この作品はギャグです。
亞莎ギャグ使用に設定してあります。
建業、冥琳の私室。
「小蓮様から菓子だと?」
冥琳は、読んでいた巻物から顔を上げ、
ぴくりと器用に眉の片方を上げると、
訝しげな視線で、傍らに立つ亞莎を見た。
「はい、いつもお世話になっています。と、
冥琳様にと預かってまいりました。」
「ふむ。奇な事もあるものだ。 …それで、どんな菓子だ?」
「『くっきー』という、天の世界の菓子です。
一刀様に習って、ご自分で作られたとの事です。」
言いながら、
亞莎は、可愛らしい桜模様の包みを取り出し、開いた。
が、
ぼわぁああ
包みを開いた瞬間、あたりに強烈な刺激臭が広がる。
冥琳の顔が盛大に引きつり、思いっきりむせた。
「ぐっ…ゴホッゴホッ!!
…『くっきー』とは…め、目と鼻と喉に痛い食い物なのか?!」
「干物を発酵させたような香りの珍しい菓子。流石、小蓮様ですね。」
平然としている亞莎の前で、自分だけが動揺している姿を見せるわけにはいかず、
浅く息を繰り返して、冥琳はクッキー(?)を覗き込んだ。
「……あ、青緑色をしているな。」
「はい、一部黒くもあります。」
「誰が冷静に分析しろと言った。
これが食べられる色合いをしていると思うのかっ!?」
ちらりとクッキー(?)を見て、亞莎は淡く笑った。
「小蓮様の手作りの品…私には、とても美味しそうに見えます。」
オイシソウ コレガカ?
「私の目がおかしいのか、お前がおかしいのか…(そういえば、また目が悪くなったらしいな……)
とにかく、試してみるぞ。周々! 周々はいるか!」
冥琳は部屋から出ると、庭に向って周々を呼んだ。
森の中から、すぐに駆け寄ってくる周々。
「周々、食べてみろ。」
亞莎の手からクッキー(?)を一つ取ると、
冥琳は周々の鼻先に差し出した。
脱兎
0コンマ1秒とかからず、周々は逃げ出した。
「キャインキャイン」と犬のように泣き…違った、
鳴きながら去る周々の背中を見送りながら、
冥琳は微笑を浮かべ、目を細める。
「……周々が…逃げたな…。」
「はい、今まで見た中では最速の走りで駆けていきました。」
「……冷静な分析はいらないと言っている。
つまり、これは食べられる代物ではないと証明されたわけだ…。
ふっ…これなど見てみろ、青緑を通り越して、真っ黒なものもあるぞ!!」
真っ黒なクッキー(?)を指差しながら、怒りを含んだ声で言っても、
亞莎は動じず、先刻よりももっと優しい笑みを浮かべた。
「黒と言えば、冥琳様の御髪の色と同じ。
きっと、冥琳様を思い描いて作られたのですね。」
ソウ キマスカ
「あくまで私にこれを食べさせたいみたいだな…お前は。
分かった…お前がこれを食べて無事ならば、私も食べてやろう。」
「かしこまりました。では、一つ頂きます。」
そう言って、亞莎は青緑色をしたクッキー?を口に入れた。
ぱくっ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「……まだ飲みこめないの?」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「飲み込むのにそんなに時間がかかるの…?」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「どれだけ食べ難いのよ!!! それはっっ!!」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
こくん
3分間は、じっくり噛んでようやく亞莎はクッキーを飲み込んだ。
「ど、どうなの?」
心配そうに、亞莎を見る冥琳。
「はい、とても美味しい『くっきー』でございます。」
「美味し……かったのか?」
言いながら、亞莎の様子を観察する冥琳。
亜莎の顔色は変わらない。
むしろ、小蓮の手作りくっきぃ(?)を食べられて、ちょっと嬉しそうな表情。
「呼吸が苦しい、体が痺れる…そんな異常は出てないな?」
「はい。」
無事ならば食べる。と言った手前、
食べないわけにはいかなくなった冥琳は、
恐る恐るクッキー(?)を手に取った。
刺激臭に鼻が慣れる事はなく、口に近づけると、舌と目が痛い。
コレハ タベモノジャナイ
本能の部分で全否定をしているのに、
約束を破るということを、プライドが許さない。
そして、
ぱく。
震える手で冥琳はクッキー(?)を口に入れ、
「〇×□☆Θっ!?」
予想通り、一口噛んだ時点で、
声にならない悲鳴をあげて、意識を失った。
意識を失う瞬間、亞莎の
「そのような問題はありませんが、・・・・・目の前が真っ暗で何も見えません。」
という、抑揚の無い声を聞いた気がして、
それが異常だと言うのだ。
と、心の中で冷静なツッコミを入れる冥琳だった。
end
余談
「小蓮…なんで…クッキーが青緑色なんだ?
お、俺が教えた通りに作ったか?」
刺激臭を放つ残りのクッキー? を、
小蓮に差し出されて、一刀は二歩後退する。
「うん。
あ!でも、途中で体に良い物を入れた方が、
ただのくっきぃより良いかなって思って…。」
「そ、それで…何をしちゃったんだ?」
「穏に相談したら、
そういう事ならお任せ下さいって、色々薬草をくれてね。」
ごくっと一刀の喉が鳴る。
「ま…まさか。」
全部入れてみた。
笑顔の小蓮。
石になる一刀。
「とにかく一刀、食べてみて!
折角穏が、一刀さんに教えてもらったのなら、彼が食べるべきですよって
遠慮してくれた分も入ってるんだから。」
超絶不器用小蓮様と黒軍師の手にかかれば、
こんな事は日常茶飯事、朝飯前。
本当にend
一刀は食べたんでしょうかね?
まぁ、食べたんでしょう。彼なら食べる。きっと(笑)
穏が遠慮した分も全部。
さてー、余談にちょこっと出てましたが、
このクッキーが、クッキー(?)になってしまった原因は、
次のうちどれでしょう。
1.黒軍軍師様のうっかりな失敗
2.黒軍軍師様の可愛い悪戯
3.黒軍軍師様の真っ黒策略と孫呉のお姫様の天然暴挙
答えは、4のただの偶然でした。
冥琳&一刀「……そんなわけないだろう……。」
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なんか降りてきて、書いてしまった。
チョット後悔してます。。。
では本編どうぞ。。。。