No.736832

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第358話

2014-11-13 00:09:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1420   閲覧ユーザー数:1294

 

 

~湖畔の町・レグラム~

 

「―――レグラムに着いたか。」

リィン達がレグラムに到着すると、レグラムは特別実習の時より遥かに濃い霧に包まれていた。

 

「レグラム………以前の実習以来か。」

「ここがラウラの生まれ故郷なのね。幻想的で綺麗な場所……」

始めてみる光景にアリサは呆けていた。

 

「”霧と伝説の町”……ラウラが言っていた通りの場所だよな。とにかく、行動を開始しよう。まずはレグラム方面にいる二人の手掛かりを探さないと。そう言えば、トヴァルさんから言付けを頼まれていたな。まずは”遊撃士協会(ブレイサーギルド)”に顔を出した方がいいかもしれない。」

「ふふ、よさそうですね。ギルド方面なら何かしら情報があるかもしれませんし。」

「決まりね。さっさと行くわよ。」

まずギルドを訪ねる事にしたリィン達はギルドに向かい、ギルドの扉をノックした。

 

~遊撃士協会・レグラム支部~

 

「―――ごめんください。」

「おや、お客様のようですな。」

「開いてますよ。どうぞ、入って下さい。」

「あ……!」

リィン達がギルド内に入るとそこには見覚えの人物が受付らしき青年と共に一緒にいた為、その人物―――クラウスを見たリィンは驚いた。

 

「やあ、”遊撃士協会”レグラム支部にようこそ。何かお困りかい?町の人ではなさそうだが……」

「おや……?あなたがたはもしや。お嬢様と同じ、Ⅶ組の皆様ではありませんか?」

「クラウスさん……!」

「ご無沙汰している。」

「おや、お知り合いですか?」

クラウスと親しげに話すリィン達を見た受付の青年は不思議そうな表情でクラウスに尋ねた。

 

「ええ、お嬢様の大切なご学友の方々です。いやはや、このような場所でお会いできるとは……」

「じゃあ、この人がラウラの家で家令を勤めてらっしゃる……」

「ふふ、メイドのわたくしとは同業者のようですわね。」

「あらためまして―――アルゼイド子爵家に仕える執事のクラウスと申します。皆様、本当に無事で何よりでした。お嬢様がたもきっとお喜びになるでしょう。」

リィン達と再会した時のラウラの喜びを想像したクラウスは微笑みを浮かべてリィン達を見回した。

 

 

「あ……!じゃあ、やっぱりラウラはレグラムに……!?」

「ええ、エマ様と共にしばらく滞在しておられます。つい先程エステル様達と共に出かけてしまったばかりではございますが……」

「そうか、君達が例の”Ⅶ組”の子達か。話はトヴァルやエステル達から聞いているよ。僕の名前はマイルズ。今はこのレグラム支部で受付を担当しているんだ。色々と込み入っているようだが詳しい話を聞かせてもらえるかな?」

そしてリィン達は青年―――マイルズと情報交換をした。

 

「それでは……ラウラ達は内戦が始まってすぐに?」

「ええ、エマ様達とご一緒に帰郷なさいまして。以来、こちらに身を置いてらっしゃいます。」

「そうか……君達は仲間と再会するために来たのか。しかし、まさか内戦の裏でそこまでのことが起きていたのか。特に”灰色の騎士人形”―――噂になっているあれの正体が君達だったとはね。ケルディックやノルドでの活躍は耳に入っているよ。」

「もうですか……!?」

「ま、話が早くて助かるけど。」

ギルドの情報を手に入れる速さにリィンは信じられない表情で声を上げ、セリーヌは動じていない様子で呟いた。

 

「しかし……皆様が各地で見てきたとおり。やはり内戦の裏で”何か”が起きているのは確かのようですな。レグラム周辺で起きている異変も何かしら関係があるのかもしれません。」

「異変………?」

「どうやらよからぬことが起きているみたいですわね?」

「ああ……近頃、不可思議な出来事が立て続けに起こっていてね。街道には見た事もない魔獣が現れているし……この濃霧も、すでに1ヵ月近くも晴れない状態が続いているんだ。」

「それは……確かにおかしいですね。霧が出やすい地形とは言え、さすがに1ヵ月続くとなると……」

マイルズの説明を聞いたリィンは真剣な表情で考え込んでいた。

 

「はい、単なる異常気象と片付けるには少々不気味でして。町の住民たちも少しずつ不安が広がっています。せめてお館様がいてくだされば、人々の支えとなるでしょうが。」

クラウスの言葉からアルゼイド子爵が未だ行方不明である事に気付いたリィン達は血相を変えた。

「”光の剣匠”……行方がわからなくなってるの?」

「ええ、およそ1ヵ月近くになります。内戦が始まる祭、カレイジャスで帝都方面に向かったあと完全に連絡が途絶えてしまい……」

「それじゃあ、トリスタに駆け付けてくださった時から……」

クラウスの説明を聞いたアリサはトリスタで現れたカレイジャスを思い出し、心配そうな表情をした。

 

「子爵閣下のことですし滅多な事はないと思いますが……」

「ええ、わたくしどももお館様を信じております。おそらく今は、いずこかで機を窺っているのではないかと。」

「子爵閣下がいないのはレグラムにとっては痛いけど……幸い、貴族連合の支配もこちらまでは届いていなくてね。今は周辺の”異変”に集中して、クラウスさんと協力しながらなんとか対応をしている感じさ。エステル達は勿論、ラウラお嬢さんとエマさんも色々と手伝ってくれていてね。」

「ラウラと委員長が……ところで二人は今、どこにいるんですか?」

「さっき”ブレイサーロード”達と出かけたとか言ってたわよね?」

「ああ、ついさっきの事なんだが……エマさんが”ローエングリン城”に”何かの気配”を感じたらしくてね。急いでエステル達とボートに乗り込んで、調査に向かってしまったんだ。」

マイルズの話を聞いたリィンとガイウスはローエングリン城であった不思議な出来事を思い出した。

 

「あの湖の古城か……以前の実習の時もオレたちで向かったが。」

「たしかリィン達も前に探索したのよね?」

「ああ、あの時も何やら不可思議な異変が起きていた。そんな場所に、遊撃士の中でも相当な使い手であるエステルさん達がいるにも関わらず二人も向かってしまったんですか?」

「ええ……わたくしやエステル様達もお止め差し上げたのですが。”この程度の事を片付けられなくては仲間との再会は果たせない”―――他ならぬお嬢様方がそのようにおっしゃいまして。」

クラウスの話を聞いたリィン達はクラウス達に反論しているラウラやエマの様子をふと思い浮かべた。

 

「ええ……目に浮かぶようだわ。」

「……ったく、あの子も強情っぱりなんだから。」

「やはりここは、わたくしたちもご加勢に向かうべきかと。」

「ええ、行きましょう―――ローエングリン城へ!」

シャロンの言葉にリィンは力強く頷いた。

 

「はは……さすが聞いていた通りだな。君達が行ってくれればお嬢さん方やエステル達も心強いはずだ。」

「皆様……お嬢様がたをよろしくお願いいたします。古城へ向かうためのボートはすぐに手配いたします。準備を整えた上で、船着き場へお越しください。」

「わかりました。どうかお任せ下さい。」

「よろしく頼むね。……あ、そうだ。エステル達に会うならエステル達と一緒にいる”正体不明の謎の協力員”である”彼女”の事も今の内に教えておくよ。」

ある事を思い出したマイルズはリィン達を見回した。

 

 


 
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