No.705770

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 五十一話

XXXさん

仮面編

お帰りなさいませお嬢様

本当の私

2014-08-02 22:27:35 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1360   閲覧ユーザー数:1269

「ふふ…美しいわね」

「あまり触れないで下さい、セクハラで訴えますよ」

 

手を体に伸ばそうとしていた華琳に待ったをかける女性。

狐色の髪を肩甲骨辺りまで伸ばしたメイド服の美女な彼女だが、その顔は不機嫌そのもの。

華琳はそれを見ると一本の紐をちらつかせる…と同時に美女は笑顔となった。

ただし口端はひくついているが。

 

「そうそう♪笑顔で接するのよ。それで早速なのだけど、お茶を淹れてくれるかしら?―――リコ」

「…畏まりました、お嬢様」

 

そう言って女性…女体化したリトことリコは茶に手をかける。

それと同時に、後悔し始めた。

 

 

 

 

「それで、どういうことか説明してくれないかしら?」

「ひたすらすいません」

 

一日前、厨房にてリトは目の前の元覇王

に土下座していた。

理由は簡単だ…リトが華琳の作っていた試作品の料理を誤って食べてしまったのだ。

その事に青筋をたてて怒る華琳に今も頭が上がらない。

 

「マジすんませんでした」

「…まぁ良いわ。やったものは仕方ないんだし」

「え…」

「ただし罰は受けて貰うわよ」

 

許してもらえると思い顔を上げたらそうではなかった。

リトはやっぱりと思いながらも罰の内容を聞く。

 

「貴方には明日、一日中私の女中になって貰うわ。めいど服を着て」

「だが断る」

 

だが即刻断った。

思い浮かぶのはメイド服を纏った自分の姿。

突然襲う吐き気はそれを想像したからだろう。

 

「…何を考えているのかわかるけど、違うわよ」

「そらそうだ。誰得だよ」

「誰、ね。…前になったじゃない、女の格好に」

 

そう言うことか、と理解する。

が、それはそれで嫌だった。

前に女の姿…リコになったときは本当に大変だった。

追いかけられたあげく、攻撃されたのだから。

そんなリトの顔を見て、華琳はいやらしい顔をする。

 

「あら、私の大事な料理を食べたのは誰かしら?」

「ぐぅっ!」

「それと貴方のその髪の紐は明日預からせて貰うわ。途中で元に戻ったら困るし」

 

 

 

 

で、現在は…

 

「お嬢様、だからセクハラで訴えると五分前にも十分前にも言いましたのですが?もう物忘れが激しい歳ですかそうなんですか?」

「主人に向かってその口はどうなのかしら?罰として私に体を…」

「嫌です」

 

迫り来る魔の手を掴み、苦労していた。

ギリギリと腕に力が加わるがそれ以上の力で押さえつける。

…そう、リコは先程から華琳のセクハラを避けていた。

わざとらしく転んで胸を揉もうとしたり、お茶をぶちまけて目の前で着替えさせようとしたり、背後から尻を撫でようとしたりと様々だ。

リコは正直嫌なのだが、今日の夕暮れになったら紐を返すと言っているので我慢する。

もう一言言うと、ある程度の命令に背いたら紐を燃やす…なにこれ絶望。

ただセクハラは背いても良いらしい。

 

「それで、次は何をすればよろしいでしょうか?」

「そうね…私の体を綺麗にしてちょうだい。貴女の舌で」

「全身剥いで外に縛り付けますよ、このガチレズ金髪ドリル」

 

一応男なのだがこの命令はないだろう。

リコは暴言を吐くが大体は理解できない言葉なのでセーフ。

と、そこに春蘭と秋蘭がやって来た。

 

「華琳様、御呼びでしょうか?」

「ええ。少し話があるの」

「わかりました。…ところでその者は?」

 

春蘭はリコを見てそういう。

そう言えばこの格好見せてないっけな、と思い正体を明かそうとするが、華琳に止められ…いや、脅迫された。

 

「俺だよ、お…」

「…ばらしたら燃やす(ボソッ」

「失礼しました夏候惇将軍、夏候淵将軍。私は李宮と申します。以後、お見知り置きを」

 

即座に礼儀を踏まえた行動をするリコ。

危なかった、と心の底で冷や汗をかく。

それと同時に華琳をじとっと見る。

何してくれとんじゃ…、と言う視線も感じられた。

 

「彼女は私の親族が預けた娘で、今日一日私の女中をしているの」

「へぇ…」

「……それで、李宮と言ったな。まさか華琳様に体を許していないのだろうな?」

「毛先ほどその気はありません」

 

秋蘭の言葉に即座に返すリコ。

て言うか、コイツ俺の事分かってるんじゃ…とリコは思うが、正解だ。

観察力がある秋蘭だからわかるのだろう。

逆に春蘭は分からないのだが。

 

「李宮、そろそろ休憩しようと思うのだけど」

「畏まりました。すぐにお茶の用意を」

 

リコはそう言って部屋を出る。

その間に、華琳はニヤリ、とうっすら笑った。

 

 

 

「―――それでだな、平沢はねねに蹴られたのだ。間抜けだろう?」

「は、はぁ…」

 

リコが帰ってきて数分経った。

現在リコは華琳達の女子トークに付き合わされていた。

下着の話等もあったが、途中からリトの話に変わる。主に春蘭のせいなのだが。

 

「それにだな、昨日は凪との修行中に凪の気弾の巻き添えに食らったのだ!ふふふ…あんなものも避けられなくて笑いそうになるだろう?」

「ははは…」

 

一応笑っておくが、リコの口端はひくついていた。

それはそうだろう、何せ自分の悪口なのだから。

春蘭の死角では華琳と秋蘭が口を抑えて失笑していた。

 

「…ですが夏候惇将軍、よくおr…平沢さんをご覧になっていますね」

「むぐっ!?そ…それはその、たまたま通りかかって…」

「嘘をつけ。姉者は暇なときはいつも平沢の所に…」

「うわわわわ!?秋蘭!?」

 

そう、この反応の様子の通り…春蘭は暇があればリトの様子を見ていたのだ。

ただ、色々とバレていたので意味はないのだが、あえてリコは知らないふりをする。

 

「あら、前に酒を飲んで平沢に甘えていたじゃない?」

「か、華琳様まで…」

「ふむ…姉者は正直平沢をどう思っているのだ?」

「ど、どうって……」

 

何だか女子トークが盛り上がっているので、リコは紅茶を一口飲む。

そしてそのまま今後の修行と訓練の事を考え始めた。

 

(今度どうやって苛め…特訓するかな)

「まぁ…あいつは、強いぞ、うん。私が認めるほどだからな…」

「そうじゃないでしょ。平沢の事を春蘭の中でどんな存在か聞いているの」

「私の…ですか?」

「ああ。ちなみに私は……特別な存在だ」

 

一瞬リコを見た秋蘭の発言に声も出ずに驚く春蘭。

と言うかさっきから慌てていたのでかわりないのだが。

とうとう頭から煙を出している春蘭を見て華琳は率直に言う。

 

「簡単に言うわ。平沢の事が好き?それとも嫌い?」

「す…!?」

「ほら、どうなのだ姉者」

「わた…わ、たし…私は…」

「―――夏候惇将軍、素振りを三十本する訓練をどう思いますか?」

「すき…です…!!」

「そうですか、ありがとうございます」

「「………………」」

 

―――横から変なのが入ったわね…

―――この唐変木が…

二人は春蘭の勇気を振り絞った台詞を若干変にしたリコに苛つく。

そして華琳はリコに彼女の紐を渡した。

 

「…一回だけつけなさい」

「よろしいので?」

「早くしなさい」

「はぁ…」

「?華琳様?何をして……」

 

リコは紐を結び、元のリトに戻る。

やはりメイド服は窮屈なのか、上ははだけていたが。

一方、春蘭は固まっていた。

主に情報整理できなくて。

 

「ひ…らさわ…?りきゅうはどこにいったのだ…?」

「あー…ごめん。李宮俺。てかさっきの俺だから」

「……………」

 

漢字を使わずに話す春蘭…それほど衝撃が強かったのだろう。

そんな春蘭の脳内は 李宮は平沢→平沢はずっとここにいた→話していた→さっきの告白も聞いていた…となっている。

ちなみに告白モドキはリトが集中していたので聞こえていない。よかったね!

そしてそんな春蘭は…物理的にリトに襲いかかった。

 

「…うわあああああああああああ!!」

「うぎゃあああああああああああ!?」

「いいきみよ」

「はぁ…」

 

 

さて、私こと曹孟徳は元覇王である。

“元”がついているのは主に目の前にいる男…平沢梨斗のせいなのだが。

いや、正確にはこの世界の消滅が原因なのだけど…。

 

「うわわわわ!?春蘭、待てって!?本気で斬るつもりかよ!?俺なにもしてないのに!」

「う…うるさいうるさいうるさーーーーい!!」

「それはツンデレの化身が言うべき台詞だから!?」

 

…つんでれ、ね。多分詠や地和みたいな性格の娘の事を言うんでしょうね。

春蘭は平沢に心を許してるんでしょうけど、それを表に出さないわね…今度酒盛りさせて平沢の部屋に連れていこうかしら?

 

「華琳様、そろそろ二人を止めた方がよいのでは?」

「そうね。お願いするわ」

「御意」

 

たしかに、めいど服を着て走る平沢は見るに耐えないわね。

まぁ、これから元に戻るんだけど♪

 

「……少々自重してもらうと嬉しいのですが…」

「ふ…フン!」

 

リコに顔を背ける春蘭。顔が紅くなっているのは本人の名誉のために黙っておきましょう。

そうそう、話のがあるんだったわ。

 

「…私って何なのかしらね?」

「唐突ですね」

「華琳様は華琳様です!それ以上でもなくそれ以下でもない最高の存在です!」

「姉者、それは私も同感だが華琳様の求めている答えと違うと思うぞ?」

 

たしかに嬉しいのだけれど、秋蘭の言う通りだわ。

…戦乱の時代は終わり、盗賊を討伐しながら政務をする日々。

それにやりがいを感じているけど…それだと、前の私に違和感ができてしまう。

 

「正直、私はどんな人物か分からないのよ」

「では色々となされてはどうでしょう?お嬢様は才が豊富な方ですし、あらゆる分野をするうちに分かってくるかもしれません」

 

たしかに…リコの言う通り色々やるのも手の内かもね。

……と言うかリコ…むしろ平沢は格好を変えると性格も変わるのかしら?

 

「それじゃあ、まず厨房に行こうかしら」

 

私は扉を開ける。

当然春蘭と秋蘭…それにリコは私の後についてきた。

これで私の事がわかるといいのだけど…

 

 

 

厨房にて…

 

「ハグハグハグ…!おっいしー!ねぇねぇ、にいちゃ…間違えた、姉ちゃん!これなんて言うの?」

「ハンバーグです。おかわりは現在お嬢様がお作りになっているので少々お待ちを。それと姉ちゃんは止めてください」

「「Ο□Ο」」←リコ見てこうなった

「……………ねねと流琉、どうしたの?」

「そっとしておいてやれ…」

「ハグハグハグ…!」

 

 

 

訓練所にて…

 

「どうした、魏の兵達よ!これだけで弱音を吐く気か!!」

「華琳様ノリノリやなぁ…」

「なの~…」

「「「教官!!夫婦の契りを前提に交際を…!」」」

「その股間にぶら下がった汚ない汚物を引き抜きますよ?あと、全員歯ぁ食いしばれ」

「……平沢も大変だな」

「師匠が女性だなんてそんなことあるわけがないそうだ全部夢なんだ今朝の特訓で頭を軽く打って私は気絶しているんだそうだそれにちがいないそれにしても師匠はお綺麗だなふふふ私よりも胸が出ていて腰もしまっていていいなああ男性の師匠もあんな格好をするとお綺麗なのだろうないや男性の師匠はしつじ服とか言うものを着ると格好いいらしいよしじゃあ想像しよう男性の師匠のしつじ服男性の師匠のしつじ服男性の師匠のしつじ服男性の師匠のしつじ服男性の師匠のしつつつつつつつつ……(ブツブツ」←軽く発狂

「凪ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッ!!?どないしたんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「しっかりしろ!!おい!!」

「華雄!今すぐ華陀を呼んでこい!でないといつ暴れだすか分からん!!」

「ああ!…って、久々の登場がこれだけか!?」

 

 

 

会議室にて…

 

「……これで終わりよ」

「おおー。華琳様お強いですねー」

「はぁはぁ…!華琳様に攻められる…快感…!」←恍惚の表情

「   」←返事がないただの屍のようだ

「華琳様に…攻められ…」

「姉者、ここではやめろ。平沢がいる」

「まさか…本当に女の人になれるんですね」

「ほわぁ~…綺麗だね~」

「ってなにいってるの二人供!目の前にいるのはリトなのよ!?なのに何なのこの胸!?男の癖に!男の癖にぃ~!!」←リコの胸握りながら

「あの、すみません…離してください…」←結構いたい

 

 

 

「それで華琳様、御自身の事がお分かりになられましたか?」

「リコの女装で周りが騒がしくなることがわかったわ」

 

うん、間違っていない。

あの後も色々な場所に行ったけどリコが原因でしっかりできなかったわ。

て言うか、途中でナンパされてたし。

 

「ますます分からないわ…私は一体…」

「白蓮お嬢様のように迷っているところ申し訳ありませんが、お嬢様」

「…何かしら」

「もうお時間なので…やめさせてもらうぞ」

 

そう言ってリコは素早く私から紐を盗り、髪を結ぶ。

もうそこにはリコはおらず、いつもの格好をした平沢がいた。

そうか…もう…

 

「夕暮れになっていたのね」

「気付かなすぎだろ。どんだけ集中してたんだ」

「自分でもびっくりよ…」

 

これだけ集中していたのに収穫なし、か。

明日もやろうかしらね。

そう思っていた矢先、平沢は閃いた感じで言う。

 

「てかさ、もうどうでもいいだろ。華琳は華琳だからさ」

「それは春蘭が言ってたわ…」

「そうじゃなくてさ。自然体でいいんだよ。自分が何をしたいか、とか。誰とどんな関係なのかとか」

 

たしかに…一理あるわね。

今まで自分の個性とかそんな者を考えてただけでそれは思い付かなかったわ。

 

「そうね…それでもいいかもしれないわ」

「そっか。じゃあ今日はこれで終わりだな」

 

…私は曹孟徳、魏の王であって愛する部下の王で自他共に認める才女で…

 

「お礼に今日私の部屋に来なさい。貴方の知らない快感を…」

「女にならないからな」

 

この男の友…かしらね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「うぇーい、後書きコーナーでーす」

 

一刀「…テンション可笑しくね?」

XXX「なんかね、夏がヤバイの、ダルいの…」

一刀「はいはい、仕事しろよ」

XXX「てっきびしー!」

 

XXX「今回は二つに分割せずに混ぜて見ました」

一刀「っていっても『本当の私』そんなやってないな」

XXX「どうしても、リコ書いてると楽しくて」

一刀「華琳は相変わらず女の子に目がないな。元々男のリトでもセクハラするし」

XXX「まぁ、個性でしょ。ちなみにリコのスカートの中はスパッツです」

一刀「どうでもいいわ!」

XXX「春蘭に関してはツンデレですね。ツンが多めの」

一刀「秋蘭はクーデレ?」

XXX「作者…クーデレ分からないんだ」

 

一刀「俺もあんな危機回避できる体欲しかった…」

XXX「いいじゃん種馬」

一刀「よくないわ!……で、予告通り色々やったな」

XXX「厨房に関してはイメージつきやすいんだよ。ただ流琉と音々音は例外だけど」

一刀「前の時みたいにショックだったんだな…」

XXX「それと訓練所で告白した奴等は後で犬神家で埋まりました…壁に」

一刀「地味に怖っ!って怖いと言えば凪が」

XXX「うん、あれ息継ぎしてないんだよな……すごい肺活量だね!」

一刀「精神の心配してるんだよ!」

XXX「で、最後の軍師達は…いつも通りだな。ちなみに華琳とリトの関係は騒がしい友達…みたいな?」

 

XXX「ふぃー、次回で魏編と仮面編ラストだよ」

一刀「あれ?次回ゲスト出るんだよな?だれだっけ?」

XXX「それは…おっと、言うとまたログアウトしちまう」

一刀「じゃあヒントは?」

XXX「種族が妖怪のニート…かな。…おや、誰か来たようだ」

 

ΟωΟ?再見


 
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