No.73407

恋姫無双~魏の龍~第捌話

タンデムさん

どうも、お久しぶりです・・・。
最近お仕置きネタに行き詰りかけているタンデムです。捌話投稿DEATH。
しんどい・・・寝る時間チョコットづつ削ってやっと出来ました!
頑張りました・・・。
こんなダメ作者ですがまだまだヨロシクです!

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2009-05-13 03:44:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:16971   閲覧ユーザー数:12436

黄巾党を撃破して、陣留に戻ると留守をしていた文官から

『呉から使者が来た。』と聞いたので会って見ると蓮華と思春が待っていた。

蓮華と思春は龍翠を見つけると彼に礼をし、持っていた文を龍翠に渡す。

その中には、『この同盟が末永く続く事を祈る。』と書かれており、あとは重鎮達の名前と血印が押してあった。

是だけで、同盟が上手くいったことが分かる。

それが判ると、龍翠は警備隊の件で書類を纏めるように華琳に言われその場を後にする。

同盟の話をするために華琳は二人で話がしたいと言った。

そのことに反対すると思われた思春が同盟は家族の証と言い、あっさりと退室し華琳と蓮華は二人きりの空間を作った。

「同盟・・・いや、この場合は兄さんの言葉を借りて・・・『家族』になれた事を嬉しく思うわ。早速だけど孫権、貴女達に聞きたい事があるわ。(二人とも兄さんを見つけたとき、微妙な物だけど、表情に変化があったわね・・・。はぁ・・・この分だと競争倍率が果てしないくらいに大きくなったわね。兄さんも自重して欲しいわ・・・・。もういっその事、一夫多妻制を確約しようかしら?)」

「国は違えど、同じ兄を持つ者私は蓮華でいいわ。何かしら?(この娘が龍翠兄さんの妹。・・・なるほど、雰囲気が似ている。それだけでなく、龍翠兄さんへの視線が兄妹ならぬ物を感じる。強敵出現ね・・・。)」

互いが互いを分析しあっているのか女の思考を巡らすが、

「有難う。私のことも華琳でいいわ。・・・・・・単刀直入に言うわ。呉で兄さんに惚れているのは、どの位居るの?」

笑顔で華琳は、蓮華にそう返す。

「・・・・龍翠兄さんに惚れている者は、孫堅母様、黄蓋殿、孫策姉様、私、孫小香、周瑜、呂蒙、周泰、外に居る思春・・・甘寧。それから呉を去られる前に大喬、小喬と言う者達に手紙を貰っていたから多分この二人もね。今言った者達『だけ』なら11人よ。」

スラスラと出て来る出て来る、女の名前。

さらに、大喬・小喬と言ったら絶世の美少女と噂高い二人までもだ。

しかも、『だけ』と言う事は、侍女なども合わせればまだまだ居ると言う事・・・。

華琳は正直、頭を抱えたくなってきた。

だが、龍翠から聞いた話に出てこなかった周泰なる人物。

「そう、わかったわ。蓮華、途中で出てきた周泰というのは?兄さんが少し手ほどきしたとしか聞いてないのだけれど?」

龍翠は、呉での生活の一部を華琳達に話しているのだが、周泰のことは余り印象に無い。真面目で元気な少女とは聞いているが、それだけと言った所だ。

「・・・・・・。周泰は最近将となったばかりの若者で、龍翠兄さんが彼女の手解きをしたのが、丁度呉を発たれる『1週間前』。が、彼女は龍翠兄さんに、その・・・惚れたようだ。」

「何ですって!?」

是にはあいた口が塞がらない。

たった、たった1週間で呉の武将(現在)を堕としたのだから。

「・・・・兄さんにはほとほと呆れるわ。武将にならずに、間諜になれば良かったんじゃないかしら・・・。」

「心中察するわ・・・。」

「「はぁ・・・。」」

今居ぬ人に向けて、溜息を着く二人。

同盟会合の翌日

陣留に戻る間に真桜・沙和・凪と親しくなった龍翠。

錬鳳警備隊を結成しそのまま出動。

龍翠は警備隊初出動の日として、特別に4人で回る事にした。

早速街に繰り出し、街と民の安全を確認していく4人だが――。

武官級が複数で行動しているせいか、民は少し警戒気味である。

「これから沙和達が、不審者さん達を取り締まるんだよねえ。うう~、何だか怖いの。」

「警備が怖がってどうするです、沙和。それに貴女の腕なら、怖がる事もないでしょう。」

「せやせや。ウチ等より強い不審者なんて、滅多に居らんて。」

こう軽く会話を交わしてはいるものの、彼女達も立派な武官である。

警備中だから武器も装備しているし、民が警戒するのも無理はない。

「・・・・・いっその事服装の改善も考えてみましょうか。」

「ええ~ッ!!隊長(公私を分けるため、仕事中は隊長と言わせている。)、そこまでするのは嫌なの~っ!」

龍翠の呟きが聞こえたらしく、沙和が大声で反論した。

「そうは言っても、こう目立って周りに警戒されてちゃ、警備がやり難いでしょうし。」

「でもでもぉ~っ! 服装は女の子にとって命なのっ! 隊長は男だけど判ると思っての!」

「沙和の言う通りや。そう言う隊長だって、警備中でも男に声掛けられそうやったやん。」

真桜がケラケラと笑い、龍翠をからかう。沙和も彼女に同意で頷いている。

溜め息を吐いた龍翠は「余計なお世話です。」と言って、2人を軽く小突いた。

「あ痛ッ……隊長、可愛い部下への暴力反対や!」

「そ~なの、そ~なのっ! 反対反対ッ!!」

「少しは静かになさい……。」

こう3人がやり取りをする中、凪は――。

「・・・・・・不審者、不審者・・・・・。」

1人真面目に辺りを見回し、怪しい者が居ないか警戒していた。

苦労人の龍翠、真面目な凪、のんびり者の沙和、ツッコミ役の真桜。

見事に性格がバラバラで、今は纏まりが全く無い警備4人組であった。

そして真桜と沙和をようやく静かにさせた時だった――

「あああああああっ!!!」

沙和が急に大声を上げて走り出したのである。

もしや警戒していた不審者が現れたのか――。

龍翠と凪が沙和の後を追うと、彼女は本店の前に居た。

見覚えのあるタイトルの本を手に持ち、広げて見ている姿に龍翠は思わずこけそうになる。

「どうしたッ! 沙和ッ!!」

凪が問い掛けると、沙和は笑顔で見ていた物を2人に広げた。

「新しい阿蘇阿蘇なの! 最新号、とっても欲しかったの!」

そう彼女が広げて見せたのは、女性のお洒落雑誌だった。

最新の衣服や家具、更には流行の装飾品まで詳しく載っている。

如何にも沙和のような、今時の女の子が好きそうな本である。(龍翠も買って研究し、華琳達に服や変装用の服を作ったりしているのは秘密だ。)

「沙和ッ! 今は警備の仕事中なんだぞ!」

「でもでもぉ~、今手に入れておきたいの」

凪が説得するが、沙和は首を振って聞かない。

見兼ねた龍翠は、彼女から隙を見て阿蘇阿蘇を取り上げた。

「あ~んっ! 隊長、それ返して~っ!」

「お馬鹿!こんな物は警備の後に買いなさい!」

「後それを含めて2冊しかないの~っ! 売れ切れちゃうの~っ!」

宙に上げられた阿蘇阿蘇を取り返そうと、沙和は龍翠に飛び付く。

しかし身長差で明らかに届かず、彼女は涙眼を浮かべて訴えた。

思わず渡しそうになったが、今は仕事の時間と自分に言い聞かせ龍翠は、沙和を嗜めた。(自分も欲しいと思っているのは内緒だ。)

「あ・・・隊長、そう言えば真桜は・・・・・?」

「え・・・・?」

龍翠が辺りを見回すと、確かに凪の言う通り、真桜の姿が見当たらない。

嫌な予感がして思わず首を傾げた時、

「おおおおおおおっ!!!!」

ここから2件程先の店で彼女の大声が聞こえてきた。

その声の様子は沙和と同じ、何かを見つけた時の物と同じだ。

「はぁ・・・・・今度は一体何です?」

「行ってみましょう。隊長」

仕方ないとばかりに龍翠は、取り上げた阿蘇阿蘇を沙和に返した。

受け取った彼女は眩しいばかりの笑顔を浮かべて、店主の元に持って行く。

後で必ずお説教すると誓いながら、龍翠は真桜の元へと向かった。

「真桜ッ! 何があった!」

再び凪が最初に声を掛けると、真桜は眼を輝かせながら振り返った。

彼女の手には何処かで見たような姿の人形らしき物が握られている。

それは妙にリアルで、何所か怖かった。

「こんなトコにあったんや・・・・・超絶からくり夏候惇と曹錬鳳!」

そう言って真桜は、その超絶からくり夏候惇と曹錬鳳を龍翠と凪に見せた。

何処かで見たかと思えば、その人形(?)は春蘭と自分に似ていたのである。

そう言えば、大分前に春蘭が人形が如何の云々と言っていたような気がしたが・・・・。

だがまた沙和と同じで、警備には全く関係の無い事だ。

「・・・・・何なんですそれは・・・。」

「真桜・・・・・!」

龍翠が頭を抱え、凪が憤りながら真桜に尋ねた。

すると彼女は呆気らかんとした様子で語り始める。

「2人とも、コレ知らんの? これはな、許昌の絡繰師が、勇名轟く春蘭様と隊長の絡繰をどうしても作りたいっちゅー事で、作られてんけど・・・・大人気ない春蘭様は『こんな物は私ではない上に、あのお方でも断じてないッ!』って怒ってもうて、あっちゅー間に発売中止になってしもうた品や。しかも曹錬鳳の方は、春蘭様が殆ど壊してしもうてさらに希少価値が高いねん!!」

彼女の言う通り、確かに大人気ない理由ではある。

だがその御陰で貴重品に変貌したとも言えた。

「ああッ! こりゃ掘り出し物やで。好事家なら驚くような値を付ける筈や!」

「・・・・・まさか真桜、今それを買う気じゃないでしょうね?」

龍翠がそう問い掛けると。真桜は躊躇いもせずに頷いた。

「買うに決まってますやん! この機を逃したら、もう一生手に入らへんのでっせ!」

「・・・・お馬鹿!! 今は警備の仕事中です! こんな物は後で買いなさいッ!」

そう言って龍翠は、真桜の手から超絶からくり夏候惇と曹錬鳳を取り上げた。(自分の人形を手に取るのは何だか複雑な気分だった。)

先程の沙和と同じように、それを宙へと高く上げる。

「あ~ッ!隊長!ウチの夏候惇と曹錬鳳を乱暴に奪わんといて!!」

「乱暴も何もありますかッ!警備中にこんな物を買うなど、言語道断です!」

「隊長の泥棒猫ッ!鬼ッ!ス・ケ・こ・ま・しぃぃぃぃぃぃ!」

真桜の言葉に周囲の視線が集まってきたのを見て、凪がおずおずと言葉を掛ける。

「ま、真桜っ! 言葉を選べ! 周りの人達に誤解が――」

そう言って凪が周囲を見渡していると、ある一点に視線が止まった。

店の中で不審な動きをする男――瞬間、懐に品物を2、3個入れた。

それを目撃した凪の行動は素早く、龍翠と真桜を置いて駆け出した。

「――な、なんや!?」

「――凪ッ!」

2人が声を掛けた時には既に遅く、凪の姿はその場に居なかった。

龍翠はからくり夏候惇を放り投げ、駆け出した凪の元へ急ぐ。

ちなみに真桜は、放り投げられたからくり夏候惇をしっかりと受け止めていたりする。

「そこの男ッ! 神妙にしろ!!」

「ちっ――」

凪が店の中へ突撃し、窃盗の男と対峙する。

舌打ちした男は短剣を取り出し、凪に向けた。

店主の悲鳴が響き、凪の表情が怒りに強張る。

「凪ッ!」

遅れて到着した龍翠が見たのは、手甲に氣を溜める凪の姿。

まさかこんな狭い店の中で――龍翠の顔がサッと青ざめた。

「悪人に容赦はしないぞッ!」

「待って!! な――。」

「はあああああッ!!」

龍翠が止める前に、彼女は手甲から溜めた氣弾を放っていた。

「ギャアアアアアッ!」

悲痛な悲鳴を上げた男は氣弾に攫われ、店の壁を突き抜けて行った。

その威力は止まる事を知らず、隣接している店も突き抜けて行く。

氣弾のせいで崩れ落ちていく建物、恐怖で逃げ回る何人もの人々。

平和な模様だった街は、一瞬にして地獄絵図へと変わったのだった。

「・・・・・・・お馬鹿。」

龍翠が頭を押さえ、恨めしそうに呟いた。

そんな中、気を失った窃盗の男を連れ、凪がやって来た。

何枚もの壁突き抜けを体験したせいか、男の顔は白い。

「隊長ッ! 賊を1名、確保しましたッ!」

やり切った表情で報告する凪がとても恨めしかった。

どうやら今の彼女の眼には、街の惨状は映っていないらしい。

「うわ~・・・・何やエライ騒ぎになってもうたなぁ」

「危なかったのぉ。でも阿蘇阿蘇が買えたから良かったの♪」

違う目的を達成した真桜と沙和が、今頃姿を現した。

彼女達の手には欲しがっていた物がそれぞれある。

どうやらあれだけ止めたのに、購入したらしかった。

 

 

(ぷっちーーーん)

 

 

「・・・・・・クスクス・・・・・どうやらお仕置きが必要なようですね・・・・・・。」

 

~玉座の間~

今回の1件はすぐに華琳の耳に入り、4人を呼んだ。

「兄さん今回はっ!?」

が、クスクス笑う龍翠を見て、鬼畏様状態であるとわかると華琳と其処にいた夏侯姉妹はガタガタと震えた。そして城にまだ在住の蓮華たちが首を傾げていた。

「クスクス・・・。ねぇ華琳?『お仕置き』は僕がして良いかい?」

この問いに華琳は、

「どうぞお好きなようにいたしてください!!」

即答し、さらには別の外史では覇王と謳われる彼女が土下座をした貴重な瞬間だった。

その姿に、蓮華と思春は目が飛び出るくらい吃驚した。

ハッキリ言えば、『誰だって命は惜しい』と言う状況を表していた。

 

 

その夜、龍翠、凪、真桜、沙和を見たものは居なかった。

 

 

次の日

店などの被害に関しては国費で負担して弁償。

迷惑を掛けた民に関しては、笑顔の龍翠が蒼い表情で体をガタガタ振るわせた凪達を連れ、ひたすら平謝りをして回った。

その(龍翠の)姿に、国民は何だか只ならぬ雰囲気(鬼畏様オーラ)を感じ文句を言わずに首を縦に振る人形と化していた・・・。


 
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