No.696386 【獣機特警K-9ⅡG】過ぎたるは猶及ばざるが如し【交流】2014-06-24 22:48:18 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:781 閲覧ユーザー数:750 |
「本日貸切」の札が下がった「寿司正」の店内。
カウンターに座るのはうどん屋の小田原つねと写真館主の駿河寧子である。
「今日はお寿司の大食い対決ね。」
「ええ、先に食べられなくなった方が全額払うのよ。」
火花を散らす二人の老女の前には、ただ一人若大将こと正見松男がいるのみである。
「ところで…大旦那は?」
「大将ですか…。昼にヤクザ風のお客さんと喧嘩して今警察にいるんですよ…。」
苦笑する松男。
「…相変わらずね。」
「その分私が頑張りますのでよろしくお願いします。」
「ありがとう。じゃあ始めましょうか。」
「望むところ!」
その叫びをゴングとして大食い対決は始まった。
「まずはこれと…。」
「あたしはこれで…。」
「わかりました。」
50個…100個…200個と寿司が二人の胃袋に収まっていくが、そのペースは一向に収まらない。
逆にペースが落ちてきたのが松男である。
「ちょっとすみません…。まだ食べるんです?今…何個だろ…?」
「もちろん食べるわ!」
「あたしも!」
「お言葉ですが…腹八分にしないと体に悪いって先生に教わりませんでした?」
「でも…まだ三分でもないのよ。」
「奇遇ね。あたしもよ。」
「ひええええ!」
つねも寧子も恐るべきスピードで寿司を口に放り込んでいく。そしてついに…。
「すみません!もうネタもシャリもありません!」
握るべきものが何もなくなってしまった。
「あらそう…。残念ね。まだ入るのに。」
「あたしも入るわ。」
「うそ…。」
戦慄する松男に対し、少しく不満げな二人であるが…
「でも…いい勝負だったわ。」
「ええ…。」
大食い対決そのものがいい勝負であることはお互い認めるところであった。
そんな二人の間に流れる空気を切り裂くような声。
「すみません…。」
大女将の正見潔子である。
「うちの食材全部食べておいて…払わないで帰るなんてこと…考えてませんよね!」
潔子の手に握られた領収書には、若手サラリーマンであれば1か月かかっても払えないであろう金額が…。
「「ひいいいい!」」
今度はつねと寧子が戦慄する番であった。
さて翌日。
「あれ…若大将は?」
客がカウンター内の若手寿司職人に質問する。
「何か…腕が痛くて上がらないって今日は休んでますよ。」
「そう…。残念だな。せっかく若大将に唐揚げ巻き作ってもらおうと思ったのに。」
その頃松男は階上の自宅で腕をアイシングしながら休んでいた。昨日のハードワークのせいで筋肉痛と腱鞘炎に苛まれているのである。
「うう…まだ痛い…。」
苦悶する松男のもとに濡れタオルを持った潔子がやってくる。
「はい、タオルの替え。」
「ありがとうございます…。」
「昨日はよく頑張ってくれたわ。あの二人相手に一人で…。バカ大将が…こんな時に限って警察に捕まるとは…!」
潔子は夫に冷ややかな怒りを燃やす。
「でも、あの二人を相手しきってこそラミナ市の寿司職人としては一人前だから…まあ頑張りなさい。」
「き、厳しい…。」
おわり
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ちなみに大食い関係の愉快なエピソードを知りたい場合は「えびすこ」で検索すると幸せになれます。
つねさん:http://www.tinami.com/view/695455
寧子さん:http://www.tinami.com/view/695873
若大将:http://www.tinami.com/view/671973
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