No.740918 宝条透 短編小説【はじまりの日のこと】12014-12-01 18:48:30 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:999 閲覧ユーザー数:998 |
やあ、こんにちは。僕の名前は宝条透。
簡単に自己紹介をすると、桜坂学園の初等部に通う小学6年生。
面白いことが好きで、僕のモットーは自由。人からはマイペースって言われることもあるけれど、何も考えてないわけじゃないよ。
自分のやりたいことをやる。ただ、それを実行しているだけさ。だって、人に流されて生きていくのなんて、そんなのつまらないじゃないか。
もちろん、人への気遣いだって、ちゃんと気にしているつもりだよ。……それが、少しわかりずらいって?はは、気遣いなんて、人にわからないようにするものだろう?
……なんてね。と、まあ、それはともかく。
これは、僕がアイドル部に入る前の、小さなお話。
「うーん、困ったなあ」
月曜日。配られたプリントを見つめながら、僕はうなっていた。
その紙に書かれていたのは、桜坂学園初等部の部活動一覧。僕は今、5年生になったら入る部活動選びに悩んでいた。
前々から聞いてはいたことだから、そのうちに決めておこうとは考えていたけれども結局、気が付けば5年生に上がったばかりの新学期。あまりピンときたものが無く、今の今まで、何にするかを決めていなかった。
なんでもいいか、なんて思いもあるけれど、せっかくであれば退屈しないところに入りたい。
どうしたものかと考えていたら、トントン、と後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、後ろの席に座っている友達だった。
「ねえねえ、透ちゃん。もう入る部活はどこにするか決まった?」
と、にっこり笑って聞いてくる。
「いいや、それがまだ決まってないんだよね」
「そうなんだ、迷っちゃうよね。この学校、部活が多いし。面白そうなものとか変わったものとか……あ、盆栽部なんてあるよ。俳句部なんてのもある、渋いなあ……」
「僕達、小学生だよね……?」
「あ、吹奏楽部がある。私、楽器をやってみたかったんだよね。でもでも、家庭科部でお料理するのも捨てがたいなあ……」
いろいろ食いしん坊な想像をしているらしく、ぽわわーんとした表情でヨダレが出ている。
友達の言う通り、プリントを見る限り部活動の選択肢はなかなか多いようだった。
「あ!見て見て、透ちゃん。今日からどの部活も見学もできるみたい」
配られたプリントをあらためて見る。
希望の提出は来週の月曜日。ちょうど1週間後だ。
この期間の間、部活動を自由に見学出来る時間を作ってくれるらしい。
よし。それならば、思い立ったが吉日だ。今日から始めよう。
リストを眺めながら、僕は見学に行く部活の候補をいくつか選んでいった。
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桜学園☆初等部の短編小説です。
・公式サイト
http://www.sakutyuu.com/
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