桃香「・・・・・愛紗ちゃん達大丈夫かな?」
蓮華「姉様も無事だといいけど・・・・・」
華琳「あれから2日経つわね、あれだけの戦力でよかったのかしら?」
零「ええ、殆んど左慈と于吉の言いなりで編成してしまいましたし、もしかしたらあの二人の罠という可能性も捨てきれませんしね」
桂花「そうね、こっちの戦力の大部分を投入してしまったから、この天角は手薄という事になってしまうわ」
亞莎「しかし、それならもうとっくに攻め込まれていてもおかしくないのではありませんか?」
風「そうですね~、あの人達の力ならこの二日間でいくらでもこちらに手を出す事は可能でしょうし~」
朱里「はい、それなのに何も起きないという事は、少なくとも彼らは私達の敵ではないという事になりますね」
稟「もちろん、皆さんが帰って来るまで分かりませんから気は抜けません」
詠「ええ、念の為にこの天角の兵を警戒に当たらせているから大丈夫とは思うけど」
雫「柊さん、雛罌粟さん、杏奈さんの容体はいかがですか?」
柊「・・・・・正直、芳しくないです」
雛罌粟「はい、気付け薬も効果がありませんし、華佗先生が帰って来てくれないと、お手上げです・・・・・」
左慈達の思惑が読めず、疑心暗鬼に陥る一同だったが
徐栄「申し上げます!!皆々様方がご帰還なされました!!全員ご無事です!!」
桃香「ほっ、よかったぁ~~~・・・・・」
蓮華「ええ、これでようやく肩の荷が下りたわ・・・・・」
華琳「それで、あいつは捕まえたの?」
徐栄「はっ!どうやら捕らえた模様です!」
蓮華「そう、どうやら取り越し苦労だったようね」
桃香「はい♪皆さん無事みたいですし、良かったです♪」
しかし、安堵に浸るのも束の間
冥琳「いいな、丁重に扱え!!!傷付ける事は私が許さん!!!」
穏「?・・・・・これは冥琳様の声ですね~」
雛里「何かあったんでしょうか?」
廊下から玉座の間に響いてくる冥琳の声に戸惑う一同
玉座の間に縄で縛られた一刀と捕縛に向かっていた一同が入ってきた
そして、一刀はその場で正座し三国の王を見据えた
華琳「久しぶりね、無駄な逃亡生活はどんな気分だったかしら?」
一刀「・・・・・・・・・・」
華琳「さて、どうしてくれようかしら?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
蓮華「ええ、どんな殺し方が望ましいかしら?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
冥琳「蓮華様!!!一刀を殺すなどあってはなりません!!!」
蓮華「な、何を言い出すの!?冥琳!?」
雪蓮「まあね、あたしも死刑は反対ね」
蓮華「姉様までどうしたのですか!!?」
雪蓮「実はね・・・・・・・・・・」
雪蓮「・・・・・というわけなのよ」
蓮華「そんな事が・・・・・」
華琳「そう、やはり左慈と于吉は敵だったのね」
桃香「そんな、その人とヴリトラさんが助けてくれたなんて・・・・・」
葵「俺もな、そいつを死罪にするのは拙いと思うぞ、もししてしまったら取り返しのつかない事になってしまう気がする」
恋「(コク)・・・・・恋も反対」
菖蒲「はい、助けて頂いたご恩もありますし」
嵐「ああ、これほどの奴は殺してはもったいないぞ」
霞「せやな、殺すんはウチも反対や」
凪「そうです!!どうか死罪だけは取り下げて下さい!!お願いします!!」
悠「ああ、こいつは絶対殺しちゃならないぜ」
愛紗「はい、死罪だけは何としてでもお取下げ下さい!!」
翠「うん、死刑にする事は無いと思うぞ・・・・・」
桃香「そうだよね、皆を助けてくれたのなら死刑はしちゃいけないよ・・・・・」
蓮華「しかし、姉様の真名を汚したんですもの、最低でも市中引き回しにせねば気がすみません!」
冥琳「蓮華様!!!そのような事は許されません!!!一刀にどのような罰も与えてはなりません!!!」
蓮華「な、何を言うの、冥琳!!」
冥琳「蓮華様、そしてここにいる全ての者達に告ぐ!!!一刀の事を思い出せ!!!我々は共に一刀を愛し、一刀に愛された事を!!!」
蓮華「あ、愛されたって、どういう事なの!!!?//////////」
桃香「そ、その、ええと!!!それは、つまり、その!!!////////////」
華琳「冥琳、いくらあなたでもそのような狂言を吐いてはただでは済まないと分かっているの?」
冥琳「分かっていないのはそっちだ!!!このまま一刀に罰を与えては、お前達は必ず己のやった事に絶望する!!!私はお前達の事を思って言っているんだぞ!!!」
朱里「な、なぜなんでしゅか!?詳しく説明してくれないと分かりませしぇん!」
冥琳「私は思い出したのだ!!!一刀に助けられ、救われた事を!!!一刀と過ごした日々を!!!雫、零、お前達は言っていたではないか、身も心も一刀に捧げると!!!」
雫「え、ええええ!!?//////////」
零「な、何の事を言っているのよ!!?//////////」
冥琳「お前達が最も敬愛する一刀が死に瀕しようとしているのに、何故思い出さないんだ!!!お前達の一刀に対する思いはそんな程度だったのか!!!?」
一刀「冥琳・・・・・もう俺を庇うのはよせ」
冥琳「一刀、どうしたんだ?」
一刀「どんな判決でもいい、死刑ならそれでもいい・・・・・」
冥琳「一刀!!!」
一刀「どの道、俺に人並みの幸せなんて許されなかったんだ、ここで死ぬんなら、それでいい・・・・・」
華琳「あら、潔いわね・・・・・では、どのような殺し方が望ましいかしら?」
桂花「考えられる限りの最も苦しい死を与えてやりましょう、華琳様の真名を汚した罪はその程度でも償えません」
冥琳「一刀ぉ・・・・・」
力なく項垂れ、死刑を望む一刀を見かねて、冥琳も一刀の横に正座した
冥琳「華琳、蓮華様!!!どうしても一刀を死罪にするのであれば、私も共に首をお刎ね下さい!!!」
穏「め、冥琳様!!!??」
亞莎「い、いったいどうしてしまったのですか!!!??」
冥琳「私は、自分を許せないのだ!!!左慈と于吉に一刀の記憶を奪われたとはいえ、一刀をここまで追い込んでしまった自分が!!!」
華琳「記憶を奪われたですって?」
冥琳「そうだ!!!ここにいる全員が一刀の記憶をあの二人に奪われた!!!」
零「そこまで言うんなら、冥琳はどうして思い出したの!!?」
冥琳「それは・・・・・そうだ一刀、回天丹田だ!!あの時、私を抱き抱えた時、一刀は回天丹田を使っていた!!于吉も言っていた、一刀の氣が強過ぎてあ奴の道術を吹き飛ばしたと!!私と同じ事をここにいる全員にしてやればいいだけの話だ!!」
一刀「冥琳・・・・・思い出したんなら分かるだろう、回天丹田の代償を・・・・・」
冥琳「・・・・・・・・・・」
一刀「それに、こんな状態の俺に回天丹田を発動する事が出来ると思うか?」
そう、一刀の背中の傷はまるで癒えていない
華佗に冥琳が頼み込み、一刀に治療を施してもらったが、雷刀の邪気が邪魔をし五斗米道の力を持ってしても完治には至らなかったのだ
氣を上手く練ることが出来なければ、回天丹田どころか普通に氣を解放する事も出来ない
一刀「仮に使えたとしても、俺は皆の記憶を元に戻すつもりはない、俺は最初からいなかった事にすればいいだけの話だ・・・・・」
冥琳「一刀ぉ・・・・・」
一刀「だから冥琳も俺と心中するなんて馬鹿な考えは止めろ、俺なんかと一緒に死んだら、文字通り死に損だ」
冥琳「・・・・・・・・・・」
時雨「・・・・・あ、あのう」
月「す、すみません」
一刀「?・・・・・」
その時、いきなり時雨と月が一刀の傍に寄り添う
村長「し、時雨!!?何をするんじゃ!!?」
詠「月!!?危ないわよ!!」
月「心配しないで詠ちゃん、この人は何もしないよ」
時雨「大丈夫です・・・・・どうして貴方は、私の真名を知っているんですか?」
月「はい、私も知りたいです」
一刀「・・・・・・・・・・」
時雨「・・・・・黙っていては、こちらも何も分かりません!」
月「そうです、どうか答えて下さい!」
一刀「・・・・・俺はかつて、ここにあった村にお世話になった事がある、ただそれだけだ」
時雨「それは、その場に私も居合わせていたという事ですか!?」
一刀「言っただろ、お世話になった事があるというだけだ」
月「それじゃあ、私はどうなんですか!?私とあなたは何処かで会った事があるのですか!?」
一刀「これ以上は何も聞くな・・・・・」
時雨「・・・・・・・・・・」
月「・・・・・・・・・・」
華琳「時雨、月、王の審判に侍女が口を挟んでいいものではないわ、控えなさい」
時雨「・・・・・はい、申し訳ありません」
月「失礼いたしました・・・・・」
そして、時雨と月は頭を下げながら審議の場から離れた
蓮華「・・・・・それで、姉様はどうしても死刑には反対というのですか?」
雪蓮「ええ、冥琳程じゃないけど、反対ね」
華琳「春蘭、秋蘭、貴方達はどうなの?」
春蘭「・・・・・正直、私も殺すのはいかがなものかと」
秋蘭「私も引っ掛かりがございます、ここでこの男を殺してもいいものか・・・・・」
零「左慈と于吉の事もありますし、その関連性が分かってからでも遅くないのでは?」
蓮華「そうね、冥琳に死なれるのは、私も困るし・・・・・」
華琳「分かったわ・・・・・しかし、私達の真名を汚したんですもの、流石に無罪放免で済ますわけにはいかないわ」
冥琳「華琳!!!」
一刀「冥琳、いい・・・・・好きにさせてくれ」
冥琳「・・・・・・・・・・」
華琳「そうね・・・・・確か、この城は今も建築中だったわね」
雫「はい、東と西の城壁がまだ完成していません」
音々音「なるほど、この城の建築は罪人達の強制労働も兼ねてますからな、それに加えようという事ですな」
桂花「流石華琳様です♪まさに一石二鳥の案ですわ♪」
冥琳「お前達、後で後悔するなよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「・・・・・・・・・・」
余りにドスの利いた声で迫る冥琳の迫力に、一同は息を呑み込むのだった
そして、審議が終わり一時一刀を幽閉し解散する一同だったが、冥琳だけは一刀が閉じ込められた牢の前に居座り一歩もそこを動こうとしなかった
穏「・・・・・あの、皆さん、冥琳様に何があったんですか~?」
亞莎「はい、あんな冥琳様は未だかつて見た事がありません・・・・・」
雪蓮「・・・・・正直、あたし達もどう説明すればいいんだか」
明命「はい、しかしあの人を死刑にしない事は正解だと思います・・・・・」
蓮華「それは何故なの!?ちゃんと説明してくれないと分からないわ!」
思春「ただ一つ言えるのは、左慈と于吉は明確な敵である事だけです、蓮華様」
純夏「ええ、あたし達は荊山で于吉の妙な術で窮地に陥ったわ」
祭「その時に、あ奴が身を挺して我らを助けてくれた、冥琳も危うく殺されかけたしのう」
小蓮「なんだか、左慈と于吉がシャオ達からあの一刀って奴の記憶を奪ったって言っていたけど、どういう事なの?」
雪蓮「それが分からないから説明できないのよ」
明命「でも、冥琳様の言っている事に心当たりはあります・・・・・」
思春「ええ、確かに記憶の一部に欠けている所があります・・・・・」
純夏「そうね・・・・・蓮華も忘れている事は無い?ここ最近の出来事で」
蓮華「・・・・・私は、特には」
祭「例えば、赤壁の戦いのおり、ワシと冥琳が誰かに救われたとか」
蓮華「・・・・・あ!!そう、そうだったわ!!でも・・・・・あら?」
雪蓮「そうなのよ、誰が冥琳と祭を助けてくれたんだったっけ?」
百合「・・・・・そういえば、かつて華琳さんが呉に攻め入って来た時に雪蓮様は」
雪蓮「あ!!そうよそれだわ!!あたしも誰かに助けられているわ!!」
祭「おかしいのう、誰が助けてくれたのか思い出せんわい・・・・・」
小蓮「・・・・・もしかして、あの一刀って奴なんじゃないの?」
百合「もしそうだとしたら、私達はとんでもない事をしてしまった事になりますよ」
蓮華「でも、あくまで可能性よ、憶測の域を出ないわ」
雪蓮「~~~~~~っ!!」
小蓮「ど、どうしたの!?お姉ちゃん!?」
いきなり物凄く険しい顔になる雪蓮に一同は戸惑う
雪蓮「なんだか凄くイライラするのよ、冥琳はああなっちゃうし、忘れている何かは思い出せないし、モヤモヤした気分が晴れないし、あたしの勘もこういった時は役立たずだし・・・・・純夏、ちょっと付き合ってくれる?」
純夏「え!!?あたしも帰って来たばかりで疲れているんだから!!それに紅蓮槍も壊されているし!!他当たってくれる!!?」
雪蓮「嫌よ、体を動かしていないと気が狂いそうよ・・・・・明命と思春も付き合いなさい」
明命「はうあ!!!?私達もですか!!!?」
思春「今暫しの猶予を!!!」
雪蓮「ダ・メ・よ♪」
そして、その後暫く闘技場から悲痛な叫び声が響いていた
華琳「・・・・・で、春蘭と凪は何をやっているの?」
桂花「脳筋の春蘭はともかく、凪までどうしたのよ!!?」
春蘭「チェーーーーストーーーーーーーー!!!!!」
凪「はああああああああああああああああ!!!!!」
天角に帰ってきて早々、春蘭と凪は中庭で稽古に励んでいた
しかし、それはもはや型もくそもなくがむしゃらに自身の武器を振り回すだけのもの
春蘭は予備の大剣で素振りを繰り返し、凪はただただひたすらに正拳突きを繰り出しているだけ
無駄な掛け声を発し呼吸が乱れ、ペース配分を全く考えない、これではすぐにガス欠になってしまうのは目に見えている
沙和「凪ちゃんどうしちゃったの~?」
真桜「なんや随分と荒れとるな、何やあったんかいな?」
秋蘭「無理もない、姉者はあ奴との戦いで一瞬で武器を破壊されてしまい、凪はヴリトラとの戦いでほとんど役に立てなかったらしいからな」
季衣「あの、秋蘭様・・・・・本当に、何があったんですか?」
流琉「はい、皆さん様子がおかしいです、特に冥琳さんは・・・・・」
秋蘭「・・・・・季衣、流琉、かつて蜀へ遠征に出かけた時の事を覚えているか?」
季衣「え、はい」
流琉「それがどうされたのですか?」
秋蘭「その戦の最中、菖蒲が敵の矢の餌食になりかけた事を覚えているか?」
季衣「はい、覚えています!」
流琉「確か、武都での事でしたね!」
秋蘭「ああ、その時の事を詳しく覚えているか?」
季衣「覚えてますよ!菖蒲さんの頭に矢が当たりそうになって、それを・・・・・・・・・・あれ?」
流琉「誰かが、菖蒲さんを助けてくれたんですよね、でも・・・・・え?」
秋蘭「ああ、私も思い出せん・・・・・皆、同じ様に記憶に欠損があるようだ、なぜこのような事が起こるんだ?」
風「さっき、冥琳さんが言っていましたね、左慈と于吉が記憶を奪ったって・・・・・」
稟「一体どういう意味なんですか?」
秋蘭「分からん、一つ言える事は、我々は何か重要な事を忘れているという事だ・・・・・」
華琳「下らない、そのような神の如き所業が可能ならとっくに私達を滅ぼしているはずよ」
春蘭「だああああああああああああ!!!!!」
凪「ずああああああああああああ!!!!!」
そして、今までで一番の気合いと共に体力を使い切った二人はその場に沈んだ
春蘭「はぁ~~~~~~、はぁ~~~~~・・・・・秋蘭」
秋蘭「ん?なんだ姉者」
春蘭「私の剣の師は、誰だ・・・・・」
秋蘭「姉者?」
春蘭「私の剣の師は・・・・・誰なんだあああああああああ!!!教えてくれしゅ~~ら~~~~ん!!!!」
秋蘭「・・・・・姉者」
泣きながら抱き付かれ、質問をぶつけられるも、秋蘭も答えを持っていなかった
凪「ふぅ~~~~~、ふぅ~~~~~・・・・・沙和、真桜」
沙和「ん~~~?どうしたの~、凪ちゃん」
真桜「なんや、凪も分からんことがあるんかいな?」
凪「私達が所属している隊の名前は・・・・・なんだ?」
沙和「そんなの決まっているの~、――隊・・・・・あれ?」
凪「私達の隊の上司は・・・・・誰だ?」
真桜「そんなもん隊ちょ・・・・・ありゃ?」
凪「私に武術を教えてくれた師匠は、誰なんだ・・・・・頼む沙和、真桜・・・・・答えてくれ・・・・・」
沙和「・・・・・・・・・・」
真桜「・・・・・・・・・・」
悲痛な表情で質問をぶつけてくる凪
しかし、こんな悲しそうな凪の質問に二人は何も答える事が出来ない
そして、こんな簡単な、直ぐに答えられて当たり前な質問に答えられない自分達に戸惑いを隠せなかった
猪々子「なぁ~~~、悠姉、なにがあったんだよ~」
斗詩「そうです、皆さん帰って来てから様子がおかしいです」
麗羽「霞さんもお酒を飲みっぱなしですし」
悠「ん~~~、なんかな・・・・・あたしの頭の中に天秤が映り込んで離れないんだ」
美羽「天秤じゃと?」
七乃「それはまた悠さんらしくないですね~」
彩「うむ、いったい何を計るというんだ?」
悠「いや、計るとか実用的なものじゃなくて・・・・・なんていったらいいかあたしも分かんないな」
猪々子「なんだよ~、歯切れ悪いな~」
七乃「そうですよ~、普段の超絶早口はどこ行ったんですか~?」
霞「グビグビグビグビ//////////////」
時雨「あの、霞様、それくらいにした方が・・・・・」
月「そうです、お体にさわりますよ・・・・・」
霞「じゃかあしい!!!これが飲まずにいられるかい!!!/////////////」
時雨「・・・・・・・・・・」
月「・・・・・・・・・・」
梅酒の酒壺に竹酌を突っ込み豪快に飲み続ける霞は荒れていた
村長「霞様、お気持ちは分かりますが時雨と月様に当たる事は無いだろうですじゃ」
雫「そうです、一体どうしてしまったんですか?」
霞「・・・・・すまん、せやけどな、どうにも飲みたくてしゃあないねん///////////」
零「話によると盛大にやられたようね、神速の張遼、天角4大将軍の矜持はズタズタでしょうね」
霞「いやな、別にウチは負けて悔しゅうて飲んどる訳やあらへんのや///////////」
詠「はぁ?なによそれ?」
菖蒲「そうですね、むしろ負けて当然だった気がします・・・・・」
嵐「うむ、あれほどの武はそんじょそこらでは拝めん」
霞「それもあるんやけど、もう一つあんねん・・・・・この梅酒、誰かこいつ作った奴知らへんか?///////////」
雫「霞さんの梅酒ですか?」
詠「そんなの知る訳ないじゃない!そのお酒は霞が管理しているんでしょ!?」
霞「そーか・・・・・やっぱ分からんか・・・・・ウチも思い出せんのや//////////」
時雨「確か、そのお酒は霞様の恋人が作ってくれたものだとか?」
詠「自分の恋人の名前くらい覚えときなさいよ!」
霞「せやからウチも困ってんねん、せやからこの梅酒飲んどったら思い出せるかな~て思っていたんやけど、まるで思い出せんのや・・・・・あ~~~~、たまらんなぁ~~~~~//////////」
菖蒲「・・・・・そういえば、私も思い出せない事があるんです・・・・・かつて、蜀に遠征に行った時の事なんですが、私は武都で敵の矢に倒れそうになった事がありました、その時に誰かに救われたんですが、それが誰か思い出せないんです」
嵐「私もだ・・・・・かつて董卓軍が健在だった頃、私はある人物に世話になったはずなのだが、それが誰か思い出せないのだ」
月「嵐さんもですか、私も大変お世話になった人がいたはずなんですが、どうしても思い出せないんです・・・・・」
村長「・・・・・ワシも年のせいか、かつてここがまだ都ではなく村であった時期の事がどうにもあやふやで、思い出せんのですわい」
時雨「村長もですか、私もここが天角と呼ばれる前の記憶ですっぽり抜け落ちている部分があるんです・・・・・雫様は、心当たりはありませんか?」
雫「・・・・・皆さんは、この城の中央に誰も使っていない部屋があるのをご存じですか?」
霞「ん、ああ知っとるで、この梅酒もそこにしまっとるさかい//////////」
菖蒲「あそこは誰も使っていないはずですよね、それがどうかされたんですか?」
雫「私は、そこに入ると涙が溢れてしょうがないんです・・・・・」
詠「それと記憶とどうゆう関係があるのよ?」
雫「・・・・・なんだか、自分は最もやってはいけない事をしてしまったような・・・・・取り返しのつかない事をしてしまったような・・・・・自分の半身を無くしてしまったような・・・・・そんな気がしてならないんです・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
柊「華佗先生、お疲れ様です」
雛罌粟「どうでした?皆さん無事でしたか?」
華佗「ああ、凪の怪我が一番酷かったが、それも完治してるし、他の皆も軽傷で済んでいたからな」
雛罌粟「華佗先生がついていって正解だったみたいですね♪」
柊「やっぱり、華佗先生はこの大陸一の五斗米道の使い手です♪」
華佗「・・・・・俺もな、自分がこの大陸でただ一人五斗米道の教えを受け継いだ者としての自負や矜持があった・・・・・だが今回の事で、そんなものは完全に霧散した」
柊「え?どうしてですか?」
雛罌粟「皆無傷で帰って来たんですから、それで良かったじゃないですか」
華佗「もちろんそれに越したことはない、だがな・・・・・今回捕まえたあいつは俺と同じ五斗米道を使っていたんだ」
雛罌粟「え、ええええええ!!?そんな!!?だって五斗米道は私達にしか教えていないんじゃ!!?」
柊「そういえば、前に私達以前に一人だけ五斗米道を教えた人がいると言っていましたね」
華佗「ああ、あいつは俺の目の前で、あの巨大な龍、ヴリトラの傷を一発で癒して見せたよ・・・・・はっきり言って、あいつの技量や気力は俺を超えていた」
柊「それじゃあ、あいつが華佗先生が最初に教えた人物なんですか!!?」
華佗「そうと言わざるを得ない、それに驚いた事に、あいつが持っていたこの鍼はかつて俺が使っていた予備の鍼なんだ」
そう言いながら一刀から取り上げた鍼を取り出す
雛罌粟「え!!?それじゃあ間違いないんじゃ!!?」
柊「しかし、盗んだものという可能性も・・・・・」
華佗「いや、五斗米道は習得し極めるまで、最低でも10年の月日が掛かるはずだ、ついこないだ鍼を盗んだ奴が龍の傷を癒すなんて超難儀な事を出来るはずがない」
雛罌粟「でも、先生は4,5年前にその人に教えたんですよね、10年なら計算が合いませんよ?」
華佗「ああ、これが本当なら、あいつは必要習得期間の半分で五斗米道をあそこまで極めたという事になる」
柊「とても信じられませんよ!!」
華佗「ああ、俺も信じ難いが、事実と認めざるを得ない」
柊「・・・・・本当に何者なんですか、あの人は?」
雛罌粟「はい、雛達だって毎日毎日氣の鍛錬を続けてようやく使えるところまで来ているのに・・・・・」
華佗「・・・・・それはそうと、杏奈の容体はどうだ?」
柊「あ、そうです!!すぐに来て下さい、先生!!」
雛罌粟「杏奈さんは、凄く苦しそうなんです!!もう僕達じゃどうしようもないです!!」
華佗「分かった!!すぐに行く!!」
そして、柊と雛罌粟と共に杏奈が養生している部屋へ駆け出す華佗
華佗「(それに、五斗米道は清く澄んだ心を持った人間にしか使いこなす事は出来ない術式なのに・・・・・俺は、あいつの事を・・・・・)」
音々音「・・・・・恋殿ぉ、一体どうされてしまったのですかぁ?」
恋「・・・・・・・・・・」
セキト「クゥ~~~ン・・・・・」
張々「バウ・・・・・」
天角の東屋にて龍滅金剛刀を抱き締め椅子に座る恋と心配そうに寄り添う音々音、そして傍に付き従うセキトと張々の姿があった
恋は、何か考えているらしく誰が話しかけても返事を返さなかった
蒲公英「・・・・・ねえ叔母様、お姉様、皆どうしちゃったの?蒲公英訳が分かんないんですけど」
白蓮「ああ、他の皆に聞いても、何も答えてくれないし、恋はあんな状態になってるし・・・・・」
聖「ええ、どう考えても皆様子がおかしいわ、荊山で何があったの?」
葵「・・・・・どう説明したらいいものか」
翠「ああ、訳が分からないのはあたし達も同じなんだよ、おまけに・・・・・」
目線の先には
狛煉「ヒヒヒーーーーーーーーーーン!!!!」
徐栄「おおい張済!!手が付けられないぞ!!なんとかしろ!!」
張済「そそ、そんな事言われても!!」
暴れる狛煉に徐栄と張済が手を焼いていた
翠「狛煉はずっとあんなだし、あたし達の身の回りで何が起こっているんだ?」
葵「少なくとも、今までの常識の範囲外のどでかい事が起こっているな」
蒲公英「どでかい事?」
葵「ああ、下手をするとこの大陸そのものがひっくり返ってしまうような、そんな人智を超えた力が働いている」
翠「・・・・・まぁな、于吉の奴はいままで見た事も聞いた事もない術を使っていたし、何かが起ころうとしているのは確かだな」
聖「ついこないだまで、何事もなく過ごせていたのに、どうしてこんな事になってしまうの・・・・・」
葵「ええ・・・・・近い内に今まで経験した事の無いとんでもない事が起こる可能性があります、覚悟をしておいた方がいいでしょう」
聖「・・・・・・・・・・」
蒲公英「叔母様でも経験した事の無い事なんて、想像も出来ないよ・・・・・」
白蓮「ああ、少なくとも私達の出る幕はなさそうだ・・・・・」
桃香「・・・・・ねえ皆、本当に何があったの?」
紫苑「ええ、特に冥琳さんは尋常じゃない様子だし、私も荊山に偵察に行ったけど、あの人とヴリトラを少ししか見ていなかったから何とも言えないし・・・・・」
星「うむ、私も気になる、話を聞くと散々な目に会って来た様だしな、私も行った方が良かったかもしれんな」
愛紗「いや、たとえ何人で行ったところで変わりは無かっただろう・・・・・」
鈴々「うん、関係ないのだ・・・・・」
桔梗「そうじゃのう、今回ほど自信を打ち砕かれた事は無い・・・・・」
焔耶「はい、私もこれまで自身が武に打ち込んできた時間が余りに無駄だった気がしてなりません・・・・・」
星「お主らがそこまで凹んでしまう出来事が起きたという事であろう、ますます興味をそそられる♪」
朱里「・・・・・しかし、皆さんどうしてあの人を死罪にするのをそこまで反対するのですか?」
雛里「はい、常道で言えばあの人の死罪は確定しているも同然ですのになぜ?」
桃香「死罪はどうかと思うけど、朱里ちゃんと雛里ちゃんの言う事も尤もだと思うよ・・・・・」
愛紗「私の中の何かが、あのお方は敵ではないと叫んでいるのです!!」
鈴々「うん、鈴々もあのお兄ちゃんに頭を撫でられて嬉しかったのだ・・・・・」
焔耶「断固処刑するべきです!!あのような生粋の変態は、今すぐにでもこの世から抹消するべきです!!」
桔梗「焔耶よ、いくら慰み者にされたからといってもそれはお主が不甲斐ないからだ、人のせいにするものではない」
桃香「?・・・・・慰み者?」
焔耶「わーーー!!!わーーー!!!わーーー!!!余計な事を言わないで下さい、桔梗様!!!////////////」
左慈「ちっ・・・・・そのまま処刑してくれれば儲けものだったが、そう都合良くはいかんか」
于吉「そうですね、あそこで掻き乱したのは誤りだったかもしれませんね」
左慈「いや、おかげで奴に相当なダメージを与えることが出来た、これで殺りやすくなった」
于吉「しかし、あの場に居合わせた者達は完全に今回の事に疑問を持ってしまったようです、周公瑾は北郷の事を完全に思い出してしまったようですし、むしろやり難くなってしまったのでは?」
左慈「一人思い出したところで何も問題は無い、現に周瑜は何も出来てはいないしな、もし何かの拍子で全員が思い出す事があれば、全員操ってしまえばいいだけの事だ」
于吉「しかし、彼女達は我々を完全な敵と認識しましたし、これまでのやり方は通じませんよ」
左慈「北郷が一人になるのを待つ、その時こそ奴を殺す千載一遇の機会だ」
どうも、Seigouです
またまた中途半端になってしまいましたね
しかし、自分もわざとそうしている節があります
というのも、小説を投稿するうえで自分が一番楽しみにしているのは、皆様のコメント、または応援メッセージが来る事なんですよね
ここまでを投稿するとどんなコメントが来るんだろう、と内心ワクワクしながら書いています
単純なんですが、そういう事が原動力となってこうやって執筆活動に勤しむ事が出来ているという訳です
もちろん一言でも構いません、欲張ってしまうと長文の方がいいのですが
何せいろんな意見を聞けますし、特にその中でもいつもコメントしてくださっているJack Tlamさんの感想は大変有意義で助かります
さて、今後の展開は一切明かさずに進みましょう、自分もその方がやり易いですし、皆さんもそっちの方が楽しみでしょうからね・・・・・待て!!次回!!
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不毛な判決