事言わない・・・・・それで納得してくれるのでしたら、喜んでやります」

 

そして、三人は一刀と影和の前で歌いだす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・なぁ、大丈夫なのか?天和ちゃん達」

 

「まあ、人和ちゃんが大切な客人と言っているくらいだから、大丈夫とは思うけど・・・・・」

 

人払いをしたとはいっても、やはり気になり遠くから彼女達が入っている天幕を見ている黄巾党員達

 

その時

 

♪♪♪♪~~~~~~

 

「あ、天和ちゃん達が歌ってる♪」

 

「ああ・・・・・やっぱり人和ちゃん達の歌は良いな♪」

 

「地和ちゃん、僕を踏んで♪/////////」

 

「ほわ~~~~~♪ほわ~~~~~♪」

 

突然聞こえてきた彼女達の明るい歌声に黄巾党達は、一斉に歓喜の声を上げるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天和「♪~~~~~・・・・・はい、これで終り♪」

 

地和「ふふ~~~ん♪ちぃ達の実力を思い知ったかしら♪」

 

人和「姉さん、それはこの人が決める事よ」

 

影和「凄く良かったです♪やっぱり天和様達の歌は最高です♪」

 

一刀「・・・・・なるほどな」

 

今彼女達が歌ったそれは、現代音楽と大差無いものだ

 

振り付けもこの時代のものとは思えないくらい洗練されていた

 

確かにこれなら影和が希望を見出したというのも納得できる

 

しかし、彼女達が魅力的なのは分かるが、ただ歌が上手く、踊りが上手いだけで、これだけの人数が集まるものなのか?

 

何か一つ欠けている気がする、これだけの人数を集められる、宣伝効果的要素が

 

一刀「・・・・・なぁ、君達は本当に歌を歌っていただけだったのか?」

 

天和「え、そうだけど、どうして?」

 

一刀「何か他に特殊な事をしていなかったか?」

 

人和「特殊な事ですか?」

 

一刀「ああ、何か人集めをする為の宣伝活動みたいな事を」

 

人和「・・・・・いえ、私達は歌を歌いながら各地を転々としていただけですので、特には」

 

地和「あ、もしかしてこれの事かしら?」

 

そして、地和は荷物の中から一冊の本を取り出した

 

影和「それは何ですか?」

 

地和「なんでも、太平・・・・・っ!!?ちょっと、なにするのよ!!?」

 

言葉の途中で地和はその本を一刀に取り上げられた

 

一刀「太平要術・・・・・この妖術書で何をしたんだ!!?」

 

両手で本を握りしめ、血相を変えて質問する一刀

 

地和「こ、声を遠くに響かせる術を使っただけよ・・・・・」

 

一刀「本当にそれだけか、それだけなのか!!?」

 

地和「そうよ!ちぃの言う事が信じられないっていうの!?」

 

一刀「一体何処でこいつを手に入れたんだ!!?」

 

天和「そんな怒鳴らないでよー!!・・・・・人和ちゃん、何処だったっけ?」

 

人和「あれは確か・・・・・陳留の古城だったわね、そこで私達の支援者になってくれた三人から受け取ったわ」

 

一刀「・・・・・なんてこった」

 

手で額を抑え項垂れる一刀

 

という事は、かつて自分と華琳達が攻めたあの廃城にこの三人がいたという事である

 

自身が放った氣弾による火災で太平要術は燃え尽きたと思っていたが、憶測でスルーするべきではなかったのだ

 

あの時、徹底的に砦内部を捜索し天和達の事を見つけていれば、こんな事にならずに済んだのである

 

一刀「~~~~~~~っっ!!!」

 

悔しさの余り、歯にヒビが入るかもしれない力で食いしばる

 

一刀「はぁ~~~~~~・・・・・話は分かった、匿うにしてもこちらもいくつか条件を出さないといけないのは分かっているな」

 

人和「分かっています、それくらいは覚悟しています」

 

一刀「一つは、この太平要術は俺が預かる、二つは、黄巾党の速やかな武装解除及び、郷里への帰還、そして三つ目に、君達はこれからは名を捨ててもらう」

 

天和「え!!?それってどういう事なの!!?」

 

人和「つまり、張角、張宝、張梁の名を捨てろという事ですね」

 

影和「私も波才の名を捨てるんですか?」

 

一刀「そうだ、そのまま名乗っていたらこちらも匿う事は出来ないからな、これからは張三姉妹と波才は死んだことにして、真名だけで暮らすんだ」

 

天和「それくらいだったら別にいいよ、元々好きな名前じゃなかったし、捨てて困るものじゃないし」

 

一刀「そして最後に、幽州に戻ったら暫く四人には潜伏してもらう、そしてその後は再び歌手として活動してもらう」

 

天和「え!?歌っていいの?やった~~~♪」

 

地和「ていうか、破格の条件よ♪こちらから頼みたいくらいだわ♪」

 

影和「話の分かるお人で本当に助かりましたね♪」

 

天和「うん、本当に連れて来てくれてありがと~~♪影和ちゃ~~~~ん♪」

 

人和「ええ、冷静な人で良かったわ」

 

天の御遣いの噂は人を決して殺さなく懐が空のように広い、主にこの二つである

 

噂通りに懐の深い一刀に安堵する4人だったが

 

一刀「何言ってやがる・・・・・怒り心頭に決まってんだろうが!!!!!」

 

「ビクッッッッ!!!!」

 

いきなりの一刀の怒声に4人は背筋を強張らせる

 

一刀「お前達の身勝手な行いのせいで、どれだけの尊い命が失われたと思っているんだ!!!おまけにこんな危ない本まで使って滅茶苦茶な事しやがって!!!どんなに歌が上手かろうが、それを凶器に使うなんて言語道断だ!!!一体どれだけの人達に迷惑を掛けたと思っているんだ!!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「本来なら、今すぐにでもお前らを張り倒してやりたい所だ!!だがそんな事をしても無意味だ、どんなに悔やんでも死んだ人間は蘇りはしない、多くの可能性、人生は戻って来ない!!俺の怒りをここで爆発させたところで、無駄な犠牲を増やすだけだと分かっているからだ!!・・・・・だけど悔しいんだよ、情けないんだよ、こういった事が起こるのが分かっていたのに未然に防ぐ事が出来なかった自分が・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

そして、それとは打って変わって本当に悔しそうに涙を流す一刀に4人は何も言えなかった

 

「人和様!!!なんですか、今の声は!!!?」

 

そして、一刀の怒声を聞いた黄巾党が天幕に入ってくる

 

人和「いいえ、なんでもありません!」

 

「何でもないはずがないでしょう!!まさかこいつが!!?」

 

人和「何でもないと言っているのです!!お下がりなさい!!」

 

「・・・・・はい、失礼しました」

 

人和に一喝されその黄巾党員は天幕を出て行った

 

一刀「・・・・・だから、お前達には責任を取ってもらう、お前達の歌で人々に希望を与え続けてもらう、お前達が死なせた人々の数十倍、数百倍の人々をお前達の歌で幸せにするんだ、それがお前達が殺した人々へのせめてもの償いだ」

 

そう、責任というものは、何も土下座や切腹をし過ちを犯した自分を厳しく罰すれば果たされるのでは無い

 

また、不祥事を起こした企業や政治家のように、テレビで謝罪会見を行って減俸や退職を受け入れる事でもない

 

責任を取るという事は、端的に言えば、失敗から学ぶという事である

 

過ちが起きた経緯、その原因、それによって被った損害、解決に向かっているか否かの現状、最善の対策、損害に対する賠償

 

自分が犯した過ちに関する全てを把握し、検討し、反省する

 

そして、二度と同じお過ちを犯さないようにし、過ちを正す為に全力を注ぐ

 

これは、ただ謝罪して罰を受け入れる事よりはるかに地道で苦しい作業なのだ

 

しかし、責任を取るという行為はその中にしかない、それがなければ、どんな罰も謝罪も単なるパフォーマンスと自己満足に終わってしまうのだ

 

「・・・・・・・・・・」

 

三姉妹に言って聞かせている間中、一刀は大粒の泪を流していた

 

一刀のこの泪は、今回死んでしまった者達に対する悲しみと苦悩に満ちた本物のそれだった

 

人和「・・・・・良かったです、北郷さんの本当の気持ちが聞けて」

 

天和「人和ちゃん・・・・・」

 

人和「北郷さん、私は人和と申します、以後宜しくお願いします」

 

天和「・・・・・私は、天和だよ~」

 

地和「・・・・・ちぃは、地和・・・・・呼んでいいわ」

 

影和「改めて私も・・・・・影和です」

 

一刀「俺は北郷一刀、真名が無いから北郷か一刀と呼んでくれ・・・・・ここに各諸侯が迫って来ている、すぐに黄巾党を解散させてくれ」

 

人和「分かりました、一刀さん!」

 

天和「うん、皆を説得してくるね♪」

 

地和「皆ちぃの僕ですもの、すぐにでも言う事聞くわ♪」

 

影和「私もお手伝いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、こちらは官軍及び、各諸侯の軍勢

 

 

 

風鈴「何進大将軍様、黄巾党はこの先の泰山の麓に布陣しているようです」

 

楼杏「はい、偵察の兵によりますと、あと2日で到着する模様です」

 

傾「よ~~~し・・・・・栄誉ある官軍の猛者達よ!!!黄巾党と名乗る反逆者共は我らの力に怯え泰山まで後退した!!!今こそ好機、我ら漢の威光に楯突いた愚か者共に正義の鉄槌を下せ!!!反旗を翻した事を死ぬほど後悔させてやろうではないか!!!」

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

と、半ば空回り的な声を上げる官軍

 

ついこないだまでやられっ放しだった者達とは思えない態度の違いである

 

後退させたのは九割九分董卓軍の力によるもので、しかも偵察に行っていたのは他の諸侯の兵であるのにそれをあたかも自分達が入手した情報のような言い回しである

 

外から見ればカッコ悪い事この上ないが、本人達からしてみれば各諸侯は自分達の手足同然なので何も問題なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

季衣「ちょっと何だよアイツ等!!僕達が教えてあげた情報をまるで自分達で手に入れたみたいに言ってるよ!!?」

 

桂花「いつもの事よ」

 

麗春「ああ、あ奴らの頭には過去の漢王朝の威光しかない、私達のやっていることなど眼中にないのだろう」

 

荀家も司馬家も漢の中央とはそれなりの繋がりがある為、今の王朝の体質というものを理解いしていた

 

季衣「う~~~、どうしてこの国で一番偉い軍隊があんな事になってるんだよ~~・・・・・」

 

流琉「あんなんじゃ、たとえ黄巾党を倒しても意味ないよ・・・・・」

 

華琳「これでは、近いうちに漢王朝は自滅するわね・・・・・それで桂花、他に黄巾党の情報はないの?」

 

桂花「はっ、斥候の進言によりますと、なんでも・・・・・最後の舞台だよ~、とか言いながら歌い踊って、黄巾党もほわ~~~~とか奇声を上げていたらしいです」

 

華琳「なによそれ、まるで訳がわからないわね・・・・・」

 

綾香「何かの儀式でしょうか?噂によりますと、なんでも張三姉妹は妖術を使うとか・・・・・」

 

華琳「それが本当ならますますほっとく訳にはいかないわね・・・・・風、稟、騎馬隊の編成は整っているわね」

 

風「はい~」

 

稟「いつでも行けます」

 

華琳「よし、接敵次第各員一斉に攻撃、黄色い蝗共を根絶やしにしなさい!!!」

 

「「「「「御意!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥琳「・・・・・そうか、黄巾党は泰山の麓に陣を敷いているのか」

 

明命「はい、かなりの人数がいましたので内側に入る事は出来ませんでした」

 

鴎「でも、何か変なんです、全員が大騒ぎしてて、何か・・・・・歌のようなものが聞こえて来たんです」

 

思春「なんだそれは?」

 

蓮華「ええ、それでは分からないわ、詳しく説明して頂戴」

 

明命「すみません、これ以上は・・・・・」

 

鴎「はい、内側に入り込めなかったので・・・・・」

 

粋怜「それはそれでいけど、奴らは泰山の麓に陣取っている事は間違いないのね」

 

明命「はい、間違いありません」

 

鴎「確かにこの目で確認しました」

 

粋怜「よし、それならいいわ・・・・・大殿」

 

炎蓮「うっしゃ!・・・・・いいかお前ら、もうすぐ目の前に丸々太った黄色い羊共が現れるぞ!!!美味そうだろ、腹減ってるだろ!!!テメーらは狩人だ、血に飢えた狼だ!!!食い散らかせ、泣かせろ、お前らの溢れんばかりの獰猛さを奴らに見せつけてやれ!!!」

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」

 

この滅茶苦茶な大号令と共に孫堅軍の士気は一挙に高まる

 

粋怜「大殿・・・・・もうちょっと綺麗な言葉使いを知らないの?」

 

蓮華「そうです!もっとこう・・・・・正義の様なものを含ませて・・・・・」

 

炎蓮「はぁ?何言ってんだ?人ぶっ殺すのに綺麗も汚いも正義も悪もねえだろうが」

 

穏「いやそうかもしれませんけど、私達の風評に影響が出るんですって~~!」

 

炎蓮「ったくどいつもこいつも面倒だなぁ、戦ってのはもっと単純なものなんだぜぇ」

 

雪蓮「ま、母様らしいけどね・・・・・」

 

冥琳「このお方は、昔からちっとも変わっておられませんな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽「あうううう、七乃ぉ、巴ぇ、妾はやっぱり孫堅が怖いのじゃ~~~」

 

先ほどの炎蓮の大号令に美羽はすっかり及び腰になっていた

 

巴「大丈夫です美羽様、他人にどう思われようとも、美羽様は私が必ずお守りします」

 

七乃「ううううぅ~~~、巴さんはいいですねぇ~~、私は今にも逃げ出したいのにぃ~~・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「お~~~~っほっほっほっほ♪さあ皆さん、いつまでも何進将軍に後れを取る訳にはまいりませんわよ♪袁家の威光を世に知らしめ、私が大将軍になって見せますわ~~~~♪」

 

斗詩「大声でそんな事言わないで下さい、麗羽様~~!!何進大将軍様に聞かれたら大将軍になるどころか袁家は破滅です~~!!」

 

真直「あ~~~もうっ!!!また独断専行で突っ走って!!!後ろで大人しくしていて下さいってば~~~~!!!」

 

猪々子「なぁ悠姉、姫が大将軍になったらどうなると思う?」

 

悠「さぁな、面白い事になるとは思うがな♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・・ねぇ、白蓮ちゃん、こんなにゆっくりで大丈夫なの?」

 

白蓮「ああ、一刀がゆっくり軍を進めるようにって言っていたからな」

 

劉備軍と公孫軍は各諸侯の軍勢のはるか後方で足踏みをしているかのような遅い進軍をしていた

 

愛紗「いったいあのお方は何をしようとしているのですか?」

 

星「今頃は、黄巾党を説得しているのであろう」

 

朱里「あれほどの大規模な軍団に生半可な説得は通じないと思います」

 

雛里「はい、下手をすればその場で殺されてしまう可能性の方が大きいです」

 

鈴々「でも、お兄ちゃんならやれる気がするのだ♪」

 

美花「はい~♪出来るとしたらあのお方以外ありえませんね♪」

 

菖蒲「でも、心配です・・・・・」

 

雫「そうですね、敵の罠である可能性も捨てきれませんのに・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、泰山の麓に付く各諸侯達だったが

 

 

 

傾「・・・・・どういう事だ?」

 

楼杏「ええ、黄巾党など何処にもいないじゃないですか」

 

そう、そこにはあの忌々しい黄巾党の象徴である黄色い頭巾が一つもなかったのである

 

それどころか、人一人居なかったのだ

 

風鈴「あの曹操さん、ここで間違いないんですよね?」

 

華琳「ええ、斥候の報告ではそう聞いています・・・・・桂花、それで間違いないわよね?」

 

桂花「はい、そのはずです・・・・・」

 

麗春「という事は、斥候が戻ってくる間に黄巾党は何処かに移動したとみるべきだな」

 

傾「ならば全軍を上げて捜索だ・・・・・見つけ次第殺せ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

大将軍の命令通り泰山一帯が捜索されるが

 

明命「駄目です、何処にも見当たりません」

 

鴎「こちらも見当たりません!」

 

炎蓮「ふむ、どこ行ったんだあいつら?これじゃあせっかく兵を鼓舞した意味が無いじゃないか」

 

粋怜「ええ、振り上げた拳を振るう場所が無いと困るわ・・・・・」

 

麗羽「きっと皆さん、この袁本初に恐れをなして逃げ出したのですわ♪当然ですわね、袁家の存在を知らない者などこの大陸には居ないのですから、お~~~っほっほっほっほっほ♪」

 

真直「そんなはず無いと思うけど・・・・・」

 

斗詩「うん、絶対に裏があるはずだよ・・・・・」

 

猪々子「まあいいんじゃね?いなくなっちまったもんはしょうがないし、楽だし♪」

 

悠「あたしとしては出て来て欲しいもんだ、これじゃあ不完全燃焼もいいところだ」

 

思春「報告!黄巾党の本陣らしきものを発見しました!」

 

炎蓮「おお!!見つけたか!!よっしゃ、今すぐ飛んで行って張三姉妹の首をあげてやるぜ!!」

 

思春「あの、まだ続きがありまして・・・・・」

 

粋怜「なに?どうしたの?」

 

思春「はっ・・・・・どうやら本陣は、火を放たれたらしく、完全に灰となっていました・・・・・」

 

蓮華「なんですって!?」

 

雪蓮「見つけた時には、既に燃え尽きていたの?」

 

思春「はい、陣内には誰一人いませんでした」

 

そして、黄巾党の本陣を捜索する諸侯だったが、思春の言った通りそこにはすでに燃え尽きた陣だけがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「う~~~~ん、もしかして一刀の奴、説得出来たのかな?」

 

美花「もしそうなら、凄い事ですね~♪」

 

桃香「でも、張角さん達、死んじゃったのかな・・・・・」

 

かなり遅れて到着した公孫軍、及び劉備軍も情報を入手して戸惑っていた

 

その時

 

一刀「よう、皆」

 

菖蒲「あ!一刀様!」

 

森の茂みから後ろに外套を被った4人を引き連れた一刀が現れる

 

凪「良かったです、ご無事で!」

 

沙和「一刀さん、後ろの人は誰なの~?」

 

一刀「ああ、黄巾党に捕まった人達だ、俺が保護する事にした」

 

真桜「そうなんかいな・・・・・んで一刀はん、黄巾党はどないなったんや?」

 

一刀「黄巾党なら、もうこの世にはいないよ」

 

愛紗「な、なんですって!?」

 

桃香「張角さん達はどうなったの!!?」

 

一刀「俺も一度は、張三姉妹と会った、彼女達は俺の説得に応じて黄巾党を解散させたまでは良かったんだけど、その後今回の騒動を起こした責任を取って、本陣に火を放って自決した」

 

桃香「・・・・・そうなんだ」

 

一刀「俺も止めたんだが、言っても聞かなくてな・・・・・」

 

鶸「そう、ですか・・・・・」

 

蒼「でも良かったじゃん♪これで黄巾党は滅んだわけだし、めでたしめでたしだよ♪」

 

一刀の後ろにいる4人は、外套によって顔が見えないが、雰囲気が少しだけ沈んでいるように見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、各諸侯は黄巾党の捜索を続行したが、結局一人も見つける事が出来ず悪戯に時間が過ぎていくだけだったので、捜索を打ち切り洛陽に戻って来た

 

 

 

その行軍は決して足取りの良いそれではなかった

 

なにせ、黄巾党の乱による目立った功を誰も得る事が出来なかったのである

 

唯一有頂天だったのが、傾と麗羽だったのは言うまでもない

 

そして、諸侯は洛陽の郊外に戻って来た

 

 

傾「よし、ご苦労だった諸君、これにて解散、各自これまで通り各々の領地を治めよ!!!」

 

「!!!???」

 

諸侯は、いきなり何を言い出すんだ、という顔をしていた

 

こっちは漢王朝の狼狽ぶりに散々に振り回され、おまけにその尻拭いまでさせられたのだ

 

目立った功績を誰も上げていないとはいえ黄巾党による物的被害や人的被害、そして今回の行軍の出費を考えれば、地位昇進の一つもなければ余りに釣り合いが取れない

 

信賞必罰という政の基本も忘れた王朝の態度に各諸侯は流石に頭に血が上っていた

 

その時

 

黄「何進大将軍、それでは余りにあんまりですわ、ここまで来て下さった人達に労いの一つも与えないなど」

 

洛陽から、十常時の一人、趙忠が現れるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも皆さん、明けましておめでとうございます、Seigouです

 

だいぶ間が空いてしまい申し訳ありません、それにはいろいろと事情があります

 

この度、前の阿修羅伝11を投稿させていただいて暫くして、自分の使っていたノートパソコンが・・・・・とうとうご臨終いたしました

 

普通にネットを見ていたら、いきなり画面がプツンとブラックアウトし、その後はうんともすんともいわなくなりました

 

小説のデータはUSBメモリーにコピーしてありましたので小説そのものに被害は微塵もありませんでしたが、執筆する為のPCが無い以上どうする事も出来ませんでした

 

おかげで正月休みは一文字も進める事が出来ず、新しいPCを購入するまでは我慢するしかありませんでした

 

こういった想定外の事態が起こってしまうのは仕方ないと言えば仕方ないんですが、自分の戯曲を楽しみにして下さっている皆様には大変申し訳ないとしか言いようがありません

 

遅れを取り戻す為にも執筆速度を上げていきたいものです

 

さて、この鎮魂の修羅と阿修羅伝なんですが、自分の目標としては今年中に完結させたいものですね

 

あまり長引かせても意味はありませんし、ぱぱぱっと書き終えて自分も次のステップに行きたいですから・・・・・待て!!!次回!!!


 
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